台湾國立宜蘭大學、ThroughTek Co., Ltd.と遠隔営農支援システムの実証実験の成果報告を実施

　株式会社NTTアグリテクノロジー（本社：東京都新宿区／代表取締役社長 酒井 大雅、以下「NTTアグリテクノロジー」）は、台湾國立宜蘭大學（本校：台湾宜蘭県／President Wei-Jung Chen、以下「宜蘭大學」）およびThroughTek Co., Ltd.(本社：台湾台北市／CEO Patrick Kuo、以下、「TUTK」)と、遠隔地にいる野菜栽培の指導者からデータに基づく営農指導を受けることができる「遠隔営農支援システムの実証実験の成果報告」を2025年9月17日に実施しました。

■背景・目的

　世界的に食の安定供給が課題となる中、台湾においてもその解決アプローチの一つとして、新規就農者の増加やデータに基づく技術伝承が期待されています。日本で同様の課題に対して取り組みを進めてきたNTTアグリテクノロジーは、台湾の宜蘭大學およびTUTKと連携し、新規就農者の支援やデータによる栽培技術伝承を可能とする遠隔営農支援システムの実証実験を行ってまいりました。この取り組みを通じて、食の安定供給と農業分野の持続可能な発展に寄与することをめざしています。

■これまでの経緯

　NTTアグリテクノロジーは、スマート農業技術を活用した台湾農業の課題解決をめざし、2024年9月23日に宜蘭大學およびTUTKとMOU（基本合意書）を締結しました。

2024年12月より宜蘭県の名産であるネギを対象に、栽培指導者が「遠隔営農支援システム」を通じて栽培未経験者を指導することで、台湾における遠隔営農の有効性を検証してまいりました。

2025年4月からは、栽培難易度の高いマスクメロンに対象品目を移し、対照テストによる栽培の効果測定を実施しております。

（2024年9月23日のニュースリリース）

台湾の國立宜蘭大學およびThroughTek Co., Ltd.とMOUを締結

https://www.ntt-agritechnology.com/news/20240923.html

（2025年4月9日のニュースリリース）

台湾國立宜蘭大學、ThroughTek Co., Ltd.と 遠隔営農支援システムの実証実験を開始

https://www.ntt-agritechnology.com/news/20250409/

■マスクメロンを対象とした実証実験の概要

　宜蘭大學の温室にて、遠隔営農支援システムを「使用するエリア（実証区）」と「使用しないエリア（非実証区）」を用いた対照テストを実施し、収穫物及び若手就農者の技術習得に対しシステム利用有無による効果の違いを測定いたしました。

■実証実験の結果・考察

栽培者への効果

• 実証区では非実証区に比べ、収穫量に優位性が見られ、平均重量は約150％となりました。

• 指導者の移動等の調整により、これまではトラブル発生から営農指導まで数日を要していましたが、約1日以内に短縮されました。

• コミュニケーションが円滑化されたことで、指導の回数は従来比で170％に増加しました。

• 指導の場所や時間の制約が緩和され、よりきめ細やかな指導が可能となりました。

　考察

• 指導頻度の向上により病害対策や適正栽培が迅速化したことで、収穫率改善に寄与したと考えられます。また未経験者が従来と比較し早期に技術習得したことから、新規就農者の早期収益拡大が期待されます。

指導者への効果

• 1回の指導あたり約50分（往復）の移動時間を削減できました。

• 地理的時間的制約を克服し、従来対応が困難だったタイミングにおいても指導が可能となりました。

• 栽培環境データへのアクセスや情報共有が可能となり、指導者同士のスムーズな連携が容易になりました。

　考察

• 移動時間の削減は時間とコストの効率化だけでなく、指導機会の拡大にもつながります。さらに、遠隔での指導は広域での栽培支援に有効であり、今後の農業ICTサービス展開において重要な役割を果たすと期待されます。 

■実証実験や成果報告会の様子

 ①収穫されたメロンの様子

②温室内の様子

③成果報告会の様子

■主な役割

　宜蘭大學　実証実験フィールド・栽培者・指導者の提供

　TUTK　 IT技術支援

　NTTアグリテクノロジー　遠隔営農支援システムの提供

■今後の展望

　取り組み結果をもとに、台湾における遠隔営農支援システムの普及、活用に向けた具体的な検討を開始し、食の安定供給に役割を果たすことをめざします。