水質分析を「測る技術」から「人と人をつなぐ仕組み」へ。共立理化学研究所、インドに合弁会社「KCL Pinnacle India Pvt. Ltd.」を設立
-簡易水質分析キット「パックテスト®」を起点に、住民主体の水質モニタリング網を構築。海外事業の次なるステージをインドから始動-
株式会社共立理化学研究所(本社:神奈川県、代表取締役 岡内 俊太郎)は、インド・ハリヤーナ州グルグラムにおいて、現地企業Pinnacle Sourcing & Consultancy Pvt. Ltd.(以下、Pinnacle社)との合弁会社「KCL Pinnacle India Pvt. Ltd.」を2026年9月に設立します。
本合弁会社の設立は、当社におけるビジネスのあり方を「製品の販売」から「社会の仕組みづくり」へと発展させる新戦略の第一弾です。日本で70年以上培ってきた「誰でも・どこでも・簡単に」水質を測定できる簡易分析技術をベースに、さまざまな水環境課題を抱えるインドにおいて、水質分析を通じて地域社会をつなぐ「コミュニティ主導の水質管理モデル」を確立し、ここからグローバル展開を目指します。

■設立の背景:インドの水環境課題と「パックテスト®」の可能性
インドでは、急速な経済成長に伴う工場排水への対応に加え、生活用水や飲料水など、地域の水質を継続的に把握・管理することが重要な社会課題となっています。
インド政府は、農村部への安全な飲料水供給を進める国家プロジェクト「ジャル・ジーバン・ミッション(JJM)」を推進しています。2026年3月には、同プロジェクトを2028年12月まで延長し、「JJM 2.0」として再編。政策の重点を、インフラ整備中心から、地域による維持管理や市民中心のサービス提供へ移す方針を明確にしました。JJMではこれまでも、地域住民を水質測定の担い手として育成してきましたが、今後、こうした住民参加型の水質管理を広域かつ継続的に運用するためには、専門的な知識を持たない人でも扱いやすく、測定結果のばらつきを抑えながら、データを共有・活用できる環境を整えていくことが重要になります。
そこで強みを発揮するのが、当社の主力製品である水質簡易分析キット「パックテスト®」*です。チューブに水を吸い込むだけの「1操作」と色の変化によって、誰でもその場で水質を測定できる簡易分析製品です。パックテスト®は日本において、工場の排水管理やインフラ設備の維持管理、学校教育、環境調査など幅広い分野で普及しています。また、英国の環境保護団体(Earthwatch)でも採用されるなど、国際的な評価も高まっています。
この技術を「測る」「記録する」「共有する」「対応する」までをつなぐ水質管理基盤へ発展させることで、地域が継続的に水環境を把握できる状態を目指します。
■「製品販売」から「社会インフラの構築」へ。インド社会に実装する3つのフェーズ
新会社「KCL Pinnacle India Pvt. Ltd.」は、単なる販売拠点ではなく、自律的な水質管理システムを社会に実装するための前線基地です。日本企業のインド進出を支援してきたPinnacle社の現地ネットワークと事業開発力に共立理化学研究所が培ってきた簡易水質分析技術を掛け合わせ、産業分野から公的分野、さらに住民参加型の水質管理へと、段階的に取り組みを進めます。
1. 【持続可能な事業基盤の確立】即効性の高い産業排水領域からの参入
住民参加型の水質管理を一過性の取り組みで終わらせず、長期的に社会へ定着させるためには、製品供給、技術支援、人材育成などを現地で継続できる事業基盤が不可欠です。まずは、環境管理ニーズが顕在化している工場排水などの産業分野を中心に、パックテスト®をはじめとした簡易水質分析製品の販売・支援体制を構築し、今後の事業を支える強固な基盤と安定的な収益を生み出します。
2. 【事業の現地化】インドの利用環境に合わせ、公的分野へ
インド固有の水質課題や使用環境、測定ニーズに合わせ、製品・サービスの現地化を進めます。同時に、現地企業、研究機関、NGOなどとの協業や、必要となる公的認証の取得を進め、インド政府が推進するJJM関連事業への参入を目指します。
産業分野で培った現地での実践を公的分野へ広げることで、より多くの地域で、住民自身が日常的に水の状態を把握できる環境づくりに取り組みます。
3. 【住民参加型ネットワークの構築】簡易測定のデジタル化による行政連携
住民による日々の測定データを統合・可視化し、行政の迅速な対応やコミュニティへのフィードバックへと直結させるため、パックテスト®の測定結果をデジタル技術と連携させる新製品の開発を進めます。
水質分析を「測って終わる行為」から「地域全体が水環境について学び合い、課題解決に向けて行動するきっかけ」へと昇華させ、循環型水質管理モデルを確立。
インドを最初の実装フィールドとし、将来的な他国への展開も視野に入れます。
■合弁会社概要
会社名:KCL Pinnacle India Pvt. Ltd.
所在地:インド共和国ハリヤーナ州グルグラム
設立:2026年9月1日
合弁パートナー:Pinnacle Sourcing & Consultancy Pvt. Ltd.
資本金:2,500万インドルピー
社長:岡内 俊太郎
出資比率:株式会社共立理化学研究所 76%、Pinnacle Sourcing & Consultancy Pvt. Ltd. 24%
主な事業:水質簡易分析製品の販売・市場開拓、現地ニーズに対応した製品・サービス展開、現地企業・団体等との連携
■代表取締役 岡内俊太郎 コメント
「水道を整備して水を届けることと、その水の状態を地域で日々確かめ、管理し続けることは、別の課題です。
私たちが長い時間をかけて取り組んできたのは、専門家だけのものだった水質分析を、誰もが扱えるものに近づけることでした。
私たちが目指すのは、『パックテスト®』を普及させることにとどまらず、地域の人が自ら水を測り、状態を知り、その結果を誰かと共有し、次の行動につなげられる環境を整備することです。
インドの合弁会社は、現地の方々と一緒に、その地域に合った水の見守り方を考え、新たな課題解決のモデルを創り出すための拠点です。
水質分析を『測る技術』から『人と人をつなぐ社会の仕組み』へ。
私たちのパーパスである『ブンセキをもっと身近にする』を、インドから世界へ広げてまいります」
*パックテスト®について:
国内シェア約90%の簡易水質分析ブランド
1973年の発売以来、工場の排水管理やインフラ設備の維持管理、学校教育、環境調査など、幅広い分野で日本の水質管理を支えてきました。最大の特徴は、誰でも、その場ですぐに水質を測定できる手軽さです。測定対象ごとに調合された試薬入りのポリエチレン製チューブに調べたい水を吸い込ませるだけで、成分濃度に応じて水の色が変化。その色の変化を付属の標準色と比較するだけで、瞬時に水質を判定できます。

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