令和7年春の特別展「書物がひらく泰平-江戸時代の出版文化-」国立公文書館で開催
~近世文学作品を中心に、江戸時代に特徴的な版本の数々をご紹介します~

独立行政法人国立公文書館(所在地:東京都千代田区、館長:鎌田 薫)は、令和7年3月20日(木・祝)~5月11日(日)の間、令和7年春の特別展「書物がひらく泰平-江戸時代の出版文化-」を開催いたします。
江戸時代に確立された印刷技術は、大量印刷や増刷、挿絵の追加、多色刷りなどを可能にし、近世文学の多彩な表現を可能としました。こうして文化が花開く一方で、江戸時代は厳しい出版統制が敷かれ、人気の書き手たちはもちろん、出版を手がけた本屋も処罰されるなどの事件も起きます。そこには出版をめぐる複雑な歴史的背景がありました。本展では江戸時代の出版文化に着目し、近世文学作品を中心に、江戸時代に特徴的な版本の数々をご紹介します。
令和7年春の特別展「書物がひらく泰平-江戸時代の出版文化-」見どころ
◆はじめに-写本と版本-
江戸時代以前の古い書物(古典籍などと総称)は、基本的に「写本」と「版本(「刊本」ともいう)」の2種類に大別することができます。「写本」は手書きで写された書物のことで、対して「版本」は印刷された書物のこと。「はじめに」では、当館所蔵の『日本書紀』の「写本」と「版本」を実際に比較してご紹介します。


◆第1章 出版の黎明
中世の日本においては、出版は主に寺院を中心に行われました。しかし安土桃山時代末期から江戸時代初期になると、活字技術の伝来と時を同じくして、為政者たちが政治的な意図を持って出版を行うようになります。彼らの関心は政治・経済・兵法・道徳といったものが中心で、主に漢籍が印刷されることに繋がりました。そしてやがて、印刷の対象は日本の古典文学などに幅を広げていきます。
本章では、商業出版が栄える以前、いわば黎明期といえる時代の書物をご紹介します。

◆第2章 商業出版の時代へ
江戸時代前期、いよいよ泰平の時代が幕を開けます。識字率の高まりなど社会の成熟を背景に、それまで上流階級に限られていた読者層が庶民へと広がり、古典文学だけでなく多彩な読み物が好まれるようになります。こうして、「整版」を主軸とする大量出版・大量印刷の時代がやってきます。本章では大量出版時代の書物や、書物を扱う本屋をご紹介します。

◆第3章 出版統制の時代
「整版」による大量印刷、商業出版の進展で、多くのジャンルの本が出版されるようになりました。一方、それらの本は自由に誰もが、どんな内容でも出版できたわけではありませんでした。そこには、江戸幕府による規制や統制が敷かれていました。本章では江戸幕府による出版統制や、それに翻弄され、あるいは抗う書き手たち、また江戸幕府「御用」を務めた本屋についてご紹介します。

◆第4章 花開く印刷技術
江戸時代後期に入ると、中国の伝奇小説の影響を受けた「読本」(よみほん)と呼ばれるジャンルが隆盛を迎えます。挿絵を眺めるよりも読むことに重点を置いたことからこの名前がありますが、印刷技術の発展によって、より緻密でより複雑な挿絵を挟むことが可能になり、本屋や書き手たちはこぞって人気絵師たちを起用するようになります。本章では、超絶技巧によって印刷された「読本」の挿絵の数々をご紹介します。

◆おわりに-近代活版印刷の時代へ-
木版による「整版」印刷が主流であった江戸時代ですが、後期には西洋から銅板印刷の技術が紹介され、細密な挿絵などに利用されるようになります。さらに幕末になると、ドイツのグーテンベルク(?~1468)が確立した金属活字による印刷技術が改めて取り入れられます。
明治2年(1869)になると、もとはオランダ通詞(つうじ)だった本木昌造(1824~1875)が長崎製鉄所内に活版伝習所を設立して金属活字による活版印刷を開始します。こうして、活版印刷が明治初頭の日本に浸透していきました。
「おわりに」では、明治初期に出版された銅板印刷・活版印刷を用いた書物と、本展の最初にご紹介した『日本書紀』の明治版をご紹介します。

関連イベントについて
■展示解説会■
企画担当者が見どころを紹介する展示解説会を行います。
展示会をより深く理解できるイベントです。
【概要】
日時:3月28日(金)、4月16日(水)、5月7日(水)
いずれも午後2時00分~(40分程度)
会場:国立公文書館東京本館4階会議室
参加費無料・事前申込制
参加人数:40名(先着順)
募集方法:受付用フォームまたはメールにより、参加受付を行います。
受付期間・受付方法は国立公文書館HP、SNSをご覧ください。
■「平成の書」原本特別展示■
以下の期間で「平成の書」の原本を特別に展示いたします。
【概要】
展示期間:3月17日(月)~3月30日(日)
場所:国立公文書館東京本館常設展示室
■「令和の書」原本特別展示■
以下の期間で「令和の書」の原本を特別に展示いたします。
【概要】
展示期間:3月25日(火)~4月6日(日)
場所:国立公文書館東京本館常設展示室
オリジナルグッズの販売
■展示会図録 800円
展示資料を詳細に解説。A4サイズ、48頁。
■新規オリジナル商品の販売開始■
■トートバック 2,000円
明治6年に刊行された「博物図」より。桃・梅・柿といった果実類が色鮮やかに描かれている図柄。

■行幸絵巻マスキングテープ 700円
文化14年(1817)に退位した第119代光格天皇が上皇の御所である仙洞御所へ向う行列を描いた「桜町殿行幸図」より。巾25mm×5m巻。

■絵はがき 各150円
新柄7種類。
書家で国学者・歌人としても知られる屋代弘賢が、天明年間(1781-89)に編集を開始した百科全書である「古今要覧稿」や、万延2年(1861)刊行の61種の鳥類を収録した「華鳥譜」より。

【開催概要】
特別展タイトル:「書物がひらく泰平-江戸時代の出版文化-」
開催期間 :令和7年3月20日(木・祝)~5月11日(日)
開催地 :国立公文書館 東京本館1階展示ホール
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園3-2
アクセス :東京メトロ東西線 竹橋駅下車 1b出口 徒歩5分
開催時間 :午前9時15分~午後5時00分
※期間中の毎週金曜日は、午後8時まで開館します。
入場無料・予約不要
国立公文書館HP:https://www.archives.go.jp/exhibition/

<報道関係の方からのお問い合わせ先>
独立行政法人国立公文書館 展示担当 TEL:03-6680-7206
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