販売(POS)データから読み解くコロナ禍における取引推移の実態調査
19年12月から21年4月まで、10,309店舗の取引件数推移
【概要】
■スマレジ総研の目的
経営理念「OPEN DATA, OPEN SCIENCE!」のもと『スマレジ』の販売データを有効活用し、日本の商業に関わる実態を多面的に分析することを目的としています。
今後は取引件数の推移以外にも、キャッシュレス決済の比率など販売データに関する調査を様々な切り口で実施してゆきます。
■スマレジ総研「取引推移の実態調査」概要
2019年12月から2021年4月までの期間における地域別・業種別の取引推移をまとめ、コロナ禍における緊急事態宣言などが商業に及ぼす影響を振り返りました。
■調査期間
2019年12月1日〜2021年4月30日
■調査対象
10,309店舗
対象地域:1都2府4県
関東(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)
関西(大阪府/京都府/兵庫県)
対象業種:10業種
イベント物販/娯楽/飲食/アパレル/医薬品・化粧品/美容・理容/エステ・ネイル/医療/ネットカフェ・コワーキングスペース/その他小売
■指数の説明
コロナ禍以前(2019年12月1日~2019年12月31日の1ヶ月)の合計取引件数を日で割った数値を100の指数としております。
また年末年始や季節要因を含んでの考察は、今回のデータでは省いております。
【サマリー】
・〈平均推移〉緊急事態宣言発令以降の取引件数はコロナ禍前と比較し第一回目-78%、第二回目-56%という結果に。
・〈関東〉緊急事態宣言発令以降、全体的に平均値を下回る東京、一方で神奈川・千葉・埼玉は平均値以上に。
・〈関西〉緊急事態宣言発令以降、全体的に平均値を下回る大阪・京都。一方で兵庫県は平均値以上に。
・〈業種別〉イベント物販の最小で1.0%まで減少。飲食、娯楽、アパレルなど、対面接客を有する様々な業種が減少傾向に。一方で、医療やネットカフェ・コワーキングスペースは独自の取引推移に。
※本リリースに関する内容を掲載される際は、必ず「スマレジ調べ」と明記お願いいたします
【平均取引推移】緊急事態宣言発令以降の取引件数は、第一回目22.1%、第二回目45.9%まで減少。
20年4月7日から20年5月25日まで続いた第一回目の緊急事態宣言の取引件数推移を見ると、発令以降の取引件数は22.1%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて61.7%(20年6月27日週)まで回復している。
21年1月8日から3月21日まで続いた、第二回目の緊急事態宣言の取引件数推移を見ると、発令以降の取引件数は45.9%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は23.8%に。解除直前に67.2%(21年3月20日週)まで回復している。
21年4月25日に発令された第三回目の緊急事態宣言(まん延防止措置:4月20日)発令以降、45.3%(21年4月30日週)まで減少している。
【関東】緊急事態宣言発令以降、全体的に平均値を下回る東京、一方で神奈川・千葉・埼玉は平均値以上に。
・東京都
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は17.2%(20年4月18日週)まで減少し、1都2府4県の中では最も減少したエリアになった。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて54.9%(20年6月27日週)まで回復し、取引件数のピークは62.2%(20年10月31日週)に。1都2府4県の中では最も低い回復率となった。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は42.0%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は24.8%に。解除直前に61.0%(21年3月20日週)まで回復している。第一回目の緊急事態宣言の回復率に続き、1都2府4県の中で、最も低い回復率となった。
第三回目の緊急事態宣言以降40.6%(21年4月30日週)まで減少する。
・神奈川県
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は30.2%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて69.8%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは80.3%(20年9月26日週)に。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は52.2%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は22.0%に。解除直前に78.4%(21年3月20日週)まで回復している。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降67.7%(21年4月30日週)まで減少する。
・埼玉県
