トヨタ自動車とアイクリスタル、3Dデジタルツイン上で工場内センサ配置を自動最適化
トヨタ自動車株式会社とアイクリスタル株式会社は、車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」上の車両測位に用いるセンサ最適位置を、3Dデジタルツイン上で自動探索するアルゴリズムを開発しました。これにより人手によるセンサ配置検討が自動化され、当該作業者は、より付加価値の高い業務に従事することが可能となりました。

図1 デジタルツイン環境で再現したトヨタ自動車の量産工場
■背景
トヨタ自動車では、インフラセンサを用いた車両測位により、工場内で量産車を無人走行させる車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」を開発し、2022年より実用化しております。一方、工場内には設備や柱などの障害物、並びに作業者の往来があるため、センサを新しい工程へ導入する際、最適に配置するには安全性やコストといった多岐にわたるパラメータの検討が必要でした。従来の手法ではこれらを人手で組み合わせるため、工程設計段階で膨大な工数が発生していました。

図2 Telemotionを活用した自律走行の様子
■実施内容
本プロジェクトでは、トヨタ自動車の量産工場を忠実に再現したデジタルツイン環境を活用し、アイクリスタルが得意とする数理最適化手法によって従来人手で行っていた作業の自動化を実現させました。これにより、仮想空間内であらゆるセンサ配置パターンを網羅的に評価できるようになりました。
■ 成果および今後
開発した最適化アルゴリズムは、センサの最適配置を自動的に探索し、センサ台数や工事コストを最小限に抑えつつ安全性を確保します。これにより他ラインへの展開・拡張が容易となるため、今後多様化するニーズへの対応をさらに強化してまいります。
■トヨタ自動車株式会社 車両品質部 主任 岩堀 健人 のコメント
交通事故ゼロ社会の実現に向け、私たちはインフラセンサ設置に関する長年の知見を活かし、デジタル空間上でセンサ配置の最適化を可能とする独自アルゴリズムを開発しました。今回、この技術を工場内に適用することで、センサ設計の自動化と迅速な対応を実現し、安全性と効率性の両立に貢献しています。今後も『誰かのために』という想いを原動力に、技術革新と改善を継続してまいります。
■アイクリスタル株式会社 代表取締役 髙石 将輝のコメント
アイクリスタルが注力してきたプロセスインフォマティクス技術とトヨタ様のプロセス開発力が融合することで、インフラセンサの配置検討の自動化というリアルな課題解決に結びついたことを非常に嬉しく思います。デジタルツイン上での最適解探索の自動化の取り組みは、単なる効率化にとどまらない大きな可能性を感じています。この共創を起点に、さらに実装・展開を加速し、業界全体の変革に貢献していきたいと考えています。
■アイクリスタル株式会社について
アイクリスタル株式会社は、製造プロセスの最適化を事業とする名古屋大学発スタートアップ企業です。自動車業界や半導体業界を中心とした様々な産業に向けて、品質向上、コスト削減などを達成する製造条件を、機械学習や数理最適化などの技術を駆使して高速に見つけ出し、開発期間を圧倒的に短縮するプロセスインフォマティクス技術のソリューションを提供しています。
詳細についてはアイクリスタルのウェブサイトをご確認ください。 https://aixtal.com
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