【年間購買力約12.5兆円】欧州アクセシブルツーリズムは巨大市場へ。商業化に向けた官民の取り組みが進む欧州、日本は受入体制整備に課題

株式会社ふらっとけあ、ジェノバ国際会議でEUの最新事例を調査。ENAT年次総会では日本の現状と課題についてのプレゼンテーションを実施

株式会社ふらっとけあ

株式会社ふらっとけあ(本社:神奈川県川崎市川崎区、代表取締役:鈴木颯斗、以下「当社」)は、2026年6月18日にイタリア・ジェノバのAquarium of Genoa(ジェノバ水族館)で開催された国際会議「Inclusive and Smart Tourism Destinations: Strategies for innovation」に参加しました。

また、6月19日には、ENATの年次総会に招待され、日本におけるアクセシブルツーリズムの現状と当社の取り組みについてスピーチを行いました。

ENATとは

ENAT(European Network for Accessible Tourism)は、アクセシブルツーリズムの推進を目的とする欧州発の国際ネットワークです。観光事業者、行政、研究機関、専門家、関連団体などが参加し、すべての人にとって利用しやすい観光環境の実現に向けて、知見共有、ネットワーキングなどを行っています。(*1)

当社は2026年4月、ENATのアソシエイトメンバーとして加入しました。

参加した2つのプログラムについて

1. 国際会議「Inclusive and Smart Tourism Destinations」への参加

カンファレンス会場の様子

2026年6月18日に開催された「Inclusive and Smart Tourism Destinations: Strategies for innovation」は、アクセシブルでスマートな観光地づくりをテーマとする国際会議です。会場はイタリア・ジェノバのAquarium of Genoa(ジェノバ水族館)とオンラインのハイブリッド形式の国際会議として実施されました。(*2)

同カンファレンスは、観光地のアクセシビリティ整備の事例を共有する場として実施されました。

2. ENAT年次総会での登壇

弊社COOによる登壇の様子

2026年6月19日には、ENATの年次総会が開催されました。年次総会は、ENATに関係するメンバーや関係者が集まり、組織の活動や今後の方向性、各国・各地域におけるアクセシブルツーリズムの取り組みを共有する場です。

当社は同年次総会に招待され、日本におけるアクセシブルツーリズムの現状と、当社が取り組むアクセシビリティ情報整備についてスピーチを行いました。スピーチの概要は、後述の「ENAT年次総会で当社が話した内容」にて紹介しています。

国際会議で示された欧州アクセシブルツーリズムの4つの潮流

今回の国際会議では、欧州のアクセシブルツーリズムについて様々な事例が共有されました。

国際会議での事例紹介を横断的に見ると、日本とは異なるヨーロッパならではのアクセシブルツーリズムに対する考え方が普及していることがわかりました。

以下では、欧州のアクセシブルツーリズムにおいては一般化している考え方について紹介いたします。

1. アクセシブルツーリズムへの投資は特定の旅行者だけでなく地域全体に価値を生むという、「Tourism for All」の考え方が浸透

図:自社作成

欧州では、「Tourism for All (ツーリズム・フォー・オール)」という考え方のもと、アクセシビリティは一部の人だけのための特別対応ではなく、より多くの旅行者が観光を楽しみ、地域住民にとっても暮らしやすい環境をつくるための基盤として扱われています。

たとえば、今回の国際会議に登壇していたフィンランド・タンペレでは、アクセシブルビーチや自然トレイル、国立公園へのアクセス改善など、アクセシビリティ向上に取り組んでいます。欧州委員会の紹介でも、タンペレは「訪問者と地域住民の双方」がバリアなく自然を体験できる都市として位置づけられています。(*3)

また、リュブリャナでは、公共交通や自転車シェア、駐車、城へのケーブルカーを統合するURBANAカードやアプリに加え、高齢者や障害のある方が市中心部を無料で移動できる電動車、障害のある方も利用できる無排出の電動トレイン、130か所以上の車椅子対応スポットを案内するアプリなどが整備されています。(*4)

