第 6 回「MONEX グローバル投資家サーベイ」実施 ~日・米・香港 個人投資家の関心は欧州から米国へ~
日本、米国および香港の個人投資家の関心事が欧州債務問題に端を発する諸問題から米国へと移ってきていることが、第6 回「MONEX グローバル投資家サーベイ」で明らかになりました。2012 年9 月に実施した調査で、米国および香港の個人投資家においては米国の政治・外交問題や米国企業の企業業績、マクロ経済動向が関心事の上位に挙げられました。また、日本の個人投資家においては、日本企業の企業業績および政治・外交問題への関心が高いとの調査結果となりました。
「MONEX グローバル投資家サーベイ」は、マネックスグループ株式会社の子会社であるマネックス証券株式会社(所在地:東京都千代田区、以下「マネックス証券」)、TradeStation Securities,Inc. (所在地:米国フロリダ州、以下「トレードステーション証券」)およびMonex Boom Securities(H.K.) Limited(所在地:香港、以下「マネックスBOOM 証券」)が四半期ごとに、日本、米国および香港で実施するグローバルな個人投資家サーベイです(注1)。
主な調査結果
(1)DI(注2)は日本株・米国株と中国株との逆行が鮮明に
[調査対象:日本の個人投資家、別紙レポートグラフ①]
【日本株DI】 (8 月)20 ポイント→ (9 月) 23 ポイント(前月比+3 ポイント)
【米国株 DI】 (8 月)37 ポイント→ (9 月) 42 ポイント(前月比+5 ポイント)
【中国株 DI】 (8 月)-31 ポイント→ (9 月) -34 ポイント(前月比 -3 ポイント)
日本の個人投資家に聞いた地域別 DI では中国株DI が3 ヶ月連続で低下したのに対し、日本株DI と米国株DI は前月に続き上昇しました。特に米国株DI は、ダウ平均がリーマンショック後の高値を上回る水準で推移していることもあり、今春ごろのレベルまで回復しています。
(2)米国の個人投資家の世界の株式相場への見通しがプラス圏に浮上
[調査対象:日本、米国、香港の個人投資家、別紙レポートグラフ③]
今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについて各国(日本、米国、香港)の個人投資家に聞いたところ、香港の個人投資家が大幅な弱気に転じました。一方、米国の個人投資家は前回調査時(2012 年6 月)から大きく31 ポイント上昇、2 ポイントとなりプラスに浮上しました。
(3)今後3 ヶ月程度の米ドル/円相場について、「変わらない」との予想が再び増加
[調査対象:日本の個人投資家、別紙レポートグラフ⑨]
今回の調査は、住宅ローン担保証券(MBS)を追加購入する量的緩和第3弾(QE3)の導入を決めた9 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に実施したことから、今後3 ヶ月程度の米ドル/円レートの見通しについて「変わらない」との回答が41%と最も多く、前回調査から4ポイント増と、やや増加しました。78 円台半ばで膠着する米ドル/円相場を受け、「変わらない」との回答比率は2009 年10 月の調査開始以来、最も高い水準にほぼ並びました。
(4)個人投資家の関心は欧州から米国へ(グローバル)
[調査対象:日本、米国、香港の個人投資家、別紙レポートグラフ⑫~⑭]
