イルミナ、がんゲノム医療*1に対する意識調査を実施
がん遺伝子パネル検査*2の保険適用のタイミングについて、約3割が適切ではないと回答、実施できる医療施設や対応できる治療薬の拡充を望む
ゲノミクス技術を牽引するイルミナ株式会社(本社:東京都港区、以下「イルミナ」)は、がん遺伝子パネル検査の保険適用から4年が経過したことに合わせ、がんゲノム医療に対する意識調査を実施しました。
がん遺伝子パネル検査を保険適用で実施できるタイミングについては、3人に1人が「適切だと思わない」と回答しました。保険適用のタイミングの他、実施できる施設が限られていることや、検査を受けても治療薬がないことを懸念する声が上位に入りました。
近年、遺伝子解析技術が大きく進歩したことで、がんゲノム医療の普及が進んでいます。今年6月には、遺伝情報に基づき各患者に応じた治療を推進することや、差別の防止などを掲げる「ゲノム医療法」が成立するなど、がんゲノム医療を取り巻く環境は転換点を迎えています。反面、本調査では、がんゲノム医療を認知していた人は1割未満であることや、がんの根本的な原因を遺伝子変異と正しく認識していた人は全体の半数に留まったことからも、がんに対する理解やがんゲノム医療への認知度は依然として低いことが浮き彫りになりました。一方、ゲノムを認知し、良い印象を持っている人は、病気の診断や治療、未解明の疾患の解明など、医療分野でのゲノミクスの可能性に高い期待を持っていることが明らかになりました。
*1: がん細胞のゲノムを調べて、どの遺伝子に変化が起こっているのかを知り、それぞれの患者さんのがんがどのような性質のがんなのか、どのような治療法が適しているのかを選択していくのが、がんゲノム医療です(がんゲノム情報管理センターHPより)
*2: 数十から数百個の遺伝子の変化を一度に調べることで、がん細胞におきている遺伝子の変化を調べます。がん細胞の遺伝子の変化、つまり特徴を知ることで、患者さんのがんに適した治療法を検討します。2019年から、全国のがんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院で保険診療としてがん遺伝子パネル検査を受けられるようになりました (がんゲノム情報管理センターHPより)
主な調査結果は以下の通りです。
がん遺伝子パネル検査を受けられるタイミングについて
保険適用下でがん遺伝子パネル検査を実施できるタイミングは、現在標準治療が無いまたは局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了している固形がん患者となっていますが、そのタイミングについては「わからない」と回答した人が最も多く38.5%(385人)、がんゲノム医療に対する理解や関心が余り高くないことが推測できます。なお、「適切だと思わない」と回答した人は298人のうち74.8%(223人)が、「がんと診断された時」を適切なタイミングとして選択し、より早い段階での実施を求めていることがわかりました。
がんゲノム医療の認知とがんの原因の認識について
がんゲノム医療について、「知っていた」と回答した人は7%(70人)と1割に満たない結果となりました。自身や近親者、親しい友人の中でがん治療の経験がある方とそうでない方のがんゲノム医療への認知に対する差は見られませんでした。また、がんの原因として、上位3つに「喫煙」(745人)、「飲酒」(607人)、「遺伝」(635人)といった環境因子や遺伝因子などのリスク因子が挙げられました。がんの根本的原因は遺伝子変異であると認識している人は529人に留まりました。リスク因子がさまざまな遺伝子変異を起こし、がんを発症させることを理解した上で、それぞれの遺伝子変異に対応するがんゲノム医療を進めていく必要があります。
がんゲノム医療の懸念点について
がんゲノム医療の懸念点として、上位3つに「がんゲノム医療を実施できる施設が限られている」(476人)、「がん遺伝子パネルを受けても薬がない場合がある」(436人)、「標準治療がない人または終わった人しか保険適用できない」(430人)が挙げられました。今後、がんゲノム医療の恩恵をより多くの患者さんに届けられるようにするために、実施できる医療施設や対応できる治療薬の拡充、保険適用条件の緩和が求められています。
ゲノミクスに対する期待について
ゲノミクスという言葉に「良い印象」または「どちらかというと良い印象」と回答した人(430人)はその理由として、「病気の診断や治療に役立つ」(342人)、「未解明の病気や希少疾患の解明をしてくれる」(334人)、「農産物の品種改良に役立つ」(193人)、「人類の進化に関する研究に役立つ」(155人)、「生態系の保護などの環境問題の改善に役立つ」(154人)を挙げました。特に医療分野に対する高い期待が寄せられていることが明らかとなりました。
今回の調査結果について、イルミナ株式会社日本法人ゼネラルマネージャーのアジュナ・クマラスリヤは、「本調査ではゲノミクスの医療分野における高い期待が明らかになった一方、がんゲノム医療の恩恵をより多くの患者さんに届けるために多くの課題があることも浮き彫りとなりました。ゲノミクス技術を牽引するイルミナは、革新的な取り組みに注力すると同時に、ゲノミクスやがんゲノム医療に対する正しい知識を普及させることにより、疾病に苦しむ患者さんはもとより、誰にとってもゲノミクスやがんゲノム医療がより身近なものになるようにしていきたい」と述べています。
調査概要
調査対象:10~60代男女1,000人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年5月25日
イルミナ日本法人について
イルミナ日本法人は2004年に設立され、2013年に最初のオフィスとイルミナソリューションズセンター(ISC)を開設しました。ISCは、顧客の研究室における当社の技術活用を促進する目的で設立され、当社のシーケンスシステムやワークフローの実践的な経験を提供するトレーニング施設です。現在、日本には約100名の従業員が勤務しており、1,000台以上のシーケンスシステムが設置されています。 また、国立がん研究センター、岡山大学、シスメックス、大塚製薬、栄研化学など、多くの重要なパートナーシップを結んでいます。詳細については https://jp.illumina.com/ もしくは https://www.facebook.com/illuminakk/ をご覧ください。
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