自閉スペクトラム症に対する次世代FMT法の有用性を国際学術誌で発表
抗菌薬や腸管洗浄不要、微量の糞便微生物叢を用いた次世代FMT法によって高い有効性と安全性を実現
シンバイオシス株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役:田中三紀子)は、自閉スペクトラム症(ASD)児を対象とした、新たに開発した次世代FMT(NanoGAS®-FMT)法の有効性と安全性に関する特定臨床研究に関する論文が、国際学術誌『Frontiers in Pediatrics』に、近日中に掲載されることになりましたことをお知らせいたします。
弊社は、(一財)腸内フローラ移植臨床研究会に所属する医師ら、および大阪大学・片山泰一教授らとの共同研究により、NanoGAS®-FMT法がASD児の症状を統計学的に有意に約30%改善し、その効果が2年間持続することを明らかにしました(注1)。また、ASDの中核症状である「社会的コミュニケーションや社会的相互関係における持続的な欠陥」、および「興味の限局や強いこだわり」、さらに
「感覚処理障害」のいずれの症状に対しても、有意に約30%の改善効果が認められました。このことは、NanoGAS®-FMT法の効果がASDの幅広い中核症状に対して、偏りなく一様に及ぶことを示しています。
また、この効果は、ASD児に高頻度にみられる「胃腸障害」および「うつ症状 • 不安症状」へも一様に
広がり、その効果の大きさも上記のASD中核症状に対する場合とほぼ同等の値を示しました。
さらに、本臨床研究においては、有害事象は軽度のものも含めて全く認められず、本FMT法が安全性の
高い方法であることが明らかになりました。
このように、NanoGAS®-FMT法は、治療法が確立されていないASDの方々に対して、一筋の光明となることが期待されています。
『Frontiers in Pediatrics』に掲載予定の論文はこちら
注1:特定臨床研究終了後も追跡し、効果が2年間持続することを明らかにしています。
FMT(Fecal Microbiota Transplantation)とは
FMT(Fecal Microbiota Transplantation)は、学術的には「糞便微生物叢移植」、一般には「腸内フローラ移植」や「腸内細菌叢移植」とも呼ばれる治療法です。
私たちの腸内には100兆個以上の細菌が共生しており、その集合体は「腸内微生物叢」と呼ばれます。その多様性が色とりどりの花が咲き誇る庭園に見えることから、「腸内フローラ」とも表現されます。この微生物叢は、免疫機能や消化・吸収、さらには心の安定にも深く関わっていることが明らかになってきました。
近年、バランスの崩れた腸内環境をFMTによって再構築するアプローチが、従来の薬物療法では改善が難しかった疾患に対する「新しい治療法」として、国内外で注目されています。
この微生物叢の破綻(ディスバイオーシス)をFMTによって正常化させる手法は、既存の治療法に抵抗性を示す難治性疾患への新たな選択肢として期待されていますが、従来のFMT法では、FMT施行前に抗菌薬投与や腸管洗浄が必要であり、これによる有害事象の発生などFMTに伴う患者様の身体的・精神的な負担が大きいという難点があります。
今こそ、緩和な条件下でFMTを完結できる新たな方法が求められています。
弊社が開発した次世代FMT法である「水素ナノバブル水を用いるNanoGAS®-FMT法」は、抗菌薬や腸管洗浄剤などを使用せずに、ごく微量の糞便微生物叢を短時間で直腸投与することによって、FMTをより安全、かつ効果的に完結できる革新的な方法です。
一般的な腸内フローラ移植と「NanoGAS®-FMT」法の違い
従来の腸内フローラ移植(FMT)法と、弊社が提供する「NanoGAS®-FMT法」とは決定的な相違があります。
● 糞便微生物叢の調製液
・従来法:生理食塩水
・NanoGAS®-FMT法:水素NanoGAS®水(注2)
● FMT施行前の処置
・従来法:抗菌薬投与や腸管洗浄が必要
・NanoGAS®-FMT法:不要
● 投与方法
・従来法:多くの場合、大腸内視鏡による投与
・NanoGAS®-FMT法:細いゴム管による直腸投与(投与時間:数分)
注2:水素NanoGAS®水は、シンバイオシスの独自の技術で作った水素ナノバブル水です。