投資判断にあたり個人投資家の注目するトピックを問う設問に、米国の個人投資家は11 月の大統領選挙や年末の大型減税期限切れを控え自国の「政治・外交」を挙げる回答者が目立ちました。また、前回調査時(2012 年6 月)は日本、米国および香港、いずれの地域においても、欧州債務問題が最も大きな割合を占めていましたが、今回の調査で3 地域の個人投資家の注目は欧州関連でなくなりつつあることがうかがえる結果となりました。
(注 1)日本、米国および香港における調査の実施概要は次のとおりです。
日本
調査期間: 2012 年9 月7 日~11 日
回答数: 1,021件
米国
調査期間: 2012 年9 月4 日~14 日
回答数: 150 件109 件
香港
調査期間:2012 年9 月3 日~14 日
回答数: 109 件
(注2)DI(diffusion index):「上昇すると思う」と回答した%から「下落すると思う」と回答した%を引いたポイント
調査結果
1、株式市場を取り巻く環境について
(1)今後3 ヶ月程度の株価予想
日本の投資家に聞いた地域別DI では中国株が3 ヶ月連続で低下したのに対し、日米は前月に続き上昇した。特に米国株DI は、ダウ平均がリーマンショック後の高値を上回る水準で推移していることもあり、今春ごろのレベルまで回復した。
今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについては香港の投資家が大幅な弱気に転じた。一方、米国では3 ヶ月前に比べ+31 と急上昇しプラスに浮上した。(参照:グラフ①&グラフ②&グラフ③)
(2)どの地域の株価に今後3 ヶ月最も期待できるか
米国と香港では「欧州/英国」との回答が前回比大幅に伸びたのに対し日本では伸びが小幅にとどまっている。その代わり他の2 地域と異なり「米国」がやや増加し、「アジア」が減少した。(参照:グラフ④)
(3)日本株を買いたい水準
ピークは「8,000 円~8,500 円」の水準と前月から変化は無かった。(参照:グラフ⑤)
(4)各業種に対する今後3 ヶ月程度の見通し(グローバル)
「石油関連」が前月に続いて一つ順位を下げたほか「商社」や「電力・ガス」も下落した。
3 ヶ月前と比べてディフェンシブ系の「公益」や「ヘルスケア」の後退が目立つ。一方、「テクノロジー」や「エネルギー」、「素材」など景気敏感業種が順位を上げた。
3 ヶ月前と比べて「自動車」や「エネルギー」が大きく上昇した。「サービス」、「輸送」は大幅に順位を落とした。(参照:グラフ⑥&グラグ⑦&グラグ⑧)
2、為替市場、商品市況について
(1) 今後3 ヶ月程度の米ドル/円相場予想
9 月の米FOMC 前に実施された今回の調査では米ドル/円レートの見通しについて、「変わらない」との回答がやや増加した。78 円台半ばで膠着するドル円相場を受け、「変わらない」との回答比率は調査開始以来の最高水準にほぼ並んだ。(参照:グラフ⑨)
(2)今後3 ヶ月でどの通貨が最も上昇するか(グローバル)
3 ヶ月前と比べて香港のみ「ユーロ」が減少した。日本は他の2 地域と異なり「米ドル」が増加し、「円」が減少した。(参照:グラフ⑩)
(3)今後3 ヶ月の商品市況の見通し(グローバル)
原油について、日本の投資家の見通しはほぼ横ばい。米国では大幅に上昇した。
貴金属についても原油同様、日本の投資家の見通し(DI)は小幅な上昇だったのに対し、米国では20 ポイント超の上昇となった。(参照:グラフ⑪)
(4)注目のトピックなど(グローバル)
投資判断にあたり注目するトピックは以下のうちどれですか?
