「bokashi(ぼかし)」開業1年を振り返る
意志ある循環社会の形成を目指して、食/映画/本/発酵/海…様々なテーマを多角的に探求するプロジェクトの軌跡
改めて、「bokashi」とは
複合スペースの名前として冠した「bokashi」は、農業用語の「ぼかし肥」という、米糠やおが屑などの有機物が発酵し肥料化して土に還元される工程に由来しています。「ぼかし」という言葉には「濃淡の境をはっきりさせないさま」という意味もあります。
複合スペースとしての形態は変化させつつ、「bokashi」は、意志ある循環社会の形成を目指して、農林水産業から社会情勢まで含むあらゆる人間の営みや、森・川・海などの自然環境の多様で複雑な繋がりを探求していくプロジェクトであると再定義しました。
また、そのひと・もの・ことの関係性をもbokashiと呼べるのでは、と考えています。
運営している多目的空間「bokashi Base」はbokashiの様々な活動の集積拠点と位置づけて、平日はコワーキングスペースとして営業しながら、イベントの開催や情報発信を行っています。
bokashi の活動
農林水産業から社会情勢まで含むあらゆる人間の営みや、森・川・海などの自然環境の多様で複雑な繋がりを探求するために、この1年間に行ってきたことを紹介します。
プロジェクトメンバーの中で定期的に続けてきた小さな活動もありますが、様々な主体と共に、時には道内外各地から参加者が集まるイベントもつくってきました。イベントにおいては「問い」を立て、映画などを楽しむだけではなく、その場に居合わせた人同士の出会いや何かのきっかけになるコンテンツを目指してきました。
■水曜よるごはん
水曜よるごはんとは、bokashi スタッフがつくったごはんを囲みながら、ひとつのテーマを語り合う会で、2022年11月より月に2回以上、小規模ながらこれまで続けてきました。
食事をすること自体よりも、その場を共にするひととのコミュニケーションを楽しんだり、何かを共に考えたりすることを大切にしています。
テーマ・献立は担当するスタッフが考案し、食材や食文化に関わるものだけでなく、人生や社会について語り合うようなものもありました。
また、月に一度bokashi Baseへ出店する移動本屋 またたび文庫の店主 羽地さんにテーマ本を選書してもらうコラボ回も実施しています。
・水曜よるごはん これまでのテーマ(一部)
菊芋の話/ワインぶどう農家さんの話/生乳の話/冬至の話/「銀の匙」の話
お気に入りの器と触感の話/食べものとからだの温度/買い物の話/わたしのカレーの話
・水曜よるごはん×またたび文庫コラボ これまでのテーマ本
北海道の食(村元直人 著)/資本主義を乗り越える(内山節 著)/料理と利他(土井善晴・中島岳志 著)/雑誌 Spactator vol.42「新しい食堂」/草木の聲(志村ふくみ 著)/野の医者は笑う(東畑開人 著)/SNSの哲学(戸谷洋志 著)
・またたび文庫
2022年5月より白老を拠点に活動する移動書店。2022年12月以降は月1回bokashi Baseに出店し、水曜よるごはんの場づくりも担っている。
現在拠点は改装工事中で、2024年1月おひろめ会ののちに「本のない本屋」として展示やイベント開催、5月には本格的に本屋として始動予定。
Instagram:https://www.instagram.com/matatabibunko_hon/
■月曜あさごはん
2023年3月まで、毎週月曜朝、おむすびと味噌汁をお供に誰かと過ごす時間を作りました。
週初めの朝にお互いの近況や最近気になっていることなどを話しながら、「はじめまして」と出会った相手でもテーブルを囲んでおむすびをただ頬張ったあとには「いってらっしゃい」と言い合って別れる。街中にあるスペースだからこそ実現したそんな風景を、なによりスタッフが一番楽しみにしていました。
■bokashi Cinema
映画愛好家キノ ヒデユキさんが“映画館長”としてテーマを設定しドキュメンタリー映画を上映するシリーズ企画。第1シーズンは「消費と 資本と 環境と」。
「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」など3作品を上映予定。
・11月7日上映イベントページ
https://bokashi-cinema002.peatix.com/
■ドキュメンタリー映画を通して戦争や平和について考える企画
ユナイテッドピープル代表 関根健次さんと、ドキュメンタリー映画上映を一つの軸に平和や戦争について考える企画を継続的に開催しました。
●2月25日「映画/ワイン/食を通して、戦争を地続きに捉える」
問い「わたしたちにとって、戦争はどういう存在でしょうか?」
『戦地で生まれた軌跡のレバノンワイン』上映とトークセッション、出張料理人 ソウダルアさんによるフードインスタレーション。ウクライナ侵攻から1年のタイミングにあわせ開催。
・開催告知リリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000101732.html
・イベント報告note記事
https://note.com/bokashi/n/nd131c5a96649
