<「Co-Design Challenge Pitch #1」イベントレポート>「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」――これからの日本のくらしをつくる22の挑戦――

齋藤氏「万博を共創の場にしたい。ここから人がつながり新しい何かが生まれる」象印マホービン・吉野と暮らす会・信楽陶器工業協同組合・府中ノアンテナが登壇!プロダクトに込められたストーリーや今後の展望を発表

Co-Design Challenge PR事務局

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(大阪市住之江区 事務総長:石毛博行)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現する「Co-Design Challenge」プログラム(以下、「CDC」)を2022年から展開しています。第1弾(CDC2023)では、社会課題の解決をめざすプロダクトの開発を実施。第2弾(CDC2024)では、その開発に加え、地域誘客を目的とした生産現場の公開やものづくり体験、オープンファクトリーにも取り組んでいます。

この度、CDCに参加した事業者が課題解決へのアプローチや未来へのビジョンを語る「Co-Design Challenge Pitch#1ーデザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる これからの日本のくらしをつくる22の挑戦ー」を5月28日(水)に万博会場 フューチャーライフヴィレッジ(以下、「FLV」)にて開催しました。

EXPO共創プログラムディレクター・齋藤精一氏と公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事・矢島進二氏をお招きし、象印マホービン株式会社・一般社団法人吉野と暮らす会・信楽陶器工業協同組合・特定非営利活動法人府中ノアンテナが登壇し、今回の取組のきっかけ(社会課題)やその課題解決に繋げるために制作したプロダクトについてや、万博終了後の想いを発表しました。今後も参加事業者が全5回にわたり登壇予定となっています。 

CDCの動画が放映され開演!齋藤氏、矢島氏がプロジェクトの熱い想いを語る

会場に開幕直前編、会場実装編の映像が上映され、第1回のPitchイベントが開始しました。まず、CDCの立ち上げを牽引したアドバイザーの齋藤氏が登壇し「万博を共創の場として、中小企業やベンチャーも参加できる仕組みを作り、力を合わせて新しい何かを生み出し、レガシー(遺産)としていきたい」と想いを語りました。また「万博を契機にこれからの日本の暮らし、まちを改めて考える場にしたい」と話し、「地域の誘客にも取り組み、日本全国を万博会場にし、ものづくりの現場や価値を知ってもらいたい」と力を込めました。

また、CDCに企画段階から伴走してきた矢島氏は「これからの未来を作っていくプレイヤーがそろいました」と登壇する参加者を紹介しました。

象印マホービン株式会社

トップバッターとして、象印マホービン株式会社 新事業開発室 サブマネージャー・小谷 啓人氏が登壇。「マイボトルが当たり前の世界を実現したい」とマイボトルで飲料提供するための洗浄機の開発を発表しました。万博会場内には10台設置されており、来場者は、液晶画面の指示に従ってボトルとキャップをセットし、洗浄機のカバーを締めるだけと簡単な操作で、自由に使うことができ、20秒で洗浄が完了することを紹介。

CDCに応募したのは、ちょうど実証実験を始めたころで、「可能性があるならと応募したが、まさか採用されるとは……」と振り返りました。デザインは、サイドパネルに吉野杉を使用し柔らかい印象を演出、またLEDパネルを設置し、CO2削減量を累計表示できるコンテンツを盛り込んだことを説明しました。「初めての屋外対応や防水構造で、開発中は苦労の連続でしたが、スタッフの頑張りでギリギリ間に合わせることができました」と舞台裏についても話しました。

5月19日時点で総洗浄回数は3万6,391回を数え、その後も順調で「想定以上に使ってくれている」と手応えを実感。小谷氏は、「マイボトル洗浄機は万博ではおまけです。ですが、おまけでもすごく良いおまけを目指しました」と締めくくり、万博閉幕後にマイボトル洗浄機を使ってみたいパートナーも募集していると展望を語りました。

一般社団法人 吉野と暮らす会

続いて、一般社団法人 吉野と暮らす会 ディレクター・吉川晃日氏が登壇。奈良県吉野町について、林業が始まってから500年の歴史があり、「暮らす会」は林業、製作所、木工所などの後継者の有志で2012年に結成したことを紹介。万博会場内に設置されているベンチは、実はまだ木材の最終加工中の過程であるといいます。循環の象徴として万博期間中に、(ベンチとして)伐採した木を乾燥させながら、その後、木材として使用するというプロジェクトであることを説明。CDCへの応募理由は「多様な切り口から吉野の木にまつわるコトやモノを発信して、山と町に仲間を増やしながら、木のある暮らしを伝えていく」ことだと話しました。また、万博の場で「自由な発想で、多様な切り口から木の魅力を伝承、現代化し、暮らしと森林の距離を近づけていきたい」とし、それが後継者不足の課題解決の糸口になればと期待をかけます。