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は38.0%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて81.3%(20年6月27日週)まで回復し、取引件数のピークは85.5%(20年9月26日週)に。関東の中では最も回復率が高いエリアになった。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は64.0%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は26.0%に。解除直前に86.7%(21年3月20日週)まで回復している。1都2府4県の中では、最も回復したエリアになった。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降78.2%(21年4月30日週)まで減少する。
・千葉県
第一回目の緊急事態宣言発令以降の、取引件数は34.9%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて72.6%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは81.4%(20年9月26日週)に。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は57.8%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は22.9%に。解除直前に80.5%(21年3月20日週)まで回復している。
まん延防止措置等に基づく協力要請以降71.8%(21年4月30日週)まで減少する。
【関西】緊急事態宣言発令以降、全体的に平均値を下回る大阪・京都。一方で兵庫県は平均値以上に。
・大阪府
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は19.2%(20年4月25日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて67.5%(20年6月27日週)まで回復し、その後取引件数のピークは71.1%(20年10月31日週)に。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は46.6%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は27.0%に。1都2府4県の中で、最も差分が大きいエリアとなった。解除直前に66.3%(21年3月20日週)まで回復している。
第三回目の緊急事態宣言以降37.2%(21年4月30日週)まで減少する。
・兵庫県
第一回目の緊急事態宣言発令以降の、取引件数は36.8%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて79.2%(20年6月27日週)まで回復し、その後、取引件数のピークは96.7%(20年8月15日週)に。1都2府4県の中では、最も早い回復を見せている。
第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は61.5%(21年1月23日週)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は24.7%に。解除直前に83.1%(21年3月20日週)まで回復している。
第三回目の緊急事態宣言以降50.5%(21年4月30日週)まで減少する。
・京都府
第一回目の緊急事態宣言発令以降の、取引件数は19.1%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて50.7%(20年6月27日週)まで回復するが、1都2府4県の中では、最も低い回復率のエリアになった。しかし、その後一転して、取引件数の回復を見せ、72.6%(20年9月26日週)になり、更に90.2%(20年11月28日週)まで回復する。第二回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は33.9%(21年1月23日時点)まで減少。第一回目の緊急事態宣言との差分は14.9%に。1都2府4県の中では、最も減少し、且つ差分が小さいエリアになった。解除直前に83.1%(21年3月20日週)まで回復している。
第三回目の緊急事態宣言以降33.1%(21年4月30日週)まで減少する。
【業種別】イベント物販は1.0%まで減少。飲食、娯楽、アパレルなど、対面接客を有する様々な業種が減少傾向に。その一方で、医療やネットカフェ・コワーキングスペースは独自の取引推移に。
・イベント物販
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は1.0%(20年5月9日週)まで減少。その後、取引件数のピークは37.7%(20年9月19日週)に。1年を通じて、25.0%を下回る取引件数で推移している。今回調査した業種の中で、最も取引件数の減少が大きかった業種になっている。
・娯楽(ゴルフ・ボーリング場、スポーツ施設、映画館、遊園地)
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は9.03%(20年4月18日週)まで減少。その後、取引件数のピークは62.0%(20年9月26日週)に。そして、第二回目の緊急事態発令後、23.1%(21年1月23日週)まで減少し、解除直前に58.2%(21年3月20日週)まで回復するものの、第三回目の緊急事態宣言発令直前に33.6%(21年4月17日週)まで減少。1年を通じて、平均値を下回る取引件数で推移している。
・飲食店(居酒屋、レストラン、カフェ、ラーメン店、各種専門店含む)
