AI導入が加速するアジアの産業界、スキル不足と知識継承が課題に
日本企業の38%が「従業員のスキルアップ不足」を最大のAIリスクと回答するなど、人材の対応力やAIへの信頼が技術以上の課題に
世界の重要インフラ・施設向けソフトウェアのグローバルリーダーであるOctave Intelligence plc(本社:米国アラバマ州、Nasdaq:OCTV、以下「Octave」、読み方:オクターブ)は、産業分野におけるAI活用と人材育成に関する調査結果をまとめたOctave産業AI調査レポート「人とAIの専門性の融合:次世代人材の育成」を発表しました。調査の結果、アジアの産業界ではAI活用に向けた人材育成が急速に進む一方、スキル不足や熟練者が持つ知識の継承、AI活用に向けて人材の対応力を高めることが大きな課題となっていることが明らかになりました。調査は、Octaveの委託により、産業技術分野の意思決定者750名超を対象に世界規模で実施されました。
今回の調査結果によると、アジア企業の半数以上が、2028年までに、現場の従業員が組織の広い範囲で利用されるAIシステムを監督する役割を担うようになると予測しています。一方で、従業員がAIと効果的に連携して業務を遂行するために必要なスキルや知識、自信を十分に備えているかについて、企業の懸念が高まっていることも明らかになりました。
OctaveでAPAC担当シニアバイスプレジデントを務めるファビオ・ヤダ(Fabio Yada)は、次のように述べています。「産業用AIをめぐる議論は、すでに単なる技術導入の段階を超えています。現在の課題は、現場を支える専門知識を継承するとともに、高度化するシステムと効果的に協働できる人材を育成することです。」
今回の調査では、アジア全域で産業人材に求められるスキルが大きく変化していることが明らかになりました。将来の産業人材に必要なスキルとして、38%が「システム思考とオペレーション管理」、32%が「サイバーセキュリティとデータガバナンス」を挙げました。また、「技術部門と非技術部門をつなぐコミュニケーション能力」(34%)や「人と機械の連携」(25%)も、将来の重要な能力として上位に挙げられました。こうした将来の人材に求められるスキルの変化は、特に韓国で顕著であり、回答者の59%が「システム思考」を将来の産業人材にとって最も重要なスキルとして挙げました。これは、産業オペレーションやデジタルエコシステムがますます複雑化していることを反映しています。
また、今回の調査からは、AI活用に向けた人材の対応力に対するアジアの企業の懸念が高まっていることも明らかになりました。たとえば日本では、回答者の38%が、今後5年間で自社が直面するAI関連の最大のリスクとして「従業員のスキルアップが不十分であること」を挙げました。これは、AI導入に際して一般に想定される多くの技術的課題よりも、大きな懸念事項となっています。アジアの企業は、単にAIシステムを導入するだけでなく、従業員がAIと効果的に連携して業務を遂行できるようにすることに、ますます注力しています。
同時に、アジアの企業は、熟練者の退職に伴って重要な業務知識やノウハウが失われるリスクへの対応を急いでいます。回答者の半数近く(48%)は、熟練者の知識やノウハウを蓄積し、次世代の従業員に継承するため、AIを活用した知識管理ツールをすでに導入しています。韓国はこの点でアジアをリードしており、韓国の企業の54%が、AIを活用した知識管理ツールをすでに利用しています。一方、日本では回答者の25%が主要なベテラン社員が退職した際に重要な知識やノウハウが失われるリスクを懸念しており、業務上の知識が十分に継承・共有されていないことへの強い危機感が示されました。
こうした調査結果について、ファビオ・ヤダは、産業分野の企業における人材育成の考え方が根本的に変化していることを示していると指摘しています。「これまで企業は、資産やオペレーションからデータを収集することに注力してきました。しかし今、企業の関心は、従業員が持つ専門知識やノウハウを蓄積・継承することへと広がっています。今後成功するのは、現場の知識、コネクテッドデータ、AIを組み合わせることで、学習を加速し、意思決定を向上させ、人材のレジリエンスを高められる企業です。」
また、今回の調査では、AIをめぐる従業員の懸念について、一般的な見方とは異なる結果が明らかになりました。回答者は、AIによる雇用の喪失よりも、AIへの信頼や安全性、信頼性について、より大きな懸念を抱いていることが分かりました。アジア全体では、回答者の25%が「AIの判断ミスが安全に関わる事故につながるリスク」を、従業員にとって最大の懸念事項として挙げました。また、AIによる意思決定の透明性や、その意思決定への信頼も、重要な課題として上位に挙げられました。
オーストラリアでは、異なる人材面の課題が浮かび上がりました。産業の現場でAIの導入が進む中、回答者の28%が、専門家としての立場や評価が失われる可能性や、現場で培われてきた専門知識やノウハウの喪失を懸念していると回答しました。
今回の調査で明らかになった課題は、人・資産・プロセス・知識を資産ライフサイクル全体でつなぐOctaveの「ライフサイクルインテリジェンス」戦略とも重なります。現場で必要とされる信頼性の高いインテリジェンスを提供し、企業に蓄積された専門知識やノウハウを次世代へ継承することで、企業はAI活用を見据えた強固な基盤を構築するとともに、人材の対応力とレジリエンスを高めることができます。
アジア全域で産業用AIの導入が加速する中、今回の調査は、次なる競争優位性を生み出すのはテクノロジーそのものだけではないことを示しています。AIに対応できる人材を育成し、重要な専門知識を継承するとともに、従業員がより迅速かつ安全に、十分な情報に基づいた意思決定を行える環境を整備することが、競争優位性の確立につながります。
レポートはこちらから確認できます。
調査について
本調査は、産業分野におけるAI導入、人材育成、業務知識管理、産業レジリエンスについて検証する広範なグローバル調査の一環として実施されました。Octaveが調査会社に委託し、世界で売上高10億米ドル以上の企業に所属する産業技術分野の意思決定者750名超を対象に調査を行いました。
Octaveについて
重要インフラの資産ライフサイクルでは、設計、建設、運転、保全、保護の全段階において高水準のパフォーマンス、安全性、信頼性が求められます。Octaveは、組織がこうした状況下にあっても、十分な情報に基づいた意思決定を行えるようミッションクリティカルなソフトウェアを提供します。複雑な運用データを実用的なインテリジェンスに変換し、専門知識と現場状況のインサイト、さらに企業全体の分析データを組み合わせて、組織が最優先で対応すべき分野のパフォーマンス、レジリエンス、インシデント対応力の向上を支援します。Octaveは約7,200人の従業員を擁し、45か国に展開しています。詳細はoctave.comをご覧ください。LinkedInの公式ページもフォローいただけます。
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