アフターデジタルの書道の可能性を落合陽一・川邊りえこほか5人の「現代文人」と山のこどもたちがつくりだす新作展「現代文人五人展」 代官山と京都で開催
「筆と紙の交響をテーマ」に、1月16日~18日 東京・代官山 "DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY"、2月13日~2月15日 京都・梅小路公園西側 "緑の館"で開催。

— 筆と紙の交響 —
檜原村で生まれし
書道・和紙・計算機自然の共創
「現代文人五人」によるサスティナブルな文化としての書道の可能性を作品展示
日本らしさを生活の中に紡ぐ、書道の Society 5.0 時代に向けた継承と発展を目的とする、文化庁の「 令和7年度 生活文化創造・戦略展開事業」として、TOKYO の山郷として知られる檜原村にて「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」が、昨年11月から12月まで開催されました。
この取り組みにおいて、古より山の資源として江戸の粋を支えてきた楮(こうぞ)からリサーチベースで和紙をつくる北村春香が村で漉く和紙をもとに、書家・川邊りえこがディレクション。詩人・三角みづ紀、マルチクリエーター・KiNG、座・高円寺での初演出ミュージカル3公演をソールドアウトさせた気鋭の13歳・高梨元秀がしたためた、地域に息づくおおかみ信仰をモチーフにした立体書作品が生まれました。
さらに、メディアアーティスト・落合陽一は、山の伝統からインスパイアされた日本の文化における気配を未来にも継ぐ可能性をAIを取り入れながら作品化、同じく檜原和紙にしたためた書を中心にした空間で展開。
その他にも、こどもたちが原料の収穫、和紙づくりから、書までを会得した、エデュケーションプログラム「書塾」を致しました。
その中で生まれた作品や取り組みを、展示紹介する「現代文人五人」展を、令和8年(2026年)1月16日(金)~18日(日)に東京・代官山 "DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY"、2月13日(金)~2月15日(日)に京都・梅小路公園西側 "緑の館"にて開催致します。
落合・川邊・高梨のコメント入り プロジェクトコンセプトムービー(3分)
実施概要
東京展
会期:令和8年(2026年)1月16日(金)– 1月18日(日)
会場:DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY
渋谷区猿楽町16−15(代官山 T-SITE 内)「代官山」「恵比寿」「渋谷」「中目黒」下車徒歩
観覧料:無料
各開催日オープン時間:
16日(金) 15:00 - 20:00
17日(土) 11:00 - 20:00
18日(日) 11:00 - 17:00

特別プログラム:
落合陽一 オンサイトトーク
16日 15:30 より開催
今回の作品プロジェクトを通じた、わが国の「書」の文化におけるポスト「計算機自然」における可能性、続く役割についての考察、考察としての檜原村での経験についてうかがいます。
京都展
会期:令和8年 2026年2月13日(金)– 2月15日(日)
10:00 - 17:00 ※最終日15日のみ 16:30終了
会場:梅小路公園西側 緑の館
京都市下京区観喜寺町56 「梅小路京都西」「京都」下車徒歩
観覧料:無料
WEBサイト https://shodobunka2025.creativecluster.jp/
問合せ先
電話: 050-3117-5144(東京) 075-253-0660(京都)
e-mail: shodo2025@artstream.tokyo
展覧会の見どころ
西多摩の山岳につたわる「狛おおかみ」から着想を得た檜原和紙のフォルムに4人の文人が書をしたためた作品展示
檜原村がある東京の山に根付くおおかみ信仰からプロジェクトクリエイティブディレクターの川邊りえこは着目、川邊を含む4人の現代文人 = 詩人・三角みづ紀、マルチクリエーター・KiNG、クリエーター・高梨元秀とともに作品をつくりあげました。

