三菱商事の「Mill-Box」、大成建設の東京都内大型現場で活用進む
現場と本社担当者が語るミルシート管理DX。"気合い"、"集中力”頼み、"神経衰弱”的だった品質書類整理を、スキマ時間にサクサク進める。現場の「いいね」を集めて改善続けるMill-Boxの実態レポート
三菱商事株式会社マテリアルソリューショングループ産業素材DXチーム(以下、三菱商事)が開発・展開するクラウド型ミルシート電子管理システム「Mill-Box(ミルボックス)」が、大成建設株式会社の施工する複数の建設現場で活用されています。 膨大なミルシートと鉄筋タグの照合・整理をデジタル化。紙と手作業を中心とした管理から、データを活用した効率的な品質管理への移行が進んでいます。
大成建設が施工する東京都内の二つの大型現場の担当者と、大成建設本社の担当者に、Mill-Box導入の背景や効果、今後への期待について伺いました。
※ミルシート:鋼材の品質を証明する書類

背景:現場経験で抱いたミルシート管理への問題意識と、業界横断での取組意義
大成建設で現場の生産性向上に取り組む生産技術イノベーション部 生産技術ソリューション推進室長である田中氏は、建設現場での勤務経験の中で、ミルシート管理に多くの時間と手間がかかることを実感してきました。

「現場で働く中で、ミルシート管理は非常に手間のかかる業務だと感じていました。以前から、これを電子化できないかと考えていました」
(生産技術イノベーション部・田中氏)
田中氏は過去に、鉄筋の品質情報をデジタル管理する方法を自ら検討した経験もあります。しかし、ミルシートや鉄筋タグは、鉄鋼メーカー、商社、加工会社など、複数の関係者を通じて受け渡されます。ミルシート電子化はサプライチェーン全体に関わる課題である為、一企業内だけでの対応では限界があると感じていました。
「一企業の一担当者でできるレベルではないと実感していた」(田中氏)
Mill-Boxは、鉄鋼メーカー、商社、ゼネコンと業界横断の取組であり、現場の声を取り入れながら機能や運用を磨いていけば、多くの現場で活用できる非常に有用なサービスであると田中氏は評価しました。
田中氏はサービス展開にあたって、実際に利用する現場担当者から「使いやすい」「業務が楽になった」といった声を集め、その評価を次の現場への展開やサービス改善につなげていくことを重視しています。この考えのもと、都内の大型現場をはじめ、大成建設の施工現場でMill-Boxの活用が進められています。
現場でのミルシート管理の課題:紙と手作業を前提とした、整理・照合・検査準備
ミルシートと鉄筋タグは、建設現場で使用された鉄筋の品質や履歴を確認するために欠かせない資料です。従来の運用では、紙で届くミルシートと、回収した鉄筋タグを集め、それぞれに記載されている鋼種、長さ、製造番号、数量などを照合して整理する必要がありました。大量のミルシートと鉄筋タグの正しい組み合わせを判断する作業は“神経衰弱”にも例えられます。
A現場担当者は、従来、法定検査の直前にミルシートと鉄筋タグをまとめて確認すること
が多く、他の業務もある中で、大量の時間と集中力を使って対応していました。

「従来は、鉄筋タグを並べてミルシートと一枚ずつ照合する、
マンパワー中心の作業でした。単純ではありますが、
非常に手間のかかる作業を検査のたびに繰り返していました」
(A現場・有馬作業所長)
また、ミルシートや鉄筋タグの不足に、検査直前に気が付くケースもあり、短期間での取り寄せが必要になることもありました。早い段階で不足が分かれば、余裕を持った対応が可能になります。
「不足書類は早めに分かれば対応できます。ただ、以前は検査の1~2週間前にまとめ始めるため、不足に気づくのがどうしても直前になっていました」(A現場・有馬作業所長)
B現場担当者は、過去、紙の鉄筋タグを一枚ずつ台紙へ貼り、金属製のタグを透明ポケットに収納したうえで、さらにスキャンしてPDFも保存していたと振り返ります。事務補助担当者がいない場合には、施工管理を担う工事担当者が他の業務と並行して書類整理を行うため、残業の原因にもなっていました。
B現場の副所長は、ミルシートや鉄筋タグの整理を品質管理上、重要な業務と位置づけながらも、その作業を効率化し、鉄筋が図面どおりに配置され正しく施工されているかという現物の品質確認に、より多くの労力を充てたいと考えています。
「ミルシートやタグなどの書類整理を効率化し、その分、
現物の品質管理により注力したいと考えています」
(B現場・伊藤副所長

両現場に共通していたのは、必要な品質記録を確実に残すことを前提としながら、整理、照合、検索、集計といった業務を効率化し、現場担当者がより施工管理業務に集中できる環境をつくりたいという課題意識でした。
導入効果
検査直前の集中作業から、日々のスキマ時間でのルーティンワークへ
Mill-Boxでは、現場へ届いた鉄筋タグをスマートフォンで撮影することで、ミルシートとの照合がシステム上で進められます。
「基本的には写真を撮って登録するだけなので、以前のように
一枚ずつ整理する作業と比べると、かなり楽になりました。複雑な組み合わせを一瞬で照合してくれる点も、すごいと感じました」
(B現場・坂田氏)

また、A現場で高く評価されているのが、ミルシート管理を検査直前の集中作業ではなく、日常業務の中で継続的に進められるようになった点です。

「日々スキャンしていけば、検査前に慌ててまとめるのではなく、ルーティンワークとして書類が整っていきます。そこが一番大きいと感じています」
(A現場・池田副所長)
実際の登録・照合作業を担当する松岡氏も、従来はまとまった時間を確保してから着手する必要があったと話します。

