Dawn Capital、100%再生可能・有害物質を一切含まない透湿防水性テキスタイル「AMPHITEX」を開発するAMPHICOへ出資
アウトドアウェアの環境汚染、PFAS化合物規制に対応する新素材を北陸で大量生産へ
有害物質PFAS化合物の規制が国際的に進み、アウトドアウェア市場におけるリサイクル可能な機能性テキスタイルへの代替需要が高まる中、AMPHICOは世界屈指の高い生産技術を有する北陸で「AMPHITEX」の大量生産を準備しています。Dawn Capitalからの調達を含め累計4億円の資金調達を完了し、今後「AMPHITEX」の商品化をより一層加速していきます。
■ AMPHITEXとは
AMPHICOは、材料科学研究者でありバイオミミクリーデザイナー※1 である亀井潤が創業したロンドン拠点のスタートアップです。AMPHICOはロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国王立芸術大学院大学、RCA)からスピンアウトし、バイオミミクリーとデザイン、サイエンス、エンジニアリングの融合を礎に、材料科学というミクロな視点から環境問題というマクロな問題の解決に向けた先端素材研究開発のため創業しました。
AMPHICOが開発するAMPHITEXは、防水性と透湿性、さらには伸縮性を共存させる100%リサイクル可能な素材です。これまでアウトドアウェアを中心に使用されてきた透湿防水生地は、撥水および防水性能を付与するためにPFAS※2と呼ばれる有害な化学物質が使用され、深刻な環境汚染を引き起こす課題が指摘されています。
2019年より世界的なパンデミックが起こり、人々の日常生活の様々な面で制限が生まれた中、キャンプをはじめとするアウトドアスポーツへの関心が高まり、アウトドアアパレル市場は堅調に成長を続けています。更に、自然との向き合い方の一つである、持続可能な商品の需要も高まり、消費者が求める透湿防水性、撥水性に加え、作り手の素材や製造プロセスの透明性も注目されています。この流れは米国、欧州ですでに顕著で、PFAS化合物の規制が本格的に進んでおり、今後はアウトドアアパレル市場におけるリサイクル可能な機能性テキスタイルの需要が急速に拡大することが見込まれます※3。
Dawn CapitalはこうしたAMPHICOに大きな可能性を感じ、同社への出資を決定いたしました。
参考動画 : https://youtu.be/bCgZ4OmQaqM
■ 今後の展開
AMPHITEXの研究開発はロンドンを拠点に進行中で、試作、販売に向けた大量生産の準備はヨーロッパと日本の両方で展開中です。しかし中でも、北陸地方の世界屈指の高い生産技術を有する企業との試作はグローバルでとても評価が高く、今後相互協力しながら、更なる大量生産に向けた開発を加速させていきます。
2023年末には商業化に向けた体制を整え、生産量を増加させることを目指しています。2024年には複数のグローバルブランドとのコラボレーションに向けて、本格的に増産を加速させます。さらに2025年以降は、米国カリフォルニア州やEUで導入されると考えられるPFAS化合物規制をにらみ、アウトドアアパレル市場にAMPHITEXを使用した製品の本格展開を目指します。
■ Dawn Capital Senior Associate 柳沢 佳典コメント
アカデミックな研究からシームレスに事業化させる亀井CEOの経営センスと、元AppleCDO Sir Jonathan Iveをはじめとした強力なメンター陣・グローバルなチームに、卓越したプロダクトを世界に普及させる大きな期待を抱きました。環境問題という地球規模の大きな社会課題に対し、産学官を巻き込みながら、AMPHICOがグローバルのスタンダードを作る存在だと確信しています。Dawn Capitalから出資させていただき、AMPHICOと成長をともにできることをとても嬉しく思います。
■ AMPHICO CEO 亀井 潤コメント
AMPHICOはロンドンを拠点とし、生物から着想を得て様々な新規素材を開発するスタートアップです。
今回、東京を拠点とするベンチャーキャピタルであるDawn Capitalからの投資により、主力技術である次世代透湿防水テキスタイルAMPHITEXの量産体制を整え、商業化をいっそうに加速していきます。さらにDawn Capitalの支援により、AMPHICOは日本市場での拡大を目指します。
■ AMPHICOのチーム
CEO 亀井 潤(写真左):起業家、材料科学研究者、バイオミミクリーデザイナー
2011年の東日本大震災をきっかけに自然と科学、そしてテクノロジーの共存を考えるようになる。東北大学 大学院 応用化学専攻でポリマーサイエンスを研究。卒業後、2015年に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に留学。2017年にRCAと東京大学生産技術研究所が共同で設立したDLX Design labでデザインと先端科学を横断する複数のプロジェクトの立ち上げに従事。その後、RCAに戻り人工エラ技術を開発。2018年AMPHICOを創業。人工エラで使用した技術がアウトドアアパレルに使用できることを発見。100%リサイクル可能、有害物質を一切含まない透湿防水性テキスタイルAMPHITEXを開発する。
CTO:Dr Deana Tsang(Imperial College London)
R&D, Commercialisation Lead:Hatim Cader
Lead Textile & Colour designer:Isabella Mackenzie (RCA)
Design Engineer:Fergus Telfer
Innovation Material Design Specialist: Claire Miller(RCA)
メンターに元AppleCDO Sir Jonathan Ive、VC VENREXのSasha Trower、欧州委員会からIrene Maffiniなどのメンバーが名を連ねます。また、2022年4月に英国王チャールズ3世と元アップルのデザイン最高責任者Sir Jonathan Iveが設立したTerra Carta Design Lab賞を受賞しています。
■AMPHICOについて
社名:AMPHICO(登記名Amphibio Ltd )
代表者:CEO 亀井 潤
所在地:ロンドン
設立:2018年
事業内容:100%再生可能・有害物質を一切含まない透湿防水性テキスタイル「AMPHITEX」の開発
URL:https://www.amphico.uk/about-us
■ Dawn Capital について
「Dawn Capital」は株式会社Akatsuki Venturesが運営するファンドです。
時代の先駆けとして世の中を照らす太陽のような存在を目指し、人々の心を動かすサービスやプロダクトを生み出すスタートアップへの投資と支援を展開していきます。ハンズオンチームに加え、アカツキ本体による経営・事業サポート体制も構築し、投資先を支援してまいります。
社名:株式会社 Akatsuki Ventures
ファンド:Dawn Capital
代表者:代表取締役社長 石倉 壱彦
所在地:東京都品川区上大崎2-13-30 oak meguro 8階
設立:2022年1月26日
注釈
※1 バイオミミクリーの「Bio」は生物、「Mimicry」は「模倣」の意味で、生物や植物など自然界からヒントを得て技術開発や商品開発をすることを指す。AMPHITEXの開発では水を弾く蓮の葉の構造がインスピレーションになっている。
※2 人工的に開発された有機フッ素化合物。水や油をはじく、熱に強いなどの特徴があり幅広い製品に使用されている。自然界ではほぼ分解されず、環境や人体への影響が懸念されている。
※3 2025年にはPFASを使用したアパレル用品はカリフォルニア州で販売することができなくなる。EU、英国はPFASに関するREACH規制の拡大を急速に進めている。EUでのEPR規制(Extended Producer Responsibility: 製造業者が、消費後の製品の廃棄物の処理とリサイクルに責任を負うことを要求する法律または規制のこと)が数年後に導入されることが予想され、それに伴ってリサイクル可能な機能性テキスタイルのニーズもさらに急速に拡大することが予想される。
※AMPHITEX™はAMPHICOの登録商標です
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