【報告】川棚の杜・コルトーホール開館15周年記念事業開催/コルトーが愛した島と山に守られた川棚のやさしい風土を未来へと詩い継ぐ。

~ いま・ひと・たび・川棚の杜で。 ~

川棚温泉まちづくり株式会社

 川棚の杜・コルトーホール(下関市川棚温泉交流センター)は、2010年の開館から15周年を迎えた令和7年度(2025年度)、2つの記念事業を開催いたしました。

【記念事業1】

建築と地域のつながりを見つめ直す

企画展『川棚と隈研吾の対話』

【記念事業2】

川棚とコルトーの物語に新たな1ページを刻んだ

記念式典・演奏会『第15回川棚・コルトー音楽祭/京都フランス音楽アカデミー特別演奏会』 

川棚の杜・コルトーホール(下関市川棚温泉交流センター)

 建築家・隈研吾氏の設計により2010年開館。川棚の豊かな自然と一体になる有機的なデザインは、山裾から島へ連なる川棚のなだらかな地形をイメージし、三角形の集合体で構成された幾何学的なフォルムをしています。 館内は「コルトーホール(大交流室)」と「カフェ孤留島(小交流室)」からなるイベントスペースと、地元豊浦町や地方の生活文化・生活用具などを紹介する「下関市烏山(からすやま)民俗資料館」で構成されています。

 開館以来、指定管理者を務める「川棚温泉まちづくり株式会社(代表取締役:髙瀬利也)」は、〝 まちかどに音楽を。生活に芸術を。美しい時間をご一緒に 〟を合言葉として、地域資源の活用、地元文化の発信、観光や芸術文化体験の推進に取り組んでいます。

三角形の幾何学的な集合体が特徴の外観
川棚のなだらかな台地をイメージしたフォルム
様々なイベントが開催される大交流室(コルトーホール)

〈公式HP〉https://www.kawatananomori.com/

川棚に三つの「杜」がつながる

 2025年には、川棚の杜と同じく隈研吾氏の設計により、「杜の足湯」と「杜のステージ」が続けて川棚に誕生し、天然の自然の「森」に調和する3つの「杜」がつながりました。

杜の足湯 興龍泉(こうりゅうせん)
杜のステージ(杜の庭園 リフレッシュパーク豊浦内)

 これは、川棚温泉まちづくり株式会社が掲げる「庭園のまちづくり」の実現のひとつでもあります。「庭園のまちづくり」は、川棚・豊浦のまちをひとつの庭園とし、厚島(孤留島)を要石と見立て、島と山にやさしく守られた庭園のまちを「物語」と「緑」でつないでいくことと考えます。それは、人々の営みと場所の還りを丁寧につなぎ直し、地域の未来のグランドデザインを創っていく根本理念となるものとなるものです。

 守護神「青龍」が見守る川棚で、毛利侯は「川棚八景」を詠み、俳人種田山頭火やピアニスト コルトーは、終の棲家にと願いました。やさしく静かな風土は時を超えて、詩情あふれる物語を紡いできました。その物語を川棚のやさしい風土とともに未来へと詩い継ぐこと。それこそが私たち川棚温泉まちづくり株式会社の想いであります。

川棚とコルトーの物語

 アルフレッド・コルトー(1877-1962)は、20世紀を代表するフランスのピアニストです。1952年に念願の日本ツアーが決定。山口県では下関公演で、川棚温泉に宿泊することとなりました。

 1952年10月7日、コルトーは子息であり画家であったジャン・コルトーとともに川棚温泉を訪れます。コルトーは川棚観光ホテルに宿泊し、部屋から望む「島と山にやさしく守られた」その風景の美しさに魅了されました。

「ここはすばらしい。こんなに美しい夢のような風景は見たことがない。日本はブレ・ペイ(本当の国)だ。」と語りました。

アルフレッド・コルトー(1877-1962)