米国では11 月の大統領選挙や年末の大型減税期限切れを控え自国の「政治・外交」を挙げる回答者が目立った。いずれの地域でも欧州関連が最もポピュラーな話題でなくなりつつあることがうかがえる。(参照:グラフ⑫&グラフ⑬&グラフ⑭)
中国の景気減速は世界的な危機に繋がると思いますか?(参照:グラフ⑮)
「バイ・アンド・ホールドの投資スタイルは過去のものだ」との意見についてどう思いますか?(参照:グラフ⑯)
11 月に民主党のオバマ大統領が再選されたらあなたの投資判断にどのような
影響がありますか?(日本、米国)(参照:グラフ⑰)
11 月に共和党のロムニー氏が大統領に選出されたらあなたの投資判断にどのような影響がありますか?(日本、米国)(参照:グラフ⑱)
総 括
四半期毎に行う「MONEX グローバル投資家サーベイ」、第5 回目の結果をお届けします。
筆者の娘はこの秋、小学校を受験する。いわゆる「お受験」というやつだが、これがなかなか大変だ。今年の夏は大好きなプールも諦めて夏期講習に通う日々だった。小学校受験は塾任せにできない。合否の鍵を握るのは家庭学習だ。よって筆者もかなりの時間を割いて娘の勉強をみたので、今では小学校受験問題の傾向と対策については、ちょっとしたエキスパートだと自負している。頻出問題のひとつに「四方からの観察」というものがある。例えば、テーブルの真ん中に積み木が置かれている。その周りをうさこちゃん、ぽんた君(たぬき)、にゃんこちゃん、くま君の4 人が囲んでいる。「それぞれから積み木はどう見えますか?その絵を描きましょう」という問題である。場所が違うと、見え方も違うということが理解できなければならない。その場所に行かずに考えることができるかという、すなわち「想像力」の問題なのである。
9月のグローバル投資家サーベイで今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについて尋ねたところ、香港の投資家のDIはマイナス17 と前回から24 ポイントも悪化、大幅な弱気に転じた。一方、米国投資家のDIは3 ヶ月前に比べ31 ポイントも上昇し、プラス圏に浮上した。尋ねたのは「世界の株式市場(Global equities)」についての見通しであって、それぞれの自国マーケットについてではない。同じものについての見通しを尋ねているのだが、場所が違うと見え方も違うのか、著しく正反対の見通しとなっている。
このパズルを解く鍵は、果たして見ているものが同じか、という点にある。子供に出される問題では積み木の形はひとつ、同じものだが、大人に出された「世界の株式市場」というものは、ひとそれぞれ捉え方が違う。MSCI 世界株式インデックスのようなものを念頭に置き、その指数に占める米国市場の割合が○%、日本が○%、アジア○%、欧州○%といった具合に時価加重ベースの「世界株式市場」というイメージをもって回答した人はごく稀であったろうと想像に難くない。一般に、「グローバル」という場合、自国マーケットを含む世界全体という意味だから、「グローバル」と問われても自分のなかでは自国マーケットの存在が大きいのである(MSCIに占める自国市場の時価総額ウェイトなんて考慮する人はいないだろう)。端的に言って、この質問の回答は「ホームマーケット・バイアス」に引きずられている。米国の投資家は「米国株式市場を中心とした世界株式市場」の見通しについて答えているし、香港の投資家は「上海・香港の株式市場を中心とした世界株式市場」の見通しについて答えたものだと思われる。
その証拠に「今後3 ヶ月どの地域の株価に期待できるか?」という質問の回答で、「欧州/英国」と答えた比率は、米国の投資家も香港の投資家も同様に大幅改善を示した。ホームマーケット・バイアスのかからない「第三国」に対するものの見方は、場所が違っても同じであった。
ホーム・バイアス – すなわち自国偏重である。だから場所が違うと見え方が違うという小学生でも分かることが分からない。同じひとつの島でも見る場所が違えば見え方が違うのは当たり前だ。小学校受験の問題なら、そこまで理解すれば十分だが、大人の世界では落第である。違う場所にいて、違う見え方、捉え方をする相手に、自分がどう見られているかを考えなくては大人の試験問題は不合格である。外交センスというより、「想像力」の欠如だ。政治家に問いたい。「ぽんた君から積み木はどう見えますか?」その場に行かずに、考えなさい。
