伝説の花街柳橋に残る、旧市丸邸での初の試み「ルーサイトシアター」誕生 初回公演は朗読会。出演は鳥山昌克・杉嶋美智子 2023 年6月 15 日~18 日
室生犀星作「あじゃり」・唐十郎作「銀ヤンマ」を皮切りにルーサイトギャラリーはルーサイトシアターとして、映像や舞台芸術に活動を拡げていきます。
ここでは映像や舞台芸術にも活動を拡げていきます。
時々、この古民家は異界と繋がっているいるかのように思います。
ここでしか味わえない独特の雰囲気の中、どうぞ皆様も、30名限定のお席で心踊らせてください。
ルーサイトギャラリーの新しい試み
ギャラリーが建つ台東区柳橋は、江戸時代から続く格式の高い花街として政財界や文化人らが通った社交場でした。料亭の跡を取ることを期待されていましたが、時代の波には逆えず街から料亭や芸者衆が消えるのをただ眺めているしかありませんでした。
2001年秋、柳橋に活気を取り戻そうと、昭和の流行歌手『市丸姐さん』の大川(隅田川)沿いの屋敷を改装し、骨董店としてオープンします。その後、ギャラリーとして陶芸や工芸品などの作家の個展を定期的に開催するようになります。
昔から、非日常に引っ張り込まれる、お芝居の世界は大好きでした。
可愛がってくれた、祖父の稲垣平十郎(柳橋組合長)が柳橋の[みどり会]で若き三島由紀夫に脚本を書いてもらったこともあり、自分もいつかはプロデュースをしたいと夢見るようになります。
多くの海外の方にも柳橋に(時代に)取り残されたように建つ旧市丸邸の魅力を、その歴史とともに伝えたいと考えています。
しかし、究極の夢はどこか別の場所に芝居小屋を建てることです。何から手をつけて、始めていいのか分からなくなっていたころ、2008年の[眉隠しの霊]以来、相談に乗ってくれている、同い年の鳥山昌克さんにこのことを話しました。そこでまずは今ある古民家(旧市丸邸)の中で何ができるのかを考えてみようということになりました。
旧市丸邸のルーサイトシアターは異界へ通じています。柳橋のこの土地には昔から哀しい声が聞こえてきます。
この雰囲気の中で見聞きすることは現実離れしているようにみえて実はとてもリアルです。
皆様にこの場所で何かを体感して、共感していただければ幸いです。
ルーサイトシアターを立ち上げることは、リスクも伴いますが、これから知り合う人たちや、得ることになる感動や達成感のことを考えると自然に身体がワクワク、そわそわしてきます。
どうぞ皆さんも一緒に大川(隅田川)に面した、30名限定のお席で心踊らせてください。
「ルーサイト」とは1930年代にアメリカで開発された無色透明の合成樹脂です。大戦時、主に戦闘機の風防ガラスなどに使用されました。その欠片からは、独特な甘い匂いがしたことから、《匂いガラス》とも呼ばれ、当時の子供達にとって宝物になりました。ルーサイトは無色透明で、様々な色に染まります。催しごとに多様に変化できる場所を目指して名に採り入れました。
今後は[ルーサイトシアター]として、映像や舞台芸術にも活動を拡げていきます。
「あじゃり」 あらすじ
室生犀星の1926年発表の小説。優しい物腰で万人に慕われていた山寺の僧侶が、女のような童子を弟子に持ってから様子がおかしくなって来る。やがて病弱な童子が亡くなると、僧侶は哀しみのあまり、獣の様に狂ってしまう。「雨月物語、青頭巾」の犀星による焼き直しであるが、この小説では女性の語り口を採ることで、哲学的な「青頭巾」の内容が、優しい物語として再生されていて、より切なさを醸し出している。
「銀ヤンマ」 あらすじ
太平洋戦争の焼け跡で少年時代を過ごした作者、唐十郎が、当時、上野の公衆便所に住んでいた貧しい少女との交流を記した短編小説。灰色にくすむ焼け跡に、オカマ同士の刃物沙汰の鮮血や、ケバケバしい紙芝居の錦絵、銀ヤンマの虎縞模様などが混ざり合い、クラクラするような原色の世界で繰り広げられる物語。捨てられた者たちへの真剣な眼差しと、作者の創作の原点が、色濃く表現されている。
腐りゆくモノたち、去ってゆくモノたちと、どう折り合えば悲しみは薄れるのだろう、、、
鳥山昌克 プロフィール
トム・プロジェクト・所属俳優。主に、唐十郎、蜷川幸雄の舞台等に出演。「風のほこり」「盲導犬」(唐十郎)、「海辺のカフカ」「唐版 瀧の白糸」(蜷川幸雄)、「シング ア ソング」(日澤雄介)、「夏の夜の夢」(シェークスピア、松竹)等の他、ルーサイトギャラリーに於いて、ひとり語り芝居「眉隠しの霊」「菎蒻本」(泉鏡花)「楽屋」(清水邦夫)を演じている。
杉嶋美智子 プロフィール
劇団 3〇〇(さんじゅうまる)出身。 プロデュース公演等を経て2008年より主に演劇ユニット・メメントC(主宰:嶽本あゆ美)に参加。家事・育児に奔走しながらゆっくり演劇活動を続けている。主な出演作品:「アオイバラ」(作演出:渡辺えり)「幻の絵馬」(鳥山昌克プロデュース公演)「太平洋食堂」(作:嶽本あゆ美)等
この後は泉鏡花作「高野聖」を鳥山昌克の独演で開催予定です。(2024年2月1日〜3日)
すべての画像