1年かけてつくるシュトーレン、その先へ。通常の仕込みと会議をひらく、高知・四万十の菓子店の挑戦

高知・四万十の菓子店カゴノオトが、普段の仕込みを体験に、朝の会議を生配信に。売上と人との関係を両立する、小さな店の新しい取り組み

カゴノオト

コックコートを着た参加者が、稼働中の工房で実際の商品に使ういちごを仕込む「シュトーレンラボ」

高知県四万十町で「1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレン」(以下:1年かけて作るシュトーレン)を製造・販売する菓子店カゴノオトは、2026年から、普段の仕事をお客さまにひらく二つの取り組みを始めました。

一つめは、稼働中の工房で旬の素材を一緒に仕込む「シュトーレンラボ」。もう一つは、毎週金曜日のスタッフミーティングをInstagramで生配信する「おはよう会議」です。

体験用の仕事や配信用の番組を新しく作るのではなく、日々の製造や会議に、人が参加したり、視聴したりできる新たな試みです。

現場に過度な負荷をかけず、売上と人との関係をどちらも大切にする方法を模索しています。

たくさん売るだけだろうか

事業を続けるためには、商品を買ってもらい、利益を出すことは欠かせません。

より多くの人へ届けるための効率化や、販売機会を増やす努力も必要です。

カゴノオトも2025年は、出張販売や百貨店での催事販売を通じて積極的に外へ出て、たくさんの人と出会い、商品を届けることができました。

一方で、小さな店にとって、普段の製造と出張販売を両立することは簡単ではなく、働く人や現場への負荷も大きくなっていきました。

どれほど思いを持っていても、商品を買ってもらえなければ、事業を続けることはできません。

けれど、売上だけを追い続けていると、時に現場は疲弊し、誰に届けているのかが見えにくくなることもあります。

買ってもらうための努力を続けながら、それだけに偏らない方法はないだろうか。

遠くへ行くだけではなく、自分たちの場所に人をお迎えし、目の前にある仕事をひらくことはできないだろうか。

その問いから、2つの取り組みが生まれました。

実際の仕事に参加する「シュトーレンラボ」

カゴノオトの「1年かけて作るシュトーレン」は、高知県四万十地域で育った、1年分12種類の素材を使っています。

果物や農産物の旬に合わせて仕込み、保存し、年末に一つのシュトーレンへ作り上げます。

シュトーレンラボで参加してもらうのは、体験用に用意した作業ではなく、この仕込みの工程です。

参加者とスタッフが、実際の「1年かけて作るシュトーレン」に使用するいちごを仕込む様子

参加者はコックコートを着て、衛生管理のルールに沿いながら、いちごや小夏など、実際の商品に使う果物をスタッフと一緒に仕込みます。

体験のために製造を止めることも、特別な作業を新しく増やすこともしていません。

工房を普段通り稼働させながら受け入れるため、現場に過度な負担をかけず、継続できる取り組みになっています。

素材の加工方法や仕込みの背景を、参加者へ説明するカゴノオトのスタッフ

2026年4月と6月に2回開催し、計6名が参加しました。高知市、土佐清水市、四万十町近隣のほか、東京都や埼玉県からも参加者が訪れました。

今後は8月15日に第3回、9月23日に第4回を開催予定です。

参加された方からは、

「香りまでおいしい」

「そんなところまで無駄にしないようにしているんだ」

「作業のあとに、一緒にご飯を食べながら話せるのもいい」

という声がありました。

シュトーレンラボは、無料の体験会ではなく有料の企画です。

まだ始めたばかりですが、時間と費用をかけて工房を訪れてくださる方がいらっしゃることから、完成した商品だけでなく、その商品が生まれる現場や仕事に触れること自体にも、価値を感じてくださる方がいることが分かりました。

