COVID-19: 遺体を適切に扱うための基本方針を

ICRC

2019年3月に発生したサイクロンで亡くなった身内の墓参りに訪れる家族。犠牲者は納体袋に納められ集団墓地に埋葬された(モザンビーク) ©ICRC2019年3月に発生したサイクロンで亡くなった身内の墓参りに訪れる家族。犠牲者は納体袋に納められ集団墓地に埋葬された(モザンビーク) ©ICRC

ジュネーブ (ICRC) -新型コロナウイルス感染症による死者が急増し、地域レベルで遺体を適切に扱う対応能力が限界に達する可能性があると、赤十字国際委員会 (ICRC) は警鐘を鳴らします。亡くなった人と遺族の尊厳を尊重するため、当局が正しく準備し、基本方針を打ち立てることで、そのリスクを克服することができます。

死者が大勢出た場合、計画や準備を怠れば、遺体の身元や搬送先についてほとんど知られることなく、記録もないまま、集団で埋葬される危険性があります。大切な身内がどこに眠っているのか知ることができない遺族の苦しみは計り知れません。

「事前に備えるだけであって、実際に大勢の人が亡くなることを意味するわけではありません。多くの死者が出たことで遺族や社会が感じる苦痛を軽減する目的で、基本方針を策定し、いざという時に実行できるように備えるのです」。ICRC法医学ユニット長のオラン・フィネガンはこう語ります。「死者の尊厳を損なうような扱いを避けることは可能です」。

※フィネガンが2020年3月に訪日した際に駐日代表部でインタビューを実施(以下URLを参照)。人道と人間の尊厳を尊重する法医学のICRC的アプローチや、VRやドローンを利用した最新の取り組みについて語っています。

ICRC法医学ユニット長オラン・フィネガン インタビュー:
https://vimeo.com/411279669

紛争の影響を受けない国でも新型ウイルスによる死者の増加を受け、遺体安置や葬儀の際の対応に窮しています。多くの遺体を適切に扱う対応能力が限られている紛争地では、状況はよりひどくなるでしょう。コロナ危機で現場の人材や資源が深刻な影響を受ける前に、精度の高い身元確認と情報の文書化を可能にする緊急対応策を直ちに打ち立てる、もしくは実行に移すべきです。死亡証明書、死亡届、埋葬届に関しては、手続き上の便宜を図る必要があります。

ステファン・フォンセカICRC法医学ユニットアフリカ担当:「たいていの人は、母親や兄弟、子どもなど自分の大切な人が関わらない限り、法医学の重要性に気づくことはないでしょう。愛する人が亡くなって初めて、その亡骸がどう扱われるのかが気になります。各国政府が基本方針を打ち立てることで、尊厳をもって遺体を管理できるのです。今やならければ、身元や埋葬先もほぼ不明なまま、集団埋葬されることになるでしょう」

新型コロナウイルスに感染した遺体を運ぶ赤十字ボランティア(バングラデシュ) ©ICRC新型コロナウイルスに感染した遺体を運ぶ赤十字ボランティア(バングラデシュ) ©ICRC

葬儀や埋葬方法の相違や制限は、遺族に大きな苦しみを与え、悲しみを増幅させます。多くの遺体を扱う際に取るべき措置について、遺族や地域社会と情報共有することが重要です。そうすることで、遺族の精神的ショックを和らげ、扱いについても受け入れてもらいやすくなります。

遺体の扱いについて、ICRCは関係当局に以下の点を考慮するよう勧告しています。

・新型コロナウイルス感染症で亡くなった人の遺体を扱うスタッフの安全と健康を最優先とする。医療従事者とスタッフは、適切な個人用防護具 (PPE) を身に着ける。

・身元確認と情報の文書化を行った上で埋葬または火葬を適切な方法で実施し、故人と遺族の尊厳を尊重する。

・当局は、遺体安置所や埋葬に十分なスペースを確保し、地元の文化や宗教に準じた方法での埋葬または火葬を執り行う。

・予防策は、特に収容施設や避難民キャンプ、大都市のスラム街を視野に入れて講じられるべき。現状の対応能力を超えた多くの死者が出ることを想定して準備しておく。

ICRCは世界各地で、遺体管理に特化した活動を展開しています

たとえば、アジア。アフガニスタンやバングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、パキスタン、フィリピンにおいて、ICRCの法医学専門家が各国の当該機関と連携して、新型コロナウイルスに感染した遺体の扱いについて、ガイドライン制定に取り組んでいます。

中南米では、ベネズエラやコロンビアの遺体安置所や病院の霊安室向けに、個人用防護具や衛生用品を寄付。エクアドルの国立法医・法科学局にマスクや納体袋、防護服を提供し、同局を通じて法医学従事者や国軍、警察や遺体の収容や搬送、処置に関わる公共の団体に分配されます。

ウクライナでは、国の当該機関のみならず、政府の支配下にない東部の地域においても、法医学に携わる人々に技術的支援を行っています。

上記はほんの一例です。このようにICRCは、非常事態における遺体管理に関して蓄積された知識と経験を生かして、新型コロナウイルス蔓延による世界的危機を安全に乗り越えられるよう、各地で技術的な助言や具体的な対策案を提供しています。

また、各国の赤十字社、赤新月社も、遺体を安全に管理するために全力でサポートしています。埋葬の外注が難しい地域においては、安全に遺体を埋葬できるようサポート態勢を整えています。
 

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会社概要

赤十字国際委員会

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URL
https://jp.icrc.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区赤坂1-11-36 レジデンスバイカウンテス320
電話番号
03-6628-5450
代表者名
榛澤 祥子
上場
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資本金
-
設立
1863年02月