今回も皆様方のご協力で、大変貴重なデータを作成・分析することができました。本当にありがとうございました。今回のサーベイが個人投資家の皆様方の投資判断の一助となれば幸いです。
(マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
「MONEX グローバル投資家サーベイ」について
マネックス証券は、2009 年10 月より、個人投資家を対象として相場環境についての意識調査のアンケートを毎月実施し「MONEX 個人投資家サーベイ」として提供してまいりました。当グループにおいて日本、香港に加え米国にも拠点ができたことを契機に、当該個人投資家サーベイの調査対象を香港および米国にも広げ、2011 年6 月より四半期ごとに「MONEX グローバル投資家サーベイ」を実施しています。日本、米国および香港の個人投資家の相場環境についての意識を定点観測しております。
「MONEX グローバル投資家サーベイ」は、マネックスグループ株式会社の子会社であるマネックス証券株式会社(所在地:東京都千代田区、以下「マネックス証券」)、TradeStation Securities,Inc. (所在地:米国フロリダ州、以下「トレードステーション証券」)およびMonex Boom Securities(H.K.) Limited(所在地:香港、以下「マネックスBOOM 証券」)が四半期ごとに、日本、米国および香港で実施するグローバルな個人投資家サーベイです(注1)。
主な調査結果
(1)DI(注2)は日本株・米国株と中国株との逆行が鮮明に
[調査対象:日本の個人投資家、別紙レポートグラフ①]
【日本株DI】 (8 月)20 ポイント→ (9 月) 23 ポイント(前月比+3 ポイント)
【米国株 DI】 (8 月)37 ポイント→ (9 月) 42 ポイント(前月比+5 ポイント)
【中国株 DI】 (8 月)-31 ポイント→ (9 月) -34 ポイント(前月比 -3 ポイント)
日本の個人投資家に聞いた地域別 DI では中国株DI が3 ヶ月連続で低下したのに対し、日本株DI と米国株DI は前月に続き上昇しました。特に米国株DI は、ダウ平均がリーマンショック後の高値を上回る水準で推移していることもあり、今春ごろのレベルまで回復しています。
(2)米国の個人投資家の世界の株式相場への見通しがプラス圏に浮上
[調査対象:日本、米国、香港の個人投資家、別紙レポートグラフ③]
今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについて各国(日本、米国、香港)の個人投資家に聞いたところ、香港の個人投資家が大幅な弱気に転じました。一方、米国の個人投資家は前回調査時(2012 年6 月)から大きく31 ポイント上昇、2 ポイントとなりプラスに浮上しました。
(3)今後3 ヶ月程度の米ドル/円相場について、「変わらない」との予想が再び増加
[調査対象:日本の個人投資家、別紙レポートグラフ⑨]
今回の調査は、住宅ローン担保証券(MBS)を追加購入する量的緩和第3弾(QE3)の導入を決めた9 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に実施したことから、今後3 ヶ月程度の米ドル/円レートの見通しについて「変わらない」との回答が41%と最も多く、前回調査から4ポイント増と、やや増加しました。78 円台半ばで膠着する米ドル/円相場を受け、「変わらない」との回答比率は2009 年10 月の調査開始以来、最も高い水準にほぼ並びました。
(4)個人投資家の関心は欧州から米国へ(グローバル)
[調査対象:日本、米国、香港の個人投資家、別紙レポートグラフ⑫~⑭]
投資判断にあたり個人投資家の注目するトピックを問う設問に、米国の個人投資家は11 月の大統領選挙や年末の大型減税期限切れを控え自国の「政治・外交」を挙げる回答者が目立ちました。また、前回調査時(2012 年6 月)は日本、米国および香港、いずれの地域においても、欧州債務問題が最も大きな割合を占めていましたが、今回の調査で3 地域の個人投資家の注目は欧州関連でなくなりつつあることがうかがえる結果となりました。
(注 1)日本、米国および香港における調査の実施概要は次のとおりです。
