日本のSTEM産業、経済の18.6%を占める—成長の鍵は「人材供給の強化」
Global STEM Skills Outlook Index 2026 日本市場分析
英国の経済ビジネス調査センター(Centre for Economics and Business Research, Cebr)がSThree向けに作成した最新レポート「Global STEM Skills Outlook Index 2026」によると、日本のSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)関連産業は2023年に総付加価値(GVA)の18.6%を占め、約104兆6,650億円(購買力平価[PPP]調整済み、2020年固定物価ベース)を創出したことが明らかになりました。これは日本のSTEM産業の全体規模と経済への寄与の度合いを示すものであり、同分野が日本経済の基盤として重要な役割を担っていることを示しています。以下に示す各分野の数値は、いずれも2023年の日本のSTEM産業(PPP調整済み、固定物価)の内訳です。
日本のSTEM産業の規模と内訳(2023年、PPP調整済み、2020年固定物価ベース)
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エンジニアリング – 約47.9%(約50兆円、PPP調整済み):
日本のSTEM産業の中で最大の比率を占めるのがエンジニアリング分野です。STEM全体の出力の47.9%に相当し、約50兆円規模となっています。金属や機械、設備などの高度製造業が主なドライバーであり、国際的な競争力を支える産業ロボット・自動車・精密機器などが含まれます。
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テクノロジー – 約35.5%(約37.2兆円、PPP調整済み):
データによると、電機製造、半導体、通信インフラ、情報サービスなどのテクノロジー分野は約37兆2,000億円を創出しています。人工知能(AI)やデジタルトランスフォーメーションへの投資拡大により、ICTセクターの役割は一段と高まっています。 -
科学 – 約16.6%(約17.8兆円、PPP調整済み):
科学関連産業は、製薬、バイオテクノロジー、材料化学などを中心とし、約17兆8,000億円を創出しています。大学や研究機関による基礎研究が新薬開発や新素材技術の革新につながっており、AI解析やシミュレーション技術の活用も進んでいます。 -
数学 – 約26.3%(約27.1兆円、PPP調整済み):
数学関連産業は約27兆1,000億円を創出し、データ分析、アルゴリズム開発、金融モデリングなど幅広い分野に貢献しています。なお、数学は他分野と重複して計上されることが多いため、割合の合計が100%を超える形となっています。 -
STEM産業全体:
日本のSTEM関連産業全体では、2023年に約104兆6,650億円を創出し、これは日本の総GVAの18.6%に相当します。ベースラインシナリオの予測では、2035年にはその規模が約123兆1,140億円へ拡大する見通しです。
投資と政策動向
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R&D投資: 日本政府の研究開発支出はGDPの3.4%と、調査対象となった42カ国の中でも最高水準に位置し、2024年には半導体やAI産業向けに10兆円の支出を表明するなど、先端技術への資金投入が継続的に進められています。
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教育支出: 研究開発投資は堅調に推移している一方、GDP比でみると、日本の教育支出は比較対象となった各国の中でも最低水準にとどまっており、人材育成への投資強化が求められています。
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労働人口: 日本の労働人口は1995年から2024年までに16%減少しており、2060年までにさらに31%減少する見込みです。将来的なSTEM人材の供給不足が懸念されています。
SThree Japanの代表取締役である Christopher Reillyは次のように述べています。
「日本のSTEM産業は世界有数の規模を誇りますが、長期的な成長は、適切な人材供給が強化できるかどうかにかかっています。今回の分析でも、エンジニアリングやテクノロジー分野が経済に大きな付加価値をもたらしている一方で、労働人口の減少と教育投資不足が大きなリスクとして浮き彫りになりました。女性・シニア層の活用促進、海外からの高度人材の受け入れ、STEM教育への投資強化、既存労働者のリスキリングなど、複合的な取り組みが期待されます。」
レポートでは、人材供給の強化に向けて複数の取り組みが重要であることが示唆されています。具体的に期待される取り組みとしては、初等・中等教育から大学までのSTEM教育への投資や、制度改革を通じた学習機会の拡大、多様な人材がSTEM分野へ参画しやすい環境づくり、留学生や外国人研究者・技術者の受け入れ体制の整備、既存労働者への継続教育やリスキリング支援、さらに産業界と教育・研究機関の連携による実践的な人材育成などが挙げられます。
日本のSTEM産業は高度な製造業と技術力を基盤としながらも、人口減少という制約に直面しています。レポートが示すとおり、2035年までに約52兆2,390億円のSTEM生産が失われる可能性がある一方で、人的資源を拡充できれば54兆2,770億円の追加生産が実現できると予測されています。AIやデジタルトランスフォーメーションの進展を取り込むためにも、教育投資と人材戦略の強化が不可欠です。
詳細はCDR東京オフィスにお問い合わせください。
SThree広報代理(CDR内)
Email: sthree_jp@citigatedewerogerson.com
※数値はすべて日本円で表示しており、2020年の固定物価に基づく購買力平価(PPP)調整値です。ただし、上記の研究開発投資セクションで言及した10兆円の支出額を除きます。
SThreeについて
SThree plcは、未来を築くために高いスキルを持つ人材をつなぐ企業です。当社はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野のグローバルな人材コンサルティング会社として、高度な専門スキルを持つSTEMプロフェッショナルと彼らを最も必要としている業界とのマッチングを行っています。企業へのアドバイス、専門チームの構築、プロジェクトソリューションの提供を通じてクライアントを支援しています。STEMに特化して40年近い実績を有し、世界11カ国に現地に根差した専門チームを持つSThreeは、エンジニアリング、ライフサイエンス、テクノロジー分野における高需要スキルを幅広くカバーしています。
また、約6,000社におよぶ多様なクライアントに対し、正社員だけでなく柔軟な契約形態による人材を提供しています。先進的なテクノロジーと専門的な知見を融合させることで、当社の世界水準のオペレーティングプラットフォームから得られるデータとインサイトを活用し、従来の枠を超えた最適なソリューションを実現しています。
SThreeは、皆様とともに未来を切り開きます。
Cebrについて
経済ビジネス調査センター(Centre for Economics and Business Research, Cebr)は、30年以上にわたり、数百に及ぶ民間企業および公的機関に対し、独立した経済予測および分析を提供してきました。
当社の経済アドバイザリー・チームは、ミクロ経済学や経済影響評価を専門とし、政府機関に加え、FTSE上場企業や多国籍企業に対して幅広い分野に関する助言を行っています。Cebrの予測・ソートリーダーシップ・チームは、英国経済および世界経済に関する受賞歴のある予測、分析、解説を提供し、クライアントが将来の経済動向を先取りできるよう見通す上で優位性を確保することを支援しています。
Cebrの詳細はcebr.comをご覧ください。
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