日常の会議を生配信する「おはよう会議」

毎週金曜日の朝9時45分からは、スタッフミーティングをInstagramで生配信しています。

毎週金曜日、通常のスタッフミーティングをInstagramで生配信する「おはよう会議」

商品を紹介する番組ではなく、スタッフが普段通り、製造や販売、今後の予定について話し合う会議です。

会議を生配信すれば、用意された宣伝文句ではなく、働く人のいつもの様子や、スタッフ同士の空気まで伝わります。

取り繕えない日常を見てもらうことになるため、そこには怖さもあります。

それでも、作り手の背景を知ってもらえることは、自分たちにとっても大きな意味があります。現場の動きを大きく変えずに続けられることも、この取り組みの特徴です。

この2つの取り組みは、今ある仕事そのものを価値に変える取り組みで、自分たちにとって挑戦であり、今では必要な場となっています。

自分たちの仕事と、食べてくださる方に出会い直す

シュトーレンラボに参加された方の、

「そんなところまで無駄にしないようにしているんだ」

という一言は、自分たちの仕事を見つめ直すきっかけにもなりました。

自分たちにとっては当たり前だと思っていた仕事が、初めて工房に入った方の目には、新鮮な驚きとして映っていました。

また、シュトーレンラボでは作業後に一緒にご飯を食べながら、ゆっくり話をします。

作業後は参加者と食卓を囲み、暮らしや仕事、地域についてゆっくり話す時間を設けている

ある参加者の方が離島で育ったと知り、その島独自の地形や歴史の話で盛り上がったこともありました。商品を販売するだけでは知ることのできなかった話です。

私たちはこれまで、生産者や作り手の背景を伝えることを大切にしてきましたが、関係は一方向ではないことに、今回あらためて気づきました。

私たちも、食べてくださる方を知る。

誰に届けているのかが見えることで、

「この方たちに、もっとおいしいものを届けたい」

という気持ちが生まれます。

その気持ちが、また次の日も手を動かし、この場所で事業を続ける原動力になっています。

生産者と食べる人をつないできた、その先へ

カゴノオトでは2018年から2024年まで、シュトーレンの素材を育てた生産者と、食べるお客さまが出会う「シュトーレンお披露目会」を開催してきました。

そこで生産者から聞いた、

「実際に食べてくれている人に会えてうれしい」

という言葉が、現在の取り組みにもつながっています。

「1年かけて作るシュトーレン」に使う素材のブルーベリーの生産者とカゴノオトの小清水

こうした、生産者と食べる人をつなぎ、地域の素材の価値を伝えてきた取り組みは、2025年度の「FOOD SHIFTセレクション」で優秀賞を受賞しました。

また、PR TIMES「プレスリリースアワード2025」のBest101にも選出されました。

今ある日常から、小さな店の続き方をつくる

原材料を仕入れ、人が手を動かし、時間をかけて作る。

ものづくりは、誰かが現場に立たなければ進みませんが、その手間や技術、作り手の思いは、完成した商品だけでは見えにくいものです。

カゴノオトのお菓子は、素材を誰が育て、誰が仕込んだのかまでたどることができます。

「1年かけて作るシュトーレン」を食べた地元の方から、

「ここはこんなに豊かだったんだ」

と言っていただいたことがあります。

1月の干し芋から12月の柚子まで、四万十地域の旬を一年かけて仕込む

一年の実りを一つのお菓子にすることで、身近な土地の豊かさが、あらためて見えてきます。

生産者、工房で手を動かす人、食べてくださる人。その間にある時間や関係をひらくことで、ものづくりにもう一度光を当てたい。

現場で手を動かす人が誇りを持ち、思いを持って作る小さな店が、地域でこれからも元気に続いていける道をつくりたいと考えています。

今後もシュトーレンラボを続け、季節ごとの仕込みに人を迎えていきます。

買ってもらうための努力を続けながら、誰が育て、誰が作り、誰が食べるのかが見える関係も大事にしていく。

1年かけてシュトーレンを作りながら、その一年の中で生まれる人と人との関係も、ゆっくりと育てていきます。

「シュトーレンラボ」概要

開始:2026年

開催実績:2026年4月、6月の2回、計6名参加

今後の開催予定:第3回 2026年8月15日/第4回 2026年9月23日

参加費:「1年かけて作るシュトーレン」予約済みの方1,000円、未予約の方2,000円

内容:コックコートを着用し、実際の商品に使用する旬の素材をスタッフとともに仕込む体験

これまでの参加地域:高知市、土佐清水市、四万十町近隣、東京都、埼玉県

今後:月1回程度の開催を予定

※8月15日、9月23日ともに、開催当日の取材や仕込み風景の撮影については、事前にお問い合わせください。

開催・取材について問い合わせる

「おはよう会議」概要

開始:2026年

配信日時:毎週金曜日、午前9時45分から

配信方法:カゴノオト公式Instagramでライブ配信

内容:スタッフが通常行っている製造・販売に関するミーティングを生配信

カゴノオトについて

高知県四万十町で、地域の旬の素材を使ったシュトーレンや焼き菓子を製造する菓子店です。

カゴノオトでは、これまでシュトーレンを累計1万本以上届けてきました。

主力商品の「1年かけて作るシュトーレン」は、四万十地域で出会った12種類の素材を、それぞれの旬に合わせて一年を通して仕込んでいます。

四万十地域の12種類の素材を一年かけて仕込み、冬に焼き上げる「1年かけて作るシュトーレン」

経営理念は「カゴノオトに出会えて良かったと思える事業を展開する」。

人と土地にあるものを結び直し、その価値が伝わる形に編集することを役割として、商品づくりや、人が出会い直す場づくりに取り組んでいます。

カゴノオト公式サイト

高知県四万十町の菓子店カゴノオトのスタッフ

メディア掲載実績

カゴノオトのこれまでの取り組みや、四万十の旬の素材を使ったシュトーレン・焼き菓子は、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、ウェブメディアなどで紹介されています。

※以下は「シュトーレンラボ」単体ではなく、カゴノオトの商品や活動全般に関する掲載実績です。

【新聞・通信社】
日本経済新聞、高知新聞、東京新聞、中日新聞、毎日新聞、産経新聞、共同通信社 ほか

【テレビ・ラジオ】
NHK高知「こうちいちばん」、高知放送「コロナ禍を生きる〜四万十町の移住者たち〜」、テレビ高知「からふる」、TBSラジオ「ONE-J」、RKCラジオ、FM高知 ほか

【雑誌・ウェブメディア】
SPRiNG、Mart、TURNS、クウネル、季刊高知、伊勢丹新宿「FOODIE」、Yahoo!ニュース、livedoorニュース、ufu. ほか

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食品・お菓子
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会社概要

カゴノオト

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URL
https://www.kagonote.com/
業種
製造業
本社所在地
高知県高岡郡四万十町土居6
電話番号
080-8730-9038
代表者名
前 成照
上場
未上場
資本金
-
設立
2012年12月