 とりわけ、響灘に浮かぶ美しい「厚島」を大変気に入り、コルトーは「天国のようなあの島でこっそり死にたい。あの島をぜひ売ってくれませんか?」と当時の川棚村長に申し出ました。川棚村長は、コルトーにこう答えました。「あの島に永久にお住まいになるなら無償で差し上げましょう」と。村長は川棚に記念碑を建てることを約束。碑文の揮毫をコルトーへ頼みました。コルトーは一気にしたためました。

「音楽は精神の炎を噴出させねばならぬ。 ベートーヴェン」

「私の後から生まれる日本の数千万の音楽学徒のために、私の信条としたこの言葉を残すのです」

「このうえなく美しいこの島に、友情によって書かれたこの碑文が、願わくは絶えず夢の中に住む精神を持った一フランス人音楽家の思いをいつまでも留めておくことができますように」と願いました。

 「私の思いはひとりあの島に残るだろう」と、この地への永住を願いました。コルトーの来訪以来、厚島は「孤留島(こるとう)」と名付けられ、コルトー自身も「私の名前の島が日本にある」と嬉しそうに語っていましたが、1962年に病気で亡くなり、再来日の夢は叶いませんでした。そして2010年、奇しくもコルトーが宿泊したホテル跡地に川棚の杜・コルトーホール(下関市川棚温泉交流センター)が誕生。とりわけ大交流室は「コルトーホール」の愛称で親しまれ、コルトーが宿泊した川棚観光ホテル東館の跡にはコルトーの胸像が建立されました。

1952年、川棚観光ホテル (右)アルフレッド・コルトー、(中央)コルトーの子息ジャン・コルトー
1952年、川棚観光ホテルにて

【記念事業1】開館15周年記念 企画展『川棚と隈研吾の対話』

 川棚の杜を起点として「ジオメトリ(幾何学)」「ニワ(庭・環境)」「ソザイ(素材)」の3つのキーワードでつながる隈研吾氏の建築作品を紹介する展示会を開催しました。

  1. 下関市川棚温泉交流センター(川棚の杜)
  2. 国立競技場(MUFGスタジアム)
  3. V&A Dundee
  4. GREEN×EXPO 2027 PRモニュメント
  5. 安養寺阿弥陀如来収蔵施設
  6. ハンス・クリスチャン・アンデルセン美術館
  7. 明治神宮ミュージアム
  8. 新福岡県立美術館
  9. ところざわサクラタウン角川武蔵野ミュージアム
  10. かがくの里

 また、会期初日には、隈研吾氏とランドスケープデザイナーの三島由樹氏を迎えた講演会・対談を開催しました。

 隈研吾氏の講演では、川棚の杜を設計するまでの経緯やアプローチを当時のエピソードを交えながらお話をしていただき、川棚の杜と共通する他の建築作品を分かりやすく解説されました。

 隈研吾氏と三島由樹氏の対談では、「庭」をテーマとし、両氏の庭に対する考え方や取り組みを事例に基づいて対話を行いました。特に三島氏の「見る庭(garden)」と「使う庭(yard)」という考え方は、「庭園のまちづくり」の重要なキーワードとなり、今後の川棚温泉のまちづくりに大きな示唆を与える貴重な対談となりました。

展示会場風景
模型や素材サンプル、隈研吾氏のドローイングが展示
隈研吾氏と三島由樹氏による対談
前田晋太郎下関市長に展示を紹介する隈研吾氏

会期:2025年12月20日(土) ~ 2026年2月15日(日)

主催:下関市

運営:川棚温泉まちづくり株式会社、下関市烏山民俗資料館

企画監修:隈研吾建築都市設計事務所

【記念事業2】開館15周年記念 式典・演奏会

第一部・式典(絵画およびポートレートの披露)

 アルフレッド・コルトーの子息である画家ジャン・コルトー氏(1925-2018)は、1952年コルトーの来日に同行し、川棚温泉に宿泊しました。

 長年にわたって文学と絵画の関係性を探求し、2001年に美術アカデミー(アカデミー・デ・ボザール)会員に選出、ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターにも多数の作品が収蔵されるなど、戦後のフランス美術界にとって重要な人物でした。 