日本
調査期間: 2012 年9 月7 日~11 日
回答数: 1,021件
米国
調査期間: 2012 年9 月4 日~14 日
回答数: 150 件109 件
香港
調査期間:2012 年9 月3 日~14 日
回答数: 109 件
(注2)DI(diffusion index):「上昇すると思う」と回答した%から「下落すると思う」と回答した%を引いたポイント
調査結果
1、株式市場を取り巻く環境について
(1)今後3 ヶ月程度の株価予想
日本の投資家に聞いた地域別DI では中国株が3 ヶ月連続で低下したのに対し、日米は前月に続き上昇した。特に米国株DI は、ダウ平均がリーマンショック後の高値を上回る水準で推移していることもあり、今春ごろのレベルまで回復した。
今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについては香港の投資家が大幅な弱気に転じた。一方、米国では3 ヶ月前に比べ+31 と急上昇しプラスに浮上した。(参照:グラフ①&グラフ②&グラフ③)
(2)どの地域の株価に今後3 ヶ月最も期待できるか
米国と香港では「欧州/英国」との回答が前回比大幅に伸びたのに対し日本では伸びが小幅にとどまっている。その代わり他の2 地域と異なり「米国」がやや増加し、「アジア」が減少した。(参照:グラフ④)
(3)日本株を買いたい水準
ピークは「8,000 円~8,500 円」の水準と前月から変化は無かった。(参照:グラフ⑤)
(4)各業種に対する今後3 ヶ月程度の見通し(グローバル)
「石油関連」が前月に続いて一つ順位を下げたほか「商社」や「電力・ガス」も下落した。
3 ヶ月前と比べてディフェンシブ系の「公益」や「ヘルスケア」の後退が目立つ。一方、「テクノロジー」や「エネルギー」、「素材」など景気敏感業種が順位を上げた。
3 ヶ月前と比べて「自動車」や「エネルギー」が大きく上昇した。「サービス」、「輸送」は大幅に順位を落とした。(参照:グラフ⑥&グラグ⑦&グラグ⑧)
2、為替市場、商品市況について
(1) 今後3 ヶ月程度の米ドル/円相場予想
9 月の米FOMC 前に実施された今回の調査では米ドル/円レートの見通しについて、「変わらない」との回答がやや増加した。78 円台半ばで膠着するドル円相場を受け、「変わらない」との回答比率は調査開始以来の最高水準にほぼ並んだ。(参照:グラフ⑨)
(2)今後3 ヶ月でどの通貨が最も上昇するか(グローバル)
3 ヶ月前と比べて香港のみ「ユーロ」が減少した。日本は他の2 地域と異なり「米ドル」が増加し、「円」が減少した。(参照:グラフ⑩)
(3)今後3 ヶ月の商品市況の見通し(グローバル)
原油について、日本の投資家の見通しはほぼ横ばい。米国では大幅に上昇した。
貴金属についても原油同様、日本の投資家の見通し(DI)は小幅な上昇だったのに対し、米国では20 ポイント超の上昇となった。(参照:グラフ⑪)
(4)注目のトピックなど(グローバル)
投資判断にあたり注目するトピックは以下のうちどれですか?
米国では11 月の大統領選挙や年末の大型減税期限切れを控え自国の「政治・外交」を挙げる回答者が目立った。いずれの地域でも欧州関連が最もポピュラーな話題でなくなりつつあることがうかがえる。(参照:グラフ⑫&グラフ⑬&グラフ⑭)
中国の景気減速は世界的な危機に繋がると思いますか?(参照:グラフ⑮)
「バイ・アンド・ホールドの投資スタイルは過去のものだ」との意見についてどう思いますか?(参照:グラフ⑯)
11 月に民主党のオバマ大統領が再選されたらあなたの投資判断にどのような
影響がありますか?(日本、米国)(参照:グラフ⑰)
11 月に共和党のロムニー氏が大統領に選出されたらあなたの投資判断にどのような影響がありますか?(日本、米国)(参照:グラフ⑱)
総 括
四半期毎に行う「MONEX グローバル投資家サーベイ」、第5 回目の結果をお届けします。
