TreeFrog Therapeutics、自社iPSプラットフォームと細胞治療パイプラインの開発を主導する科学諮問委員会を任命
(フランス・ボルドー/2022年3月1日)人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた細胞治療を、より多くの患者に安全で効率的、そして手頃な価格の治療にすることを目指すフランスのバイオテクノロジー企業TreeFrog Therapeuticsは本日、科学諮問委員会(SAB)の設立を発表しました。生物物理学、多能性幹細胞生物学および遺伝子編集の世界レベルの専門家を結集し新たに設立されたSABは、独自のC-Stem™技術プラットフォームおよび自社内での細胞治療プログラムの開発を主導します。
「私は、生物物理学、発生生物学、遺伝子編集技術の接点にこそ、再生医療の豊富な可能性があると確信しています。このアプローチは、実際の生体内メカニズムを理解し、模倣し、活用するための新たな道を開くものです」と、TreeFrog Therapeuticsの共同設立者兼最高科学責任者マクシム・フェイユー博士は説明します。
「C-Stem™では、生体内と同様の幹細胞ニッチ(生体内で幹細胞がその性質を維持するために必要な微小環境)を形成することで、細胞品質と生産性が飛躍的に向上することを既に実証しました。当社の技術を展開し、新たな治療プログラムを推進する中で、科学諮問委員会のメンバーの視点を取り入れたいと考えています。」
科学諮問委員会は、拡大する細胞治療のパイプラインの整備に貢献すべく、TreeFrog Therapeuticsの技術に関する指針を提供するとともに、神経変性、心疾患、代謝性疾患、癌免疫学の分野で疾患別の専門知識を持つ臨床医のネットワークと協力していきます。
- TreeFrog Therapeutics 科学諮問委員会所属メンバー(アルファベット順)
1999年に英国で初めて胚性の多能性幹細胞(PSC)を扱った科学者であるアンドリューズ教授は、多能性幹細胞の長期培養中に生じる遺伝子異常についての研究に尽力してきました。2020年までシェフィールド大学の幹細胞生物学センター(CSCB)にて共同ディレクターを務め、また2001年には幹細胞企業Axordia(現在はファイザーの子会社)を共同設立し、現在英国の幹細胞バンクに保管されている臨床グレードの多能性幹細胞ラインの開発に貢献しました。
ジャスティン・イケム博士、カリフォルニア大学サンフランシスコ校助教授、Mnemo Therapeutics共同設立者(米国)
イケム博士は、遺伝子編集企業Cellectisとの提携により、2014年にパリ・ディドロ大学で博士号を取得し、遺伝子編集を用いた同種移植CAR療法の開発に先鞭をつけました。その後、Juno Therapeuticsの共同設立者であり、Fate TherapeuticsおよびAtara Biotherapeuticsの顧問を務めるミシェル・サドランのメモリアルスローンケタリング癌センター(MSKCC)の研究室に加わりました。ここでCRISPR/Cas9を用いたCAR遺伝子挿入のための最初のプロトコルを改良し、2019年にはカリフォルニア大学サンフランシスコ校に自身の研究室を設立し、固形・血液の悪性腫瘍におけるT細胞およびNK細胞の機能向上のための新たな遺伝子編集戦略に重点的に取り組んでいます。
川真田 伸 医学博士、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構細胞療法研究開発センター長(日本)
川真田博士は、物理学(京都大学)および医学(神戸大学)を修めた後、血液内科医として日本でキャリアをスタートさせ、米国パロアルトのシステミックス社とスタンフォード大学でポスドク研究に従事しました(1999~2001年)。多能性幹細胞や造血幹細胞の治療への応用、製造、品質管理に重点的に取り組み、2002年に帰国、神戸医療産業都市推進機構(FBRI)で再生医療研究ユニットを立ち上げ、細胞加工施設の運営に携わっています。2015年からは、神戸にあるFBRIの細胞療法研究開発センターの責任者を務めています。
L・マハデバン博士、ハーバード大学応用数学デ・ヴァルピン教授、物理学及び生物体・進化生物学教授(米国)
インドと米国で工学、応用数学、物理学の教育を受けたイマハデバン教授は、米国のスタンフォード大学で博士号を取得し、1996年にマサチューセッツ工科大学の教員としてキャリアを開始しました。2000年に、ケンブリッジ大学の複雑物理システム初のシュルンベルジェ講座の教授及び英国のトリニティカレッジのフェローとして選出されました。2003年にはハーバード大学に移り、2016~2021年まで応用数学の議長/共同議長を務め、現在はマザーハウスの学部長を務めています。過去には、超分子から惑星までのスケールにおける無生物の形状や流動のパターン、および自己組織化・知覚・行動が可能な感覚生命体のダイナミクスなどの分野に関心を持ち研究に取り組んでいました。現在博士はマッカーサーフェロー、サイモンズ調査官、またロンドン王立学会のフェローでもあります。
ピエール・ナソワ博士、フランス国立科学研究センター(CNRS)研究部長、C-StemTM技術共同発明者(フランス・ボルドー)
ナソワ博士は、1996年にパリ大学でソフトマター物理学の博士号を取得後、同年にブリティッシュコロンビア大学でポスドクとして生物物理学の研究を開始しました。1999年から2012年まで、ノーベル賞受賞者のピエール=ジル・ド・ジェンヌが率いるキュリー研究所に勤務し、脂質膜の物理学、細胞力学、さらには生物学向けマイクロ流体装置や光学機械装置に関する専門知識を深めました。TreeFrog Therapeuticsの共同設立者であるケヴィン・アレッサンドリの論文を監修し、C-StemTMテクノロジーを共同開発しました。2012年からナソワ博士は、ボルドーに拠点を置く生体イメージング・光流体工学の研究者チームを率いて、組織工学や光工学を中心とする研究を進めています。
マルタ・シャハージ博士、ケンブリッジ大学医学研究評議会(MRC)分子生物学研究所(LMB)グループリーダー(英国)
シャハージ博士は、スペイン国立癌研究センターにて博士号を取得後、2014年に発生生物学のポスドクとして英国ケンブリッジ大学のマグダレーナ・ゼルニッカ=ゲッツ研究室に所属しました。胚や三次元での多能性幹細胞の培養法の開発に関する研究は、2016年の画期的発見の一つとして認められ、国際3R賞をはじめとする様々な賞を受賞しました。2020年には、英国ケンブリッジ大学のMRC分子生物学研究所に自身の研究グループを設立し、マウスやヒトの胚の発生過程において、組織の構成が多能性幹細胞の識別情報や分化をどのように調節するか解明を目指しています。
- TreeFrog Therapeuticsについて
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