国連ユニタール「CIFALジャパン国際研修センター」第1回国際シンポジウムを開催-「世界に向けた学びとリーダーシップ」の新たな拠点がいわき市と学校法人昌平黌からスタートを切りました
5月31日、CIFALジャパンの最高意思決定機関である第1回評議会が開催され、活動計画を決定、併せて第1回国際シンポジウムを開催。一般参加者、学生、教職員、関係者ら約300人(リモート含む)が参加
■開催趣旨
国連ユニタール「CIFALジャパン国際研修センター」(UNITAR CIFAL-Japan)は、昨年12月、CIFAL(シファール=「地域リーダー人材育成国際センター」の仏語略称)のグローバルネットワーク初の日本拠点として、いわき市及び学校法人昌平黌が共同で開設しました。国連唯一の人材育成機関である国連ユニタール(国連訓練調査研究所、本部・ジュネーブ)が世界に展開するシファールの35カ所目となります。グローバルな視野を持ちながら、地域社会において誰一人取り残されることなく、豊かで持続可能な暮らしをリードする民間リーダーや公務員、若者を育成していきます。地域社会の課題解決を図りながら、その知見を地域レベルから国際社会にも発信していきます。
2025年5月31日、CIFALジャパンの最高意思決定機関である第1回評議会が開催され、活動計画を決定、併せて第1回国際シンポジウムを開催しました。
■主催 国連ユニタール「CIFALジャパン国際研修センター」
■共催 いわき市 学校法人昌平黌 東日本国際大学
■開催日時 2025年5月31日(土) 13:30 – 17:30
■会場 東日本国際大学1号館2階201教室
第1回国際シンポジウムは、「人づくりを通じた地域社会と国際社会の連繋~一人ひとりがグローバルリーダー~」をメーンテーマに開催しました。サブタイトルは「―地域社会の課題解決を図りながら、その知見を地域レベルから国際社会にも発信」です。
一般参加者、学生をはじめ、教職員、本学関係者ら約300人(リモート参加を含む)が来場・視聴しました。


はじめに基調講演が行われ、ルイス ガジェゴCIFALジャパン名誉議長(国連ニタール前評議会議長、元エクアドル外務大臣)が「全ての人々のための社会:国連の目指す平等と共生社会と地域社会からのグローバルリーダーシップ」のテーマで講演しました。
この中でガジェゴ議長は、CIFALジャパンの設立と意義、その使命とプログラムや未来のリーダー像に触れながら、ご自身が学んだ重要な教訓として「変革は『制度』からでなく、『人』から始まるのです」と前置きし、「このセンターは単に知識を教えるのではなく、心を目覚めさせる場でなければなりません。社会の変革は『最も取り残された人びと』を中心に据えたときにこそ始まるのです。それこそがCIFALジャパンのすべてのリーダーに託された使命です」と強調、「より包摂的で、公平で、持続可能な世界を築くために、共に前進していきましょう」と呼び掛けました。
*ルイス・ガジェゴ名誉議長のスピーチ全文をこの記事後半に掲載しています。

続いて、伊東亜紀子CIFALジャパン事務局長(東日本国際大学客員教授、大阪大学招へい教授、元国連経済社会局障害者権利条約事務局長)がCIFALジャパンの活動方針等説明しました。

この後、パネルデスカッションに入り、「CIFALジャパンに期待すること」をメーンテーマに専門家がその知見をもとに見解、意見を述べました。
第1部では、「地域における防災力の強化とサステイナブルビジネスの推進」をテーマに、CIFALジャパンの優先活動5分野のうち、①災害レジリエンスの強化及び⑤ビジネスを通じたESG(環境・社会・企業統治)取組みの普及等について意見を交換しました。
星野俊也CIFALジャパン副代表・元国連大使(東日本国際大学名誉教授、大阪大学名誉教授)をコーディネーターに、パネリストの石井正三日本CBRN(シーバン)学会理事長(東日本国際大学健康社会戦略研究所所長)、小野裕一(東北大学災害科学国際研究所教授、河村 宏(特定非営利活動法人支援技術開発機構副理事長、斎藤恭紀(福島テレビキャスター)、ショウ ラジブ慶応義塾大学政策・メディア研究科教授が登壇、コメンテーターの中村 隆行CIFALジャパン理事(いわき短期大学学長)、松本真紀恵いわき市総合政策部政策企画課長も見解を述べました。

この中で防災力の強化について「指示を待つのではなく自律的な避難」「自助では共助の担い手の養成」、さらに2030年に国連の世界防災会議が開催させる予定なので、いわき市がその会場となってはという提言も出されました。