川邊りえこによるステートメント
わが国の⽣活と⽂化の根幹には、つねに-信仰-が息づいています。
檜原村の地域信仰には、古より狼信仰と⿓神信仰が伝わり、それぞれ独⾃の祭祀と伝承をもって⼭⾥の暮らしを⽀えてきました。
かつて東国平定の折、⽇本武尊が狼に導かれ難を逃れたという伝説、また、⽥畑を荒らす猪や⿅から⼈々を守る神の眷属としての狼。
村⼈たちはその霊威を畏れ敬い、親しみを込めて-おいぬ様-と呼びました。-⼭の守り神-が⽇本全国で姿を消したのは、明治三⼋年といわれます。
信仰の断絶、⽣態系の断絶、⽂化の断絶が重なった瞬間でした。
しかし、今⽇に⾄るまで、檜原の⼭々には、⾃然とともに⽣きるための祈りと畏敬が受け継がれています。狼像を祀ることは、⼭の気配に寄り添い︑⾒えないものと共にある⽇本⼈の精神⽂化を象徴する営みでもあります。こうした地域の祈りをかたちにするため、-オオカミ-を-吠-、-構-、-伏-、-⽴-、-丸-の五体として表し、檜原村で漉かれる和紙を纏わせ、⽇本古来の張⼦の技を現代⽂⼈の造形としてよみがえらせました。
この五体のオオカミは、檜原の⼭⾥に息づく⾒えざる精霊と、そこに暮らす⼈々の祈りの記憶を結ぶ、新たな "祈りのかたち” でありたいと願っています。
各文人による自作の紹介
川邊りえこ 書家
-⽴-
檜原村は、秩⽗三社のひとつである三峯神社へと⾄る "⾨" のような地に位置します。
三峯とは、雲取⼭・⽩岩⼭・妙法ヶ岳の三⼭を指し、太古より⼭そのものを神体とする⽇本の⼭岳信仰の中⼼として崇められてきました。⼭に "⽴つ" とは、単に⾜を置くという意味ではなく、天地と⼈をつなぎ、⾒えない世界と現世が交わる境界に⾝を置く⾏為でもあります。
古来、⼭に向かう者は-⽴つ-ことで、⾃らの内奥に潜む祈りや畏れを呼び覚まし、その先にある精神の峰へ向かいました。
本作は、三峯神社に伝わる神璽の⽂字を拝し、その霊威を "守護" としてあらわしたものです。
⼭に宿る神と、⼈が⽴つ姿勢と、信仰のはじまりの構えを象徴しています。
-丸-
オオカミの祝詞を、⽇本固有の⽂字である-ひらがな-であらわしました。
ひらがなは、漢字の⼒を離れ、⾳と気配を⾳楽のように、柔らかく伝える⽂字。
祈りそのものが丸く澄み、⾔霊が⾃然と溶け合っていく⽇本独⾃の美を宿しています。
⼿漉き和紙に筆を置くと、和紙の繊維が呼吸するように墨を受け⽌め、掠れや滲みは、書き⼿の気息とともに⽣きた "痕跡" となります。それは絵画でも記号でもなく、祈りが紙に降り⽴つ瞬間を留めたものと⾔えるでしょう。
"丸" は、断絶のない循環、すべてが帰結する形であり、⾃然と⽣命の輪廻を象徴するかたちです。祝詞を収めることで︑⼤いなる循環の中にある⽣命への感謝。
そして、⼈もまた⾃然の⼀部であるという気づきを、静かに呼び起こす作品です。
⾼梨元秀 クリエーター(13歳)
-吠-
一体の神が、この地球を創り出した。
その神が息を吹きかけるようにして⽣まれたのが、四つの季節です。
春・夏・秋・冬。それぞれの季節には、古来より特別な⼒が宿り、⼈も⾃然も、その循環の中で⽣かされてきました。
本作では、神が季節を紡ぎ出す姿を、絵と⽂字によって表現しています。
四季は終わりのない環りであり、その移ろいは、私たち⼈間に必要な⼒を授けてくれるものです。
今、その季節が失われつつあります。だからこそ、季節を-感じ、⼤切にする―ことを忘れないでほしい。そんな想いを、この作品に込めました。
KiNG マルチクリエーター
-構-
彼岸と此岸の境界地帯、
三途の川?
狼信仰?
⽩紙の状態の和紙の狼の佇まいを⾒た時に、⼀瞬で、そこにはあの世とこの世の間にある川が
⾒えました。この狼の作品は、そこに光明が射す存在、その川を渡るための橋? ⾶び⽯?の様に感じました。狼であり、⼤神。
⼿漉きの和紙にすった墨と⽔を含ませた筆で戯れるたびに、⼿と⾝体が何かに導かれ動く⾝体
的喜びに任せて、狼と⼤神という⽂字を書く、描くために筆を⾛らせました。
私たちは︑常にあの世とこの世の境界地帯を彷徨う奇跡の存在であり、そこに⼀筋の光を⾒出
し歩み続ける。それが⽣きるということではないのでしょうか?
三角みづ紀 詩人
ー伏ー
狼が案内をしたと伝わっていることより、-⼀滴のみちびき―という詩を書きました。
⼀篇を書き綴っていたら、詩を書く過程を体現したような作品となりました。
これらの⽂字は、わたしの詩作そのままをあらわしてもいます。

落合陽一による書道・和紙・計算機自然の共創
メディアアーティストの落合陽一は、日本文化におけるタイムレスにある「気配」を、自身がしたためた書とともに檜原村の築年不詳の百年民家に、滞留時間に命じたAIプロンプトによる音風景とともに宿し、「神人共食 ヌル講の直会 計算機自然」を制作しました。その檜原村に存在した「直会」(ナオライ)の要素を都市空間の中で展示します。