「以前は『これからミルシートの作業をやるぞ』と構える必要が
ありましたが、今はスキマ時間に作業できるようになりました」
(A現場・松岡氏)
作業を日常的に進められることで、一度に大量の資料を整理する必要がなくなり、担当者の心理的な負担も軽減されています。他の業務の合間にも登録を進められるため、ミルシート管理が後回しになりにくい点も評価されています。
不足している書類を可視化し、早期の対応へ
Mill-Boxでは、不足や照合が完了していない書類が一目で確認できます。
A現場では、実際に、鉄筋タグは登録されている一方で、対応するミルシートが届いていない状態を
Mill-Box画面上で把握し、関係先からの取り寄せにつなげた事例もありました。
「未完了などのステータスが表示されるので、何が不足しているのかを把握しやすくなりました」
(A現場・松岡氏)
従来は、必要な資料が見つからない場合に、紙ファイルのどこかに紛れているのかを捜索しなければなりませんでした。Mill-Box上で登録・照合状況を一覧化することで、「探す」ことに時間を費やすのではなく、資料の取り寄せや内容確認といった次の対応へ移りやすくなっています。
また、集計表が自動作成されるため、集計する工程を減らせることも利点の一つです。

「一覧表と集計表が出力され、書類がまとまっている状態で確認
できるため、検査前の焦りを軽減できます」
(A現場・小山氏)
検査時に、Mill-Boxの画面を活用
B現場では検査時に、Mill-Boxの画面を用いて説明を行った実績があります。
従来は、Excelで作成した集計表や、大量の紙ファイルから根拠資料を探して提示する必要がありました。Mill-Boxでは、画面上で特定のミルシート・鉄筋タグを検索しながら、数量の集計情報と合わせて検査員への説明が可能です。
「杭工事に関する検査で、Mill-Boxの画面を提示して確認方法を説明しました。電子データでの確認にも大きな抵抗はなく、この方法で進められるという反応を得られました」
(B現場・伊藤副所長)
今後のMill-Boxへの期待
現場から寄せられる「いいね」を、サービス改善へ
品質書類の整理は、現場において不可欠な業務です。担当者の生産性や働きやすさの向上は、当人の負担軽減にとどまらず、現場全体の業務効率化や品質管理を支えることにもつながります。大成建設本社の田中氏は、現場からの評価を積み重ねながら、現場の要望をサービスへ反映し、継続的にMill-Boxの性能が高まることを期待しています。

「現場監督からの評価はもちろんですが、実際に書類整理を担うスタッフの笑顔が見られたり、『すごい』『便利になった』という声を聞いたりすると、生産性向上を担う部署として、とても嬉しく、取り組みの意義を実感します。」
(生産技術イノベーション部・田中氏)
また田中氏は、普及が進む中で同様の機能を持ったアプリケーションも出てくるはずだが、それらと切磋琢磨しながら、建設・鉄鋼業界全体の生産性向上と省人化に取り組み、現場に関わる皆さんの「いいね」の声を拾い集めて、魅力ある建設業を一緒に作っていきたいとの思いを語りました。
大規模現場にも、小規模現場にもメリット
今回の取材先は、いずれも多くの関係者と大量の品質書類を扱う大型現場です。一方、B現場からは、Mill-Boxのメリットは大規模現場に限定されないとの意見も上がりました。
「大規模現場では分業を進めやすくなります。一方、小規模現場
では担当者が少ないからこそ、書類業務を省力化できるメリットがあると思います」
(B現場・春木副所長)

大規模現場では、複数の担当者が同じ情報を共有し、作業の進捗や不足書類を把握しやすくなることが利点です。小規模現場では、限られた人数で施工管理と品質書類整理を担うため、書類整理の負担軽減がより切実に求められます。
鉄筋以外の品質書類や、サプライチェーンを横断したデータ連携へ
三菱商事では、鉄筋ミルシート、タグの電子管理に加え、フープ筋などの加工品や鉄骨のミルシートの電子管理、コンクリート関連帳票の電子管理へと、Mill-Boxの対応範囲を拡大させています。両現場からは、これらの取り組みが実現されることへの期待が寄せられました。
三菱商事は、今後も利用者からのフィードバックをサービスへ反映し、現場担当者に喜ばれる機能と運用の改善を積み重ねてまいります。
さらに、鉄鋼メーカー、商社、加工会社など、鋼材の品質管理に関わる関係者が円滑に情報を連携できる環境づくりを通じて、建設業界・鉄鋼業界全体の生産性向上に貢献してまいります。


Mill-Boxについて
Mill-Box(ミルボックス)は、鉄鋼流通・建設現場におけるミルシートの管理を電子化するクラウド型ミルシート管理システムです。
ミルシートの受取・保管・検索・開示に加え、鉄筋ラベルとの照合、数量・寸法等の集計、検査関連資料の作成支援など、一連の業務をオンライン上で効率化します。
また、鉄鋼メーカー、商社、加工会社、問屋、ファブリケーター、ゼネコンなど、サプライチェーン上の関係者間でミルシートを電子的に受け渡す仕組みを提供することで、各社の紙作業・手入力・検索・保管にかかる負担を軽減し、鉄鋼流通全体のDXを支援します。
公式サイト:手作業のミルシート管理を電子化|三菱商事のMill-Box(ミルボックス)
本件に関するお問い合わせ
三菱商事株式会社
マテリアルソリューショングループ 産業素材DXチーム
メールアドレス:satoru.a.inoue@mitsubishicorp.com
電話:070-7593-6196
メディア・報道機関からのお問合せ
三菱商事株式会社 広報部報道チーム
電話:03-3210-2171
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