段差の少ない動線の整備、移動しやすい交通環境などのインフラ整備は、車椅子利用者だけでなく、高齢者、子ども連れの家族、地域で暮らす人々の日常的な移動にも役立ちます。

また、観光客向けに整理したアクセシビリティ情報やマップは、旅行前の判断材料になるだけでなく、地域住民が外出先や施設の利用可否を調べる際にも活用され得るものです。

ヨーロッパの先進的な観光地では、アクセシビリティ投資は「一部の旅行者のための追加対応」ではなく、地域のステークホルダー全員に価値を生む基盤として扱われています。

2. 巨大なアクセシブル市場は、地域経済を動かす投資領域へ

図:自社作成

WHOは、世界で推計13億人が重大な障害を経験しており、これは世界人口の16%、すなわち約6人に1人に相当すると公表しています。(*5)

欧州委員会は障害のある方や高齢者にとっては、交通、教育、雇用市場へのアクセス障壁の低減に加え、アクセシビリティ専門性が必要な雇用の増加にもつながるとしています。(*6)

たとえば、宿泊施設であれば、客室や浴室の詳細な情報を開示することで、これまで予約に不安を感じていた旅行者から選ばれる可能性が高まります。

観光地であれば、アクセシブルな動線や体験を整理して発信することで、これまで来訪につながりにくかった旅行者層を獲得することが可能になり、新しい地域の魅力として訴求することが可能になります。

会議にてスピーチを行ったイタリアピエモンテ州は、欧州におけるアクセシブルツーリズムの潜在市場が約1億3,000万人、年間購買力を680億ユーロ超(約12.5兆円)であるとの試算に基づき、「責任ある持続可能な観光」における重要領域としてアクセシブルツーリズムの環境整備に投資を行っています。(*7)

ヨーロッパにおいては、アクセシブルツーリズムは「公共の福祉として行うべきもの」に限定せず、「アクセシブルツーリズムという巨大市場でビジネスチャンスを獲得するための投資」として理解されています。

3. インフラ整備だけでなく、情報発信による集客まで視野に入れた取り組みが一般的に

図:自社作成

欧州で強く意識されているのは、整備したアクセシビリティインフラの情報を旅行者に届く形で整理、宣伝し、集客につなげていくことです。

アクセシブルな設備が存在していても、その情報が見つからない、予約導線とつながっていない状態では、旅行者の意思決定にはつながりません。

今回の国際会議に登壇していたカタルーニャでは、カタルーニャの公式アクセシブル観光サイト「Catalonia, tourism for everyone」を公開し、行き先、宿泊、体験、交通、サービス、旅行会社などのカテゴリーでアクセシブル観光情報を整理しています。

さらに、公式観光サイトではアクセシブルルートやアクセシブルホテルもテーマ別に掲載されています。(8)(9)(*10)

ヨーロッパではアクセシブルツーリズムをビジネスとして成立させるために、欧州ではインフラ整備だけでなく、整備された内容を世界へ伝えるための情報発信、プロモーション、データベース化、観光DXまで含めて取り組むことが、標準になりつつあります。

4. 整備後のトレーニング、認証、観測など、継続的な投資が重視

欧州では、人材育成、情報更新、品質確認への継続的な投資が必要であるという考え方のもと、アクセシブルツーリズムの実現に向けた継続的な投資も重視されています。

具体的には、現場スタッフや監査員へのトレーニング、第三者基準に基づく認証、観光地全体の状況を把握する観測機能、情報の更新体制などです。

たとえば、今回の国際会議に登壇していたポルトガルでは、NP ISO 21902:2022に基づくアクセシブルツーリズム認証の取り組みが進められ、技術文書、認証、監査員向け研修などを通じて、観光セクター全体で一貫したアクセシビリティ品質を確保しようとしていることが紹介されています。(11)(12)

