ゲイツ財団、ワクチンプログラムへの資金不足が続いた場合の、子どもの死亡率上昇の可能性を示唆
海外支援削減の中、ビル・ゲイツは富裕国に対し、世界の子どもたちの半数以上に命を救うワクチンを提供している「Gaviワクチンアライアンス」への投資を呼びかける

ゲイツ財団は、今後5年間でGaviワクチンアライアンス(Gavi)に16億米ドルを拠出するとのコミットメントを発表しました。Gaviは子どもたちの命を救うワクチンを提供し、脆弱なコミュニティで病気を予防するための最も効果的なメカニズムの1つです。
ゲイツ財団の理事長であるビル・ゲイツは「海外支援の巨額の削減により、過去数十年間において初めて、今年は世界中で死亡する子どもの数が減るのではなく増加する可能性があります。これは悲惨なことです。」と警告しました。「Gaviの資金を完全に満たすことが、この状況を阻止するための最も強力な一歩です。」と訴えかけました。
今回の財団による新たな支援は、世界的な危機の最中に発表されました。国際開発支援事業は、予算の削減と政治的優先順位の変化により、深刻な影響を受けています。海外支援は、長年の停滞のあと、今年に急減し、過去25年間で苦労して達成された子どもの生存率向上と公衆衛生の進展が危機にさらされています。
「私たちの世代の遺産により、何百万人もの貧しい子どもたちが予防可能な原因で死亡していくのを見て見ぬふりをした、ということがあってはなりません。世界には今、命を救う安価で効果的かつ実証済みのツールがあります。富裕国は、それらの製品を必要とする人々に届けるために設立されたGaviとグローバルファンドに十分な資金を提供すべきです。」とゲイツは述べました。
この発表は、6月25日にブリュッセルで開催されるGaviの資金調達イベント「The Global Summit: Health & Prosperity through Immunization(グローバルサミット:予防接種を通じた健康と繁栄)」に先立って行われます。本サミットは、欧州連合とゲイツ財団が共催しており、ゲイツが世界のリーダーたちと参加し、その多くがGaviのミッションに対する新たなコミットメントを発表すると予想されています。Gaviへの早期の拠出のコミットメントは、影響力の大きい投資としての予防接種に対する幅広い支持と、国際保健(グローバルヘルス)の進歩を加速するための多国間協力への期待を示しています。
インパクトの軌跡―そして喫緊の道筋
25年前にゲイツ財団と創設パートナーの支援を受けて設立されたGaviは、子どもの死亡率を半減させるのに貢献してきました。78の低所得国で11億人を超える子どもたちにワクチンを接種し、麻疹、肺炎、下痢などの病気による約1,900万人の死亡を予防してきました。
しかし、その進展にもかかわらず、5人に1人の子どもが依然として必須のワクチンにアクセスできず、麻疹や髄膜炎などの予防可能な感染症の流行が増加しており、数十年にわたる成果を逆転させる恐れがあります。
Gaviの共同資金調達モデルは、国のオーナーシップと長期的な持続可能性を重視しています。パートナー国は、経済成長に伴い、ワクチンプログラムへの自国への貢献度を高め、最終的には自己資金調達に移行します。2000年以降、19ヵ国がGaviの支援から卒業に成功しています。
インドネシアのブディ・グナディ・サディキン保健大臣は「Gaviのモデルは、各国が強固で、自立して持続可能な予防接種システムを構築するのを支援する点で独自性があります。インドネシアがGaviの支援を受ける国から、Gaviに拠出する国へと移行したことは、真のパートナーシップを通じて何が可能かを示す証です。」と述べました。
より強く、より健康的な未来のための財団の支援
2000年以来、ゲイツ財団はワクチン開発の推進に306億米ドル以上を拠出してきました。ワクチンの発見、開発、配布に投資されたものです。うち77億米ドルがGaviに拠出され、財団最大の助成先となっています。
今回のGaviへの新たなコミットメントは、財団の25周年を記念した発表に続き、今後20年間で2,000億米ドルを投じ、すべての人々が健康で生産的な生活を送るためのミッションを加速させるという方針を示したものです。財団はパートナーと協力し、次の3つの主要な目標に向けて可能な限り前進していきます。
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母子の予防可能な死亡をなくす
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次世代の致命的な感染症を予防する
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何百万人もの人々を貧困から救い、繁栄への道へ導く
財団のその他の重点分野は、引き続き以下の通りです。
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米国の学生が機会を得られるよう支援する
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デジタル公共インフラを強化し、より多くの人々が、包摂的な経済とオープンで競争力のある市場を促進する金融・社会サービスにアクセスできるようにする
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AIの新たな活用方法を適用し、医療、教育、農業分野で、サービスの質の向上と普及促進をする
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ジェンダーの平等を推進し、女性が教育、医療、金融サービスを利用できるようにすることで、女性と家族、そして地域社会を向上させる
ゲイツ財団について
ゲイツ財団は、「すべての命は平等に価値がある」という信念に基づき、すべての人々が健康で生産的な生活を送れるよう支援しています。開発途上国では、パートナーと協力して、人々が自らの未来を切り拓き、可能性を最大限に発揮できるよう、インパクトのある解決策を創出しています。米国では、すべての人々、特に最も貧しい人々が、学校や人生で成功するために必要な機会にアクセスできる環境の確保を目指しています。財団は、米国ワシントン州シアトルを拠点としています。ビル・ゲイツと理事会の指揮の下、CEOのマーク・スズマンが率いています。
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