企業備蓄を「保管して、入れ替えるだけ」で終わらせない。海陽町事前復興事務局が「備える一皿」を始動

"フレンチの鉄人"坂井宏行氏監修のリゾット4袋と防災冊子を一体化。導入1セットにつき、企業分とは別に1袋を徳島県海陽町へ配備

KAPITAL

南海トラフ巨大地震を見据え、「事前復興」に取り組む海陽町事前復興事務局は、2026年9月1日の「防災の日」に、企業向け防災備蓄プログラム「備える一皿」を発表し、企業・団体からの導入相談の受付を開始します。

「備える一皿」は、企業の食料備蓄の一部に、"フレンチの鉄人"坂井宏行氏監修のリゾットと防災冊子を組み込むプログラムです。

災害時の社員向け食事として備えるだけでなく、保管中は社員への防災教育、更新時は家庭防災に活用します。

さらに、企業へ納品する4袋とは別に、導入1セットにつき1袋を徳島県海陽町へ配備します。海陽町での活用や訓練から得られる学びを企業のBCPへ返す、双方向の防災連携を目指します。

坂井宏行シェフ監修の防災食と、防災ガイドを組み合わせた企業向け防災備蓄プログラム「備える一皿」。※料理写真は盛り付けイメージです。

【3日分を備えることは、ゴールではなく出発点】

首都直下地震の帰宅困難者対策では、従業員が施設内で待機できるよう、水、食料、毛布などを3日分備蓄することが一つの目安とされています。食料は1人1日3食、計9食が目安です。

これは全国すべての企業に一律に課される法的義務ではありませんが、従業員の安全確保と一斉帰宅の抑制を考えるうえで、企業防災の重要な基準です。

一方、2026年8月に株式会社日本パープルが実施した調査では、防災備蓄品の管理実務または意思決定に関わる人のうち、期限に関する設問の対象者1,172人の68.8%が、期限切れ、または期限を理由とした廃棄を経験していました。

必要数量、保管場所、管理担当者、配布手順は、企業ごとに整えるべきBCPの土台です。「備える一皿」は、それらを代行するのではなく、備えた食品を、保管中、更新時、地域との関係づくりにどう活かすかを設計します。

(出典:内閣府「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 最終報告」)

(出典:株式会社日本パープル「企業の防災備蓄品管理に関する実態調査 2026」)

【「食べたい」と思えるから、更新を家庭防災に変えられる】

更新対象の商品を家庭で無理なく食べ切ってもらうには、保存性だけでなく、「食べたい」と思えるおいしさが必要です。

「備える一皿」は、普段の食事としても味わいたくなる一皿を目指し、料理番組「料理の鉄人」で「フレンチの鉄人」として活躍した坂井宏行氏が監修しました。

商品は、徳島県のブランド地鶏「阿波尾鶏」と海しその旨みを生かした2種類のリゾットです。

・阿波尾鶏と海しそのリゾット ブイヨン 2袋
・阿波尾鶏と海しそのリゾット 生クリーム入り 2袋

1セットは計4袋。1袋200グラムで、常温のまま喫食でき、加水は不要です。防災冊子が付き、製造から2年間の保存を予定しています。

外装には日頃から知っておきたい防災情報を掲載し、防災標語の異なる全8種類を用意します。

1セットには4袋を組み合わせ、組み合わせはセットごとに異なります。

付属の防災冊子には、発災時に取るべき行動や、電気・水道・通信が使えない状況で役立つ情報をまとめます。デジタル機器が使えない時にも手元で確認できます。

阿波尾鶏と海しその旨みを生かした「ブイヨン」「生クリーム入り」の2種類を各2袋、計4袋でセットにした「備える一皿」

新たな備蓄の納品と併せて、更新対象の商品を社員へ配布します。家庭で実際に食べることで、味、量、開け方、食べ方が知識ではなく経験になり、家族で備蓄や安否確認について話すきっかけも生まれます。非常時のための商品を、非常時だけのものにしない。この運用は、日常の中で利用する商品や活動を災害時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方につながります。

(出典:内閣府「フェーズフリー等促進検討会」)