また、ピエモンテ州の「Turismabile」の取り組みにおいては、Regione Piemonteの観光部門が資金提供し、CPD(Consulta per le Persone in Difficoltà)が実施する形で、2007年からピエモンテ州の観光アクセシビリティ改善と、同地域を「destination for all」としてプロモーションする取り組みを継続して行っています。

同プロジェクトでは、観光事業者向けのアクセシビリティ、受入、インクルーシブな観光プロモーションに関する研修・啓発、観光イベントや観光資源のアクセシビリティ調査・評価、施設や観光地ごとの改善計画の作成、専門のインバウンド旅行会社と連携した「for All」型観光商品の企画・プロモーションを行っています。(*7)

さらに、Turismabileの「アクセシビリティ・チェーン」では、観光事業者が自施設・サービスのアクセシビリティ情報をフォームで入力し、アクセシビリティと利用可能性に関する詳細情報を整理できる仕組みを提供しています。入力された情報は自社のコミュニケーションチャネルにも掲載でき、旅行者への正確な情報提供につなげられると説明されています。(*13)

また、AccessibleEUは、建築環境、交通、情報通信技術などのアクセシビリティを扱う欧州のリソースセンターとして、イベント、ワークショップ、トレーニング、オンラインキャンパスを通じた知見共有と人材育成を進めています。アクセシビリティを実務として根付かせるために、設備や情報整備だけでなく、関係者が学び続ける仕組みが整えられています。(*14)

上記事例からもわかるとおり、ヨーロッパでは、アクセシブルツーリズムの定着に向けて、トレーニング、認証、観測、情報更新への継続的な投資が行われています。

ENAT年次総会で当社が話した内容

ENAT年次総会でのスピーチでは、日本のバリアフリーの現状と、今後の課題について発表しました。日本には、交通インフラ、歴史・文化資源、観光施設のアクセシブルなインフラ、地域の受入体制など、世界に発信できるバリアフリーの土壌があります。

また、歴史的建造物や寺社仏閣、伝統文化体験、地域観光など、日本ならではの観光資源の中にも、車椅子利用者を含む多様な旅行者が楽しめる可能性のあるコンテンツは数多く存在します。

一方で、アクセシブル旅行では、行けるかどうかを判断するために必要な情報の粒度が、一般的な観光情報より細かくなり、旅行者や旅行会社が比較・検討・手配を行うには、単に「バリアフリー対応」と記載されているだけでは不十分です。

情報が整理されていれば、日本の観光をより販売しやすくなり、予約後の手配や現地対応も正確になります。反対に、情報が施設ごとに分散していたり、確認に時間がかかったりすると、販売機会を逃す要因になり得ます。

こうした課題に対し、宿泊、移動、必要な支援体制に関するアクセシビリティ情報を、自社独自で開発したアセスメント項目を活用して収集・整理し、旅行者・観光事業者・自治体・海外旅行会社が活用できる形で発信していく弊社の取り組みについて紹介しました。

今後の展望

当社は、ヨーロッパで定着している「ツーリズム・フォー・オール」の考え方に基づき、アクセシビリティ情報の公開、トレーニング、認証、継続的な情報更新という流れを踏まえ、日本国内におけるアクセシブルツーリズムの推進をさらに強化してまいります。

具体的には、宿泊施設、観光施設、交通機関、地域資源に関するアクセシビリティ情報の収集・整理を進め、自治体や観光事業者と連携しながら、誰もが事前に情報を確認し、安心して旅行を計画できる環境づくりを推進します。

特定の人だけのための特別対応ではなく、観光地の品質を高め、地域の新しい需要を生み、誰もが旅行を楽しめる社会をつくるための産業インフラを構築するために、欧州で蓄積されている知見を日本の現場に適切に取り入れ、アクセシビリティ情報の整備と現地運用を両立させることで、訪日旅行の新しい選択肢を広げてまいります。

株式会社ふらっとけあについて

株式会社ふらっとけあは、「日常に役割と刺激をデザインする」というミッションのもと、アクセシブルツーリズム領域におけるサービス提供業者・旅行サービス手配業者として、旅行機会の創出に取り組んでいます。

