Wavr(ウェイバー)社の超低トルク・低速発電機の開発を新会社が継承

新会社は、再生可能エネルギー分野にイノベーションを起こすことに注力

2024年12月より、波力発電技術の進展に重点を置くため、Wavr社は同社の画期的な低トルク・低速発電機の開発は新会社が引き継ぐこととなりました。新会社の名前はPrime Movr（プライムムーバー）社で、従来の回転式発電機よりも少ないトルクと回転速度で発電できる新しいタイプの発電機の開発に特化します。

当初はウェイバーの波力発電装置として開発されたこの発電機。ほかの再生可能エネルギー技術へも幅広く適用できる可能性が、試験を行う中でに明らかになりました。Prime Movrの発電機は、ローター上に複数のリニアジェネレータを搭載した設計を採用しているため、ギアリングの必要性を排除しており、広範囲な入力速度と可変入力トルクに対応できます。

Prime Movrのウェブサイト: https://www.primemovr.tech/  

 

この発電機によって、低速または低トルクの機械エネルギーを電力に変換することのできる新たな用途の発見が可能になる、というのが現在のグループの見通し。具体的には、低速の風や水流、手回し式メカニズム、またはまったく別の新たな用途も考えられます。

小規模なエネルギーハーベスターにとっての課題の一つは、回転速度が遅すぎて銅線で十分な電流を生成できないことです。ギアボックスを使用してシャフト速度をオルタネーターに合わせることはできますが、この方法だと、起動トルクに求められる条件を実用的でないレベルまで高めてしまうことがよくあります。さらに、ギアボックスは低電力エネルギーハーベスティングの活用にあたり、一般的に適さない機械的な複雑さとコストをもたらします。 Prime Movrの発電機は、極めて低速で低トルクの機械的入力を利用して電気を生成することができます。

重力を利用したPrime Movr発電機は、動的に動く磁場により、高い自由度を持つ革新的なオルタネーター設計を採用しています。これにより、ギアボックスにありがちな機械的複雑さやロスなしに、低速でも効率的に運動エネルギーを電気へと変換することができます。Prime Movrの発電機は、回転軸が重力場に対して垂直になるように設計されており、ディスクの回転に伴い磁石が導電コイルを通過することで電流が生成されます。

Prime Movrの発電機が正式にローンチされる際には、さらに詳しい情報がリリースされる予定です。

 

Wavr社について

2016年、Wavrの創設者であるクライド・イガラシ（Clyde Igarashi）氏は、アドバイザーのビクター・チェボクサロフ（Victor Cheboxarov）博士と共同で、大規模な波力発電コンバータのコンセプトの特許を取得に成功。この革新的なコンセプトは、機械エネルギーを、共振を利用して効率的に電気へと変換させることを可能にしました。大規模プロジェクトならではの多くの難題に直面していますが、チェボクサロフ博士は、大学での他のプロジェクトと並行し、この有望な技術の更なる研究開発に取り組むことを約束しています。

2022年、イガラシ氏は、小規模な波力発電用途向けにWavr社を設立。顧問として、元ハワイ州知事のジョン・ワイヒー(John Waihee)氏を迎え、プロジェクトは、迅速に展開・拡張することができるコンパクトなモジュール式システムの開発に力を入れています。

波力発電変換技術の研究を進める中で、グループはさらなる発展に必要な「第三の技術」も開発しました。その中でも最も重要な技術、低トルク・低速アプリケーション向けの発電機のさらなる開発を行うことを目的として、Prime Movr社が2023年に設立されました。グループはすぐに、この技術が波力発電変換以外の他の再生可能エネルギー分野に応用できる可能性があることに目をつけました。

ハワイ州は、クリーンエネルギーへの移行における先駆け的存在そして、2045年までに再生可能エネルギーによる発電を100%にすることを義務付ける法令を米国で初めて制定しました。現在の進捗は当初の予想を上回っており、確立された風力・太陽光発電変換技術を活用したこの希望あふれる目標達成に向け、ハワイ州の計画は順調に進んでいます。「新しい再生可能エネルギー技術の創出と発展に貢献できれば幸いです」と、ワイヒー氏は述べています。