てんかん発作警告器を開発するクアドリティクス株式会社、シリーズBラウンド で総額6億円を調達
— 累計調達額 13億2,000万円 —
デジタルヘルス領域で革新的な医療機器開発を行うクアドリティクス株式会社(本社:京都市、代表取締役:林 康平)は、シリーズBラウンドにおいて、5社を引受先とする第三者割当増資および転換社債により、総額6億円の資金調達を実施いたしました。
これまでの資金調達ならびに金融機関からの借入等を合わせ、当社の累計調達額は13億2,000万円となりました。

当社は、ウェアラブル機器を活用しててんかん発作の兆候をリアルタイムに検知し、事前に警告するプログラム医療機器の実用化を目指しています。今回調達した資金は、心拍変動解析技術の研究開発、てんかん発作兆候検知技術の開発および国際展開、ならびに事業基盤の強化に活用し、開発およびグローバル展開を加速してまいります。
■ 今回の調達について(投資者一覧)
クアドリティクスは、以下の5社を引受先とする第三者割当増資および転換社債により、総額6億円の資金調達を実施しました。
第三者割当増資および転換社債 引受先
・JP LIFE NEXT1号投資事業有限責任組合(運営者:かんぽNEXTパートナーズ株式会社)
・Samurai Growth Fund 1号投資事業有限責任組合(運営者:株式会社サムライインキュベート)
・NextG投資事業有限責任組合(運営者:株式会社ケイエスピー)
・XTech3号投資事業有限責任組合(運営者:XTech Ventures株式会社)
・OLtV Opportunity Fund投資事業有限責任組合(運営者:ライフタイムベンチャーズ合同会社)
■ 資金使途
(1)心拍変動計測・解析技術の研究開発
当社独自の心拍変動(HRV)解析技術の高度化に向け、アルゴリズム開発やデータ解析基盤の強化を推進します。
(2)てんかん発作兆候検知を始めとした医療応用と国際展開
てんかん発作兆候検知プログラム医療機器の開発を加速するとともに、臨床開発および海外展開に向けた取り組みを推進します。
(3)事業計画に沿った事業運営
品質保証、薬事、知的財産、事業開発などの体制強化を進め、持続的な事業成長を支える基盤を構築します。
今回の調達資金を活用して研究開発および事業基盤の強化を進めるとともに、今後も国内外のグラントや融資制度等を活用しながら、持続的な研究開発投資を行い、医療機器としての実用化およびグローバル展開の実現を目指してまいります。
■ 投資家からのコメント
かんぽNEXTパートナーズ株式会社 パートナー 鈴木 拓嗣 様

てんかんは、約100人に1人が発症する身近な病気です。発作を予見できれば、患者さんは不安なく働き、移動し、暮らせるようになり、支えるご家族や介護者の負担も軽くなります。その実現に挑む同社に深く共感し、出資いたしました。リード投資家として、世界展開を支えてまいります。
株式会社サムライインキュベート Partner 會 義貴 様

てんかん発作はいつ起こるか予知が難しく、患者さまやご家族は事故やけがの大きな不安を抱えています。クアドリティクスは脳波ではなく心拍変動に着目し、非侵襲で日常的に使える発作予知技術の実用化を進めています。その独自性を高く評価し、今回出資を決定しました。日本発の技術を、てんかん発作に悩む一人でも多くの患者さまにお届けできるよう弊社も支援して参ります。
株式会社ケイエスピー インキュベート・投資事業部 担当部長 五十嵐晶様、同部 五島康人様

クアドリティクスが自律神経の変化を検出する技術を基盤に開発するてんかん患者向けソリューションは、発作がいつ起こるかわからないことに伴う患者さんやご家族、介護者の経済的・精神的負担の軽減に大きく貢献すると期待しています。その社会的意義と実現に向けた可能性を高く評価し、このたび出資いたしました。同社が掲げる「人類がてんかん発作を恐れず暮らせる未来を創造する」というビジョンの実現に向け、弊社も全力で支援してまいります。
XTech Ventures株式会社 パートナー 荻野 公平様

前回のシリーズAに続き、今回も出資させていただきました。オーストラリアという異国の地で事業を展開しながら、毎月着実に進捗を積み上げる経営チームの実行力には、毎回驚かされています。日本発の医療機器スタートアップとして新たな挑戦を続けるクアドリティクスを、引き続き全力で応援してまいります。
ライフタイムベンチャーズ合同会社 代表パートナー 木村 亮介 様