ジャン・コルトー(1925-2018)

 L’homme se pare de ses chances (人は幸運を身にまとう)

  画:ジャン・コルトー(1925-2018)

  テキスト:ポール・ヴァレリー(1871-1945)

 

 このたび川棚の杜が開館15周年を迎え、ジャン・コルトーの絵画が初披露されることとなりました。

 この絵画は、幼少期から親交のあった詩人ポール・ヴァレリーへのオマージュとして描かれました。川棚とジャン・コルトーとの友情の証として寄贈され、訪れる人々の幸せを願い、末永く展示することを約束しました。鮮やかな色彩とエネルギーに満ち溢れた作品は、ジャン・コルトーのエスプリそのものと言えるでしょう。

自由な筆致と鮮やかな色彩で描かれたジャン・コルトー絵画

 アルフレッド・コルトー ポートレート

  1952年、帝国ホテルにて撮影

 コルトーの愛弟子であり、日仏両国において多大な功績を残されたピアニストの遠山慶子氏(1934-2021)からご寄贈いただいたアルフレッド・コルトーのポートレートも、このたび披露させていただきました。遠山氏が帝国ホテルで初めてコルトーと出会った時に撮影したもので、遠山氏は生前コルトーを想い、いつも居間で眺めていたそうです。

 アルフレッド・コルトーへのオマージュとして誕生した「川棚の杜・コルトーホール」に、ジャン・コルトーの絵画とメモリアルな写真を迎え入れること。それは、父から子へ、師匠から教え子へと受け継がれた芸術への精神を、訪れる人々と分かち合い、未来へつないでいくことと考えます。

遠山慶子氏とコルトーが初めて出会った帝国ホテルにて撮影
寄贈の経緯を紹介する川棚温泉まちづくり株式会社 代表取締役 髙瀬利也
200名の来場者に見守られ一般公開を迎えた絵画とポートレート
川棚の杜にて一般公開

第二部・演奏会(第15回川棚・コルトー音楽祭/京都フランス音楽アカデミー特別演奏会)

 川棚の杜では開館以来、京都フランス音楽アカデミー実行委員会および関西日仏学館のご協力により「川棚・コルトー音楽祭/京都フランス音楽アカデミー特別演奏会」を開催し、パスカル・ロジェ氏(Pf.)、ブルーノ・パスキエ氏(Vla.)、フィリップ・ミュレール氏(Vc.)など、数々の世界的音楽家をお迎えしてきました。 今年は、オーボエ奏者のマチュー・プティジャン氏(パリ・エコール・ノルマル音楽院教授/モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団首席オーボエ奏者)と、ピアノ奏者の西岡仁美氏をお迎えし、コルトーと同時代を生きたラヴェルとプーランク、そしてコルトーが愛した作曲家シューマンの作品を演奏いただき、コルトーが追求した色彩豊かなフレーズと文学的イメージに溢れた至福の音楽体験を、ご来場の皆様とともに分かち合いました。

[演奏曲目]

プーランク:オーボエ・ソナタ
ラヴェル:ソナチネ 第一楽章、クープランの墓 5.メヌエット
シューマン:夕べの歌、月の夜、静かな涙

プーランク:愛の小径 ※アンコール

[マチュー・プティジャン氏 コメント(演奏を終えて)]

 まず始めに、ここに招待していただいたことに大変感謝しています。なぜならコルトー島(厚島)のことを聞いていましたし、音楽のことだけでなく、文化的なつながり、コルトーが島に惚れ惚れしたこと、その他さまざまなお話を思い返し、昨日ここに到着した時にはたくさんの感情があふれていました。今日お聴きくださった皆さんが、温かく迎えて下さったことに感激するとともに、フランスで有名なアルフレッド・コルトーが、ここでまた生きている感覚をも感じました。昨日はよく眠れて、良い夢もみましたが、今日ここで演奏させていただいて、くつろいで、安心して、コルトーのことも考え、表現豊かに演奏できたと思います。

