東京都 “SusHi Tech Global”「資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」 に採択
下水汚泥を燃やさず電力と高純度CO2に変える実証を国内の大規模下水処理場で開始

ライノフラックス株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役CEO:間澤 敦、以下「ライノフラックス」)は、東京都が実施する「SusHi Tech Global 資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」に採択されました。2026年11月から2028年4月までの18か月間、国内の大規模下水処理場において、湿式ケミカルルーピング技術を用いたパイロット機による現地実証を実施します。本実証は、当該処理場を所管する自治体および国内の水処理プラントメーカーと協同で進めて参ります。
参考URL: https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/10/2026102607
背景:年間234万トンの下水汚泥、エネルギー利用は一割にとどまる
国内では年間約234万トンの下水汚泥が発生しています(絶乾トン、国交省調べ)。リサイクル率は約76%に達していますが、その半分は建設資材としての利用で、エネルギーとしての利用は約1割にとどまり、約2割は依然として埋立等に回されています。埋立処分場の確保が難しくなるなか、汚泥の減容化は全国の処理場に共通する課題です。
下水道分野の温室効果ガス排出量は年間約338万t-CO2(2022年度実績、国交省調べ)にのぼり、自治体の事務事業から排出される温室効果ガスの大部分を占めます。
課題は、汚泥が水分を多く含むことにあります。従来のエネルギー利用は焼却による熱回収または発酵によるガス化が中心で、いずれも乾燥や前処理に伴うエネルギー損失と、それに起因する採算性が制約となってきました。
当社技術と本実証の内容
当社が開発する「ライノハウス」は、水を含んだままのバイオマスから、燃焼を介さずに発電と高純度CO2回収を同時に行うプラントです。食品・飲料工場などから発生する残渣や排水汚泥、農業残渣、間伐材、エネルギー作物など、水分を多く含み従来は乾燥に多くのエネルギーを要してきた幅広いバイオマスに適用でき、本実証ではそのうち下水汚泥を対象とします。
実証システム構成(概略図)

本技術は、以下の3点を特長としています。
高効率発電: 燃焼を介さないため、従来のバイオマス発電方式と比べて約2~4倍の高い発電効率を実現します。
高純度CO2の回収: 反応の過程で純度99.9%以上のCO2を分離・回収でき、別途の精製設備を必要としません。液化して産業ガスとして利活用できるほか、貯留を伴う場合はBECCSとしてのカーボンクレジット化も期待されます。
省スペース設置: 水分を多く含んだバイオマスの乾燥スペースが不要なため、設備の小型化が非常に容易です。モジュール構成により、原料の発生量に応じた柔軟な設計が可能で、小規模から大規模の処理場まで対応し、既存の処理プロセスに接続して運用できます。
本実証では、実際の下水処理場で発生する汚泥を用い、累計100日間(2,400時間)の運転を実施します。初沈汚泥、消化汚泥、脱水ケーキ汚泥といった性状の異なる汚泥への適用性に加え、発電量、CO2回収、汚泥の減容化、長期安定運転性能、不純物管理、既存プロセスとの接続条件、安全・保守運用の要件を実データで確立します。自治体から実サイトと実汚泥の提供および運用面での検証を、水処理プラントメーカーから接続設計と保守運用に関する知見を得て、商用機の導入判断に必要な条件を整備します。
下水処理場を、新たな電源に
下水処理場は、下水処理の過程で多くの電力を消費する施設です。一方で、そこで発生する汚泥はバイオマスとして高いエネルギーポテンシャルを有しています。当社技術は、この汚泥を燃やさずに電力へと転換することで、電力を消費する施設を、電力を生み出す施設へと変えることを目指しています。
汚泥は全国の処理場で、天候や季節に左右されることなく、年間を通じて安定的に発生します。太陽光や風力と異なり新たな立地を必要とせず、都市の内部で発電が可能です。各地の処理場が分散型の電源となることは、災害時の下水道機能の維持に資するとともに、一次エネルギーの多くを輸入に依存する我が国のエネルギー安全保障にも貢献するものと考えています。
今後の展開
水分を多く含むバイオマスという課題は、自治体のし尿処理施設や、民間の排水処理・食品工場等にも共通します。当社は公共・民間の双方で取組を広げ、将来的には海外展開も視野に入れています。本プログラムを通じて、下水処理場を「処理費用のかかる施設」から「地域の分散型エネルギー・炭素資源の供給拠点」へと転換してまいります。
代表メッセージ(代表取締役CEO 間澤 敦)

