日経クロストレンド「今後伸びるビジネス」2024年下半期ランキングを発表
◆半期に一回の独自調査「トレンドマップ2024下半期」を作成、全95キーワードについて調査
◆AIエージェント開発激化で、「バーチャル・ヒューマン・エージェント」の将来性に期待集まる
◆「サーキュラーエコノミー」が経済インパクトの伸びで1位に、トヨタグループも社団法人設立
株式会社 日経BP(本社:東京都港区、社長CEO:井口 哲也)は2024年11月12日、マーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「消費トレンド」「テクノロジー」の潮流を見極める「トレンドマップ 2024下半期」を発表、注目の全95キーワードをランキング化しました。
マーケティング、消費トレンド、テクノロジーの3分野は変化が激しく、様々なバズワードが飛び交います。この中から、中長期的に注目すべき潮流の見極めを目的として、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約しました。キーワードの分析結果は、「将来性」と現時点での「経済インパクト」との2つのスコアで示します。
24年4月に実施した前回調査との比較で、分野別で将来性スコアが伸びたトップ3は、マーケティング分野では1位「SDGs」(持続可能な開発目標)、2位「ソーシャルメディアマーケティング」、3位「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」となりました。また、消費トレンド分野では1位「ミレニアル世代」、2位「α世代」「シェアリングサービス」、テクノロジー分野では1位「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」、2位「IoT」、3位「VUI(音声ユーザーインターフェース)」でした。
一方、経済インパクトについて各分野で最も高い伸びを示したキーワードは、マーケティング分野では「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」、消費トレンド分野では「サーキュラーエコノミー」、テクノロジー分野では「GNSS(測位衛星システム)」でした。
時流を踏まえて今回の調査から新たに追加したキーワードは、マーケティング分野の「AIエージェント」「デジタルサイネージ(DOOH)」、消費トレンド分野の「パワーカップル・パワーシングル」です。分野別スコアランキングは、マーケティング分野のAIエージェントが32キーワード中8位、デジタルサイネージが17位でした。消費トレンド分野のパワーカップル・パワーシングルは、33キーワード中10位でした。
今回のトレンドマップ2024下半期調査は、24年10月に実施しました。主なトピックスは以下の通りです。
なお、最新トレンドマップの全キーワードのスコア、詳細解説記事は、24年11月12日に日経クロストレンドのWebサイト(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00448/00016/)で公開します。
【トレンドマップ2024下半期のポイント】
◆将来性スコアの伸長1位は「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」「ミレニアル世代」
前回の調査から、分野横断で将来性スコアがもっとも大きく伸びたキーワードは、テクノロジー分野のバーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)と消費トレンド分野のミレニアル世代(1980〜95年ごろに生まれた層)です。いずれも、各分野2位のスコアより0.1ポイント以上高く、24年上半期から0.50ポイントと大幅増となり、急速に注目度が高まっていることが分かりました。
注目はスコア3.70となったVHAです。あたかも知性や人格を備えた人工知能(AI)で、人間を模した姿の画面上のキャラクターと対話できる点に特徴があります。マシンと人間の間の橋渡しをする新しい概念です。生成AI技術の進化を追い風に、対話を実現する基盤技術であるAIエージェントの開発競争が国内外で激化しています。高精度なVHA実現への道が開かれたと期待する声が大きく、それがスコア上昇という形で表れました。
今回新たなキーワードとして追加したAIエージェント(マーケティング分野)が、分野別の将来性スコアランキングで8位(スコアは4.13)となったことからも、成長の余地が大きいことがうかがえます。
マーケティング分野で、将来性スコアの伸びが1位だったSDGs(スコアは0.36ポイント増の3.68)も、今後の市場トレンドを占う上で重要です。インテージが23年に調査したところ、SDGsの用語を認知している人のうちの51.1%が「SDGsに取り組む企業を応援したい」(22年は49.2%)、43.4%の人が「SDGs関連の商品やサービスを購入・利用したい」(22年は41.5%)と考えています。SDGsに対して強くコミットしたマーケティング活動をしているかどうかで消費動向が大きく左右される時代が本格到来した事実が、数字の上でも証明されました。
◆経済インパクトのスコアで最も伸びたのは「サーキュラーエコノミー」
経済インパクトについては、前回調査から分野横断で最も伸びたのは、消費トレンド分野のサーキュラーエコノミー(スコアは0.53ポイント増の3.00)でした。
資源の循環と経済成長の両立を目指すことで持続可能な社会を目指す考え方で、国内外の各政府が推進しています。その動きがここに来て産業界にも波及しており、例えば24年8月にトヨタ自動車や豊田通商、アイシンなどが、自動車産業におけるサーキュラーエコノミーの実現に向けて、一般社団法人「サーキュラー・コア」(名古屋市)を設立しました。多くの専門家が、サーキュラーエコノミーが単なる掛け声ではなく、もはや市場に大きなインパクトを与えるフェーズに移行したと考えています。
マーケティング分野で経済インパクトの伸びが1位だったUGC(スコアは0.43ポイント増の3.39)は、昨今小売店の側が積極的にUGCの生成を後押しするケースが出てきており、巨大な商圏を生み出すエンジン役を担っていることが調査結果にも反映された格好です。
UGCとは、消費者が自発的に投稿するSNS上のコンテンツで、その影響でバズ(話題)りが生まれる現象は以前からよく知られていました。直近、来店客が購入前に商品を店頭で試せる体験型店舗がオープンし、その様子を客がSNSにアップすることを認めるケースが増えています。商品やサービスのヒットに、UGCが欠かせない役割を果たしつつある実態が浮かび上がったと言えます。
■「トレンドマップ2024下半期」の分析手法
調査は2024年10月に実施。編集部がマーケティング分野の32キーワード、消費トレンド分野の33キーワード、テクノロジー分野の30キーワード、計95キーワードを選定。それぞれを認知する人に、そのキーワードの「将来性」と現時点での「経済インパクト」を5段階で尋ねてスコアリングしました。質問の選択肢は下記の通りです。
[将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)]
1.将来性は低い/2.将来性はやや低い/3.どちらとも言えない/4.将来性はやや高い/5.将来性は高い
[経済インパクト]
1.どの企業も収益を得られていない/2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している/3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している/4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している/5.社会全体になくてはならない存在
【日経クロストレンドについて】
「日経クロストレンド」(https://xtrend.nikkei.com/)は、マーケティング戦略や商品開発、新事業創造などの情報を提供するデジタルメディアです。デジタルテクノロジーの進化などで様変わりする企業の新商品開発、マーケティング戦略、事業戦略の最前線をデータと実例を基に詳報。「売れる商品」「サービス開発」の勘所を解き明かします。対象は企業の経営企画、新事業開発、商品企画・開発、システム、マーケティング、営業、顧客窓口など幅広いビジネスパーソンで、Web・スマートフォンサイト、スマホアプリを中心にお届けしています。
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