Webアクセシビリティ自動診断による実態調査:全国810大学の公式サイトで検出され た問題の傾向は国立・公立・私立で異なる(2026年9月19日実施)
803校(99.1%)で問題を検出、自社ツール「Lente Scan」で全国の大学を調査

Webアクセシビリティ自動診断ツール「Lente Scan(レンテ スキャン)」を活用し、全国812校の国立・公立・私立大学を対象に、公式WebサイトのトップページにおけるWebアクセシビリティの自動診断調査を実施しました。
本調査はWebアクセシビリティの診断・コンサルティングを手がけるリベロジック株式会社(本社:東京都港区三田、以下「リベロジック」)が実施したものです。
※ 812校のうち2校は、対象サイトが自動アクセスを受け付けなかったため取得できず、集計対象は810校です。
その結果、803校(99.1%)のトップページで、自動診断によって判定できる範囲のアクセシビリティ上の問題が検出されました。
さらに国立・公立・私立の設置区分ごとに集計したところ、目立つ問題の種類が区分によって異なることが分かりました。
なお、自動診断で判定できるのはWCAG達成基準の3〜4割程度です。本調査はその範囲を対象としたものであり、個別の大学サイトのアクセシビリティ全体を評価するものではありません。公表するのは全体の集計値のみとし、大学ごとの診断結果は公表しません。
調査結果のポイント
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指標 |
結果 |
|---|---|
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問題が検出された大学 |
803 / 810校(99.1%) |
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1ページあたりの検出箇所 |
中央値38.5箇所(最大1,351箇所) |
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最も多く検出された問題 |
コントラスト不足(619校・76.4%) |
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設置区分別の検出率 |
国立97.6% / 公立98.0% /私立99.5% |
1. 目立つ問題の種類は設置区分によって異なる
問題が検出された大学の割合は、国立97.6%、公立98.0%、私立99.5%で、区分による差はほとんどありません。
一方、達成基準ごとの検出率を区分別に見ると、はっきりした偏りが現れました。
下の表の5項目はいずれも、最も高い区分と最も低い区分の差が統計的に有意な差です。
設置区分別・問題が検出された大学の割合
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達成基準 |
国立 |
公立 |
私立 |
|---|---|---|---|
|
1.1.1 非テキストコンテンツ |
51.8% |
23.5% |
33.2% |
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2.4.4 リンクの目的 |
67.1% |
62.7% |
78.5% |
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4.1.2 名前・役割・値 |
84.7% |
85.3% |
93.1% |
どの区分が一律に良い・悪いということではなく、項目によって最も高い区分が入れ替わります。
区分による差が、検出された大学の数ではなく問題の種類として表れているのは、設置区分ごとにサイトの作りや運用に違いがあることを示しています。何が違うのかは、次の2項目で国立と私立それぞれに見ていきます。
2. 国立大学は画像の代替テキスト(alt属性)の未指定が多い
1.1.1「非テキストコンテンツ」は、画像などの文字以外の情報に、同じ内容を伝える代替テキストが用意されているかを扱う達成基準です。
alt属性のない画像は、スクリーンリーダーをはじめとする支援技術では存在しないものとして扱われるか、ファイル名がそのまま読み上げられます。
該当する画像が1枚以上検出された大学は、国立48.2%、公立21.6%、私立30.3%でした。装飾目的の画像に alt="" を指定したものは正しい実装であり、検出対象には含めていません。
トップページの画像数は中央値で国立37枚、公立36.5枚、私立42枚で、国立がとりわけ多いわけではありません。つまり、画像の枚数が多いことが理由ではありません。
未指定の画像がある大学の中で見た未指定の割合にも、区分による差はほとんどありません。国立に多いのは「未指定の割合が高い大学」ではなく、「未指定が起きている大学の数」です。
その理由までは、本調査のデータからは分かりません。画像を掲載する手順のどこに代替テキストの指定が置かれているかを確かめることが、改善の起点になります。
3. 私立大学はリンクやUIの役割が支援技術に伝わらない問題が多い
私立大学で高いのは、リンクや操作UIが支援技術から正しく認識できない類の問題です。
2.4.4「リンクの目的」は、リンクの遷移先や目的がリンクテキストなどから判別できるかを扱う達成基準です。読み上げられる名前を持たないリンクが検出された大学は、私立78.5%(国立67.1%、公立62.7%)でした。