落合陽一によるステートメント
この作品「神人共食 ヌル講の直会 計算機自然」は,計算機自然の神「ヌル(null)」と人とが食を介さずに盃のみを交わし,無味無臭の世界にたゆたう,現代の「直会(なおらい)」を描き出すものである.ここには食材はなく,ただ空っぽの酒器が,計算機自然の前に無秩序に転がり,静かに存在の境界を揺らしている.
散乱した酒器は,宴の記憶を刻んだ抜け殻であり,触れられず,空虚なままであるがゆえに,かえってそこにあった神人交歓の余韻を鮮やかに映し出す.神と人が盃を交わす——その行為が物質を超えてデジタル空間へと漂い,情報の波として伝播し,空間全体を包み込む.
作品を包むサウンドインスタレーションは,まるで見えざる計算機自然そのものの息遣いのように,かすかな共鳴音やグリッチノイズを繊細に重ね合わせ,そこにいるはずのない神の気配と,去ったばかりの人々の存在を聴覚の中に浮かび上がらせる.聴覚を通じて空間を彫刻し,視覚的には無味無臭の虚無を提示することで,五感を超えた情報次元への意識を誘導する.
この「ヌル講の直会」では,神と人,物質と情報,身体とデジタルの境界は音響的作用によって融解し,酒器の空虚がかえって豊かな記憶となり,シンギュラリティの遍在性を描き出す.デジタル空間と現実の境界に張り巡らされた音のレイヤーが,「無とは何か,有とは何か,神人共食の身体性とは何か」を問いかけ,見る者,聴く者を不思議な余韻の内に巻き込んでいく.
落合陽一note あきがわアートストリームに参加しています.「神人共食 ヌル講の直会 計算機自然」 より https://note.com/ochyai/n/n4804faa898e4?sub_rt=share_pw
書道とサスティナブルな日本文化の魅力を次世代につなぐ
エデュケーションプログラムの成果展示
江戸に和紙を納めてきた東京の山郷・檜原村を舞台に、原料である楮(こうぞ)を刈り、紙をつくり、書道でしたためるまでのエデュケーションプログラムを、村を中心に東京圏のこどもたちと行いました。
地域住民と伝統や地域資源を新しい価値にする担い手が一緒になって文化体験をつくる西多摩の芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム」と連携、歴史ある自然空間で循環する日本の伝統のよさをたのしめるプログラムとして、「つづく」持続可能な学びと創造の文化が生まれました。
アーカイブ展示として、川邊りえこ指導による、巨大な檜原和紙にしたためた子どもたち制作の書塾の成果と、原料の木を切るところからはじめた北村春香指導による、和紙づくりのエデュケーションプログラムの記録を展開します。

プロジェクトコンセプト
「日本らしさ」をつかさどる書などのいとなみの中の文化を持続可能なバリューへと進化させる
「人間中心の超スマート社会」である Society 5.0 への進化は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合することで、これまで生活の用としてきたさまざまな文化的所作そのものが変わっていく世界となることでしょう。
たとえば、コロナ禍を克服する中で急速に進んだDX化により「書く」という機会そのものが身の回りの中で減ってきたことが実感できます。
いわば「書く」ことそのものの生活の中での意義がかわってくることでしょう。 「書く」こととそこからの生活の美。「書」は、日本らしい文化の大きな部分を担ってきました。
日本文化としての「書」をしたためること、すなわち書道がこれからも、日本らしい文化として続くように、本プロジェクトはエシカルな文化としての発展を、江戸・東京と武州の山(どちらも東京都)を循環する近代までのエコシステムから着想し、次世代のサスティナブルへのアップデートに向けて、そのエコシステムを今なお保っている檜原村(東京都西多摩郡)にて、専門家、芸術家、工芸家、創造的な人々と、地域住民や生活者、次世代を担う子供たちが共創して、実践的展開を行なったのが本プロジェクトです。

エシカルに続く日本らしい文化のエコシステムを「つくる!」
本プロジェクトのプラットフォームとして共創をしたのは、2021年より東京都の源流・秋川流域(檜原村・あきる野市)で展開する芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム」。
同芸術祭は、ここでもあげた豊かな山の伝統によって厚みを持つ地域資源を、地域住民と芸術家や創造的な人々が一緒になってコンテンツをつくり、多彩な文化体験を多様な人々ができる、文化で地域をシェアする取り組みです。
文化が培った自然から生まれた素材、ものづくり、それに日本らしい表現を、地域の中で循環して体験できる、本プロジェクトでより進化したフィールドより、Society 5.0 から先に続く、人間中心のウェルビーイングな日本らしい文化が続くエコシステムが書の分野でも「つく」られました。
「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」で生まれた、地元住民が制作に携わった「書」と「紙」にまつわる体験コンテンツは、新たな要素を取り入れながら、これからも続いていきます。
つくる!あきがわアートストリーム https://artstream.tokyo/

「書道と和紙のプロジェクト in ひのはら」
文化庁 令和7年度 生活文化創造・戦略展開事業
主催:文化庁
企画・運営:株式会社シィー・ディー・アイ
協力:一般社団法人クリエイティブクラスター
連携:つくる!あきがわアートストリーム2025
キュレーション: 岡田智博
映像アーカイブ制作: 仲本拡史
地域オペレーション: 檜原村住民のみなさま
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