万博閉幕後は、ベンチを吉野に持って帰り、イベント会場などで活用する予定。10月に開催される「YOSHINO WOOD FES.」でも万博会場のベンチを設置し、「木をもっと身近に、もっと自由に楽しむ未来のウッド・ライフスタイル」を提案していきたいと想いを込めて語りました。吉川氏の発表を聞き、齋藤氏は「吉野の活動は、オープンファクトリーの中のオープンファクトリー。近視眼的に見るのではなく、外からの目でみることも大事」と話しました。

信楽陶器工業協同組合

続いて、丸滋製陶株式会社 代表取締役・今井将之氏が登壇。丸滋製陶は1877年に創業し、今井氏で6代目という歴史のある製陶所です。今回、万博会場には、琵琶湖の生き物をモチーフにリサイクル資源とデジタル技術を活用した陶製テーブル・スツールを提供しています。また、陶芸体験として陶人形や食器、花器を得意とする明山陶業が食器やアクセサリー等の小物製品の創作体験を提供しています。

「日本六古窯」のひとつである信楽焼は、「鎌倉時代中期にはじまり、長い歴史がある。大物から小物に至るまでの幅広い製品群があり、今日に至っている」と紹介。1970年の大阪万博では「太陽の塔」に信楽焼が採用されており、産地の熱い思いもあったと、応募の動機を説明しました。リサイクル陶土の開発によって、強度が高まり、乾燥時間が早くなったと言い、「産地の課題でもある資源の有効活用、製造エネルギーの削減や最新技術の活用に繋がる。また、未来世代へ継承するための信楽焼産地の魅力ある陶芸文化の創造・発信・提供を目指しています」と述べました。

発表の最後には、「世界に信楽を発信したい。小さな町ですが、京都や大阪にも近く、多くの人にこんなところで信楽焼を作っているのかということを感じてもらえればうれしい」と締めくくりました。

特定非営利活動法人 府中ノアンテナ

最後の発表者は、特定非営利活動法人 府中ノアンテナ 副理事長・小谷直正氏が登壇。広島県府中市について、江戸から続く銀山からの街道が山あいを縫うように形成された地域で、ものづくりの営みが人々の暮らしを下支えし、額縁の他、味噌や桐箱づくりなどが盛んな町であると紹介。万博会場に提供している「山並みの景色を『切り取り』届ける、額縁工房の椅子」と、現地での体験企画として「工房で木を選んでもらっての額縁づくりやものづくりを育む山の景色の中に入り込む散策」などを用意していることを説明しました。

今回のCDCへの応募について「急激な人口減少により、産業や里山の営み、文化が失われている。自然や歴史が育んだ暮らしを終わらせたくない」ということをあげました。額縁の伝統技術である「留め」を取り入れた椅子には、草木染めを施しています。「草木染めはほとんど経験がなく、工程も複雑です。当初は仕上がりに難があったため、染めの方法や素材選びを繰り返し、20パターンくらい試行錯誤した中からベストなものを選んだ」と苦労を振り返りました。

CDCに採択されたこともあり、各種メディアに取り上げられる機会が増え、他団体との連携も始まろうとしているとのこと。小谷氏は、次の世代に向け「100のものづくりを残す。100の景色を残す」を掲げ、「地域が変わっていくきっかけづくりを続けていきたい」と力を込めて伝えました。

齋藤氏・矢島氏と4事業者で“語られる想い” を繰り広げる「これからの日本のくらしをつくる挑戦」

イベントの最後に、全登壇者が発表の感想や意見交換する場が設けられました。

象印マホービン・小谷氏は「ものを作って終わりではなく、どういう風に使うのかまで考えて、ものづくりをしていきたい」、吉野と暮らす会・吉川氏は「ネットに情報が載っていない町でも今回のプロジェクトを機に、調べて見つけて訪ねてほしい」と話しました。

