2026年度日本経済学会賞授与

一般社団法人日本経済学会

一般社団法人日本経済学会(会長:石川城太・学習院大学教授)は、令和8年度の「女性研究者奨励賞(日本生命賞)(第6回)」「石川賞(第21回)」「中原伸之賞(第32回)」の受賞者を以下のように決定し、2026年9月12,13日に大東文化大学(板橋キャンパス)で開催された秋季大会において授賞式および受賞記念講演会を開催いたしました。

1)女性研究者奨励賞(日本生命賞):

田村友紀助教授(Assistant Professor)(エコール・ポリテクニーク)

日本経済学会・女性研究者奨励賞(日本生命賞)は、日本生命保険相互会社の寄付によって、2020年に創設されました。本賞は、優れた経済学研究を行う若手女性研究者に対して授与されます。田村友紀助教授は、マッチング理論を含むマーケットデザインの分野で国際的に影響力のある優れた研究を行ってきたことが高く評価されました。

田村助教授は2021年にロチェスター大学において博士号を取得しました。博士号取得後、既に8本の主要論文をJournal of Economic Theory、Games and Economic Behaviorをはじめとする国際的に著名な学術雑誌に掲載しています。田村助教授は、マッチング理論の中でも特に非分割財の交換問題に関して顕著な業績を挙げています。非分割財の交換ルールとしては、効率性、個人合理性、戦略的操作不可能性といった望ましい性質を満たすTop Trading Cycle(TTC)が広く知られていますが、田村助教授は、このTTCおよびその代替ルールについて、単谷型や単峰型といった選好構造の下での性質の分析や、各エージェントが複数の財を保有できる状況への一般化など、詳細な理論分析と特徴づけを行っています。

田村助教授の研究は、マッチング理論に対する深い理解に根差し、マーケットデザインの一層の発展を目指すものであり、今後のミクロ経済理論研究の発展に寄与するとともに、理論研究に取り組む若手研究者にとって優れたロールモデルとなることが期待されます。

https://www.jeaweb.org/awards/awardsnissei

左:石川城太教授(会長、学習院大学)                            中央:田村友紀助教授                                              右:井伊雅子教授(選考委員長、一橋大学)

2)石川賞: 

近藤絢子教授(東京大学)

日本経済学会・石川賞は、故石川経夫東京大学経済学部教授の日本経済分析への多大な貢献を記念して2004年に創設され、日本の経済・社会問題の解決に貢献する実証面や政策面での優れた経済学研究を行った50歳未満の経済学研究者に対して授与されます。近藤絢子教授は、就職時点の雇用環境の長期的影響に関する一連の研究をはじめとして、労働市場における制度等の因果的影響に関する研究に取り組み、学術的・政策的に多大な貢献をしてきたことが高く評価されました。

近藤絢子教授は2009年にコロンビア大学において博士号を取得しました。近藤教授の研究には、多様な社会経済政策等が個人の雇用・所得や家族行動に与える影響について、日本固有の課題に即した分析を展開するという特色があります。就職時点の雇用環境の長期的影響に関する一連の研究では、日本の労働市場では学校卒業直後の景気が雇用形態や賃金に長期的な「傷痕」を残し、さらに結婚・出産など家族形成にも影響を及ぼすことを明らかにしました。

労働市場における制度改革等の効果検証については、高年齢者雇用安定法の改正による定年延長等の影響、介護保険制度の報酬引き上げが介護産業の雇用と賃金に与えた影響、被災地の再就職を後押しするピア効果などを実証的に分析し、医療分野においても、国民皆保険制度の導入が医療サービスの利用行動や供給側に与えた影響を分析するなど、重要な政策的示唆を得ています。近年は自治体の行政データを積極的に用いて、「年収の壁」をはじめとする具体的な政策課題に関して直接有用な知見を明らかにしており、日本社会においてエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を推進する上で顕著な貢献をしています。

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左:石川城太教授(会長、学習院大学)                          中央左:近藤絢子教授                                                  中央右:石川幹子・東京大学名誉教授(故石川経夫先生夫人)                                                                            右:渡辺安虎教授(選考委員長、東京大学)

3)中原伸之賞:

鎌田雄一郎教授(カリフォルニア大学バークレー校/東京大学)

日本経済学会・中原賞(中原伸之賞)は、中原伸之氏の寄付によって、1995年に創設されました。この賞は、国際的に認知される業績を挙げた45歳未満の経済学研究者に対して授与されます。鎌田雄一郎教授は、理論経済学とその応用に関して、幅広い領域で重要な貢献をなしてきたことが高く評価されました。

鎌田雄一郎教授は2012年にハーバード大学において博士号を取得しました。鎌田教授の貢献が特に大きい分野の一つがマッチング理論です。現実のマッチング問題の多くにおいて、学校側は定員の上限制約に直面し、また政府のような第三者から入学者数の地域上限を課されます。鎌田教授は、このような制約がある状況で定番的な受入保留メカニズムを単純に適用すると非効率かつ不安定なマッチングが導かれることを示すとともに、柔軟受入保留メカニズムという新しいメカニズムを導入し、この種の制約下で効率的かつ安定的なマッチングを導けることを示しました。さらに、一般的な制約下の学校選択問題において、安定マッチングは一般には存在しないものの、学生最適な公平マッチングが常に存在することを示しました。これらの成果は、研修医マッチングや待機児童問題などの現実的な問題への応用可能性を持っています。

また、行動改訂の機会がランダムに与えられる動学ゲームである戦略改訂ゲームの理論においても、協力が均衡として達成可能になる必要十分条件を明らかにするなど重要な研究を行い、選挙運動の動学モデルへの応用により、候補者が政策について曖昧な言明に終始する現象を説明しています。このほか、展開形ゲームの自己肯定均衡概念、戦略的情報伝達ゲーム、ネットワーク形成問題などについても多くの業績を挙げており、一連の研究はEconometrica、American Economic Review、Review of Economic Studies、Quarterly Journal of Economicsなど、経済学分野で最高水準の国際学術雑誌に掲載されています。

https://www.jeaweb.org/awards/awardsnakahara

左:関口格教授(選考委員長、京都大学)                          中央:鎌田雄一郎教授                                                  右:石川城太教授(会長、学習院大学)

3名の受賞者は経済学の発展に大きな貢献をしてこられた若手および中堅の経済学者で、現代の社会経済課題解決に対する示唆に富む研究を行っておられます。今後の経済学の発展、その知見を活かした施策の提案につなげるため、広くご紹介願います。

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会社概要

一般社団法人日本経済学会

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URL
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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区飯田橋1-7-10 山京ビル本館703
電話番号
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代表者名
星 岳雄
上場
未上場
資本金
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設立
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