微細電流を用いたバイオカレント歯ブラシ、4週間の比較試験で歯肉炎症指標に有意 差
軽度~中等度の歯肉炎を有する成人99名を対象に、ソニック電動歯ブラシ・手用歯ブラシと比較。研究成果がNatureが発行する国際学術誌「Scientific Reports」に掲載
日本トロマツ株式会社は、TROMATZの技術基盤であるバイオカレント技術に関連する新たな臨床研究が、Springer Natureが発行する査読付き国際学術誌Scientific Reportsに2026年9月1日付で掲載されたことをお知らせします。
今回報告された研究は、軽度から中等度のプラーク誘発性歯肉炎を有する成人99名を対象に、バイオカレント歯ブラシ、ソニック電動歯ブラシ、手用歯ブラシの3群を直接比較した4週間の無作為化・検査者盲検・並行群試験です。
主要な結果として、4週間後のベースライン調整済み歯肉指数(Gingival Index:GI)は、バイオカレント群で0.82、ソニック群で1.08、手用群で1.41となり、バイオカレント群はソニック群(P=0.023)および手用群(P<0.001)と比較して統計学的に有意に低い値を示しました。
一方、歯垢指数(Plaque Index:PI)については、バイオカレント群とソニック群の双方が手用歯ブラシ群より良好でしたが、バイオカレント群とソニック群との間に統計学的有意差は確認できませんでした。
研究デザイン
本研究は蔚山大学病院の歯科・歯周科研究チームによって実施されました。
対象となったのは、全身的に健康で軽度~中等度のプラーク誘発性歯肉炎を有する成人99名です。
参加者は無作為に各33名ずつ、
群 / 割付人数
バイオカレント歯ブラシ / 33名
ソニック電動歯ブラシ / 33名
手用歯ブラシ / 33名
の3群へ割り付けられ、同一条件のフッ化物配合歯磨剤を使用して1日2回、4週間ブラッシングを行いました。評価者は参加者の割付を知らない検査者盲検とされ、GI、PI、プロービング時出血率(%BOP)などが評価されました。試験はClinical Research Information Service(CRIS)にKCT0011422として登録され、蔚山大学病院IRBの承認を受けて実施されています。
歯肉指数(GI)ではソニック群との間にも統計学的有意差が確認できました
4週間後のベースライン調整済みGIは、
バイオエレクトリック群 0.82
ソニック群 1.08
手用歯ブラシ群 1.41
でした。
※GIは歯肉の炎症状態を評価する臨床指標であり、数値が低いほど炎症所見が少ないことを示します。
バイオカレント群とソニック群の比較ではP=0.023、手用歯ブラシ群との比較ではP<0.001となり、本試験条件下では両対照群に対する統計学的有意差が確認されました。
※ここで重要なのは、本研究が単に「手磨き」と比較したものではなく、機械的プラークコントロールに実績のあるソニック式電動歯ブラシを対照群として含めたことです。
電動歯ブラシは一般に手用歯ブラシと比較してプラーク・歯肉炎低減に一定の有効性を持つことが既存研究でも示されており、その比較対象を含めた3群試験である点が今回の研究デザインの特徴です。
最新のネットワークメタ解析でも、電動歯ブラシ全体では手用歯ブラシより歯肉炎低減に有利な傾向が報告されています。
歯垢指数ではソニック歯ブラシとの有意差は認められず
歯垢指数については、バイオカレント群とソニック群はいずれも手用歯ブラシ群より良好でした。
しかし、バイオカレント群とソニック群の間にPIの統計学的有意差はありませんでした。
つまり今回の結果は、「バイオエレクトリック歯ブラシがソニック歯ブラシより大量に歯垢を除去したため、GIが低下した」と単純には説明できません。研究者らはこの結果について、機械的ブラッシングとは異なるバイオカレント作用が歯肉炎症指標へ影響した可能性を考察しています。
歯肉出血率では手用歯ブラシ群との有意差が確認できました
4週間後のプロービング時出血率(%BOP)のベースライン調整値は、
バイオカレント群 8.76%
手用歯ブラシ群 14.30%
となり、手用歯ブラシ群との比較で統計学的有意差が認められました(P=0.033)。
一方、ソニック群との比較では%BOPについて有意差は確認されていません。
したがって、「すべての歯肉炎症指標についてソニック歯ブラシを上回った」という解釈には至っておりません。
4週間の試験期間中、本研究では有害事象は報告されませんでした。
「バイオエカレント」という異なるアプローチ
歯ブラシによるプラークコントロールは、基本的にはブラシ毛の接触や振動による機械的除去を中心に発展してきました。これに対しバイオカレント技術では、低レベルの電気的刺激を用いてバイオフィルムへ作用するという、機械的ブラッシングとは異なる研究アプローチが取られています。
今回のScientific Reports論文では、50~200μAの低レベル微細電流を利用する技術として説明されています。これまでの基礎研究では、バイオカレント技術をON/OFFした条件や既存歯ブラシとの比較が行われ、一定の実験条件下でバイオフィルム除去への寄与が検討されてきました。過去の研究では10MHzの電気信号を用いたin vitro評価も報告されています。
また2021年には、40名を対象とした臨床研究で、バイオカレント歯ブラシと対照歯ブラシを比較し、歯間部GIに有意差が認められたことが報告されています。一方、全歯面PIなどでは有意差が認められない項目もありました。
今回の99名を対象とした3群RCTは、こうした先行研究を踏まえ、ソニック式電動歯ブラシを比較対象に加えて臨床評価を行った研究として位置付けることができます。
≪論文情報≫
論文名:Efficacy of bioelectric toothbrush in reducing gingival inflammation: a randomized controlled trial
著者:Jinhee Ha, Jihyun Lee
掲載誌:Scientific Reports
公開日:2026年9月1日
DOI:10.1038/s41598-026-68948-y
※本論文は査読を経て受理された論文で、恒久的DOIが付与されています。
韓国でも研究成果を報道
本研究については2026年9月22日、韓国のMoneyTodayが報道し、Naver NEWS上でも配信されました。報道では、99名を対象とした3群RCTであること、GIではソニック群との比較でも有意差が確認された一方、PIではバイオカレント群とソニック群の間に有意差がなかったこと、研究期間が4週間であることなどが紹介されています。
今回の研究結果を、私たちは「一つの試験ですべてが証明された」とは考えていません。
一方で、手用歯ブラシだけでなくソニック式電動歯ブラシを含めた無作為化比較試験において、歯肉指数で統計学的有意差が示されたことは、バイオカレント技術を研究していく上で重要な臨床データだと受け止めています。また、歯垢指数でソニック群との有意差が認められなかった点については、電子アプローチ(無刺激無振動)により、歯垢除去機能に定評のあるソニック群と同等の結果が得られたという点において、ポジティブな結果と捉えています。日本トロマツとしては、歯科医師、研究者と議論しながら、どこまで科学的に説明できるのかを今後も一つずつ検証していきたいと考えています。
日本トロマツ株式会社
代表取締役 金原巧治 コメント



日本トロマツ株式会社
本社所在地: 東京都江東区有明3-7-11有明パークビル20F
会長:木原定男(元 フジ医療器 代表取締役)
代表取締役:金原巧治 / CTO:金英旭博士(TROMATZ研究開発者)
執行役員:山本雅章
事業内容:『TROMATZ(トロマツ)』ブランドの国内外事業展開
本件に関する報道機関等からのお問い合わせ先
日本トロマツ株式会社 広報担当
メールアドレス:ceo@tromatz.jp
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