4.1.2「名前・役割・値」は、ボタンやリンクなどのUIについて、その名前や役割、状態などが支援技術に適切に伝わるかを扱う達成基準です。この項目で問題が検出された大学は、私立93.1%(国立84.7%、公立85.3%)でした。
特徴的なのは、視覚的に隠されているのにキーボードのフォーカスが入ってしまう要素です。
この問題が検出された大学は私立22.0%で、国立10.6%、公立10.8%の2倍以上でした。
カルーセル(自動で切り替わるスライド)やメガメニューなど、動きのあるUIで起こりやすい実装で、キーボードだけで操作する利用者は、画面に見えていない要素をいくつも通過することになります。
私立大学のサイトには、デザインにこだわり、動きのあるUIを採り入れた作りが多く見られます。トップページの画像数が3区分で最も多いことも、その傾向と重なります。
表現の幅を広げた分が操作性の面に影響している構図が読み取れます。
4. 区分を問わず最も多いのは「コントラスト不足」
個別の検出項目で最も多かったのは、文字と背景のコントラスト不足でした。
810校中619校(76.4%)・のべ10,187箇所で検出され、国立71.8%、公立70.6%、私立78.0%と区分による差は小さくなっています。
ブランドカラーの淡い文字色や、写真の上に置いた白文字が典型です。
なお、背景が画像やグラデーションの場合、自動診断では実際の背景色を確定できません。こうした人による確認が必要な箇所は98.2%の大学で検出されており、76.4%という数字は自動診断で判定できた分に限られます。
調査方法
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項目 |
内容 |
|---|---|
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対象 |
文部科学省の関係機関リンク集に掲載された国立85・公立102・私立625の計812校(2025〜2026年に他大学へ統合され学生募集を終了した2校は対象から除外) |
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対象ページ |
各大学の公式サイトのトップページ1ページ |
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実施日 |
2026年9月18〜19日(18日に全校を診断し、取得できなかった分の再試行を19日に実施) |
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画面幅 |
PC相当1280px、スマートフォン相当320px |
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判定基準 |
WCAG 2.2 レベルAA |
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診断エンジン |
axe-core 4.11.4、Lente Detect 1.6.5 |
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取得状況 |
812校のうち810校を取得。2校は対象サイトが自動アクセスを受け付けなかったため取得できず、集計から除外 |
本調査では、オープンソースのアクセシビリティ検証エンジン「axe-core」と、リベロジックが独自開発した「Lente Detect」を併用しています。
数値は2026年9月18〜19日時点の診断結果を集計したものです。診断エンジンや判定基準の更新などにより結果は変動するため、経年比較を行う際には同じ条件での測定が必要です。
調査結果の詳細
達成基準別・検出項目別の集計や調査条件など、今回の調査結果の詳細は以下のレポートで公開しています。
参考:自治体調査との比較
リベロジックは2026年9月に同じ診断エンジン・同じ判定基準で、都道府県・政令指定都市・東京23区の計90自治体を対象とした同種の調査を実施しています。
両者を並べると公共分野の中でも目立つ問題が異なることが分かります。
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達成基準 |
自治体90団体 |
大学810校 |
|---|---|---|
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1.4.3 コントラスト |
8.9% |
76.4% |
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2.4.4 リンクの目的 |
25.6% |
75.3% |
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4.1.2 名前・役割・値 |
92.2% |
91.2% |
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1ページあたりの検出箇所(中央値) |
18.5箇所 |
38.5箇所 |
自治体サイトは文字中心で配色が保守的なのに対し、大学サイトは写真やブランドカラーを前面に出した広報寄りの設計が主流です。その違いが、コントラストの数字にそのまま表れています。
