徳島県南部にて、里山林の生物多様性評価等の研究に着手
(株)三井共同コンサルタント、(一社)日本森林技術協会と共同で樵木林業の生物多様性回復への寄与を評価
里山林を活用した産業創出を通じて、持続可能な森林づくりや、中山間地域の振興に取り組む株式会社四国の右下木の会社(徳島県海部郡美波町 代表取締役 吉田基晴)は、三井共同建設コンサルタント株式会社(東京都品川区 代表取締役社長 中野宇助)、一般社団法人日本森林技術協会(東京都千代田区 理事長 小島孝文)の3社で、徳島県県南部に伝わる樵木林業(こりきりんぎょう)が、放置による荒廃が進んだ里山林の生物多様性の回復に有効であることを明らかにするべく、共同で評価検証に着手します。
■背景とこれまでの取り組み
燃料や肥料の調達場所として重宝されていた里山林は、燃料革命による薪炭需要の低下などを理由に放置が進み、樹木の大径・老齢化、森林の単相化が進行しています。これらは、ナラ枯れの拡大や風倒木災害等を誘発するだけでなく、林床への光量不足により天然更新も阻害されるなど、森林環境の劣化を引き起こしつつあります。
四国の右下木の会社は、薪炭産業が盛んであった徳島県南部で、江戸期より続く地域伝統の循環型林業技法である樵木林業の再興と近代化、里山林に需要を創出する薪炭産業の新興で、経済性と環境保全が両立する里山事業に取り組み、2023年には、IoT活用によるスマート製炭を可能とした炭窯も完成し、樵木備長炭の製造販売をスタートさせています。
※)樵木林業:徳島県南部で発達した、ウバメガシやカシなどの常緑広葉樹(照葉樹)を対象とした林業技法。「海部(かいふ)の樵木林業」として2018年5月29日に一般社団法人日本森林学会の林業遺産に認定
■本事業の目的
里山の中核を成す広葉樹では、遷移に伴う林冠閉鎖により林内・林床への光量が低下することで、下層植生の・昆虫・動物の成育を阻害し、生物多様性が低下した森林状態を生み出します。樵木林業は、直径10cm以上の幹を選択的に伐採し、林床に光を入れ、切り株からの萌芽更新を促成することで、10年~15年周期での短期伐採を可能とする択伐型の短伐期広葉樹施業です。樵木林業によって、里山に様々な成長段階の森林を作成することにより、成長ステージ差のある複雑な林相が構成され、多様な動植物の生息が期待されます。また、全国で被害が拡大する“ナラ枯れ”は、広葉樹の大径化が拡大の一因とされていますが、樵木林業により森林を若返らせることで、森林環境の回復にも効果の発揮も期待できます。
3社は全国的な問題である“里山林の荒廃”に着目し、樵木林業が有する生物多様性の回復への効果を定量的に調査・評価することで、樵木林業の普及を推進し、ネイチャーポジティブアクションやビジネス機会の創出を目指して参ります。
【各社の情報】
株式会社四国の右下木の会社
三井共同建設コンサルタント株式会社
一般社団法人 日本森林技術協会
なお、本リリースのプロジェクトは、SDGsにおける下記目標への貢献を目指しています。
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