旧遍路宿「坂本屋」改修作業完了のご案内~世代をこえて受け継がれてきた 人情あふれるお接待処~

お遍路文化1200年の歴史に今も出合える場所<愛媛県松山市>

愛媛県松山市

▲屋根瓦や壁がきれいに改修された▲屋根瓦や壁がきれいに改修された

▲お接待スタッフとお遍路さんで記念撮影▲お接待スタッフとお遍路さんで記念撮影

 坂本屋とは、四国霊場第45番札所の岩屋寺から46番浄瑠璃寺へ向かう約30kmの道中に開けた米どころ・窪野町にあるお接待処(お接待処=お遍路さんのために開放されている無料の休憩所)です。歩き遍路の難所「三坂峠」を越えた場所にあり、お遍路さんにとってはほっと一息つく憩いの場となっています。木造2階建ての建物は、明治末期から⼤正初期に建てられたもので、当初は遍路宿を営み、坂本屋の周辺にも数軒の遍路宿があり、多くのお遍路さんを迎えていました。戦後歩き遍路が減ったこともあって、次々と宿は閉鎖され、坂本屋も長らく廃屋でした。
 しかし、遍路宿独特の構造が見いだされ、遍路文化を伝える地域遺産として保存しようと、平成16年に地元有志によって「坂本屋運営委員会」が設立され、同年春にお接待処として息を吹き返しました。
 それから15年余り、地域住民を中心とする会員が3~11月の土日に交代制で歩き遍路へのおもてなしを行い続け、お遍路さんと地域、会員の交流の場として、⼤切に受け継がれています。
 昨年11月より外観整備やトイレの改修工事に入っていましたが、無事改修工事を終え、6月8日にお披露目会が催されました。

▲田園風景が広がる久谷エリア▲田園風景が広がる久谷エリア


古くから続く 坂本屋のお接待​
 お接待を受けたお遍路さんは、お返しに「納め札」を渡すのが慣例となっており、坂本屋には年間600枚ほどの納め札が納められ、そのうち外国人のお遍路さんからの納め札は年々増加している。記名欄には様々な国の文字が書かれ世界各国からお遍路さんが巡礼していることがわかります。

 

▲坂本屋に大切に保管されている江戸時代の納め札▲坂本屋に大切に保管されている江戸時代の納め札

会員がボランティアで支える お接待​
 坂本屋は会員がボランティアで運営し、世代は30代~80代までと幅広く、約30人が、5~6人の班に分かれて、交替でお遍路さんを迎えています。お遍路さんは1日に5~10人、多い時には30人ほどが一休みしていきます。建物の中には囲炉裏やかまどもあります。 
 久万高原町と松山市との市境にある坂本屋。お遍路さんがどちらの方向からやって来るかによって、「松山にようこそ」、あるいは「また松山にお越しください」と会員は丁寧に対応しています。
 ボランティアにも関わらず、「お接待を止めよう」、「もう止めたい」という会員はこれまで一人もいないそうです。

▲冬場は囲炉裏で暖を取る▲冬場は囲炉裏で暖を取る

▲お茶や茶菓子で一息ついてもらう▲お茶や茶菓子で一息ついてもらう

▲時におにぎり、そうめん、みかん等をふるまうことも。▲時におにぎり、そうめん、みかん等をふるまうことも。


英会話を習って「外国人お遍路さん」へのおもてなしも
 近年では外国人遍路も増加しているため、一部会員は英会話のレッスンも受けています。過去には、お遍路さんの姿をした外国人講師を招き、「どこの国からお見えですか」「お茶でもいかがですか」「ここは無料の休憩所です」「どうぞお入りください」などと実践的な英会話講習を実施したこともあります。
 国籍など関係なく、全てのお遍路さんをサポートしたい!という会員の熱意は非常に強く、そのおもてなしは、四国88カ所の道中でも、お遍路さんたちの心に残るお接待処の一つとなっています。

▲英語で「少し休んでいきませんか?」と声をかけるスタッフ▲英語で「少し休んでいきませんか?」と声をかけるスタッフ

 

▲英語を使って少しでもコミュニケーションを取ろうとするスタッフ▲英語を使って少しでもコミュニケーションを取ろうとするスタッフ


「トシちゃん」の愛称で親しまれている 看板おばあちゃん
 会員のうちの一人、船田トシ子さん(80歳)は、坂本屋の看板おばあちゃんとして有名。トシちゃんの愛称で親しまれており、訪れる人々を日々癒しています。
 幼いころから家族がお遍路さんにお接待をしていたのを見ていたトシ子さんは、自然とそのしぐさが身につき、「少し休んでおゆきなさい」「おあがりなさい」などと優しく語りかけ、温かいお茶やみかんでもてなしている姿は、誰しもを懐かしい感情にし、一度会ったら忘れられない存在となっています。

▲料理の説明をしながら取り分ける様子▲料理の説明をしながら取り分ける様子

▲台所に立つ姿▲台所に立つ姿

▲訪れたお遍路さん一人一人に丁寧にお接待▲訪れたお遍路さん一人一人に丁寧にお接待

▲初対面のお遍路さんともすぐに打ち解ける▲初対面のお遍路さんともすぐに打ち解ける



【坂本屋 概要】

▲改装後の外観▲改装後の外観

​□名 称  旧遍路宿「坂本屋」
□運 営  坂本屋運営委員会  
□住 所  
愛媛県松山市窪野町甲2146番地
□お接待日 毎年 3月~11月の土曜日と日曜日(12月~2月は、お接待お休み)
      時間は午前9時~午後3時
□電話   なし
(松山市シティプロモーション推進課までお問い合わせください)
□駐車場  坂本屋正面に4、5台あり
□アクセス 松山空港から車で約45分
□公式HP  https://sakamotoya-henro.jp/

四国遍路について​
 お遍路の名で親しまれる四国遍路は、四国にある88ヵ所の弘法大師(空海)ゆかりの札所の総称で、「四国霊場」ともいわれ、1200年を超える歴史があります。88ヵ所を全て巡礼すると、全長1,200~1,400kmあり、車で10日前後、徒歩で40日前後かかると言われています。
 その昔、「衛門三郎」という人物が、自らの強欲非道な行いを悔い、弘法大師の後を追ったことからお遍路が始まったという伝説があります。松山市久谷地区の荏原は、その衛門三郎の故郷であり、四国遍路をもてなす文化が子供から大人まで今も息づいています。
 松山市内には、88ヶ寺のうちの8ヶ寺(浄瑠璃寺・八坂寺・西林寺・浄土寺・繁多寺・石手寺・太山寺・円明寺)があり、四国の自治体の中では最多の札所があります。

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会社概要

愛媛県松山市

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
愛媛県松山市二番町四丁目7番地2
電話番号
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代表者名
野志克仁
上場
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資本金
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設立
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