ハンセン病に関する「親と子のシンポジウム」青森会場〜世界人権宣言70周年を機に考える〜
正しい知識を身に付けて 差別や偏見のない社会へ
日本には「ハンセン病」の患者や回復者、その家族が、病気についての誤った認識による差別や偏見に苦しんできた歴史があります。そんなハンセン病問題を親子で正しく理解するためのシンポジウムが、7月21日に青森県青森市で開催されました。実施されたのはハンセン病回復者による講演や、パネルディスカッション、トークショーなど。参加者はハンセン病への差別や偏見の歴史について学ぶとともに、人権の尊さについても思いをめぐらせました。
■基調講演 ハンセン病の歴史と問題点
●国立療養所松丘保養園入所者自治会会長 石川 勝夫 さん
明治40年に制定されたハンセン病患者の隔離を定める法律は、昭和6年に名前が「らい予防法」へと変わり、この頃から「無らい県運動」が全国に広がりました。政府と自治体、そして市民が協力してハンセン病患者を見つけ出し、強制的に療養所へ閉じ込めたのです。そこでの患者の扱いは、明らかに不当なものでした。また世間の目は厳しく、患者の家族までもが激しい差別や偏見の対象となったのです。
平成8年に「らい予防法」は廃止されましたが、国のハンセン病行政の過ちが認められたのは「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」の判決が下された、平成13年のことでした。
皆さんには、いまだに社会に残っているハンセン病問題を差別の1つの原点として捉えて関心を持っていただき、よりよい社会に変わるよう努力してほしいと思っています。
■パネルディスカッション 私たちにできること
●青森市立新城中学校3年 中谷 礼 さん
ハンセン病回復者の皆さんとの交流や資料館の活用をしていきたいです。またハンセン病問題にとどまらず、人権問題についても正しい知識を身に付け、それらを後世に伝えることで、長く続いてきた差別の歴史に終止符を打つべきです。
●学校法人大和山学園松風塾高等学校3年 及川 亜由美 さん
同じ過ちを繰り返してはなりません。高齢化が進み、ハンセン病回復者の皆さんの声が届かなくなってきているのが問題です。当事者の生の声を聞いた私たちが、それを多くの人に伝えていかなければという責任を強く感じています。
●平川市立平賀西中学校教諭 古川 英麻 さん
ハンセン病問題は過去の話ではありません。みんなの問題として、いまでも新聞やネットで取り上げられています。私たちが積極的に知ること、正しく伝えることでみんなの問題として意識していけるのではないでしょうか。
●国立療養所松丘保養園入所者自治会会長石川 勝夫 さん
ハンセン病問題には1世紀を超える差別と偏見の歴史があります。多くの人が生き方や考え方を変えなければならず、ずっと苦しんできました。「これからの時代どうすればいいのか」を皆さんに考えていただけるのは非常にありがたいことだと思っています。
●青森大学社会学科長、社会福祉士 田中 志子 さん
ハンセン病回復者の皆さんは、若い人たちにハンセン病の歴史を知ってほしいと願っています。パネリストのような若い世代の方が人権に思いを馳せ、「ハンセン病のことについて伝えていかなければ」という使命を感じてくれたことを心強く思いました。
●法務省特別顧問、公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長 横田 洋三 さん (コーディネーター)
今年は「世界人権宣言」採択70周年の記念の年であり、日本を含め世界各地で人権に関する取組みが行われます。ハンセン病の問題を人権問題として捉えるよい機会であり、それには大変重要な意味があるでしょう。
■トークショー「伝えていくことが大切」
●プロレスラー、一般社団法人NWHスポーツ救命協会代表理事 蝶野 正洋 さん
●法務省特別顧問、公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長 横田 洋三 さん横田 洋三 さん
プロレスラーの蝶野正洋さんが登場して、横田さんと対談。蝶野さんは「プロレスでは相手の気持ちを察することが求められる。その点は人権問題にも通じるところがある」と話していました。また、ハンセン病の問題については「過去に起こったことを繰り返してはならない。ちゃんと伝え、みんなに考えてもらう機会を作りたい」とも発言。
さらに青少年健全育成活動にも関わっている蝶野さん。「現代はネットやSNSを中心に色々な情報網がある。間違った情報に惑わされないように、我々が子どもたちを正しい情報へと案内してあげることが必要」と、ネット社会における大人の役割も提案していました。
■合唱 差別のない世界を祈って
シンポジウムの最後は青森市立新城中学校の皆さんによる合唱。差別や偏見のない世界が実現することを祈って、心を込めて歌いました。参加者は、中学生の歌声に胸をうたれ、理想的な社会を築くために何ができるのか改めて考えていました。