自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人関係の困難さや限定された興味を特徴とする発達障害です 。近年、腸内環境が脳に影響を与える「脳腸相関」が注目されており、ASD児の多くが深刻な便秘や下痢などの消化管症状を抱えていることが明らかになっています 。
「自閉スペクトラム症に対するNanoGAS®-FMT法の安全性と有効性に関する特定臨床研究」の評価指標と2年間の追跡結果
本臨床研究では、以下の指標を用いて、NanoGAS®-FMT法 移植の効果を多角的に検証しました。
その結果、本FMT施行後30週時点における有意な症状改善効果が2年後まで持続することが明らかになりました。
主要評価項目
SRS-2(注3)(対人応答性尺度:ASD症状の評価系)
日常生活での行動観察から自閉スペクトラム症(ASD)と関連する症状を評価する検査法です。
NanoGAS®-FMT法は、下図のとおり、ASD児の症状を有意に大きく軽減することが明らかになりました。即ち、FMT施行前の研究対象者30名のSRS-2による平均重症度(SRS-2合計粗点)が101.6に対して、30週後には、その値は72.4にまで減少しました。ASD重症度の低減率は約30%であり、この効果が2年後まで維持されることが明らかになりました。
注3:Social Responsiveness Scale Second Edition

下図は、FMT施行前およびFMT施行後30週、1年および2年における、重症度別の人数の変化を示しました。
FMT施行前においては、研究対象者30名のうち、28名が重症域、1名が中等度域、および1名が正常域でした。FMT施行後30週の結果が2年後においても持続することが明らかになりました。

副次評価項目
SSP(感覚プロファイル短縮版:感覚処理障害の評価系)
SSPはASD児に多く見られる「感覚処理障害(感覚過敏や鈍麻など)」を評価する検査法です。
ASDをもつ人たちの多くは、音や光、触覚、味や匂いなどに対する感じ方が他の人と異なることが知られています。
聴覚過敏:普通の人には気にならない音が非常に大きく不快に感じる。
視覚過敏:強い光や特定の色に対して過敏に反応し、眩しさを強く感じる。
触覚過敏:肌に触れるもの(衣服、物など)が不快で、特定の素材や質感に対して特に敏感になる。
味覚・嗅覚過敏:特定の食べ物やにおいに対して過剰に敏感で、強烈な不快感を覚える。
今回の臨床研究においては、下図の通り、NanoGAS®-FMT法によって、ASD児の感覚処理障害が約30%軽減されることが明らかになりました。

GSRS(消化器症状評価尺度)およびBS scale(便の性状評価)
GSRSおよびBS Scaleは消化器症状を評価する検査法です。
下図のとおり、NanoGAS®-FMT法によって、ASD児の胃腸障害の重症度が約27%、大幅に軽減されることが明らかになりました。また、BS scaleによっても、30名のASD児のうち、26名(87%)が理想便に変わり、消化器症状が大きく改善されることが明らかになりました。


PHQ-4(鬱(うつ)症状・不安症状の評価系)
PHQ-4はASD児に多く見られる鬱(うつ)症状・不安症状を評価する検査法です。
下図に、NanoGAS®-FMT法のPHQ-4による鬱(うつ)症状・不安症状に対する効果を示しました。
その結果、本FMT法が鬱(うつ)症状・不安症状に対して有意に低減効果を示し、その低減率は約28%であり、SRS-2によるASD重症度の低減率(約29%)とほぼ同等であることが明らかになりました。
さらに解析を進め、本FMT法が鬱(うつ)症状・不安症状のそれぞれに対して、約26%及び約31%の低減効果を示すことが確認されました。
これらの結果により、本FMT法の効果は、ASDの中核症状のみならず、周辺症状にまで広く及ぶことが明らかになりました。

安全性と低侵襲性について
本臨床研究の期間中に、軽微なものも含めて、有害事象は全く確認されませんでした。FMT施行は数分で終了するため、感覚過敏を持つASDのお子様でも、回数を重ねるごとに抵抗なく受け入れることができる、負担の少ない方法であることが明らかになりました。
未来への展望

