「ホールディングス」を名乗る会社が10年で約2倍 ─ 会社を「分けて束ねる」経営の広がりを全国2.4万社の登記から読む

2倍増の背景には新設だけでなく既存企業の「転換」あり。

株式会社Compalyze

法人データベース「Compalyze(カンパライズ)」を運営する株式会社Compalyze(本社:滋賀県草津市、代表取締役:鈴木隆士)は、国税庁の法人番号データ(活動中の全登記法人)をもとに、商号に「ホールディングス」「HD」または英語表記「Holdings」を含む会社を持株会社の代理指標として抽出し、その動向を分析する調査を実施しました。

分析の結果、これらの会社の新設数は2016年から2025年にかけて約2倍に増えており、その広がりは大企業のグループ再編にとどまらないことがわかりました。増加の主役は新規設立よりも既存会社の「転換」であり、決算公告の義務を持たない合同会社の「ホールディングス」が外資やファンドの器として積み上がる一方、ホールディングス化したのちに畳まれた会社も2千社を超えます。

本調査では、社名に表れた「持株会社化」を、件数・転換・所在地・法人格・解散という登記から確かめられる事実に基づいて整理しました。

データ引用時のお願い

本調査データを引用・利用される際は、以下のURLと出典を明記してください。

URL:https://compalyze.co.jp/journal/holdings-formation-trend

出典:「ホールディングス」を名乗る会社が10年で約2倍 ─ 会社を「分けて束ねる」経営の広がりを全国2.4万社の登記から読む

調査サマリ

  • 「ホールディングス」を名乗る会社の新設は、2016年の960社から2025年の1,999社へと約2倍。新設会社全体に占める割合も0.94%→1.43%へ上昇。

  • 現存する約2.4万社(23,627社)のうち少なくとも3,146社(13.3%)は、もともと別の社名だった会社が途中で「○○ホールディングス」へ商号変更したもの。持株会社化は「新規設立」より「転換」で広がっているとみられる。

  • 34.0%(8,027社)が東京都に集中。会社全体の東京シェア24.4%を上回る集中は、事業所よりも「支配・管理機能」の集積を映しているとみられる。

  • 合同会社の「ホールディングス」1,400社(5.9%)の約4割(40.3%・564社)は外資・英字系。司令塔ではなく、外資の日本統括やファンドの器という性格がある。

  • ホールディングス化した後に解散・合併で畳まれた会社が累計2,489社。増える一方ではなく、出入りのある現象。

「ホールディングス」は10年で約2倍に増えた

新設は2016年の960社から2025年には1,999社へと増加しました。新しく生まれる会社全体(会社5種)に占める割合も0.94%から1.43%へ上がり、相対的な存在感も高まっています。

2016〜2020年は年950〜1,100社前後で大きな伸びはありませんでしたが、2021年からは1,268社、1,419社、1,618社、1,847社、そして2025年の1,999社へと、はっきりと加速しました。この10年の倍増は、後半5年の伸びが牽引しています。

持株会社(ホールディングス)の新設数と、新設会社に占める割合の推移(Compalyze調べ)

増加の主役は「新設」ではなく「転換」

ホールディングスの増加というと、新しい持株会社が次々と設立される様子を思い浮かべがちです。しかし登記の履歴をたどると、実態は異なります。現存する約2.4万社のうち、少なくとも3,146社(13.3%)は、もともと「ホールディングス」ではない社名だった会社が、途中で「○○ホールディングス」へ商号を変更したものです。

「○○株式会社」が「○○ホールディングス株式会社」へと名称を変える動きは、既存の会社の上に持株会社を新設して株式を集約するいわゆる「抜け殻方式」や、事業の分社化にともなって生じます。この3,146社は商号変更履歴を捕捉できた範囲の下限値であり(制度開始は2015年10月で、それ以前の改称は追えません)、実際の転換件数はさらに多いとみられます。持株会社化は、ゼロから生まれた新しい会社よりも、すでにある会社の「持ち方の組み替え」として広がっている可能性が高いといえます。

東京に集まるのは「事業」ではなく「支配機能」

全国約2.4万社のうち、34.0%(8,027社)が東京都にあります。3社に1社近くが東京にある計算です。会社全体(会社5種)の東京シェアは約24.4%で、「ホールディングス」はそれを10ポイント近く上回ります。以下、大阪(2,265社)、愛知(1,646社)、神奈川(1,249社)、福岡(1,040社)と大都市圏が続きます。

「ホールディングス」を名乗る会社の都道府県別社数 上位12(Compalyze調べ)

ここで一歩踏み込めるのは、この東京集中が「事業の集中」とは限らない点です。地方の工場・店舗・介護施設・建設会社を子会社として残し、その上に置く持株会社だけを東京に設けるケースが考えられます。その場合、ホールディングスの東京集中は、事業所の集中というよりも、資本・管理機能・専門家サービスの集中を映している可能性があります。登記データから目的を特定することはできませんが、持株会社という器の性質とは整合する読み方です。