第2部は「持続可能な暮らしの享受とこれからの人づくり」をテーマに、CIFALジャパンの優先活動5分野のうち、②多様性・包摂性の向上、③若い世代へのグローバル学習の加速・推進及び④健康・ウェルビーイングの推進―を中心に意見を交換しました。
コーディネーターをジャーナリストの榎原美樹元NHK記者(キャスター)が務め、パネリストは井筒節東京大学農学部准教授、河村愛Nature Inclusive代表、星野千華子東日本国際大学客員教授、山田悠平一般社団法人 精神障害当事者会ポルケ代表理事、ニシャート アニーシャ東日本国際大学健康福祉学部講師、コメンテーターとして田中みわ子(東日本国際大学健康福祉学部学部長・教授)、菅波香織CIFALジャパン理事(いわき法律事務所弁護士)が登壇しました。

この中で、誰一人取り残さない社会の実現のためには、「声なき声に耳を傾けることの重要さ」「地域共生社会づくりに向けた人づくり」「調和、ハーモニーを大事にする社会」などの提言が出されました。

シンポジウムでは、CIFALジャパン共同代表の内田広之いわき市長が開会あいさつ、同じく共同代表の緑川浩司学校法人昌平黌理事長が閉会のあいさつを行い、CIFALジャパン設立の意義と今後の展望、参加者・来場者へのお礼の言葉を述べました(緑川理事長はガジェゴ議長から贈られた帽子をかぶり、あいさつしました)。