日時:2026年3月22日(日) 15:00開会

主催:下関市

企画制作:川棚温泉まちづくり株式会社

企画制作協力:京都フランス音楽アカデミー実行委員会、関西日仏学館

協賛:株式会社ビュッフェ・クランポン・ジャパン


川棚におけるコルトー顕彰活動の歩み

年表(一部抜粋)

1952年

アルフレッド・コルトーが生涯で1度きりとなった来日ツアーを開催。

宇部公演・下関公演に際して川棚観光ホテルに滞在。(10/7~10の3泊4日)

1955年

コルトー来日の3年後、下関合唱協会が厚島でコーラス練習を行い、コルトーの偉大な音楽精神を偲ぶ。

1962年

コルトーの訃報に際し、下関合唱協会が厚島で追悼演奏を行う。

1979年

豊浦町史にコルトーの川棚来訪が記載される。

 ※川棚におけるコルトー顕彰活動が途絶える。

2003年

パリ・エコール・ノルマル音楽院が、音楽院に伝わる「カワタナにある夢の島」探しを開始。同音楽院の中沖玲子教授が川棚来訪。

2005年

川棚グランドホテルお多福にて「プレ・コルトー音楽祭」を開催。

2007年

下関市長と川棚の住民が、パリ・エコール・ノルマル音楽院を訪れ、アンリ・ジュエル校長とコルトーの子息ジャン・コルトー氏と面会。

2008年

下関市とパリ・エコール・ノルマル音楽院がパートナーシップを結ぶ。建設予定の下関市川棚温泉交流センターの大交流室をコルトーホールと命名する承認を得る。

2010年

コルトーが滞在した川棚観光ホテル東館跡地に「下関市川棚温泉交流センター(川棚の杜・コルトーホール)」が誕生。

「川棚・コルトー音楽祭」および「京都フランス音楽アカデミー特別演奏会」を初開催し、翌年以降も継続開催。

2012年

コルトー没後50年・川棚来訪60周年を記念して、命日である6/15に「追悼の集い」を開催。翌年以降も「コルトーを偲ぶ会」として継続開催。

シンポジウム「いま、アルフレッド・コルトーから受け継ぐべき魂」を開催。コルトー胸像と記念プレートを建立。

2026年

開館15周年記念式典・演奏会「第15回川棚・コルトー音楽祭/京都フランス音楽アカデミー特別演奏会」を開催。

ジャン・コルトー氏寄贈の絵画「L’homme se pare de ses chances (人は幸運を身にまとう)」、および遠山慶子氏寄贈のアルフレッド・コルトー ポートレートを除幕披露。

2008年/下関市・エコールノルマル音楽院パートナーシップ締結
2012年/シンポジウム「いま、アルフレッド・コルトーから受け継ぐべき魂」
川棚の杜に建立されたコルトー胸像

 今でも、コルトーの命日である6月15日には、毎年「コルトーを偲ぶ会」を開催し、川棚の住民とともに顕彰活動を続けています。

 また、クラシックだけではなく、様々なジャンルの音楽イベントを行い、民藝やクラフトをテーマにした文化イベントも多数開催するなど、これからも地域の文化交流の拠点として重要な役割を果たしていきます。

川棚ソングライン
MT展
川棚温泉まつり
藁細工展

 島と山にやさしく守られた川棚温泉。やさしい風土を未来へ詩い継ぐ「庭園のまちづくり」。庭園のまちを舞台に旅人と里人が出会い、新しい物語がまたひとつ生まれます。

〝 まちかどに音楽を 生活に芸術を 美しい時間をご一緒に 〟

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アート・カルチャー音楽
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会社概要

川棚温泉まちづくり株式会社

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URL
-
業種
サービス業
本社所在地
山口県下関市豊浦町川棚5180
電話番号
083-774-3855
代表者名
髙瀬利也
上場
未上場
資本金
-
設立
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