■国立療養所松丘保養園
109年にもわたってハンセン病医療を担ってきた国立療養所松丘保養園。ここにはハンセン病問題の歴史を伝えるために建てられた「社会交流会館」もあります。
〒038-0003 青森県青森市大字石江字平山19番地
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/hansen/matuoka/welcome.html
● このシンポジウムの模様は、動画共有サイトYouTubeの[人権チャンネル]でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/jinkenchannel
【知っていますか?「子どもの人権110番」】
いじめや体罰などの困りごと、ひとりで悩まないで相談してください。
・子どもの人権110番 0120-007-110
・みんなの人権110番 0570-003-110
・女性の人権ホットライン 0570-070-810
【インターネット人権相談】
インターネットでも人権相談を受け付けています。
・パソコン・携帯電話・スマートフォン共通 http://www.jinken.go.jp
・外国人のための人権相談:http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html
● 法務省人権擁護局ホームページ http://www.moj.go.jp/JINKEN
● 人権啓発活動ネットワーク協議会ホームページ http://www.moj.go.jp/jinkennet
● YouTube 法務省チャンネル https://www.youtube.com/MOJchannel
● YouTube 人権チャンネル https://www.youtube.com/jinkenchannel
●人権ライブラリー http://www.jinken-library.jp
【人権アーカイブ・シリーズ】
分かりやすくまとめた映像で、ハンセン病をきちんと知ろう
「ハンセン病問題」〜過去からの証言、未来への提言〜
ハンセン病問題の歴史的な経緯や時代ごとの社会情勢、問題の本質などについて、関係者の証言や解説をもとに分かりやすくまとめた映像。幅広い世代が学びを得られます。
https://youtu.be/eRKCmf-kcSw
「家族で考えるハンセン病」
実際のハンセン病問題の関係者も登場するドラマ作品。中学1年生の清香が友だちと療養所を訪れるなどして、ハンセン病問題や人権の大切さについて理解していきます。
https://youtu.be/cRCAIDCC3hs
■基調講演 ハンセン病の歴史と問題点
●国立療養所松丘保養園入所者自治会会長 石川 勝夫 さん
明治40年に制定されたハンセン病患者の隔離を定める法律は、昭和6年に名前が「らい予防法」へと変わり、この頃から「無らい県運動」が全国に広がりました。政府と自治体、そして市民が協力してハンセン病患者を見つけ出し、強制的に療養所へ閉じ込めたのです。そこでの患者の扱いは、明らかに不当なものでした。また世間の目は厳しく、患者の家族までもが激しい差別や偏見の対象となったのです。
平成8年に「らい予防法」は廃止されましたが、国のハンセン病行政の過ちが認められたのは「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」の判決が下された、平成13年のことでした。
皆さんには、いまだに社会に残っているハンセン病問題を差別の1つの原点として捉えて関心を持っていただき、よりよい社会に変わるよう努力してほしいと思っています。
■パネルディスカッション 私たちにできること
●青森市立新城中学校3年 中谷 礼 さん
ハンセン病回復者の皆さんとの交流や資料館の活用をしていきたいです。またハンセン病問題にとどまらず、人権問題についても正しい知識を身に付け、それらを後世に伝えることで、長く続いてきた差別の歴史に終止符を打つべきです。
●学校法人大和山学園松風塾高等学校3年 及川 亜由美 さん
同じ過ちを繰り返してはなりません。高齢化が進み、ハンセン病回復者の皆さんの声が届かなくなってきているのが問題です。当事者の生の声を聞いた私たちが、それを多くの人に伝えていかなければという責任を強く感じています。
●平川市立平賀西中学校教諭 古川 英麻 さん
ハンセン病問題は過去の話ではありません。みんなの問題として、いまでも新聞やネットで取り上げられています。私たちが積極的に知ること、正しく伝えることでみんなの問題として意識していけるのではないでしょうか。
●国立療養所松丘保養園入所者自治会会長石川 勝夫 さん
ハンセン病問題には1世紀を超える差別と偏見の歴史があります。多くの人が生き方や考え方を変えなければならず、ずっと苦しんできました。「これからの時代どうすればいいのか」を皆さんに考えていただけるのは非常にありがたいことだと思っています。