【名誉議長 ルイス・ガジェゴ閣下 スピーチ】
CIFAL Japan設立記念シンポジウム
2025年5月31日(いわき市)
「すべての人がリーダー:持続可能な世界に向けた包摂的なグローバル・リーダーシップの推進」
ご来賓の皆様、ご列席の皆様、ご協力くださっているパートナーの皆様、同僚の皆様、そしてご参集の皆様へ
本日、この素晴らしいいわき市で皆様にご挨拶できることは、私にとって深い光栄と喜びであります。
CIFAL Japanという、世界に向けた学びとリーダーシップの新たな拠点の設立にご尽力くださったいわき市、東日本国際大学、そしてそのパートナーの皆様に、心より感謝申し上げます。
謙虚な気持ちと深い使命感を抱きながら、私はこの困難を乗り越えてきた感動的な都市に立ち、CIFAL Japanの開設を祝うことができる喜びをかみしめております。
いわきという名は、2011年に経験した4重の困難——東日本大震災、津波、福島第一原発事故、そしてその後の社会的な偏見と希望の喪失——を乗り越えた、再生と回復の象徴となっています。
本日、私たちは日本国内のみならず、世界中の包摂的で革新的、そして変革をもたらすリーダーシップの未来のために、新たなセンターの誕生を祝います。
私の祖国エクアドル、そしてより公平で持続可能な世界づくりに尽力する国際社会を代表して、祝辞を申し上げます。
この瞬間は、国際研修センターの開設以上の意味を持ちます。
それは、世界が新たなタイプのリーダーシップを必要としているという認識の表れです。
知識や革新に加え、共感・説明責任・連帯に根差したリーダーシップ、
多様性から力を得て、コミュニティの集合的知恵を活かし、誰一人取り残さないという覚悟を持ったリーダーシップです。
私は、50年にわたる国際公務の経験の中で——外交、多国間交渉、人権擁護、組織運営を通じて——
多くの国々で活動し、無数の交渉の場に立ち、すべての地域で仕事をしてきました。
その中で私が学んだ最も重要な教訓は、変革は「制度」からではなく、「人」から始まるということです。
より良い世界は、可能であるだけでなく、必要不可欠なのだと信じる個人から生まれます。
私が議長を務めた国連障害者権利条約の起草委員会では、単なる法的文言ではなく、「すべての人間は尊重される存在である」という原則を確認するものでした。
アクセシビリティ(利用可能性)は後付けの配慮ではなく、正義と民主主義の礎です。
インクルージョン(包摂)は、私たち全員の責任であり、身体的・精神的・感情的・社会的なウェルビーイング(幸福)は、贅沢ではなく人権です。
CIFAL Japanが、UNITAR(国連訓練調査研究所)の豊富な経験に基づき、複雑さを恐れずに向き合い、苦しみに背を向けず、目的をもって立ち向かい、ローカルとグローバルの課題に倫理的な明確さと知識、そして行動する勇気をもって対応できるリーダーを育む場となることを、私は強く望みます。
このセンターは、単に「知識を教える」場所ではなく、「心を目覚めさせる」場でなければなりません。
社会の変革——そして究極的には人類の変革——は、「最も取り残された人々」を中心に据えたときにこそ始まるのです。
それこそが、CIFAL Japanを訪れるすべてのリーダーに託された使命です。
変革のただ中にある世界
現在の世界では、こうしたリーダーシップがこれまで以上に求められています。
長期化する紛争や人道危機、気候変動、社会的不平等といった複雑で緊急な課題が国際社会を悩ませています。
その中で最も重い影響を受けているのが、障害者、女性や少女、高齢者、その他の周縁化された人々です。
彼らは排除の被害者であると同時に、変革の担い手でもあります。
自らのコミュニティを率いることのできる重要な存在です。
今後開催される国際会議——6月中旬の障害者権利条約締約国会議(ニューヨーク)、9月の社会開発サミット(カタール)、そして気候変動に関する国連会議など——は、私たちの行動指針や規範の枠組みを形づくる場となります。
しかしそれらの場には、いわきのような地域社会の経験、そしてCIFAL Japanで育まれたリーダーたちの価値観と志が反映されるべきです。
UNITARとCIFALネットワークの成果
UNITARは過去60年にわたり、外交官、公務員、市民団体、若者リーダーなどに研修を行ってきました。
グローバルCIFALネットワークは、年1,500以上の研修を実施し、数十万人の学習者に貢献しています。
2024年には、UNITAR全体で54万5,000人近くの受益者に達し、CIFALネットワークは422のイベントを実施、97,407人に研修を提供しました。
日本のCIFAL設立により、このネットワークは地理的にも、そしてビジョンの面でもさらに広がります。
日本が誇る文化遺産、技術力、いわき市民の回復力が、世界の持続可能な発展を後押しします。
III. CIFAL Japanの使命とプログラム
CIFAL Japanは、以下の活動を担います:
SDGs、気候適応、障害者包摂型開発、インクルーシブな復興に関する研修国際的対話と地域課題解決のためのフォーラム若者や地域リーダーの育成と能力強化
いわき市の方々の「尊厳をもって再建する姿勢」「目的を持って導く姿勢」から、私たちは大きな学びを得ています。
この地にCIFAL Japanを設立することは、まさにふさわしい選択でした。
共に未来を設計する
私たちは、急速に変化する世界に生きています。
AI、気候の危機、人口動態の変化、経済の激動といった課題に加え、連帯、デジタル接続、若者・女性・障害者の可能性という希望も同時に存在します。
私たちの未来は、私たち自身の手でデザインされます:
誰もがアクセスできる都市を設計し排除ではなく力を与える技術を開発し多様性を反映した学校・職場・政府を築き私たちの人生を共に築く——そうしたデザインが求められています。
包摂とは、ある特定のグループの問題ではなく、「私たち全員」の問題です。
誰もが尊重され、見られ、聞かれ、力を持てる社会こそ、技術論ではなく「道徳的責任」であり、そして「戦略的必然」です。
「村」の必要性
「皆がリーダー」であるということは、コミュニティ全体を動員することです。
公平性を追求する技術者誰も思いつかないことを想像する若者回復力と知恵を備えた女性たち経験に基づく知恵を伝える高齢者可能性の限界を変える障害者今まで声を上げられなかった人たちの声が、歴史の流れを変えるのです。
未来のリーダーを育てる
CIFAL Japanでは、次世代リーダーたちに以下を提供します:
UNITARの国際的ツールとプラットフォームSDGs、人権、災害リスク削減、デジタル統治、包摂型政策に関する研修国際的な仲間との知識共有・共創の場国連憲章、世界人権宣言、2030アジェンダに根ざした「共有された人間性」のビジョン
災害対応から国際条約の交渉、倫理的なAIの開発、包摂型の行政サービスの構築まで、リーダーたちは一人ではなく「共に」歩んでいきます。
VII. 結びに:「Everyone is Leader」
「すべての人がリーダー」というテーマのもと、私は皆様に申し上げたい。
真のリーダーシップは、他の誰でもない「あなた自身」の中にあります。
皆さん一人ひとりが、世界の目標を地域社会に実現する力を持っています。
誰一人取り残さないという約束を守るために、変化を起こし、声なき声を届けてください。
私たちは価値観によって結ばれ、多様性によって鼓舞され、より包摂的で、公平で、持続可能な世界を築くため、共に前進していきましょう。ありがとうございました。
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