キノアーキテクツが設計した飛騨高山の一棟貸しホテル群「町家レジデンスイ ン高山」が2026年度グッドデザイン賞を受賞!
伝建地区の“周辺”に、新築4棟・改修2棟の現代町家を点在させ、街並みを面で修景
株式会社キノアーキテクツ(本社:東京都新宿区)が建築設計監理を手がけた、岐阜県高山市の一棟貸しホテル群「町家レジデンスイン高山」が、2026年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したことをお知らせいたします。本作品は、事業主であるアーバン建物株式会社とキノアーキテクツが共同で応募し、受賞したものです。キノアーキテクツのグッドデザイン賞受賞は、2022年の「福岡市立平尾霊園合葬式墓所」から5年連続、通算12件目となります。

伝建地区と駅前の「景観ギャップ」を埋める、6棟の現代町家
京都をはじめ全国の歴史的観光地では、古い町家を改修した宿泊施設が盛んです。一方で、重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)そのものは観光資源として守られるものの、その周辺は経済合理性を優先した中高層の開発が進み、保存地区との間に大きな空間的・景観的ギャップが生まれています。
「町家レジデンスイン高山」は、このギャップを埋め、伝建地区から連なる歴史的な街並みを“面”として修景したいと考えたホテルオーナーと建築家の出会いから生まれました。高山駅から伝建地区へ向かうエリアの空き地や老朽建物を、低層木造の一棟貸しホテルとして再定義。新築4棟・改修2棟の計6棟を街に点在させ、伝統を現代へと翻訳した建築群を挿入しました。単なる不動産開発を超え、伝建地区周辺の開発のあり方をコントロールし、地域に根差した都市景観を守るインフラを目指しています。

「オール高山」で実現した、伝統技術の現代的アップデート
伝建地区の“外側”という立地を前向きに捉え、地区内では難しい現代的な快適性と、伝統モチーフの現代的な再解釈に取り組みました。
《高山出身の左官職人・挾土秀平氏による左官壁》
「ゆきの花」「あおの花」「いち花」の外壁・内壁に展開。二層吹抜けの光庭には高さ約9mの左官壁を設け、泊まること自体が地域の文化と技術に触れる体験となっています。
《燃え代設計による木の架構の“現し”》
防火規制の厳しい駅前の新築棟でも太い柱梁を見せ、古民家に通じる力強い空間と奥行きをつくりました。改修棟では既存の梁や建具を活かし、時間と記憶を受け継いでいます。
《地元工務店と職人による施工》
高山の株式会社英建を筆頭に、地元の大工・職人の手で全6棟を完成させました。資本と雇用を地域に還流させ、地場の技術を未来へつなぐ実践の場にもなっています。


【審査委員の評価とコメント】
飛騨高山の伝統的建造物群保存地区には、趣のある町家が保存はされているものの、外国人観光客をターゲットとしたあまりクオリティの高くない飲食店や土産物屋も多く、他の観光地とあまり変わりのない雑然とした感があることも否めない。一方で、高山駅の周辺は経済合理性に基づく高層化が進んでおり、町家の風景とは全く趣を異にしていることが、飛騨高山の「雑然感」を増長しているとも言える。駅と伝統的建造物群保存地区との間には徒歩10~15分ほどの中間地域が存在しているが、そこにはそのいずれでもなく、観光客の記憶にも住人の記憶にすら残らない凪のような風景が広がっている。このエリアに既存を含む6棟の町家を整え、面で景観を修景した本プロジェクトの意義は、飛騨高山という地域にとって非常に大きい。また、全国の地方都市に必ず存在する「記憶に残らない風景」を修景するガイドラインとしての期待も持てることから、グッドデザインと評価した。
【キノアーキテクツ 木下昌大・束野由佳のコメント】
高山の伝建地区は国内外から多くの人が訪れる一方、その一歩外側では街並みが途切れ、駅前から歴史地区へ向かう風景に連続性がありませんでした。私たちは、周辺だからこそできる「伝統の現代的なアップデート」に挑戦し、6棟を街に点在させることで、個々の建物を超えて街並みそのものを修景することを目指しました。挾土秀平さん、日進木工さん、英建さんをはじめ、高山の皆さんと一緒につくり上げた建築が評価されたことを大変うれしく思います。この建築群が、観光地の周辺開発のあり方を考える一つの指標になればと願っています。


<施設概要>
□施設名:町家レジデンスイン高山(一棟貸しホテル 全6棟)
□所在地:岐阜県高山市 花里町・天満町・名田町
□構成:花里町 ゆきの花/あおの花(新築)、あさとゆう あさ奈/ゆう奈(新築)、天満町 いち花(改修)、名田町 ななの陽(改修)
□構造・規模:木造 地上2階(全棟)
□延床面積:87.05㎡〜108.19㎡(各棟)
□開業:2024年11月〜2025年10月に順次開業
□事業主:アーバン建物株式会社
□運営:株式会社エイジェーインターブリッジ
□建築設計:キノアーキテクツ 木下昌大 束野由佳 中川嵩久
□施工:株式会社英建
□協力:挾土秀平(左官)、日進木工株式会社(家具)
□URL:https://www.kinoarchitects.com/works/takayama-machiya-hotel/

グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動です。1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。

株式会社キノアーキテクツ
東京と京都の2拠点で、建築家の木下昌大を中心に活動する一級建築士事務所。合葬墓、こども園、保育園、図書館、集合住宅など、社会課題に直結する建築やランドスケープを設計。建築がつくられたことによって自然や街並みが息を吹き返すような、周囲の環境も最適化する建築をめざす。これまでに手がけた作品は国内外で高く評価され、90以上の建築賞、デザイン賞を受賞している。
・代表取締役:束野由佳
・本社住所:東京都新宿区下落合2-25-9
・URL: https://www.kinoarchitects.com
・事業内容:建築の設計監理・コンサルティング、不動産仲介・コンサルティング、ランドスケープデザイン、カフェ「noki noki」
アーバン建物株式会社
1978年設立、東京都港区六本木に本社を置く不動産会社。「人を幸せにする不動産」を理念に、賃貸住宅やオフィスビルの運営に加え、京都・大阪・金沢・高山・石垣で町家旅館やホテルを展開。文化財の保全など、社会に貢献する不動産投資に取り組んでいる。
・代表取締役社長:千葉謙一郎
・本社住所:東京都港区六本木1-7-10
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