ジェンダード・イノベーションを実践する若手研究者のイニシアティブ「Blend」発足
日本におけるジェンダード・イノベーションの実践を後押しすることを目指す
非営利株式会社ピロウ(東京都、代表取締役: 江連千佳)は、東京大学教授 隠岐さや香氏、特任准教授 佐々木成江氏をアドバイザーに迎え、ジェンダード・イノベーションの観点からの研究開発を志す若手世代が集うイニシアティブ「Blend」を設立いたしました。
◾️Blendとは
若手世代から日本におけるジェンダード・イノベーションの実践を後押しすることを目的に発足したイニシアティブです。若手研究者がジェンダード・イノベーションを軸に集い、それぞれの研究や開発のアップデートに挑戦するイベントやプログラムの運営を行います。
2024年女性版骨太の方針では、「性差を踏まえたジェンダード・イノベーションの推進」やそれを担える「人材の育成」が必要であることが記載されました。ジェンダード・イノベーションの知識をつける場は徐々に増えてきましたが、自分自身の研究についてジェンダード・イノベーションの視点からより良くする実践の場は不足しています。そこで、若手研究者に向けて学際的なジェンダード・イノベーションの実践の場としてBlendが設立されました。
◾️アドバイザーより「Blend」発足の意義
東京大学大学院教育学研究科教授
隠岐さや香先生(OKI Sayaka)
ジェンダード・イノベーション(GI)はジェンダーやセックス(生物学的な性)に対する解像度をあげることで研究をよりよくしていく試みです。過去の研究はジェンダーとセックスを混同しすぎているか、あるいは過度にセックスを無視する(たとえば幹細胞の性染色体を意識しないなど)傾向がありました。GIが欧州と北米から広まって十年経ちます。ジェンダー平等が進んだ若手世代がより多くGIに参画することで、更に豊かな貢献が期待できるはずです。皆さんの挑戦を心から応援します。
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻特任准教授
横浜国立大学学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当)
佐々木成江 先生(SASAKI Narie)
私は「メスは性周期があってデータがぶれやすいから、研究にはオスを使った方がいい。」と学生時代に教えられ、実験にオスばかりを使っていることに全くの疑問も持っていませんでした。しかし、そうすることで我々の知識や技術に大きな偏りが生じてしまっていることを、『ジェンダード・イノベーション』という概念に出会って初めて気が付きました。公平性を確保した質の高い科学技術を生み出すためには、セックスとジェンダーの両視点からなる性差分析を研究や開発のデザインに組み込むことが欠かせません。また、最近では性自認・年齢・障がい・人種・経済状況なども同時に考慮する交差性分析も追加することで、より多様性を重視するようになってきています。『ジェンダード・イノベーション』は、自然科学、医学、工学、環境学など幅広い科学技術分野に応用することができます。ぜひ、自分たちの研究や開発に性差分析や交差分析を取り入れる方法を学び、新しい発見につなげていってください。
◾️今後の取り組み
Blendは、2025年よりジェンダード・イノベーションの長期実践プログラムを開催予定です。プログラムの開催にあたって、最終発表会の会場提供や運営資金のご協賛などで、ジェンダード・イノベーションに挑戦する若手研究者の応援をいただける法人様を募集いたします。また当実践プログラムで、運営メンバーと共に研究のブラッシュアップを行う仲間を募集予定です。
本取り組みに、ご興味いただけましたら、下記メールアドレス宛にお問い合わせください。
お問い合わせ:pr@sleeptight-pillow.com
◾️運営メンバー
東京大学大学院学際情報学府修士課程
非営利株式会社ピロウ 代表取締役
江連千佳(EZURE Chika)
2000年東京生まれ。2021年、ショーツをはかないリラックスウェア、”おかえり”ショーツの販売会社として株式会社Essayを起業、代表取締役に就任。2024年”おかえり”ショーツ事業をソーシャルM&A®︎し、株式会社Essayを非営利株式会社ピロウに変更。科学・技術の社会実装におけるジェンダーギャップの解消に取り組む。また、起業の経験を踏まえ、フェムテックの社会的影響についてアカデミックにも探究し、研究は学会発表で受賞するなど評価を受けている。
お茶の水女子大学理学部情報科学科4年
一般社団法人Dots to Code代表理事
石戸谷由梨(ISHITOYA Yuri)
2002年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学理学部情報科学科に進学後、女子中高生向けのSTEM教育を展開するNPO法人でのインターンを経験し、「ジェンダー×ITの可能性を広げる」をテーマに活動をはじめる。夜道のジェンダーギャップを解決するためのアプリ『あんしん夜道』を企画し、2023年度未踏IT人材発掘・育成事業に採択された。国内最大級の女性&ノンバイナリーの方向けハッカソン「Dots to Code」の代表を務める。
東京大学大学院総合文化研究科後期博士課程
Femtech Community Japanリサーチャー
城口薫(KIGUCHI Kaori)
ロンドン大学SOAS校にて社会人類学修士終了後、アメリカシリコンバレーと東京で大企業とスタートアップのイノベーション支援に従事。
現在は東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍中。フェムテックをテーマに、新しい科学技術や価値観がどのように社会に受け入れられていくのかについて、社会人類学と科学技術社会論の観点から研究。Femtech Community Japanでの記事の執筆や、企業向けにフェムテックや質的調査に関するコンサルティングも行う。
◾️ジェンダードイノベーションとは
ジェンダード・イノベーションとは、生物学的・社会的な性差を考慮すること(性差分析)で、新しい発見や技術革新につなげていこうという取り組みです。例えば、工学分野では背の低い人をシートベルトの安全性実験の対象から除外したことで、自動車事故での大怪我に繋がりました。薬学分野では命に影響する健康被害があった薬品のうち、8割は男性より女性により大きな健康リスクがあったといいます。また、医学分野では骨粗鬆症が女性の病気であると考えられていることで男性の骨粗鬆症の診断が遅れるという報告もあります。このような偏りに注目し、性差と交差性を考慮した研究を行うのがジェンダード・イノベーションです。最近では、性差分析は査読プロセスや助成金採択プロセスで要求されるなど、研究者にとって重要な観点になりつつある国や地域もあります。
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