日本空間デザイン賞 2021年度 KUKAN OF THE YEAR「未来コンビニ」「神水公衆浴場」の2作品に決定

DSA(一般社団法人日本空間デザイン協会、会長：鈴木恵千代、所在地：東京都港区)とJCD（一般社団法人日本商環境デザイン協会、理事長：窪田茂、所在地：東京都品川区）が共同主催する日本空間デザイン賞は、9月25日の最終審査にて金賞・銀賞・銅賞の合計33作品を選出し、金賞に選ばれた11作品の中から「未来コンビニ」「神水公衆浴場」の2作品を今年度の「KUKAN OF THE YEAR 2021」に決定しました。

 

贈賞式

11月12日に東京デザインセンター（東京・五反田）で贈賞式が開催され（コロナ感染拡大予防配慮のため、来場者は受賞者と関係者に限定）、金銀銅賞・KUKAN OF THE YEAR受賞者にトロフィーと表彰状が贈呈されました。式典では、審査員のペギー・ルイ氏（メルシーメディア 代表取締役）から講評として日本の空間デザインが世界に与える影響や外国から見た日本の空間デザインの真の価値などが述べられ、またKUKAN OF THE YEAR 2021に輝いた2作品の受賞者とモデレーター(飯島直樹 JCD理事)によるトークセッションが行われました。

 

トークセッション

日本空間デザイン賞KUKAN OF THE YEAR/日本経済新聞社賞 2021

作品名： 未来コンビニ
受賞者： コクヨ株式会社 佐藤 航

作品名： 神水公衆浴場
受賞者： 事業主・構造設計 黒岩構造設計事ム所 黒岩裕樹・黒岩ヒロ子
　　　　全体統括・建築設計監理 株式会社ワークヴィジョンズ 西村 浩
　　　　建築設計監理協力 竹味佑人建築設計室 竹味佑人

日本空間デザイン賞とは：
2019年に誕生した日本で唯一かつ最大級の空間デザインアワードです。国内外の優秀なデザイナーや、卓越したデザイン作品を発掘し、評価をすることを目的としています。素晴らしいデザインを日本から世界に発信し、「空間デザインのちから」を多くの人々に伝えていきます。

リリース資料：
・本リリース
・データ1： 2021年度 KUKAN OF THE YEAR 2作品 画像2点

 

未来コンビニ

作品名： 未来コンビニ
受賞者： コクヨ株式会社 佐藤 航
写真クレジット： ナカサアンドパートナーズ 山本 慶太
 

 

神水公衆浴場

作品名： 神水公衆浴場
受賞者： 事業主・構造設計 黒岩構造設計事ム所 黒岩裕樹・黒岩ヒロ子、
　　　　全体統括・建築設計監理 株式会社ワークヴィジョンズ 西村 浩、
　　　　建築設計監理協力 竹味佑人建築設計室 竹味佑人
写真クレジット： 小川 重雄

*上記2作品をご掲載いただく際には、どれか１作品ではなく必ず2作品ともにご掲載いただきますようお願い申し上げます。

・データ2： 贈賞式会場スナップ 画像５点
贈賞式会場スナップ写真クレジット：HIROSHI TSUCHIDA
参考： 

 

審査員：ペギー・ルイ氏による講評

審査員選評：『年鑑日本の空間デザイン2022』(発行：六耀社、2022年2月発売予定) より一部抜粋
未来コンビニ： ペギー・ルイ (メルシーメディア 代表取締役)
今後、A.I.やデジタルサービスは、私たちのデザインや日々の生活を大きく変えていく可能性があり、その中で、私たちはデザインの本当の意味での未来がどうなるのかを考えざるをえない。私の個人的な見解では、「未来コンビニ」はシンプルな中にも人間らしい叙情的なデザインがされており、最も洗練されているのは、点から点へのつながりをどのように構築するかを提案しているところだと思う。おそらくこのプロジェクトの設計者も同じ考えをもっていると思う。
コンセプトだけでなく、明るい色で塗られたY字型の柱は、まるでコンビニの中に立ち並ぶ木々のように、構造体さらには地域全体を支え、照らし出しているように見える。デザインの意図は成功していると言えるだろう。
シンプルなデザイン、シンプルなミッションは人々のニーズを満たすためのものであり、デジタルやA.I.によって分析開発されたものが人間の代わりになることは好ましくない。「未来コンビニ」のプロジェクトやデザインには、意味のある多くのメッセージが込められており、また一方で、そこから、デザインのさらなる拡張の可能性＝「未来」も見えてくるだろう。
神水公衆浴場：佐藤 卓 (グラフィックデザイナー、TSDO 代表取締役会長)
熊本地震の経験から生まれた新しい発想の災害支援住宅である。地震のあと、多くの人がお風呂に入れず苦労していたからと始めた広いお風呂は、一般公衆浴場としての許可を得て、家族と地域が混ざり合う場所になった。つまり個人の住宅が、普段から公的な使われ方をしているため、災害時には自然に支援の施設になるという、これまでになかった柔軟さをこの住宅はもっている。ここには災害時に、決められた一つの大きな避難場所に集まるという考え方とは異なった災害対策のあり方が、具体的な空間デザインとして示されている。建築資材としての木も、地元の木材を９割使用し、水も阿蘇から流れる肌触りの滑らかな地下水を汲み上げていて、資源の循環を考慮した設計になっている。このことは普段から、子どもたちが環境に意識を向けるための教育的な意味をもつ。空間としても、耐震構造は担保した上で、木の質感を存分に活かした天高の空間は、開放的で新しくもあるが、どこか懐かしい銭湯の趣もあり、その絶妙なバランスが素晴らしい。個人の働きかけにより、公共と個の壁を超え、こんな新しい意味をもった空間ができるのだと社会に示してくれたことは、これからの災害支援空間の考え方に大きな影響を与えるだろう。

受賞者コメント：

受賞者：未来コンビニ

未来コンビニ：コクヨ株式会社 佐藤 航
子どもを育み木頭の未来をつくる、そのためのコンビニとはどのような建築なのか。熟考を重ねた結果、これまでの地方や子どもにおけるデザインの延長ではなく、木頭の大自然やアイデンティティを取り込み、地域の方々が誇りに想い、世界から共感を呼ぶ建築が必要だと考えました。今回の設計はいわば、人や地域とその先の世界、そして過去から未来までこれらのストーリーを紡ぎオリジナルに仕立てる作業でした。このストーリー作りに関わった全てのプロジェクト関係者と共にこの栄誉ある受賞を喜びたいと思います。
 

受賞者：神水公衆浴場

神水公衆浴場：黒岩構造設計事ム所 黒岩裕樹
この度は、日本空間デザイン賞2021 KUKAN OF THE YEARを頂き、誠にありがとうございます。この栄誉ある賞を受賞できましたのは、設計チームのみの力ではなく、施工に協力して頂いた施主の友人達、新しく一般公衆浴場を申請するために協力して頂いた各地域の町内会長とご近所の方々、日々の運営を支えて頂いている施主の両親のお陰と実感しております。今回の受賞を励みに、非常時にも公と個の壁を超えた災害支援住宅を継続的に進め、その後の地域への波及を微力ながら支えて参りたいと思います。
       

日本空間デザイン賞の公式ウエブサイトでは、2021年度の各受賞作品や主催団体の紹介などをご覧いただけます。また今後は受賞者インタビュー・オンラインセミナーなどの情報を追加掲載する予定です。
日本空間デザイン賞：https://kukan.design