更新対象の商品を家庭で味わい、家族で防災について話し合う機会につなげます
  "フレンチの鉄人"坂井 宏行氏

"フレンチの鉄人"坂井 宏行氏 コメント

「非常食は、災害で使われないことが一番です。それでも、備えている時間を無駄にせず、必要な時には空腹だけでなく、心まで支えられる一皿であってほしい。そんな思いで、徳島のブランド地鶏・阿波尾鶏と海しその旨みを生かし、ブイヨンと生クリーム入りの2つの味わいに仕上げました。常温でも素材の風味や満足感を感じられ、普段の食事としても『食べたい』と思えるおいしさにこだわっています。更新時には家族で味わいながら、防災について話すきっかけになればうれしく思います」

【備える、知る、食べる、見直す、次の備えへ】

「備える一皿」は、導入から次回更新までを、次の流れで活用します。

 ①備える|災害時の社員向け食事として備蓄する

 ②知る|商品外装と防災冊子を、社員への周知や防災訓練に活用する

 ③食べる|更新時に社員が家庭へ持ち帰り、実際に味わう

 ④話し合う|家族と家庭の備蓄や災害時の行動を話し合う

 ⑤備え直す|対象人数、配置、必要数量、活用方法を確認する

備えるだけでなく、知る、食べる、話し合う、備え直す。備蓄を防災行動へ変える運用サイクル。

【既存備蓄の一部から、段階的に導入できる】

「備える一皿」1セット4袋だけで、1人3日分の全食事を賄うものではありません。既存の水、主食、衛生用品などと組み合わせ、食料備蓄の一部として導入します。

全社員を対象とするほか、災害対策本部、初動対応要員、重要業務を担う社員、主要拠点など、必要性の高い範囲から始めることもできます。

参考価格約8,000円を、保存予定期間の24か月で単純換算すると、1セット当たり月約330円です。

※月約330円は参考価格を24か月で割った単純換算であり、月額課金ではありません。

【企業の4袋はそのまま。別途1袋を海陽町へ】

「備える一皿」では、「4 BUY 1」の仕組みを採用します。企業が1セット4袋を導入すると、購入した4袋はすべて企業へ納品し、それとは別に1袋を第一弾の連携地域である徳島県海陽町へ配備します。

50セットを導入した場合は、企業へ200袋、海陽町へ50袋を配備します。企業が購入した4袋から1袋を差し引く仕組みではありません。

企業側で寄付手続きを行う必要はなく、企業版ふるさと納税にも該当しません。

企業への4袋はすべて納品し、それとは別に1袋を第一弾の連携地域である海陽町へ配備します

【なぜ、第一弾が徳島県海陽町なのか】

第一弾の連携地域は、南海トラフ巨大地震への備えを具体的に進めてきた徳島県海陽町です。

2025年3月の内閣府想定では、海陽町の最大津波高は22メートル。これを踏まえた同年9月の徳島県独自想定では、町内の最大津波水位は19.9メートル、宍喰漁港中央部では16.3メートル、鞆浦漁港口では1メートルの津波到達時間が最短8分とされています。

一方、海陽町は、こうした災害リスクを認識するだけでなく、被災後の復興を災害前から準備する「事前復興」を全国でも先進的に進めてきました。

2024年5月、日本経済新聞が国土交通省の2023年調査を基に、「復興体制」「復興手順」「復興訓練」「基礎データ」「復興目標」の5項目から自治体の復興事前準備の進捗度を点数化したところ、海陽町は100点を記録。全国平均26.1点を大きく上回りました。

2021年度には「海陽町事前復興計画」を策定。2025年1月には、南海トラフ巨大地震による地域の孤立を想定し、海上自衛隊艦艇からの支援物資輸送や、ヘリコプターによる患者輸送などを含む「南海レスキュー2024」が実施されました。

海陽町を第一弾とする理由は、災害リスクの高さだけではありません。被災を現実の前提として、復興の準備を計画にまとめ、実践的な訓練へ移している町だからです。

「備える一皿」では、こうした事前防災・事前復興の実践地と企業が災害前からつながり、双方の備えを高めていく官民連携を目指します。

(出典:徳島県「徳島県津波浸水想定」関連資料)

(出典:国土交通省「復興まちづくりのための事前準備」の取組状況)

(出典:海陽町「令和6年第2回海陽町議会定例会会議録」)