クアドリティクスは、長年に渡る創業者の皆さんの研究開発、日豪にまたがる臨床パートナーの先生方のご協力を、課題解決型イノベーションとして真摯に事業化に向き合うチームです。弊社としてはプレシードラウンドから数えて、今回で4回目の出資となります。日本発のHealthTechスタートアップとして、北米をはじめ世界で活躍されることを期待しています。
■代表取締役 林 康平 コメント
このたび、シリーズBラウンドでの資金調達を通じて、私たちのビジョンである『人類がてんかん発作を恐れず暮らせる未来を創造する』ために、大きな一歩を踏み出すことができました。
今後も、患者さん一人ひとりの安心と安全のために、そして世界中の医療現場に新たな選択肢を届けるために挑戦を続けてまいります。
さらに、予測が難しい発作によって日常生活にさまざまな制約が生じうるてんかんに対して、発作による怪我や事故の回避、医療費の低減、そして患者さんとご家族の生活の質(QoL)の向上に貢献できる革新的なソリューションとして、本技術の社会実装を強く推進してまいります。
■ てんかんについて
てんかんは、世界中で約5,000万人が影響を受けているとされる神経疾患であり、世界保健機関(WHO)によっても重要な公衆衛生上の課題として位置づけられています¹。人口の約1%が生涯のどこかで発症する可能性があるとされる、比較的身近な病気です。日本国内にも約100万人の患者さんがいると推計されており²、適切な診断と薬物治療によって、約7割の方は発作をコントロールし、通常の生活を送ることが可能です。一方で、約3割の方では発作が完全には抑えられず³、発作による怪我ややけどなどのリスク、不安を抱えながら生活されているケースも少なくありません。
また、1年以上発作がない状態が続いている患者さんの中でも、5割を超える方が「いつ発作が起こるかわからない不安」を感じているという国内調査もあります⁴。
てんかんにおいては、治療の進展がある一方で、発作の予測が難しいことが患者さんとそのご家族の生活の質(QOL)に影響を与える要因のひとつとなっています。このため、より個別化された治療や、発作リスクを事前に察知できる新たな技術への期待が高まっています。
■ 開発中のプログラム医療機器について
クアドリティクスが開発する「てんかん発作警告器」(仮称、一般的名称:てんかんアラーム)は、ウェアラブル心電計を用いて自律神経変化をモニタリングし、機械学習による異常検知アルゴリズムを組み合わせた、非侵襲型の発作予測システムです。
これにより、てんかん発作の兆候をリアルタイムで検知し、発作の数分前に患者さんに警告を発することで、発作による怪我や事故のリスク軽減と、日常生活における安心感の向上を目指しています。
なお、本製品は現在開発中であり、日本国内において薬機法上の承認を取得したものではありません。
■ クアドリティクス社について
クアドリティクス株式会社は、「予測が難しいてんかん発作による事故や怪我をなくしたい」という志を共有する臨床医学・情報学・電子工学の研究者によって2012年に研究がスタートし、2018年に京都大学・熊本大学発のベンチャーとして設立されました。
当社は、てんかんという発作の予測が難しい疾患に対し、テクノロジーの力で“予測可能性”という新たな価値を提供し、患者さんの安心と安全を支えることを目指しています。私たちのビジョンは、「人類がてんかん発作を恐れず暮らせる未来を創造する」ことです。
■ グローバル展開と海外拠点について
当社は現在、日本とオーストラリアを中心とした国際的な臨床・薬事開発体制の構築を進めており、豪州での薬事承認とNDISによる保険償還を足掛かりとして、その後の北米市場展開を視野に入れています。オーストラリアで得られる臨床データや医療経済学的エビデンスを活用することで、将来的なグローバル展開の加速を目指しています。
2024年には、MedTech Actuatorのアクセラレーションプログラム「Cohort 9」に採択され、豪州子会社「Quadlytics Pty Ltd」を設立。2028年の豪州上市を目指して、Monash大学およびAlfred Hospitalと連携した臨床研究を進めています。
さらに2026年には、ジェトロが経済産業省の協力のもと実施する海外展開支援プログラムに相次いで採択されました。英国・欧州市場を対象とする「J-StarX UK HealthTech Launchpad」(フェーズ1)では、英国の規制・臨床・事業を横断した市場参入戦略の構築を進めています。また米国市場を対象とする「J-StarX US Healthcare Breakthrough」では、Mayo Clinic PlatformおよびMayo Clinic Berg Innovation Exchangeと連携し、FDA対応や保険償還、事業開発などの専門家による伴走支援のもと、米国市場での事業開発・商業化を推進します。
これらを通じ、アジア太平洋地域・欧州に加え、北米市場への本格的な展開を加速してまいります。
■ 参考文献 / お問い合わせ
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World Health Organization. Epilepsy – Key facts. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/epilepsy(2025年5月アクセス)
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⼤槻泰介. てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究, 2013 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22749(2025年5月アクセス)
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Kwan P. et al. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med 2000; 342:314–319
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山内俊雄ほか. 意識調査からみたてんかん医療の現状と今後のあり方について III. てんかん研究 2015; 33: 62–75
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