また丸滋製陶・今井氏は「ものづくりの現場を訪れて見学すれば、刺激もあれば、可能性も見つかる。万博開幕日の翌日には、アメリカ、オーストラリア、インドなどから自社の工房を訪れてくれ、さっそく手応えがあった」と述べました。

そして、府中ノアンテナ・小谷氏は「CDCをきっかけに色々な所から声がかかるようになった。地域が動き始めた。これからも地域に万博の風を流していきたい」と意欲を見せました。  

齋藤氏は「諦めずに今回のCDCの事業をやってよかった。ここから新しいことが始まる。6月17日に開催予定の第2回以降もさらに多彩なプロジェクトをご紹介しますので、是非楽しみにして下さい」と締めくくり、第1回Co-Design Challenge Pitchは終了しました。

第1回登壇者の紹介

■ナビゲーター

齋藤精一 EXPO共創プログラムディレクター

Expo Outcome Design Committee(EODC)代表。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。パノラマティクス主宰。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。2006年(株)ライゾマティクス(現:(株)アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャー部門『パノラマティクス』を率い、行政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く行う。2023年よりグッドデザイン賞審査委員長。

矢島進二

公益財団法人日本デザイン振興会 常務理事。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、東京ビジネスデザインアワード、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。武蔵野美術大学、東京都立大学大学院、九州大学大学院で非常勤講師。毎日デザイン賞調査委員。

■事業者

象印マホービン株式会社(大阪府大阪市)

これからのマイボトルの使い方をデザインする〜マイボトルで飲料提供するための洗浄機の提案〜

一般社団法人吉野と暮らす会(奈良県吉野郡吉野町)

持続可能である木の暮らし、その循環の中に存在する、吉野材のベンチ

信楽陶器工業協同組合(滋賀県甲賀市信楽町)

これからの「信楽」をデザインする~リサイクル資源とデジタル技術による陶芸文化の創造~

特定非営利活動法人府中ノアンテナ(広島県府中市)

山並みの景色を「切り取り」届ける、額縁工房の家具作り

※登壇事業者の詳細は以下の別紙をご参照ください。

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<6月17日(火) 開催> Co-Design Challenge Pitch #2 について  

次回は6月17日(火)に開催いたします。ナビゲーターには、服部滋樹氏と内田友紀氏を招き、登壇事業者にはエイチ・ツー・オー リテイリング株式会社、株式会社金森合金、甲子化学工業株式会社を予定しております。是非、「Co-Design Challenge Pitch #2」にもお越し下さい。

■日時      2025年6月17日(火) 開演:13時30分 終演:16時

■場所      大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジTEステージ棟

■ナビゲーター 服部滋樹氏  内田友紀氏

服部滋樹

graf 代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。1993年から活動を始め、異業種が集まる環境と特性を生かした新たな活動領域を開拓している。grafでは代表を務めるほか、コンセプターとしてデザインやディレクションを行い、あらゆるデザイン領域の視点から社会を翻訳するようなアウトプットを行う。

内田友紀

早稲田大学で建築を学び、イタリア・フェラーラ大学院にてSustainable City Designを修め、ヨーロッパ・南米・東南アジアなどで地域計画プロジェクトに参画。株式会社リ・パブリックの創業に加わり、2020年より都市・地域のリサーチ・デザインスタジオYET/futuramaを並行して活動。

■登壇事業者  エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社

        株式会社金森合金

        甲子化学工業株式会社

■主催     公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

■公式サイト  https://www.expo2025.or.jp/co-creation-index/co-design-challenge/

※万博会場への入場には 大阪・関西万博のチケットが必要です。

 大阪・関西万博 チケットインフォメーション | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト

 https://www.expo2025.or.jp/tickets-index/

 本イベント自体への参加は無料です。(予約不要・入退場自由)

6/17 Co-Design Challenge Pitch #2 登壇事業者

想うベンチ ー いのちの循環 ー

代表企業・団体:エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社(大阪府大阪市)

協力企業・団体:一般財団法人大阪府みどり公社、株式会社スークカンパニー

大阪産木材を使い、地域住民と製作したベンチを設置。地域住民の方々にその木がどこで育ち誰が携わりどのようにベンチになるのかを知ってもらうことにより、地域や自然そして万博がより身近なものとなり愛着が湧くことを目指します。

紹介動画:https://youtu.be/m63Bb5FEcI8

これからの「サインスタンド」をデザインする~災害廃材を活用した循環型ものづくり~

代表企業・団体:株式会社金森合金(石川県金沢市)