下水処理場は、地域を支える社会インフラであると同時に、下水汚泥という膨大なバイオマス資源が全国で日々生み出される場所でもあります。天候や海外情勢に左右されず、国内で安定的に得られる、数少ない地域エネルギー源です。
脱炭素化とエネルギー安全保障の両立が求められる今、下水汚泥を処理・処分の対象から「国産エネルギー」および炭素資源へと捉え直すことは、日本のエネルギー自立にも大きな可能性を持つと考えています。
当社の湿式ケミカルルーピング技術は、こうした資源を"燃やさずに"電力へ変換し、同時に高純度のCO2を回収します。これまで水処理プラントメーカー様や他のバイオマス排出事業者様とともにラボレベルで複数のバイオマスを用いた連続運転を実施してきましたが、公共インフラで使われる技術となるには、性能に加え、既存設備との接続や安全、長期の運転保守といった実装の条件を現場で確かめる必要があります。
今回、東京都様の支援を得て、自治体様と水処理プラントメーカー様とともに実際の処理場でこの検証に臨みます。ここで得られる知見は、同じ課題を抱える全国の処理場が参照できるものとして積み上げてまいります。ライノフラックスは、足元に眠る未利用資源を地域の電力と炭素価値に変え、下水処理場を"創エネルギー拠点"へと転換してまいります。
SusHi Tech Globalについて
SusHi Tech Globalは、“サステナブルな都市をハイテクノロジーで実現する”というSusHi Techの理念・活動を世界に展開していくグローバルなイニシアチブで、2025年9月に始動しました。東京都は、人類共通の課題である持続可能な都市・社会づくりをテクノロジーで実現するということをコンセプトに掲げ、SusHi Tech Tokyo(Sustainable High City Tech Tokyo)を世界に向けて発信してきました。
SusHi Tech Globalでは、都市課題の解決と新たな価値創造につながるテクノロジーを持つ、ミドル期以降を中心としたスタートアップに対して官民を挙げた支援を提供します。東京都は、SusHi Techのコンセプトを体現するスタートアップを世界に向けて打ち出すとともに、東京・日本からグローバルなイノベーションを巻き起こしていくことで、サステナブルな都市・社会の実現を目指します。
参考URL: https://sushitech-global.metro.tokyo.lg.jp/#concept
資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラムについて
中東情勢に端を発し、石油のみに頼らない社会の実現に向けて、エネルギー構造の転換等を加速化させることの重要性が高まっています。
そこで東京都(以下「都」という。)は、スタートアップの革新的技術を活用し、省資源・省エネルギーや資源循環等の実現を目指すプログラム「資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム(以下「本プログラム」という。)」を実施します。
本プログラムにおいては、“SusHi Tech Global Startups”の中から、革新的な新技術により資源・エネルギーの構造転換等を目指す最長18か月のプロジェクトを募り、最大5件採択を行います。採択した取組に対して、上限2億円の資金サポートとオーダーメイド型の伴走支援を提供することで、新たな産業モデルの構築等を図り、持続可能な都市の実現につなげていきます。
参考URL: https://sushitech-global.metro.tokyo.lg.jp/news/18
ライノフラックス株式会社
ライノフラックスは、京都大学発のスタートアップとして、湿式ケミカルルーピング技術を活用した次世代バイオマス発電・CO2回収技術の開発に取り組んでいます。食品・飲料・農業残渣、間伐材、汚泥など、これまで有効活用が難しかった多様なバイオマス資源を対象に、分散型の発電・CO2回収ソリューションの社会実装を目指しています。
商号: ライノフラックス株式会社
英文: Rhinoflux Inc.
代表者: 代表取締役CEO 間澤 敦
本社住所: 〒606-8501 京都市左京区吉田本町36-1 京都大学 国際科学イノベーション棟西館104号室
研究所: 〒615-8245 京都市西京区御陵大原1-39 京大桂ベンチャープラザ南館2214号室
設立日: 2024年4月22日
事業内容: バイオエネルギー炭素回収装置及び関連機器の設計・製造・販売・管理・運営
E-mail: info@rhinoflux.com
Website: https://rhinoflux.com/
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