国内外で活躍する「陶芸家・現代美術家 西條茜」。初の美術館個展が1月26日から開幕。
2022年に開催した公募展「第1回 MIMOCA EYE / ミモカアイ」で大賞を受賞した西條茜。本展は新作のみで展覧会を構成します。
若いアーティストが独自の才能をはばたかせる場として2022年に始まった公募展「MIMOCA EYE / ミモカアイ」。その第1回大賞受賞者である西條茜の個展を開催します。
西條は陶を素材とした有機的な造形の作品を用いて鑑賞者が自他の身体へと意識を傾ける瞬間を作りだそうとしています。陶磁器の内部が空洞であることに身体との共通点を見出した西條は、近年、内臓を含む身体を想起させる作品を制作し、その内部に息や声を吹き込むパフォーマン スによって、各々の身体の拡張を試みてきました。本展では、陶の作品のほか、制作において息を吹き込む過程のあるガラス作品も発表し、作品と身体との境界をさらに考察します。また、手で直接粘土に触れ、その動きに応じて形を成し表面に手跡が残る陶芸を、西條は自身の身体を実感する行為であり、世界とのコミュニケーションの実践と考えています。作品を介したパフォーマンスでは運搬という行為を新しく取り入れ、作品と身体、身体相互、さらに身体とそれを取り巻く環境はどのようなコミュニケーションを取り得るのかを探ります。
「MIMOCA EYE / ミモカアイ」について
「アートとはその時代の答えであって、アーティストはこの現代をどう表現するのかという責任がある。それがコンテンポラリーアート。未来に向かってアーティストがどういうふうに方向づけ、今にないものを発見していくかっていう、一番大事で一番難しいことの結果を見せる美術館であってほしい」 猪熊弦一郎のこの言葉を指針とするMIMOCAは、これからを担う若いアーティストが時代を捉えながら新しい表現を生み出し、独自の才能をはばたかせる起点となる場として、2022 年より公募展「MIMOCA EYE / ミモカアイ」を開催しています。
1.本展のポイント
1-1.若い作家を育てる
MIMOCA設立に寄与した猪熊弦一郎は、当館の重要な使命のひとつに「若い作家を育てること」を掲げていました。その理念を受け継いだ事業として、35歳以下を対象とした公募展「MIMOCA EYE / ミモカアイ」を2022年に開始。その第1回大賞受賞者であり、近年の活躍目覚ましい西條茜を紹介します。
1-2.美術館での初個展
「MIMOCA EYE / ミモカアイ」は美術館での個展を未経験であることが応募条件の一つです。また、作家として歩み続ける後押しをするため、大賞の副賞は当館での個展開催の機会としました。本展は第 1回大賞受賞者である西條が受賞から2年を経て、その間の経験をも糧にし、満を持して開催する個展です。
1-3.すべて新作
西條は本展を「MIMOCA EYE / ミモカアイ」の目的に則って自身の飛躍の場と捉え、新作のみで展覧会を構成しました。何を表現したいか、これまでの関心を深め、あるいは新たな展開を考え抜いて制作した作品を、シンプルな空間だからこそ作品の真価が問われるMIMOCAに展示します。
1-4.パフォーマンス
西條の特徴の一つとしてパフォーマンスが作品に取り込まれていることが挙げられます。西條が素材とコミュ ニケーションを図りながら制作した陶の作品は、焼成され展示された後、今度はパフォーマーが息を吹き込んだり運搬するなど、作品とパフォーマーの間で、あるいはパフォーマー同士の応答を引き起こします。その様子を捉えた映像作品を展示するほか、会期中にはパフォーマンスの機会を設け、鑑賞者も含めた、生きている身体を介したコミュニケーションの場を作り出します。
2.関連プログラム
2-1.アーティスト・トーク
本展初日に、西條茜が自身の制作や本展への取り組みについて話します。
講師:西條茜(本展出品作家)
日時:2025年1月26日(日) 14:00ー
場所:2階ミュージアムホール
定員:170名
参加料:無料
申込:不要
2-2.パフォーマンス
複数のパフォーマーが息を吹き込んだり運搬するなど西條の陶作品と関わりをもつことで、作品、パフォーマー、観客それぞれの間に偶発的なコミュニケーションが生まれます。
日時:2025年2月1日(土)14:00ー、2月2日(日)11:00ー、14:00ー
場所:2階展示室B
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)
申込:不要。当日2階展示室Bにお集まりください。
2-3.親子でMIMOCAの日
高校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。
日時:2025年2月1日(土)、2日(日) 各日10:00ー18:00
2-4.ワークショップ
出品作家・西條茜を講師に迎え、作品を触ってコミュニケーションを生み出すワークショップを行います。
講師:西條茜(本展出品作家)
日時:2025年2月15日(土)、16日(日)時間未定
場所:2階展示室Bほか
*詳細は決まり次第、WEBサイトでお知らせします。
2-5.キュレーター・トーク
本展担当キュレーター(松村円)が展覧会をご案内します。
日時:2025年3月2日(日)14:00ー
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)
申込:不要。当日1階受付前にお集まりください。