2024年1月1日に発生した能登半島地震の災害廃材(金属)を回収し、記憶とともに素材として生かし、次の未来につながるようなサインスタンドを制作。また、鋳物工場の見学や、テーブルウエア等の砂型製作を体験するなど、循環型ものづくりを伝えるための企画を実施します。

紹介動画:https://youtu.be/5OcIyA9L45E

ごみから作るサステナブルなヘルメット

代表企業・団体:甲子化学工業株式会社(大阪府大阪市)

廃棄プラスチックと廃棄ホタテ貝殻等を混ぜ合わせたリサイクル素材で、資源循環を伝えるデザインヘルメットを制作します。活用の新しい形として、世界にアップサイクルの輪を広げることを目指します。

紹介動画:https://youtu.be/xsfDa9doThw

ホタテの廃棄貝殻から生まれたベンチ「HOTABENCH | ホタベンチ」

代表企業・団体:甲子化学工業株式会社(大阪府大阪市)

協力企業・団体:清水建設株式会社

廃棄されたホタテ貝殻を活用したサステナブルなベンチ「HOTABENCH」を貸与します。また、「HOTABENCH」の製造プロセスの学習及び、その一部を体験できるツアーを実施します。

紹介動画: https://youtu.be/AJG4L9g0ghM

今後の予定

第2回 6月17日  ナビゲーター:服部滋樹氏 内田友紀氏 

         登壇予定事業:エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 株式会社金森合金

                甲子化学工業株式会社

第3回 7月29日   ナビゲーター:齋藤精一氏 山出淳也氏

第4回 9月4日    ナビゲーター:倉本仁氏  小西利行氏

第5回 9月22日   ナビゲーター:齋藤精一氏

※3回目以降の登壇事業者は、現在調整中となります。

「Co-Design Challenge」プログラムとは

Co-Design Challengeプログラムは、大阪・関西万博を契機に、様々な「これからの日本のくらし(まち)」 を改めて考え、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノを万博で実現するプロジェクトです。

万博という機会を活用し、プロダクトやサービスを新たに開発することを通じて、現在の社会課題の解決や万博が目指す未来社会の実現を進めます。

 Co-Design Challengeプログラムは、当協会が設置したデザイン視点から大阪・関西万博で実装すべき未来社会の姿を検討する委員会「Expo Outcome Design Committee」監修のもと生まれたプログラムです。

本プログラムは、計2回、募集を行いました。第1弾募集(Co-Design Challenge 2023)はモノの開発、第2弾募集(Co-Design Challenge 2024)は、モノの開発に加え、新たに「地域誘客」の観点でそれらのモノが作られた「日本全国それぞれの土地」の生産現場や工房を公開し、来訪者にものづくりを体感してもらう取組(オープンファクトリー)を募集。

4月13日に開幕した大阪・関西万博の会場に22のプロジェクトを通じて制作されたプロダクトが実装され、実際に来場者が触れることができます。さらに本イベント「デザイン × ものづくりで日本の新しい価値を世界に広げる」では、その背景にある社会課題へのアプローチや、プロジェクトに込めた想い、未来へのビジョンについて、事業者自らの言葉で語り合う場を設けました。

また、フューチャーライフヴィレッジ内に、CDCを紹介する2台の展示台を設置しています。設置は万博閉幕までを予定しています(※一時展示を行っていない場合もございます)。

CDCではこれらの取組を通じて、万博が目指す未来社会の実現を進めます。

2025年⼤阪・関⻄万博

4月13日から10月13日まで開催中の2025年大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げています。「いのちを救う」「いのちに力を与える」「いのちをつなぐ」という3つのサブテーマのもと、世界各国が多様な提案を行い、未来社会に向けた取り組みが進められています。人工知能=AI、エネルギー、交通、都市開発などの分野における最新技術やアイデアが披露され、すべての人にとって持続可能な社会を、というコンセプトを中⼼に据えています。

また、大阪・夢洲からすべての人にとってよりよい未来を創造するための文化的理解と多様性の重要性を世界に発信し続けています。

大阪・関西万博会場 設置予定場所

※フューチャーライフヴィレッジは、会場西側(フューチャーライフゾーン)に位置しています。

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会社概要

URL
https://www.expo2025.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
大阪府大阪市住之江区南港北一丁目14番16号
電話番号
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代表者名
十倉雅和
上場
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資本金
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設立
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