「採血業務なし」が求人の売りになる時代にーー採血手技を"データ"で変える[採血VR]が「中小企業優秀新技術・新製品賞」奨励賞を受賞
~「カンとコツ」に頼る指導から、ミリ・度単位の客観データによる分析へ。看護師の離職・人材流出という構造的課題に挑む~

株式会社セカンド・サイド(東京都世田谷区、代表取締役:山下 利明)が開発・販売するデータ駆動型採血訓練ツール「採血VR」が、公益財団法人りそな中小企業振興財団および日刊工業新聞社が主催する「第38回 中小企業優秀新技術・新製品賞」において、奨励賞を受賞しました(後援:経済産業省 中小企業庁/中小企業基盤整備機構)。

受賞製品:データ駆動型採血訓練ツール[採血VR]
賞名:第38回 中小企業優秀新技術・新製品賞 奨励賞
主催:公益財団法人 りそな中小企業振興財団/日刊工業新聞社
後援:経済産業省 中小企業庁/中小企業基盤整備機構
公式サイト:
第38回 中小企業優秀新技術・新製品賞
受賞技術・製品一覧
■ 背景:医療現場に潜む「負の連鎖」
看護師転職サイトで「採血無し」が特集やキーワードとなるほど、採血への不安による離職・人材流出は、いまや医療機関全体の構造的な問題となっています。配属される新人の3〜4割が「採血ができない」「怖い」「やりたくない」と感じているとされ、その不安は離職や配置転換の直接的な原因となっています。
さらに、不安を抱えた新人へのOJT(指導)コストがベテランスタッフに集中し、本来の専門業務を圧迫。疲弊した指導者の離職が教育の質をさらに低下させるという悪循環──「負の連鎖」が、多くの医療現場で起きています。

■ 課題の根本:「暗黙知」に閉じ込められた採血教育
この問題の根底には、採血教育そのものの構造があります。
「このくらいの角度で」「このくらいの速さで」──指導は「カン」や「コツ」といった暗黙知に頼らざるを得ず、指導者によって評価がばらつきます。学習者は自分の手技が本当に正しいのか、どこがズレているのかを正確に知る方法がありません。
教科書を暗記しても、実際の手技の「正解」にはたどり着けない。この「なんとなく」の状態が、確かな自信の構築を妨げてきました。
一方で、弘前大学や京都大学などの先行研究では、採血が上手な人(熟練者)には共通する動きのパターンがあり、「針の角度」「刺す深さ」「スピード」「安定性」といった要素で数値化が可能であることが示されています。
「正しい答え」は存在する。問題は、それを現場の訓練に落とし込む手段がなかったことです。


■ 採血VRとは:「疑似体験」ではなく「データ駆動型スキル分析ツール」
「採血VR」は、採血の疑似体験を提供する製品ではありません。海外の先行製品が陥りがちな「触覚の再現(ハプティクス)」も、あえて追求していません。
学習者の手の動きを市販VR機(Meta Quest 3S等)の高性能センサーで追跡し、ミリ単位・度単位で精密に計測。手技全体を3ステップ・11項目で客観的にデータ評価します。
例えば、失敗の原因を「針の角度が血管の走行に対して12.25度ズレていた」と論理的に解説。「何を、どこを、どれだけ改善すれば良いか」が明確になります。
これにより、これまで暗黙知に閉じ込められていた採血手技を、誰もが学び再現できる「形式知」へと転換します。

■ 特長
◇ 3ステップ・11項目の客観的分析
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穿刺前・穿刺・穿刺後の各フェーズを11の評価項目でデータ化。感覚ではなく数値に基づいた論理的なフィードバックを提供します。

◇ 高精細な血管の再現
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CGではなく、実在の腕を3Dスキャン(フォトグラメトリ)し、皮膚の質感や凹凸、微妙な色の変化をリアルに超高精細に再現。視診で判別可能なクオリティです。

◇ 多様な患者モデル
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血管が見えにくい高齢者の腕、脂肪が多くて血管が深い腕など、代表的な5タイプの患者モデルを再現しています。

◇ 実写による患者の反応
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手技の成否に応じて、患者(役者)が声や表情でリアルに反応。臨場感のあるトレーニングが可能です。


◇ 圧倒的な低コスト 一式10万円以下
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市販のゲーム用VR機を活用することで、従来の高価なシミュレーターとは一線を画す低価格を実現。待ち時間ゼロで、自分のペースで、何度でも練習できる「一人一台の学習環境」を提供します。
■ 開発の経緯と受賞に至るまで
株式会社セカンド・サイドは、1991年の創業以来30年以上にわたり、ベネッセ・コーポレーションや教科書会社向けのデジタル教材コンテンツを開発してきました。学習教材に求められる「行動変容」と「教育効果の最大化」を追求してきた知見を基に、監修医師・竹尾浩紀先生(元自衛隊中央病院内科医長)との協働により[採血VR]を開発しました。
開発にあたり、私たちは「データで手技を客観的に分析できる」ことの価値は当然伝わるものと考えていました。しかし現実は違いました。
デモで体験いただいたベテラン看護師の方々からは「触覚がない、模型以下だ」「この数値はおかしい」という反応が返ってきました。
VRに「現実の模倣」を期待されたこと、そしてデータによる分析そのものへの抵抗 ── この二重の壁を前に、製品の価値をどう伝えるべきか、長く迷走しました。
転機となったのは、伝え方を根本から変えたことです。
「VRによる疑似体験」ではなく「データ駆動型のスキル分析ツール」であることを最前面に打ち出しました。製品自体は一切変更していません。
今回の受賞は、その「本来の意図」を正面から評価いただけた結果だと考えています。

■ 今後の展開
現在、複数の医系大学などにおいて[採血VR]の検証試験が進行中です。また、その成果の論文発表に向けた準備も進めていただいております。弊社もこうしたエビデンスを基に、より教育効果の高い次期バージョンの開発準備を進めています。教育機関・医療機関への導入拡大を進めるとともに、訓練データの蓄積による学習効果の向上にも取り組んでまいります。
■ 株式会社 セカンド・サイドについて
株式会社セカンド・サイドは、1991年に映像制作プロダクションとして設立、以来デジタルコンテンツ制作を主な業務としています。
VR/AR、Web、eラーニングなど幅広いジャンルに対応しており、特に教育分野に強みを持っています。
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