スターガルト病治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」第3相臨床試験、被験者登録完了のお知らせ
窪田製薬ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、以下「当社」)は、当社の100%子会社クボタビジョン・インク(本社:米国ワシントン州、以下「クボタビジョン」)がスターガルト病を適応症として開発している治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の第3相臨床試験の被験者登録が完了いたしましたことをお知らせします。
当臨床試験は、ランダムに10mgのエミクススタト投与群とプラセボ群に2対1で割り当て、1日1回の経口投与にて24ヶ月間実施するもので、主要評価項目には、若年性黄斑変性スターガルト病患者における黄斑部の萎縮の進行を抑制する効果の検証、副次的評価項目には、最良矯正視力のスコアや読速度などの視機能の変化が含まれます。
クボタビジョンは、2018年11月7日(米国時間)の最初の被験者登録 (FPFV, First Patient First Visit) 完了後、グローバルに当臨床試験を推進してまいりましたが、最終的に世界11カ国、29施設において登録された被験者の総数は194名となりました。なお、クボタビジョンは被験者登録数の目標を当初162名と設定しておりましたが、コロナウィルスの感染拡大等の影響を踏まえ、被験者登録数を若干積み増すことといたしました。
本件について、当社の代表執行役会長、社長兼最高経営責任者の窪田良博士は次のようにコメントしています。
「希少疾患は市場性が高く、近年世界の大手製薬企業が力を入れている疾患領域であり、この臨床試験は非常に価値が高いと考えています。この貴重な臨床試験に関わっている患者さん、医師をはじめたとした多くの人たちに感謝しています。」
「エミクススタト塩酸塩」は、スターガルト病の新規治療薬候補として2017年に米国 FDA(Food and Drug Administration)から、2019年には欧州EMA(European Medicines Agency)からオーファンドラッグ認定を受けています。(2017 年1月6日付当社プレスリリース『「エミクススタト塩酸塩」のスターガルト病治療に対する FDA オーファンドラッグ指定のお知らせ』、2017 年1月6日付当社プレスリリース『「エミクススタト塩酸塩」のスターガルト病治療に対する欧州オーファンドラッグ指定のお知らせ』をご参照ください。)
なお、本件による当社の2020年12月期連結業績予想への影響につきましては、現在精査中であり、業績への影響が見込まれる場合には速やかに開示をいたします。
スターガルト病について
スターガルト病は患者数が少ない網膜の遺伝性疾患であり、若年性の黄斑変性とも呼ばれ、8千~1万人に1人がこの病気にかかると推定されています(*1)。スターガルト病を発症すると徐々に視細胞が損傷され、視野の欠損、色覚異常、歪み、ぼやけ、中心部が見えにくいといった様々な症状が見られます。一般的に、小児期から青年期にかけて発症しますが、中には成人期まで視力低下を自覚しないこともあります。スターガルト病は、米国における患者数が推定で4万人に満たないことから(*2)、新薬開発を促進するためにFDA(米国食品医薬品局)が制定する「オーファンドラッグ法(*3)」の対象です。現在、症状の進行を抑制する治療法は存在しておらず、アンメット・メディカル・ニーズ(*4)として対応が急がれています。
*1 Retinal Pharma & Biologics Market, Market Scope 2015.
*2 Market Scope社が 2015年に発行した「Retinal Pharma & Biologics Market」と「UN World Population Prospects 2015」をもとに、米国、欧州、日本のスターガルト病患者数を自社で算出。
*3 オーファンドラッグ法:オーファンドラッグは稀少疾病用医薬品と呼ばれ、治療が困難な病気や患者数が少ない病気に対する治療薬のことをいいます。「オーファンドラッグ法」は病気を治療する医薬品の重要性に基づき研究開発が進むように、公的援助制度等を整備することを目的に米国FDAにより制定されました。米国で治療薬が存在しない疾患に対して患者数が20万人未満であること、開発コストが販売から回収される見込みがないことなどの基準が設けられている。
*4 アンメット・メディカル・ニーズ:いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ。
エミクススタトについて
眼球の奥にある網膜には、脳に映像を認識させるために光を電気信号に変える働きをする「視覚サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。この視覚サイクルは、明るい光や強い光にさらされると有害代謝産物を生成します。これが長期にわたり消化されないまま蓄積されると、視覚サイクルの働きに支障をきたすだけではなく、網膜自体が損傷され、視力低下あるいは失明にいたると考えられています。
網膜には、こうした有害代謝産物の前駆物質を分解する際に活躍するABCA4という遺伝子があります。スターガルト病はこのABCA4遺伝子の異常により、網膜にビタミンA由来の有害代謝産物が過剰に蓄積されることで網膜内の細胞が損傷を受け、最終的には視機能障害をきたすと考えられています。
エミクススタトは、視覚サイクルに不可欠な酵素であるRPE65を抑制することで、視覚サイクルを調節し、ビタミンAの代謝率を低下させます。これにより、スターガルト病の発症に関与すると考えられているビタミンA由来の有害代謝産物の産生が低下するため、網膜の機能維持に有用であると理論づけられています。
窪田製薬ホールディングス株式会社について
当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。当社100%子会社のクボタビジョン・インク(米国)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいます。当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」においては、糖尿病網膜症およびスターガルト病への適応を目指し、開発を進めております。また、網膜色素変性における視機能再生を目指す遺伝子療法の開発や、在宅・遠隔医療分野(モバイルヘルス)における、クラウドを使った医療モニタリングデバイス(PBOS)の研究開発なども手掛けております。
(ホームページアドレス:http://www.kubotaholdings.co.jp)
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