●5月23日「 映画/音楽/対話を通して、平和を思考する」
問い:「あなたにとっての平和とはなんですか?」
『パレスチナのピアニスト』上映と対話型ワークショップ。一般社団法人国連平和の鐘を守る会代表 高瀬聖子さんをゲストに迎え、参加者がより能動的に語り合うことを目指しワークショップ形式での対話と交流を設計。
●10月19日「緊急上映『ガザ 素顔の日常』」
『ガザ 素顔の日常』上映と関根さんとのトークセッション。急激な情勢悪化を受けての緊急開催だったにも関わらず、満員となった。
・ 関根健次さん
ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役、一般社団法人 国際平和映像祭 代表理事、ピースデー・ジャパン共同代表、PEACE DAY財団理事。
■1月15日「シェアリングを考える座談会」
問い「あなたは、誰と、何を、どのように”シェア”しますか?」
一般社団法人シェアリングエコノミー協会・代表理事の石山アンジュさんらを迎え、”シェア”という概念を通して、日常生活を見つめ、これから先の社会について考えを巡らせる座談会を開催。
・イベント報告note記事
https://note.com/bokashi/n/nf7342c2ebaeb
・一般社団法人シェアリングエコノミー協会
「Co-Society 〜シェア(共助・共有・共創)による持続可能な共生社会〜」をビジョンに掲げる、シェアリングエコノミー唯一の業界団体。
https://sharing-economy.jp/ja/
■3月20日 「生産の現場から、これからの食産業をともに考える」
問い「わたしたちは、30年後も今と同じような食を享受するために何ができるでしょうか?」
東の食の会専務理事の高橋大就さんと第一部はブランディング勉強会、第二部は交流会を実施。札幌だけでなく下川、羅臼、上士幌、釧路など各地域から様々な参加者が集まった。
・開催レポートリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000101732.html
・一般社団法人 東の食の会
東北で食産業を牽引するリーダーに必要なスキルを学び、繋がり、連携し、行動する機会を創る。
https://www.higashi-no-shoku-no-kai.jp/
■4月19日「ちいさな問いの可能性 フォルケホイスコーレ/民主主義/サステナビリティ」
問い「みなさんの中にある、ちいさな問いは何ですか?」
Compath共同創業者 安井早紀さんとフォルケホイスコーレの精神を知り、Compathが大切にする「ちいさな問い」の可能性を考えるワークショップと対話、交流会を実施。
・株式会社Compath
北海道東川にて、デンマークのフォルケホイスコーレをモデルにした大人のための学び舎「School for Life Compath」を運営。
https://schoolforlifecompath.studio.site/
■5月30日「覆面座談会」
問い「紙の本に未来はあるのか。書店はいつかなくなるのか」
覆面座談会実行委員会と開催した紙の製造から出版、流通まで、紙の本に関わる匿名の登壇者による“覆面”トークイベント。
・登壇者でもあった佐藤優子さんによる、北海道書店ナビ レポート記事
[BOOKニュース]「2023年5月30日(火)札幌で「紙の本の未来」を語りあう!本に関わる12人の覆面男女たち座談会レポート」
https://www.syoten-navi.com/entry/2023/06/19/090000
■6月23日 「クラフトコーラ尽くしの夜」
クラフトコーラのパイオニアであるコーラ小林さんをお迎えし、クラフトコーラシロップを様々なアレンジで楽しみながら、スナックで語り合うようなリラックスした雰囲気でのイベントを実施。
・伊良コーラ(いよしコーラ)
クラフトコーラ専門メーカー。代表の小林さんが漢方職人だった祖父の技術と工房を受け継ぎ創業。
■6月30日~7月2日 「発酵する3日間 発酵シネマ/発酵ナイト/発酵マルシェ」
問い「【発酵】はお好きですか?」
北海道クラフトビネガー株式会社(本社:北海道日高郡新ひだか町)と共同で、6月29日㈭、30日㈮、7月1日㈯に「発酵する3日間」と題して、映画や飲食、本など、様々な切り口から発酵文化を楽しむ企画を開催。
・開催告知リリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000101732.html
・イベント報告note記事
https://note.com/bokashi/n/n596bb5ddad1e
・北海道クラフトビネガー株式会社
北海道の野菜・果実を原料にした、発酵 フルーツビネガー「SUNOMO」をブランド・商品化している。
■8月6日 「土と食卓 玉ねぎパーティー」
問い「わたしたちは、生産と消費の関係を変えるために、何ができるのか」
good food,good life和田順子さんと、国内版フェアトレードともいえる「KeepA」の仕組みを作った新篠津のたまねぎ農家「新篠津つちから農場」を訪ね、生産現場を見、取り組みを聞いて生産者と消費者の関係を考える対話の会を実施。