筆者の娘はこの秋、小学校を受験する。いわゆる「お受験」というやつだが、これがなかなか大変だ。今年の夏は大好きなプールも諦めて夏期講習に通う日々だった。小学校受験は塾任せにできない。合否の鍵を握るのは家庭学習だ。よって筆者もかなりの時間を割いて娘の勉強をみたので、今では小学校受験問題の傾向と対策については、ちょっとしたエキスパートだと自負している。頻出問題のひとつに「四方からの観察」というものがある。例えば、テーブルの真ん中に積み木が置かれている。その周りをうさこちゃん、ぽんた君(たぬき)、にゃんこちゃん、くま君の4 人が囲んでいる。「それぞれから積み木はどう見えますか?その絵を描きましょう」という問題である。場所が違うと、見え方も違うということが理解できなければならない。その場所に行かずに考えることができるかという、すなわち「想像力」の問題なのである。
9月のグローバル投資家サーベイで今後3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しについて尋ねたところ、香港の投資家のDIはマイナス17 と前回から24 ポイントも悪化、大幅な弱気に転じた。一方、米国投資家のDIは3 ヶ月前に比べ31 ポイントも上昇し、プラス圏に浮上した。尋ねたのは「世界の株式市場(Global equities)」についての見通しであって、それぞれの自国マーケットについてではない。同じものについての見通しを尋ねているのだが、場所が違うと見え方も違うのか、著しく正反対の見通しとなっている。
このパズルを解く鍵は、果たして見ているものが同じか、という点にある。子供に出される問題では積み木の形はひとつ、同じものだが、大人に出された「世界の株式市場」というものは、ひとそれぞれ捉え方が違う。MSCI 世界株式インデックスのようなものを念頭に置き、その指数に占める米国市場の割合が○%、日本が○%、アジア○%、欧州○%といった具合に時価加重ベースの「世界株式市場」というイメージをもって回答した人はごく稀であったろうと想像に難くない。一般に、「グローバル」という場合、自国マーケットを含む世界全体という意味だから、「グローバル」と問われても自分のなかでは自国マーケットの存在が大きいのである(MSCIに占める自国市場の時価総額ウェイトなんて考慮する人はいないだろう)。端的に言って、この質問の回答は「ホームマーケット・バイアス」に引きずられている。米国の投資家は「米国株式市場を中心とした世界株式市場」の見通しについて答えているし、香港の投資家は「上海・香港の株式市場を中心とした世界株式市場」の見通しについて答えたものだと思われる。
その証拠に「今後3 ヶ月どの地域の株価に期待できるか?」という質問の回答で、「欧州/英国」と答えた比率は、米国の投資家も香港の投資家も同様に大幅改善を示した。ホームマーケット・バイアスのかからない「第三国」に対するものの見方は、場所が違っても同じであった。
ホーム・バイアス – すなわち自国偏重である。だから場所が違うと見え方が違うという小学生でも分かることが分からない。同じひとつの島でも見る場所が違えば見え方が違うのは当たり前だ。小学校受験の問題なら、そこまで理解すれば十分だが、大人の世界では落第である。違う場所にいて、違う見え方、捉え方をする相手に、自分がどう見られているかを考えなくては大人の試験問題は不合格である。外交センスというより、「想像力」の欠如だ。政治家に問いたい。「ぽんた君から積み木はどう見えますか?」その場に行かずに、考えなさい。
今回も皆様方のご協力で、大変貴重なデータを作成・分析することができました。本当にありがとうございました。今回のサーベイが個人投資家の皆様方の投資判断の一助となれば幸いです。
(マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
「MONEX グローバル投資家サーベイ」について
マネックス証券は、2009 年10 月より、個人投資家を対象として相場環境についての意識調査のアンケートを毎月実施し「MONEX 個人投資家サーベイ」として提供してまいりました。当グループにおいて日本、香港に加え米国にも拠点ができたことを契機に、当該個人投資家サーベイの調査対象を香港および米国にも広げ、2011 年6 月より四半期ごとに「MONEX グローバル投資家サーベイ」を実施しています。日本、米国および香港の個人投資家の相場環境についての意識を定点観測しております。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
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