※その他プログラムは決まり次第、順次当館WEBサイト等でお知らせいたします。
3.出品作家プロフィール
西條 茜(さいじょう あかね)
1989年生まれ。2014年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻 陶磁器分野修了。2013 年ロンドンロイヤルカレッジオブアートへ交換留学。2020年度京都市芸術文化特別奨励者認定者。近年は陶磁器の特徴ともいえる内部の空洞と表面の艶やかな質感から「身体性」をキーワードに、陶彫作品及びそれらに息や声を吹き込むパフォーマンスを発表している。一方で世界各地にある窯元などに滞在し、地元の伝説や史実に基づいた作品も制作している。
主な展覧会に「石川順惠、西條茜」(Blum/東京/2024)、「コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画」(愛知県美術館/2024)、「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」(森美術館/東京/2023)、個展「文化村クリエイションvol.3 西條茜「やまの満ち引き」」(なら歴史芸術文化村/2023)、「第 1 回 MIMOCA EYE / ミモカアイ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/2022)、個展「Phantom Body」(アートコートギャラリー/大阪/2022)、「第4回 金沢・世界工芸トリエンナーレ企画展「越境する工芸」」( 金沢21世紀美術館市民ギャラリー/2019) など。
開催概要
展覧会名:「第1回 MIMOCA EYE/ミモカアイ」大賞受賞記念 西條茜展 ダブル・タッチ
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2階展示室B、1階エントランス
所在地:香川県丸亀市浜町80-1
会期:2025年1月26日(日)ー3月30日(日)
開館時間:10:00ー18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(2月24日は開館)、2月25日(火)
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
協力:一般社団法人シガラキ・シェア・スタジオ、倉敷芸術科学大学、有限会社丸倍製陶、 BLUM Los Angeles, Tokyo, New York
観覧料:一般950円(760円)、大学生650円(520円)
*高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・各種障害者手帳お持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催企画展「猪熊弦一郎展 画業の礎-美校入学から渡仏まで」および
常設展「猪熊弦一郎展 立体の遊び」観覧料含む
お問い合わせ先:0877-24-7755
前売り券情報
楽天チケット https://leisure.tstar.jp/event/rlikggm/
美術展ナビチケットアプリ https://artexhibition.jp/ticketapp/
【販売場所(香川県丸亀市)】
あーとらんどギャラリー:0877-24-0927
オークラホテル丸亀:0877-23-2222
おみやげSHOPミュー:0877-22-2400
〈2025年度展覧会情報(上半期)についてお知らせ〉
猪熊弦一郎博覧会
会期:2025年4月12日(土)ー7月6日(日)
大竹伸朗展 網膜(仮称)
会期:2025年8月1日(金)ー11月24日(月・休)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)は、丸亀市の市制施行90周年の記念事業として、丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の全面的な協力のもと1991年11月23日に開館しました。
建築家の谷口吉生による美しい建築を丸亀駅前に構える当館は、猪熊本人から寄贈を受けた約2万点の猪熊作品を所蔵し、常設展で紹介するとともに、現代美術を中心とした企画展を開催しています。また、講演会やコンサートなどの多彩なプログラムや、子どもの感性や創造力を育むワークショップなどを開催し、教育を目的とした活動にも力を入れています。
これらの特色は、猪熊と丸亀市とで協議を重ねて作り上げられました。猪熊は、MIMOCAが常に新しいものを積極的に紹介する「現代美術館」であることを強く希望しました。また、自然光を取り込んだ明るく広々とした空間は、美術館に美しい空間を求める猪熊の意思を共有して谷口が形作りました。そして猪熊は子どもが美にふれることを重視し、子どもの観覧料無料や、子どもが造形活動をする「造形スタジオ」の設置などを提案しました。
気軽に立ち寄り、美しい空間でいい作品を見て、新鮮な刺激を受けて心が元気になる場所であることを美術館に求めた猪熊は、MIMOCAのあるべき姿として「美術館は心の病院」という言葉を残しました。猪熊の思いが込められたMIMOCAが、みなさまの「心の病院」となれば幸いです。
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