宮崎県都農町、データ連携基盤を活用し、ヘルスケアサービスの利用に応じた地域通貨へのポイント交換機能をリリース
都農町、一般財団法人つの未来まちづくり推進機構
国の令和4年度第2次補正予算「デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)」の「マイナンバーカード横展開事例創出型(通称:TYPE-X)」の採択を受け、開発を進めてきた機能が、令和6年2月14日から順次リリースされます。デジ田交付金を活用して今年度実装されたヘルスケア関連のアプリと電子地域通貨アプリをデータ連携基盤に接続し、ヘルスケア関連のアプリの利用に応じて、電子地域通貨アプリのポイントを付与する仕組みが実装されます。町民の健康づくりにつながる活動を応援し、町民同士支え合いながら、心身ともに豊かに暮らせる地域づくりに寄与することを目指します。
1. デジタルフレンドリー推進事業とデジ田交付金TYPE-X採択
都農町では、令和2年度より、デジタルデバイド対策に主眼を置いた「デジタルフレンドリー推進事業」を独自に進めてきました。その中で、公共・準公共領域で町民向けにアプリ等のサービス提供を行うことを見据え、令和3年4月よりアクセンチュア株式会社が提供するデータ連携基盤(都市OS)を運用してきました。
「町民生活の豊かさの向上に資するサービスは何か」という検討を重ねる中で、年代を問わず、健康で生き生きと暮らす為に不可欠なヘルスケア領域を対象に絞り、デジ田交付金TYPE-X(補助率10/10)の募集がかかったタイミングで事業計画を国に提出、採択を受け、国の財政支援を得ながら、今回の実装が実現しました。(事業の背景や経緯についてはこちら)
2. 実装される仕組みの全体イメージ
データ連携基盤(都市OS)の共通ID「都農ID」を用いて、対象となるヘルスケア関連のアプリにアカウント登録すると、アプリの利用に応じてポイントを貯められる機能が提供されます。ユーザーはポイントを貯めた上で、貯めたポイントを都農町電子地域通貨「つのコイン」のポイントに交換する操作をアプリ上で行うことができます。
ポイント交換を行うには、マイナンバーカードの仕組みを用いて本人認証を行うことのできる「xID」のアカウントを用いて「都農ID」を作成し、「つのコイン」のアカウントと「都農ID」を紐付けておくことが必要です。
3. ヘルスケア関連のサービスごとの実装内容
ポイント交換の仕組みは、各サービス・アプリの内容によって異なります。
(1) 在宅ケア支援アプリ「ケアエール」(SOMPOケア株式会社提供)
① 「ケアエール」とは
本人や家族、ヘルパー・ケアマネージャー等の専門職人材が、日々の出来事やバイタルデータを共有すると共に、アプリ上のコミュニケーションを通じて互いに応援し合える在宅ケア支援アプリです。
② 今回実装される機能【リリース予定日:2/14】
「ケアエール」では、アプリ上のコミュニケーションの量を「エール」という単位で可視化し、より活発なコミュニケーションを促す仕掛けが設けられています。「都農ID」を用いて「ケアエール」を利用する町民向けに、この貯まった「エール」を、「つのコイン」のポイントに交換できる機能をリリースします。
③ 「ケアエールフレンズ」について
今回の機能リリースに合わせ、「ケアエール」上で声掛けをしたり、本人や家族の日々の暮らしを見守ったりするかたちで、地域での支え合いに参加いただける町民を「ケアエールフレンズ」としてボランティアに任命する仕組みの運用を始めます。地域での互助の担い手を増やす取組みが求められる中、地域の中での支え合いに参加する新たな選択肢となることを目指します。制度としては、従来も地域の中で傾聴活動を行ってきた「傾聴ボランティア」の活動の一部と位置付け、都農町社会福祉協議会が事務局として、「ケアエールフレンズ」の活動を支援します。
「ケアエールフレンズ」となる方には、本人や家族と接する上で意識いただきたい点を伝える研修を受講いただき、研修の設計・実施を慶應義塾大学健康マネジメント研究科堀田聰子教授に委託しています。今年度は全2回(1/28, 2/18)の研修を実施します。
(2) 脳の健康アプリ「脳にいいアプリ」(株式会社ベスプラ提供)
① 「脳にいいアプリ」とは
歩数や脳トレ、脳にいい食品目の摂取といった健康行動の支援を行うアプリです。都農町民に向けては、アプリに記録される行動記録から脳の健康管理指標である「BHQ(Brain Health Care Quotient)」を推定し、ユーザーにフィードバックする機能を提供します。また、アプリの効果的な活用の為の助言を京都大学経営管理大学院ブレインヘルスケア・ビジネスエコシステム寄附講座の山川義徳特命教授に委託しています。
② 今回実装される機能【リリース予定日:2/21】
上記の「BHQ」のフィードバックに加え、アプリに記録される行動記録に応じてポイントを貯め、「つのコイン」のポイントに交換できる機能をリリースします。
(3) 医療情報アプリ「ヘルスケアパスポート」(TIS株式会社提供)
① 「ヘルスケアパスポート」とは
町民が日々の暮らしの中で自身の体調に関する情報を記録したり、マイナポータルから取得する自身の情報やアプリと連携する医療機関から提供される情報を一元管理したり、PHR・EHRとして活用できるアプリです。都農町国民健康保険病院の外来診療での活用を予定しており、同病院の院長を務める、宮崎大学医学部地域包括ケア・総合診療医学講座の桐ヶ谷大淳教授をはじめ、同講座と連携して活用を進めます。
② 今回実装される機能
都農町福祉課健康推進係の事業で、町民の健康増進、各種健診(検診)の受診率向上等を目的に、特定の条件を達成すると「つのコイン」のポイントが付与(従来は商工会商品券が贈呈)される「元気だいすきチャレンジ事業」の中で、条件の達成状況を確認する手段として活用します。
従来は、町民に事業への参加表明の為、窓口まで来訪してもらう必要がありましたが、マイナポータルから医療保険情報取得APIを活用して自身の情報を収集し、ポイント付与条件を満たすか、アプリ上で判定し、窓口に来訪せずにポイントを申請できる機能が実装されます。
4. 今後に向けて
都農町では、これまでも自助・互助の取組みを応援する手法として、インセンティブを設ける施策を一部で行ってきました。今回の取組みは、従来は商品券等、アナログに行ってきたプロセスを、データ連携基盤を活用しながら、デジタルに置き換えるものです。従来は発生していた集計や商品券等の受け渡し作業が不要となることから、より様々な場面で同様の手法を用いることができるようになりました。急激な人口減少・少子高齢化の進む中で、積極的な自助・互助の活動を応援できる手法として、活用の幅を広げることを検討してまいります。
また、これまで定量的に把握しづらかった個人でのヘルスケアの活動や、互助の取組みの様子をデータで把握できるようになることから、財源・資源の限られた中で、より効果的な施策を講じられるように、データから得られた分析・知見を活用してまいります。
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