・実施報告ブログ記事
https://www.goodfood-goodlife.info/entry/2023/08/27/202613
・good food,good life
幼少期からの食育や、食のつくり手と消費者をつなぐイベントを通じ、食のSDGsやフードロスについて体験から学ぶ場を数多く提供している。
・Web:https://www.goodfood-goodlife.net/
■9月18日「水と人間 プラスチックの海〜水族館の人と考える海/生命/環境のこと〜」
問い「街に生きる私たちは、海と水の生き物と、彼らをとりまく自然環境と、どのようにともに生きていけるのでしょうか?」
AOAO SAPPOROを企画運営する株式会社青々と、映画「プラスチックの海」上映と水族館 AOAO SAPPORO館内特別ツアー、対話を合わせたイベントを開催。ここで出会った参加者同士で海洋プラスチック問題に触れるきっかけ作りのワークショップを近日bokashiで実施予定。
・開催告知リリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000101732.html
・株式会社青々
集客施設・ミュージアムの基本構想から企画・制作や運営のマネジメントまでをワンストップで提供し、ミュージアムの楽しさを追求するライフスタイルカンパニー。
■9月~「里山会議」
やまのかいしゃが中間支援団体となる札幌市里山魅力アップ支援事業の一環として、札幌市小別沢地域をひとつのフィールドとして「里山」というキーワードを多角的に捉える企画を進行中。
運営メンバー等を中心に企画アイディアを考える第0回、小別沢にて地域の方への関連プロジェクトを含めた活動紹介する第1回を実施。次回は第2回として、「つくると生きるを考える」をテーマに映画鑑賞とパネルディスカッションの会を12月開催予定。
・やまのかいしゃ
暮らしと自然、都市と生命の現在・未来を探求しようとする有志4人のコラボ。
Instagram: https://www.instagram.com/satoyama_collective/
開業1年を経て
「bokashi」というプロジェクトは、この世界にある/起きる全ての物事とその複雑な繋がりが探求対象ですが、ひとつの組織、ひとりひとりの人間ができることの範囲はとても小さいです。
この1年間、上記に紹介したものに限らず、大小様々でどれも一言では言い表せない活動の、それぞれを共にしてくださった全ての方に感謝します。
「ぼかし肥」のように、発酵させた場所だけに留まらず、少しずつ各々の場所に持ち帰られ色んな場所の土に蒔かれ、小さくてもなにかが育まれることを期待しながら、bokashiのプロジェクトメンバーも引き続き活動していきます。
関連リンク
本リリースで紹介し切れていない活動についてはInstagramの投稿でも報告しています。
今後のイベントの告知などもありますので、是非Instagram等で最新情報をご確認ください。
● 各種リンク:https://linktr.ee/bokashi_
● Web:https://bokashi.ink/
● Instagram:https://www.instagram.com/bokashi_sapporo/
● Facebook:https://www.facebook.com/bokashi.jp
株式会社マンクス・ロフタン/bokashiプロジェクト メンバーについて
●株式会社マンクス・ロフタン
食を入り口に森羅万象の複雑な繋がりを探求する企画会社。
「bokashi」の構想〜コンセプト立案から、関連企画の立ち上げを担う。
●bokashiプロジェクトメンバー
Aoi Maeda 前田碧 | マンクス・ロフタン Co-Founder/Planner
https://linktr.ee/aoi_m
企画・体験設計に従事。視点をずらすことで、人間世界の当たり前をぼかしていきたい。脱人間中心を考える人間中心設計専門家有資格。
Jun Okura 大倉準 | マンクス・ロフタン Co-Founder/Farmer
https://www.facebook.com/jun.okura.5
https://www.instagram.com/jun_jun_okura/?hl=ja
農家になるため北海道に移住し10年目。農村と都市の関係をぼかし、美味しいブルーベリーの栽培と循環可能な都市建築の実現のため奔走中。
Lisa Park 朴理沙 | マンクス・ロフタン Co-Founder/Producer
https://linktr.ee/lisa_p
ベンチャー・大企業の事業開発や、地方の中小企業と伴走してきた経験を活かし、多種多様なセクターにある境界をぼかし共創することに取り組む。今もこれからも私たちが希望を持てる世の中にしたい。
Yumi Arai アライユミ | bokashi ディレクター/bokashi Base マネージャー
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