シンバイオシス株式会社
代表取締役 田中 三紀子
「人智を尽くして天命を待つ」との信念で歩んできた道が、国際論文として掲載される運びとなり、大きな結実を迎えようとしています。これは単なる通過点ではなく、根本的な治療法が確立されていないASDにおいて、ご本人とご家族が未来を切り拓くための「確かな選択肢」を届ける一歩です。 臨床研究に勇気を持って協力してくださったご家族の皆様、最前線で支えてくださった顧問や臨床医の先生方、そして支援してくださったすべての皆様に、心より深く感謝申し上げます。
シンバイオシス株式会社は、本研究で得た科学的根拠を基に、今後も有効性と安全性の検討をさらに深化させます。
今回の取り組みを多くの方に知っていただくため、大阪と東京で論文発表会を開催いたします。新しい医療の未来を共に展望できることを、心より楽しみにしております。
詳しくはこちらからご確認ください。
科学的実証がもたらす希望と確信
― NanoGAS®-FMT法の可能性を信じる医療関係者と当事者家族の想い

医療法人仁善会 田中クリニック
理事長・院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
代表理事 田中 善 氏
この度、特定臨床研究として行った自閉スペクトラム症(ASD)に対する次世代糞便微生物移植(NanoGAS®FMT)の有効性、安全性の論文が国際医学誌(Frontiers in Pediatrics)に掲載されることになりました。今後、腸内フローラ移植臨床研究会として、NanoGAS®FMTによる他の疾患への有効性、安全性を検証するための臨床、研究を進めていきたいと考えています。

城谷バイオウェルネスクリニック 院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
専務理事 城谷 昌彦 氏
ASD児ご本人やご家族の切実な思いを背景に、2023年より取り組んできたASD児に対するNanoGAS®-FMTの特定臨床研究が国際誌に掲載されることになりました。特にこの手法への想いは、私自身が持病と向き合った経験が原点です。身体への負担を最小限に抑えた日本発の技術が、世界に認められた意義は極めて大きく、専務理事として今後も安全性を最優先に、臨床と研究の両輪で邁進してまいります。

医療法人喜和会 喜多村クリニック
理事長・院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
理事 喜多村 邦弘 氏
2018年、当時7歳の女児に初めて本手法を施行してから8年、ついに国際論文の採択(Accept)という大きな結実を迎えました。臨床現場では低侵襲性が最優先です。抗菌薬や洗腸を要さず短時間で完結する本手法は、多感な時期のお子様やご家族の大きな救いとなります。有害事象ゼロの事実は、FMTを身近な医療へ押し上げる大きな一歩です。

医療法人 ふたまた会
ナチュラルアートクリニック 院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
理事 御川 安仁 氏
『腸内細菌‐腸‐脳軸』という概念を、実際の臨床データとして実証できたことの意義は計り知れません。精神症状のみならず、消化器症状(GSRS)感覚障害の大幅な改善が見られ2年後もその効果が継続出来ていたことは、FMTが全身の恒常性を整える根本的なアプローチであることを示唆しています。次世代の医療を担う選択肢として期待しています。

医療法人 はるなクリニック 副院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
春名 令子 氏
感覚過敏(SSP)による日常生活の困難さは、当事者のお子様のみならず、ご家族全体の負担となっていました。今回の研究で、五感の過敏性が約30%軽減されたことは、学校生活や社会参加の可能性を広げる福音です。薬の投与もなく処置の負担も少ないこの方法が、多くの悩める親御さんの希望となることを願っています。

医療法人悠亜会
かわい内科クリニック 理事長・院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
理事 川井 勇一 氏
自閉スペクトラム症の中核症状にこれほど一様、かつ長期的に働きかける手法は稀有です。NanoGAS®-FMTが国際誌で評価される運びとなったことは、我々臨床医にとっても大きな自信となりました。侵襲性が低く、日常の延長で取り組めるこの治療が、多くの家族の未来を明るく照らすと確信しています。

こいでクリニック
院長 小出 誠司 氏
私は精神科医として長年自閉スペクトラム症の診療に携わっておりますが、決定的な治療法はいまだ確立されていないのが現状です。抗菌薬などの事前投与の必要もなく、患者さんの負担の少ない方法で投与可能な本糞便微生物叢移植法が有力な選択肢となることを期待しております。