「合同会社ホールディングス」──外資とファンドの器

法人格を見ると、ホールディングスの9割は株式会社です。約2.4万社のうち、株式会社は21,783社(92.2%)を占めます。残りで目を引くのが、合同会社の「ホールディングス」が1,400社(5.9%)ある点です。「ホールディングス」という重厚な名称と、最も軽い器である合同会社という組み合わせの内側を見ると、それは大企業グループの司令塔ではありませんでした。

合同会社ホールディングスの社名を分けると、約4割(40.3%・564社)が英字や「ジャパン」を含む外資・英字系です。合同会社は決算公告の義務がなく、機関設計も軽く、米国親会社の税務(パススルー課税)とも相性がよいため、外資が日本に置く持株・統括会社にとって使い勝手のよい器になっています。残りには、ファンドや証券化の受け皿(SPC)、国内オーナーの資産管理・承継の箱が続きます。「合同会社のホールディングス」は、司令塔というよりも、資本を整理し外から見えにくくするための器に近いとみられます。

合同会社「ホールディングス」1,400社の内訳(外資・英字系40.3%/国内59.7%、Compalyze調べ)

増える一方ではない ── 畳まれるホールディングス

ホールディングス化は右肩上がりの潮流に見えますが、逆方向の動きもあります。ホールディングスを名乗った会社のうち、すでに解散・閉鎖したものが累計2,489社あります。内訳は、合併による解散などが1,260社、清算の結了などが1,112社、登記官による閉鎖が117社です。新設が960社から1,999社へ伸びる裏側で、毎年160〜290社が畳まれてきました。

合併による解散が最も多い点は示唆的です。持株会社をいったん設けたものの、グループ再編やM&Aのなかで上位の会社に吸収され、役目を終えるケースがあります。逆に、ホールディングス側が他社を吸収して大きくなる動きも活発で、組織再編データに登場するホールディングスは2,751社、うち合併の「受け皿」となった再編は1,548件にのぼります。持株会社化は、設けては畳み、束ねては組み替えるという出入りのある現象であり、あらゆる場合に有効な唯一の解ではありません。

ホールディングスの新設と解散・閉鎖の推移(Compalyze調べ)

純粋持株か、事業持株か ── 従業員のありかが映すもの

持株会社は本来、従業員を傘下の事業会社に置き、親会社自身は身軽であることが多いとされます。判明している範囲では、ホールディングス本体の従業員規模は「不明」が69.0%、「10人以下」が22.8%を占め、大多数が人を直接は抱えていません。人は子会社側にいるという、純粋持株型の姿です。

その中で、従業員1,000人超を持株会社「本体」に抱える会社は、全2.4万社のうちわずか39社のみ存在します。これらは、純粋持株会社であれば子会社に置くはずの従業員を、あえて親会社本体に抱えている、すなわち自ら事業や強力なグループ管理機能を担う「事業持株会社」だと読めます。同じ「ホールディングス」でも、人を持たない器と、人を抱える司令塔とでは、中身が大きく異なります。

※本リリースでは主要な切り口のみを掲載しています。各章の詳細データ・グラフ・算出方法の全文は、下記の Compalyze Journal の記事で公開しています。

▶全データ・分析の詳細はこちら

「ホールディングス」を名乗る会社が10年で約2倍 ─ 会社を「分けて束ねる」経営の広がりを全国2.4万社の登記から読む

調査概要

調査主体

株式会社Compalyze

調査対象

国税庁 法人番号公表データに基づく国内の全登記法人(約580万法人)。新設の集計は会社5種(株式・合同・有限・合資・合名)を対象。

集計期間

新設の年次推移は2016年〜2025年(法人番号制度開始が2015年10月のため、通年で追えるのは2016年以降)。

データ

法人番号データ(設立・法人種別・所在地)、登記の組織変更、Compalyze が事業内容・従業員規模を把握した会社の補助情報。

方法

法人種別コード別に新設・存続・組織変更を集計。割合は会社5種を分母とする(一般社団法人・NPO等を含む民間調査の新設法人全体とは分母が異なる)。

留意点

「登記上の存続数」は休眠を含み、活動中の会社数ではない。従業員規模・業種の構成比は把握できた会社を母数とした傾向値であり、全体像とは幅がある。


Compalyze について

Compalyze は、登記・決算公告・知財・役員・公共調達など企業の公開データを全件規模で統合し、企業分析・営業・投資・M&A の意思決定を支援する企業データベースです。(https://compalyze.co.jp

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URL:https://compalyze.co.jp
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会社概要

株式会社Compalyze

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URL
https://www.compalyze.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
滋賀県草津市西大路町 2番2号草津-BASE-9
電話番号
-
代表者名
鈴木隆士
上場
未上場
資本金
-
設立
2025年05月