温度変化に伴う重量値変化に関する研究成果を公開
— 未解明領域の物理現象を測定・検証する取り組み —
エクボ株式会社(本社:神奈川県厚木市、代表取締役:清水美裕)は、公開特許公報 JP 2017-198550 A に記載された重量実験の結果をもとに、温度変化に伴う重量値変化に関する研究成果を公開します。
本研究は、温度変化を与えた測定対象において、重量測定値に変化が観測されたことに着目したものです。また、重力定数の精密測定をめぐっては、温度変化や熱的影響が測定値に及ぼす可能性についても研究・検討が行われており、本研究は、そうした未解明な影響要因について、測定・検証の観点から考察するものです。
エクボグループでは、このように 現在 未だ解明されていない物理現象を、感覚的・経験的な話にとどめず、測定・検証可能な技術テーマとして捉え直し、丁寧に検証していく取り組みを進めています。

■ 本研究の着想について
本研究は、先行する回転体実験*において、実験終了後に残留した重量変化を確認したことが動機となっています。当初は、「測定誤差」と考えられていた微小な差異ですが、高い再現性を示したことから、未知の要因によるものと判断しました。
*:Hayasaka, et al. , (1989). Anomalous weight reduction on a gyroscope’s right rotations around the vertical axis on the Earth (地上でジャイロスコープが鉛直軸を中心に右回転する際の異常な重量減少)
当初、この現象の要因は明確ではありませんでしたが、実験後の検討の中で、回転体や装置周辺に生じる熱的影響が、重量測定値に関係している可能性に着目しました。そこで、温度変化と重量値の関係をより直接的に確認するため、測定対象に温度変化を与え、その際の重量測定値の変化を調べる、本研究における重量実験を実施しました。
本実験は、未解明な物理現象を感覚的・経験的な印象にとどめず、測定可能な条件に置き換えて検証するという取り組み方針のもと 進めて参りました。
■ 重量実験の概要 (公開特許公報 JP 2017-198550 A より)
本研究では、測定対象に温度変化を与えた際、重量測定値にどのような変化が生じるかを確認しました。
公開特許公報 JP 2017-198550 A に記載された実験では、測定対象(銅線塊を収納した密閉容器)を加熱(銅線への通電により加熱)し、その前後における重量測定値の変化を観測しています。その結果、温度変化を受けた測定対象において、重量測定値に変化が生じることが確認されました。

この観測結果は、温度変化や熱的影響が、精密な重量測定において無視できない要因となり得ることを示すものです。
■ 重力定数の温度影響という視点を持つ研究について
温度変化と重量測定値の関係は、重力定数の精密測定をめぐる研究分野に関するテーマです。
万有引力定数 G は、物理学における基本定数の一つでありながら、他の基礎定数と比べて高精度な測定が難しい定数として知られています。一般的な解説においても、その有効数字はおおむね4桁程度にとどまるとされており、実験ごとの測定値のばらつきや、測定環境に由来する影響の評価が、現在も重要な課題となっています。(Wikipedia など)
この点に関して、NIST (米国国立標準技術研究所) の研究者による、単振り子を用いた重力定数測定の研究では、加熱した質量源が測定信号に及ぼす影響についても検討されています。同研究では、加熱された質量源を用いた際、補正後の振り子信号に変化が見られたものの、その計測値の示す値は不確かさが大きいとの判断で、有意な変化とは解釈されていません。
一方、Dmitrievらは、温度変化と見かけの重量・重力効果との関係を扱う一連の研究を発表しています。これらの研究では、加熱された試料における重量測定値の変化が報告されており、温度変化が重量測定や重力測定に及ぼす可能性を検討する周辺研究の一つと位置づけられます。
本研究で取り上げる重量実験は、こうした重力定数の精密測定における温度影響という未解明の論点に対して、測定・検証の観点から一つの考察材料を提示するものです。
■ 公開特許公報・関係・参考情報について
公開特許公報 JP 2017-198550 A 質量測定装置および質量測定方法 ⇒ link
出願日:2016年4月27日/公知日:2017年11月2日 出願人:エクボ株式会社
<関連情報>
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先行研究(回転体実験):H. Hayasaka and S. Takeuchi (1989), "Anomalous weight reduction on a gyroscope's right rotations around the vertical axis on the earth", (地上でジャイロスコープが鉛直軸を中心に右回転する際の異常な重量減少) Phys. Rev. Lett., vol. 63, no. 25, pp. 2701–2704. ⇒ link
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Wikipedia:万有引力定数 ⇒ link
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NIST論文:Parks, H. V., & Faller, J. E. (2010). Simple pendulum determination of the gravitational constant (単純振り子による重力定数の測定). Phys. Rev. Lett., 105, 110801. ⇒ link
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Dmitriev 論文1:Dmitriev, A. L. (2008). Measurements of the influence of acceleration and temperature of bodies on their weight (加速度および物体温度が重量に及ぼす影響の測定). AIP Conference Proceedings, 969, 1163–1169. ⇒ link (Preprint: arXiv:0803.1730 [physics.gen-ph])
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Dmitriev 論文2: Dmitriev, A. L. (2006). Temperature dependence of gravitational force: Experiments, astrophysics, perspectives(重力の温度依存性:実験・天体物理・展望). arXiv:physics/0611173 [physics.gen-ph]. ⇒ link
<参考情報>
1 重量実験の概要 ⇒ 参考資料1 ⇒
d171156-9-55d7b21593454842c00f2e2533d30f64.pdfすべての画像