医療法人医新会 よろずクリニック
理事長・院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
理事 萬 憲彰 氏
本研究で安全性と長期有効性が示されたNanoGAS®-FMT法は、腸内細菌‐腸‐脳軸を基盤とする新たな医療として、ASDのみならず消化器疾患や神経変性疾患など多様な領域への可能性を秘めています 。私が注力する癌治療への併用など、全身の恒常性を整える本手法が次世代医療の一助となり、多くの患者さんの希望となるよう尽力してまいります 。

医療法人 LAGOM ライフクリニック蓼科
理事長・院長
一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
理事 麻植 ホルム 正之 氏
現場の積み重ねが、国際的なエビデンスという形での掲載決定を迎え、結実しようとしていることに、深い感銘を受けています。設立以来、私たちが追求してきた『患者様第一の移植療法』が、ついに世界の舞台へ。今後は理事として、本研究で得られた知見を共有し、臨床の質をさらに高めることに注力します。FMTが日本の次世代医療の柱となる未来を目指し、共に歩み続けます。

大阪大学大学院・連合小児発達学研究科
研究科長
分子生物遺伝学研究領域 教授
附属子どものこころの分子統御機構研究センター
センター長 片山 泰一 氏
腸内細菌叢と脳機能の関連は近年大きく注目されています。
本研究は、その理論を臨床の現場で検証し、安全性と有効性の可能性を示しています。
神経発達症治療の新しい方向性を提示する成果であり、今後はより厳密な試験で科学的妥当性を確立していきます。

一般社団法人チャレンジドLIFE
代表 畠中 直美さん
自閉症の息子が9歳で腸内フローラ移植を受けてから、家族の日常は大きく変わりました。以前は常に緊張し、カメラを向けると逃げてしまう子でしたが、移植後は「写真を撮って」と自分から言えるように。ゆるい便しか出ずトイレも嫌がっていましたが、きれいな便が出るようになり笑顔も増えました。生活の土台が整い、いろいろなことに挑戦できるようになりました。本当に感謝しています。

アイステップ名古屋
代表 小島 育子さん
自閉症による強い偏食と慢性便秘に長年悩み、薬に頼る日々に不安を抱えていました。10歳で腸内フローラ移植を受け、現在13歳。今では自然に快便となり、野菜にも挑戦できるように。流暢な会話はできませんが、言葉が増え、自分の気持ちを伝えようとする姿に胸が熱くなります。あの時の決断は間違いではなかったと心から感じています。
南條 美樹さん
不安の強い息子が14歳で腸内フローラ移植を受けました。痛みもなく短時間で終わるため安心して続けられ、「腸内フローラが応援してくれている」と前向きに高校受験へ挑戦。今では高校生活にも意欲的に取り組み、親として成長を感じられる毎日が励みになっています。
一般財団法人
腸内フローラ移植臨床研究会 評議員
シンバイオシス株式会社
上席研究員 清水 真 氏
2007年、重度のアトピー性皮膚炎患者様への施行が最初の一例でした 。2017年の研究会設立以来、ナノバブルを用いたFMT法で症例を組織的に積み上げ 、ついに特定臨床研究を経て、国際誌への論文採択(Accept)という形で、科学的実証の道筋が整いました。腸内細菌が秘める無限の可能性を科学の力で解き明かし、日本発の技術を世界中へ届けるべく、さらなる挑戦を続けてまいります。
参考:
腸内フローラ移植臨床研究会:https://fmt-japan.org/
jRCT(臨床研究等提出・公開システム):https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs031230041
NanoGASⓇサービスサイト:https://fmt.sym-biosis.co.jp/cases/asd
企業情報
シンバイオシス株式会社
所在地:大阪府大阪市都島区
代表者:代表取締役 田中 三紀子
事業内容:NanoGAS®(ナノバブル)技術の研究開発、製造、および医療・産業分野への応用支援
公式サイト: https://sym-biosis.co.jp/
【本件に関するお問い合わせ先】 シンバイオシス株式会社 広報担当 Email: info@shinbiosis.com
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