当社は、年齢や障がい、身体状況を理由に旅行を諦める人を減らし、日本を含む世界中の人々に、より開かれた旅行機会を届けることを目指しています。日本国内の宿泊施設、観光施設、交通、地域資源に関するアクセシビリティ情報を収集・整理し、旅行者が事前に必要な情報へアクセスできる環境づくりを進めています。

会社概要

会社名:株式会社ふらっとけあ

所在地:〒210-0834 神奈川県川崎市川崎区大島2-2-6

代表者:代表取締役 鈴木颯斗

設立:2025年10月28日

事業内容:バリアフリーのコンサルティング事業、バリアフリー旅行専用のサービス手配事業

許認可:神奈川県知事登録旅行サービス手配業第161号

URL:https://flatcare.jp/

メディア・観光事業者の皆さまへ

当社では、今回の国際会議で確認した欧州アクセシブルツーリズムの最新動向や、訪日アクセシブル旅行に関する当社の取り組みについて、担当者よりメディア関係者の皆さま向けにご説明することが可能です。ご希望に応じて、当社の事業概要や関連資料を含むプレスキットもご提供いたします。

また、ホテル、観光施設、旅行会社、自治体・DMOの皆さまに対しては、アクセシビリティ情報の整理・発信を通じて、旅行者の不安を減らし、予約前の判断、集客、正確な手配、予約後の対応につなげる支援を行ってまいります。

欧州のトレンドや、訪日アクセシブル旅行における情報整備・発信にご関心のあるメディア関係者、観光事業者、旅行会社、自治体・DMOの皆さまは、ぜひ下記よりお問い合わせください。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社ふらっとけあ 広報担当

flatcare2025@gmail.com

注釈・出典

(*1) ENAT Mission Statement:https://www.accessibletourism.org/?i=enat.en.mission_statement

(*2) International Conference “Inclusive and Smart Tourism Destinations: Strategies for innovation” 公式プログラム:https://files.supersite.aruba.it/media/36892_a4f53b296d1b9f3766fe59727410cc987dc13da7.pdf/o/conference_enat-aeu-aism_genoa_18-6_programme.pdf

(*3) Tampere 2026 city profile - European Commission:https://smart-tourism-capital.ec.europa.eu/winners-and-finalists/cities-2026/tampere-2026-european-capital-smart-tourism_en

(*4) Ljubljana - Shortlisted in the 2022 competition - European Commission:https://smart-tourism-capital.ec.europa.eu/ljubljana-shortlisted-2022-competition_en

(*5) WHO Fact Sheet “Disability and health”:https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/disability-and-health

(*6) European Accessibility Act - European Commission:https://commission.europa.eu/strategy-and-policy/policies/justice-and-fundamental-rights/disability/european-accessibility-act-eaa_en

(*7) Turismabile Chi siamo:https://www.turismabile.it/chi-siamo-3/

(*8) Catalonia, tourism for everyone:https://turismeperatothom.catalunya.com/en/

(*9) Catalonia accessible routes:https://www.catalunya.com/en/continguts/article/accessible-routes-8-1-521676

(*10) Catalonia accessible hotels:https://www.catalunya.com/en/continguts/article/accessible-hotels-comfort-for-everyone-26-1-201

(*11) Portugal accessible tourism certification news - ENAT:https://www.accessibletourism.org/?i=enat.en.news.2471

(*12) ISO 21902:2021 Tourism and related services - Accessible tourism for all:https://www.iso.org/standard/72126.html

(*13) Turismabile Home:https://www.turismabile.it/

(*14) AccessibleEU - European Commission:https://accessible-eu-centre.ec.europa.eu/index_en

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会社概要

株式会社ふらっとけあ

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URL
https://flatcare.jp/
業種
サービス業
本社所在地
神奈川県川崎市川崎区大島2-2-6
電話番号
080-9509-3453
代表者名
鈴木颯斗
上場
未上場
資本金
50万円
設立
2025年10月