神奈川県厚木市大型トラックの追突事故(令和4年発生)事業用自動車事故調査報告書を公表

事業用自動車の交通事故防止と交通事故時の被害軽減を目的として設置された、国土交通省の外部委託組織である事業用自動車事故調査委員会(委員長:酒井 一博)は、令和4年(2022年)11月10日に神奈川県厚木市で発生した大型トラックの追突事故に関する調査報告書を議決しましたので、公表いたします。

本事故は「重要調査対象事故」に該当し、事故原因が事業者の組織的・構造的な問題に起因する可能性があり、同種事故の多発が予測され、早期に有効な再発防止策が必要であることなどを勘案し、事故調査委員会による要因分析及び再発防止策の提言が必要であると判断されました。

【本事故について】

事故概要

東名高速道路走行中の大型トラックが、前方不注意で多重追突事故を起こした。これにより火災が発生し4名が死亡。

事故原因

下記の2つが原因と推定される。

  • ドライバーの集中力、注意力が低下。

  • 眠気リズムが集中力、注意力に及ぼす影響についての指導不足。

対策

下記の対応が運行管理者に求められている。

  • 眠気の生体リズムにより高まる事故リスクの周知と対応方法の指導。

  • ドライバーの運転特性に応じた指導とフォローアップ。

  • 緊急時の対応方法や連絡体制などのルール作りと周知徹底。

  • 点呼や健康診断におけるドライバーの健康管理の徹底。

本調査報告書は事業用自動車事故調査委員会によって事業用自動車事故、及び事故に伴い発生した被害の原因を調査・分析し、事故の防止と被害の軽減に寄与することを目的として作成しており、事故の責任を問うために行われたものではありません。

今後も事業用自動車事故調査委員会は、交通事故の少ない社会を実現するために活動を続けてまいります。


大型トラックの追突事故 渋滞車列で多重追突事故 衝突により火災が発生

神奈川県厚木市令和4年11月10日3時26分頃

事故概要

事故の状況

大型トラックが東名高速道路の第1通行帯を走行中、覚低運転*と推定される前方不注意により渋滞の車列に追突、合計4台の車両が関係する多重追突事故が発生。

これに伴い火災が発生し、車列最後尾の乗用車のドライバー及び同乗者1名、中型トラックのドライバー、追突した大型トラックのドライバーの計4名が死亡した。

*覚低運転:本人が眠気を感じていなくても、居眠り運転と同じくらい注意力や集中力が低下した状態での走行。

状況図

原因

ドライバーの注意力低下(推定原因)

  • 高速道路における深夜時間帯の単調な運転において、眠気リズムの影響による覚低運転により、前方に対する集中力の低下。

  • 先を急ぐ運転特性から危険に対する備えや多くのものに目を配る余裕が失われ、前方に対する注意力が低下。

眠気リズムの影響等についての指導不足

  • 集中力の低下を招くおそれのある生体リズムによる眠気が安全運行に影響を及ぼすことについての指導の不足。

  • ドライバー個々の運転特性に配慮したきめ細かな指導の不足。 

参考:眠気のリズム

  • 眠気によるヒヤリ・ハットの発生時間帯の分布は眠気のリズムと類似している。

  • 午後と深夜2時から4時にかけての2つの時間帯で眠気が強まる。

  • 単調な反復性の刺激・操作環境下においては2時間おきの眠気も誘発されやすい

睡眠リズムの三層構造
時間帯別眠気発生割合アンケート結果

再発防止策

指導監督の徹底

  • 適性診断の指摘事項に対する適切な指導と運行記録計やドライブレコーダーの記録を利用したフォローアップの実施。

  • 生体的特性としての眠気のリズムにより高まる事故リスクの周知と対応措置の指導。

運行管理の徹底

  • 緊急時の対処法や連絡体制などのルール作りを行い、日常から徹底した周知を実施

  • 健康診断などによりドライバーの健康状態を把握するとともに、疾病治療中のドライバーに対しては、日々の点呼において服薬や治療の状況を確実に確認するなど、徹底した健康管理を実施

事業用自動車事故調査委員会について

「事業用自動車事故調査委員会」は、平成26年 (2014年) 6月24日に設立された事業用自動車が関わる重大事故について、その原因を分析し、再発防止策を提言するための事故調査機関。

概要

  • 人間工学、労働科学、健康医学、自動車工学、交通工学、道路工学などの専門知識を有する者で構成

  • 毎年4回開催し、報告書について審議

【委員会の様子】
【調査事例】
【公表の状況】•特別重要調査対象事故:18件 •重要調査対象事故:45件

経緯

  • 社会的影響の大きな事業用自動車の重大事故については、事故の背景にある組織的・構造的問題の更なる解明を図るなど、より高度かつ複合的な事故要因の調査分析と、客観性のあるより質の高い再発防止策の提言を得ることが求められている。

  • 国土交通省は平成26年(2014年)6月、(公財)交通事故総合分析センターを事務局として、各分野の専門家から構成される「事業用自動車事故調査委員会」を設置し、事業用自動車の重大事故について事故要因の調査分析を行っている。

事業用自動車事故調査委員会委員名簿

  • 酒井 一博

    公益財団法人大原記念労働科学研究所主管研究員

  • 今井 猛嘉

    法政大学法科大学院 教授、弁護士

  • 小田切 優子

    東京医科大学医学部医学科公衆衛生学分野 講師

  • 春日 伸予

    芝浦工業大学 名誉教授

  • 久保田 尚

    埼玉大学大学院 理工学研究科 名誉教授、日本大学 客員教授

  • 首藤 由紀

    株式会社社会安全研究所代表取締役 所長

  • 吉田 裕

    関西大学社会安全学部 教授

  • 廣瀬 敏也

    芝浦工業大学工学部 教授

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会社概要

URL
-
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区神田猿楽町2-7-8 住友水道橋ビル8階
電話番号
-
代表者名
佐々木真郎
上場
未上場
資本金
-
設立
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