●青森大学社会学科長、社会福祉士 田中 志子 さん
ハンセン病回復者の皆さんは、若い人たちにハンセン病の歴史を知ってほしいと願っています。パネリストのような若い世代の方が人権に思いを馳せ、「ハンセン病のことについて伝えていかなければ」という使命を感じてくれたことを心強く思いました。
●法務省特別顧問、公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長 横田 洋三 さん (コーディネーター)
今年は「世界人権宣言」採択70周年の記念の年であり、日本を含め世界各地で人権に関する取組みが行われます。ハンセン病の問題を人権問題として捉えるよい機会であり、それには大変重要な意味があるでしょう。
■トークショー「伝えていくことが大切」
●プロレスラー、一般社団法人NWHスポーツ救命協会代表理事 蝶野 正洋 さん
●法務省特別顧問、公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長 横田 洋三 さん横田 洋三 さん
プロレスラーの蝶野正洋さんが登場して、横田さんと対談。蝶野さんは「プロレスでは相手の気持ちを察することが求められる。その点は人権問題にも通じるところがある」と話していました。また、ハンセン病の問題については「過去に起こったことを繰り返してはならない。ちゃんと伝え、みんなに考えてもらう機会を作りたい」とも発言。
さらに青少年健全育成活動にも関わっている蝶野さん。「現代はネットやSNSを中心に色々な情報網がある。間違った情報に惑わされないように、我々が子どもたちを正しい情報へと案内してあげることが必要」と、ネット社会における大人の役割も提案していました。
■合唱 差別のない世界を祈って
シンポジウムの最後は青森市立新城中学校の皆さんによる合唱。差別や偏見のない世界が実現することを祈って、心を込めて歌いました。参加者は、中学生の歌声に胸をうたれ、理想的な社会を築くために何ができるのか改めて考えていました。
■国立療養所松丘保養園
109年にもわたってハンセン病医療を担ってきた国立療養所松丘保養園。ここにはハンセン病問題の歴史を伝えるために建てられた「社会交流会館」もあります。
〒038-0003 青森県青森市大字石江字平山19番地
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/hansen/matuoka/welcome.html
● このシンポジウムの模様は、動画共有サイトYouTubeの[人権チャンネル]でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/jinkenchannel
【知っていますか?「子どもの人権110番」】
いじめや体罰などの困りごと、ひとりで悩まないで相談してください。
・子どもの人権110番 0120-007-110
・みんなの人権110番 0570-003-110
・女性の人権ホットライン 0570-070-810
【インターネット人権相談】
インターネットでも人権相談を受け付けています。
・パソコン・携帯電話・スマートフォン共通 http://www.jinken.go.jp
・外国人のための人権相談:http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html
● 法務省人権擁護局ホームページ http://www.moj.go.jp/JINKEN
● 人権啓発活動ネットワーク協議会ホームページ http://www.moj.go.jp/jinkennet
● YouTube 法務省チャンネル https://www.youtube.com/MOJchannel
● YouTube 人権チャンネル https://www.youtube.com/jinkenchannel
●人権ライブラリー http://www.jinken-library.jp
【人権アーカイブ・シリーズ】
分かりやすくまとめた映像で、ハンセン病をきちんと知ろう
「ハンセン病問題」〜過去からの証言、未来への提言〜
ハンセン病問題の歴史的な経緯や時代ごとの社会情勢、問題の本質などについて、関係者の証言や解説をもとに分かりやすくまとめた映像。幅広い世代が学びを得られます。
https://youtu.be/eRKCmf-kcSw
「家族で考えるハンセン病」
実際のハンセン病問題の関係者も登場するドラマ作品。中学1年生の清香が友だちと療養所を訪れるなどして、ハンセン病問題や人権の大切さについて理解していきます。
https://youtu.be/cRCAIDCC3hs
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