(出典:徳島県「海陽町事前復興に関する事例発表」)

(出典:海陽町「南海レスキュー2024実施のお知らせ」)

南海トラフ巨大地震の被害が想定される、徳島県海陽町

   徳島県海陽町長 三浦茂貴氏

徳島県海陽町長 三浦茂貴氏コメント

「海陽町では、南海トラフ巨大地震を現実の課題として捉え、被災後の復旧・復興だけでなく、被災前から町民の命と暮らしを守る『事前防災』と、その先の地域の再建を見据える『事前復興』に取り組んできました。

こうした備えをより確かなものにするには、行政だけでなく、平時から企業や関係機関の皆さまと顔の見える関係を築き、それぞれの知見や力を持ち寄ることが大切だと考えています。

『備える一皿』は、企業が社員を守るために行う備蓄が、同時に海陽町の備えにもつながる取り組みです。今後は、海陽町の訓練や防災活動から得た気づきを企業の皆さまと共有し、双方の備えに生かしていきたいと考えています。

災害が起きる前から互いを知り、学び合い、支え合う。『備える一皿』を、一方向の支援にとどまらない、事前防災・事前復興における新たな官民連携の形として、企業の皆さまとともに育ててまいります」

【地域の実践知を、企業のBCPへ返す】

企業にとって、海陽町は単なる支援先ではありません。

プログラム開始時点で実施するのは、導入セット数に応じた商品の配備です。今後は、海陽町での活用状況や、防災活動・訓練から得られた課題や気づきを企業へ伝える仕組みを段階的に整備します。企業向け防災研修、現地視察、地域関係者との交流についても、今後検討します。

企業へ返していく価値は、次の3つです。

①見直す|BCP・総務

地域の実践と課題を、自社の備蓄運用、防災訓練、BCPを見直す材料にします。

②学ぶ|人事・福利厚生

地域の具体的な経験を、社員教育や家庭防災を考える機会にします。

③つながる|CSR・サステナビリティ

地域備蓄への貢献を可視化し、災害前から顔の見える関係づくりにつなげます。

企業から地域へ備えを届け、地域で得られる学びを企業の防災へ返す連携モデルを目指します

【国が進める防災施策との接続】

「備える一皿」は国による認定制度ではありませんが、次の防災施策の方向性と接続しています。

・国土強靱化・企業BCP|企業の事業継続力を高め、防災・減災への投資を促す
・フェーズフリー|日常の活動を、災害時にも役立つ備えにする
・官民連携・事前復興|企業と地域が、災害の前から関係を築き、互いの備えを高める

内閣府は2026年6月に「フェーズフリー等促進検討会」、同年7月に「事業継続ガイドライン改定等に関する検討会」を開始しています。

(出典:内閣府「事業継続ガイドライン改定等に関する検討会」)

(出典:内閣官房「国土強靱化の取組の着実な推進について」)

【海陽町から、異なる災害リスクを抱える地域へ】

まずは海陽町で、地域配備、平時の活用、企業への報告方法を検証します。その結果を踏まえ、地震・津波だけでなく、豪雨、洪水、土砂災害など、異なる災害リスクを抱える地域への展開を検討します。

※第二弾以降の地域および開始時期は未定です。決定後に改めて公表します。

【既存備蓄の一部から始められます】

「備える一皿」は、現在の基本備蓄をすべて入れ替えるものではありません。既存の水、主食、衛生用品などと組み合わせ、食料備蓄の一部として導入できます。

全社員への一斉導入だけでなく、災害対策本部、初動対応要員、主要拠点など、必要性の高い範囲に絞った導入も可能です。

商品の試食、既存備蓄との組み合わせ、対象人数、導入範囲についてご相談ください。企業ごとの体制に合った導入方法を、一緒に検討します。

【本件に関するお問い合わせ先】

企業向け防災備蓄プログラム「備える一皿」
事業主体:海陽町事前復興事務局(運営:株式会社KAPITAL)

取材、導入・購入、自治体・団体との連携、協業等に関するお問い合わせ
▶︎ お問い合わせフォームはこちら

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会社概要

株式会社KAPITAL

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都台東区駒形1-1-11
電話番号
-
代表者名
八田寛紀
上場
未上場
資本金
500万円
設立
2023年08月