なお、国立大学法人・公立大学法人は障害者差別解消法上の「行政機関等」にあたり、自治体と同じく公的機関向けの対応が求められる立場にあります。
その国立・公立大学でも、1ページあたりの検出箇所は中央値で37箇所・33箇所と、自治体の18.5箇所を上回りました。
制度上の位置づけと実際の状態は、必ずしも一致していないことになります。これは個々の大学の姿勢の問題というより、サイトの目的や更新体制の違いが結果に表れたものと考えられます。
自治体調査の詳細は以下をご覧ください。
同じ基準で、自分のサイトを確認できる「Lente Scan」
本調査に使用した「Lente Scan」は、URLを入力するだけでWebアクセシビリティを自動診断できるツールです。
登録不要・無料で利用でき、本調査と同じ診断エンジン・判定基準(WCAG 2.2 レベルAA)で、自分のWebサイトを確認できます。
Lente Scanでは、オープンソースのaxe-coreと自社開発の「Lente Detect」を組み合わせて診断します。
すべての検出結果には、IAAP認定ウェブアクセシビリティスペシャリスト(WAS)が整備した辞書に基づく日本語の解説を付与しています。
自動診断では判断できない項目については「人の確認が必要」として明示し、機械で確認できる領域と、人による確認が必要な領域を分けて表示します。
無料利用でも検出結果をすべて確認できます。
有料のProプラン(月額2,980円・税抜)では、検出結果ごとのAI修正案の生成、スマートフォン幅(320px)を含む複数画面幅での診断、PDFレポート出力、診断履歴の無期限保存などを利用できます。
人による確認が必要な領域は、専門家による手動診断で
自動診断で確認できるのは、WCAG達成基準全体の3〜4割程度です。
残る領域や、自動診断だけでは判断できない項目については、人による確認が必要です。
リベロジックでは、IAAP認定ウェブアクセシビリティスペシャリスト(WAS)の保持者を中心とする体制で、Webアクセシビリティの手動診断サービスを提供しています。
診断には自社開発の専用ワークスペース「Lente Audit(レンテ オーディット)」を使用し、指摘事項の共有、修正に関するやり取り、レポート発行までを一元的に行います。
監修者コメント:二俣 歩(リベロジック株式会社 CAO、IAAP認定(WAS)ウェブアクセシビリティスペシャリスト)
国立大学では画像の代替テキスト、私立大学ではリンクやUIの認識と、設置区分によって目立つ問題が入れ替わることがわかりました。どちらが進んでいるという話ではなく、サイトに何を求めているかの違いが、そのまま結果に出ているように思います。
また、検出箇所の内訳を見ると、問題は1ページの中に均等に散らばっているのではなく、かたまって出ています。たとえば視覚的に隠れているのにキーボードのフォーカスが入る要素は、検出された大学では1校あたり50箇所前後ありました。1つずつ間違えた結果ではなく、カルーセルやメガメニュー、配色の指定といったひとつの設計判断が、そのまま数十箇所に問題として現れているということです。
裏を返せば、直す単位もページではなく共通パーツやテンプレートで、1か所直せば数十箇所がまとめて解消することが珍しくありません。
一方、今回の調査で確認できるのはWebアクセシビリティ全体の一部です。Lente Scanでは、自動診断で判定できる範囲と、人が確認しなければ判断できない範囲を分けて示しています。
まず現在の状態を知り、そのうえで必要に応じて人による確認へ進む。その出発点として、今回の調査を役立てていただければと考えています。
本件に関するお問い合わせ先
本件に関するお問い合わせは、以下のフォームよりお願いいたします。
リベロジック株式会社アクセシビリティお問合せ
リベロジック株式会社
リベロジック株式会社はモダンなフロントエンド開発、ヘッドレスCMS構築、UI/UX設計、Webアクセシビリティ支援を強みとする制作・開発会社です。
Next.js、Astro、React、Vueなどを活用したWebサイト・Webアプリケーション開発に加え、プロトタイピング型のサービス開発、Supabaseを活用した業務アプリケーション開発、既存インフラの見直しやモダン環境への移行支援など、幅広いデジタル支援を行っています。
商号:リベロジック株式会社
代表者:代表取締役 森本忠典
所在地:〒108-0073 東京都港区三田1-3-37 板金会館2F
設立:2007年2月
資本金:3,000万円
事業内容
Webアプリケーション開発 / ヘッドレスCMS開発(その他CMS実装 / カスタマイズ) Webアクセシビリティ対応 / 試験 / コンサルティング Webサイト / アプリケーションの企画、制作、開発、運営、保守 UIデザイン(その他デザイン全般) バックエンド開発等、Web制作・開発における全般業務
コーポレートサイト:https://www.liberogic.jp/
会社概要:https://www.liberogic.jp/about/
※本リリースに記載の数値は、2026年9月19日時点の自動診断結果に基づく集計値です。自動診断で問題が検出されなかった自治体の年末の公表を除き、個別の自治体に関する結果の公表および個別の照会への回答は行っておりません。
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