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は24.5%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて63.6%(20年6月27日週)まで回復、それ以降、取引件数は60%前後で推移している。
・アパレル
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は9.0%(20年5月2日週)まで減少し、イベント物販に次ぐ減少値になっている。また緊急事態宣言解除から約1ヶ月弱の短期間で78.2%(20年7月4日週)まで急回復。8月後半から減少傾向になり、9月以降は平均値と近しい推移になっている。
・医薬品・化粧品(薬局・薬店、ドラッグストア、化粧品)
コロナ禍以降、他業種は取引件数が減少傾向にある中、101.0%(20年2月22日週)に上昇する。第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は25.2%(20年5月9日週)まで減少、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて81.4%(20年6月27日週)まで回復する。それ以降は80%前後の取引件数で推移している。
・その他小売(雑貨屋、肉・魚屋、八百屋、花屋など)
第一回目の緊急事態宣言発令以降の、取引件数は18.2%(20年4月18日週)まで減少。緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて58.3%(20年6月27日週)まで回復し、それ以降、取引件数は60%前後で推移している。
・美容・理容
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は27.9%(20年4月18日週)まで減少し、緊急事態宣言解除から約2週間程度で85.0%(20年6月6日週)と急回復する。第二回目の緊急事態宣言発令後、60.9%(21年1月23日週)まで減少するものの、1年を通じて80%前後の取引件数で推移している。
・エステ・ネイル・マッサージ
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は28.2%(20年4月18日週)まで減少し、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて78.7%(20年6月27日週)まで回復。以降は80%前後で取引件数が推移するが、第二回目の緊急事態宣言発令直後で65.3%(21年1月16日週)まで減少、その後70%前後の取引件数で推移している。
・医療(病院、診療所、クリニック)
第一回目の緊急事態宣言発令以降の取引件数は49.8%(20年5月9日週)まで減少するものの、翌週には87.2%(20年5月16日週)まで回復する。以降は100%前後で取引件数が推移している。
・ネットカフェ・コワーキングスペース
コロナ禍以降、他業種は取引件数が減少傾向にある中140.4%(20年1月25日週)と大きく上回り、緊急事態宣言発令の約1週間前にも109.9%(20年3月28日週)の取引件数になっている。また第一回目の緊急事態宣言発令以降、取引件数は22.7%(20年5月9日週)まで急激に減少し、緊急事態宣言解除から約1ヶ月かけて79.2%(20年6月27日週)まで回復する。8月以降は90%前後の取引件数で推移している。
【総評】
・地域別の取引推移より
全体的に平均値を下回る東京都・大阪府・京都府に対して、神奈川県・千葉県・埼玉県・兵庫県は平均値以上の取引件数の推移となった。
・業種別の取引推移より
イベント物販・娯楽・飲食・アパレルなど、対面接客を有する様々な業種が3密(密閉、密集、密接)回避や、外出自粛といった行動要請による影響を受けた結果に。その一方で、医療は生活に無くてはならないエッセンシャルな存在のため、有事になろうと影響が少なかった。
【スマレジ導入店舗様からのコメント】
今回のデータ公開に際し、スマレジの導入店舗様である関門海様からコメントをいただきましたので、ご紹介致します。
・株式会社関門海 様
新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド旅行客の減少、宴会需要の激減や店舗臨時休業、時短営業を行ったことにより売上高には大きな影響はありました。しかしこの苦難の中「セントラルキッチン」を所有している強みを再認識し、自社加工による外販ふぐ商品の開発と卸売りを始めました。また通販事業や店舗のデリバリー・テイクアウトも強化し、アフターコロナを見据えた新たな強い組織づくりに挑戦し続けています。
■株式会社スマレジについて
会社名 : 株式会社スマレジ
代表 : 代表取締役 山本 博士
設立 : 2005年5月24日
資本金 : 1,136百万円(2021年1月31日時点)
本社所在地: 大阪府大阪市中央区本町4-2-12 3F
URL : https://corp.smaregi.jp/
<クラウドPOSレジ『スマレジ』>
スマレジはiPadやiPhoneを用いた低価格かつ高機能なPOSレジです。データはクラウド上で一元管理。時間と場所を選ばないリアルタイムな売上分析を実現しました。小売やアパレル、飲食店など多くの業態に応える機能を有し、小規模から大規模チェーンまでご利用いただけます。操作はシンプル。どなたでも簡単に使うことができます。単独店舗の基本レジ機能は無料で、お客様の用途に応じた料金プランをご用意しています。
2021年6月末時点で、スマレジの登録店舗数は98,634店舗となりました。
https://smaregi.jp/
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