生成AI時代に"忘れられる前の思考"を保存する。SHIRO & Co.、ローカル知識基盤「Thought Cache」を発表

個人の観察、会話、写真、音、違和感を蓄積し、未来の編集・出版・民俗学プロジェクトへ接続する実験的な知識基盤

株式会社SHIRO & Co.

SHIRO & Co.は、生成AI時代における個人の思考、観察、会話、写真、音、違和感などの断片を蓄積し、将来的な編集・出版・民俗学プロジェクトへ接続するためのローカル知識基盤「Thought Cache」を発表しました。Thought Cacheは完成された製品ではなく、現在ローカル環境で運用されている実験的な試みです。

Thought Cacheは、日々の生活の中で生まれる未整理の思考や、まだ名前のついていない問いを、すぐに成果物へ変換するのではなく、時間をかけて保存・発酵・再編集していくための実験的な知識基盤です。

生成AIによって、文章、画像、音声、映像などが容易に生成されるようになった一方で、人間が日々の生活の中で何に引っかかり、何を感じ、何を忘れそうになったのかという個人の微細な思考は、SNS、チャット、クラウドサービス、タイムラインの中で急速に流れ去っています。

Thought Cacheは、そうした"忘れられる前の思考"を、ローカルPCを起点に保存し、将来的な文章化、出版、アーカイブ、民俗学的観測へと接続していくための基盤です。

Thought Cacheとは

Thought Cacheは、個人の思考断片を保存し、育て、接続し、再編集するためのローカル知識基盤です。

一般的なメモアプリや生成AIツールが、入力された情報を即座に整理・要約・出力することを目的とするのに対し、Thought Cacheは、すぐには意味が定まらない断片を、そのまま保存しておくことを重視しています。

Thought Cacheにおける思考は、完成された文章ではありません。 それは、問いの種であり、未解決の違和感であり、あとから別の断片と結びつく可能性を持った小さな記録です。

日々の観察、会話の中で残った言葉、写真や音から立ち上がった違和感、読書や音楽から生まれた断片、生成AIとの対話の中で残った問い。 そうした素材を「Seed」として蓄積し、必要に応じて「Bed」として束ね、さらに「Galaxy」として関係性を可視化していきます。

【画像1:Garden画面】Thought Cacheでは、日々の思考や違和感を「Seed」として保存する。Seedは完成された文章ではなく、未来の問いや編集の入口として蓄積される。

背景:生成AI時代に、なぜ"思考の保存"が必要なのか

生成AIの普及により、誰もが短時間で文章や画像を生成できるようになりました。 しかし、生成されたコンテンツが増えれば増えるほど、その前段階にある人間の微細な思考、違和感、逡巡、観察は見えにくくなっていきます。

人間は、完成された文章だけで考えているわけではありません。

言葉にならない感覚。 何となく気になった風景。 誰かとの会話で残った一文。 音楽を聴いて思い出した時間。 街で見かけた看板や、写真に写り込んだ余白。 まだ結論にならない問い。

そうした断片は、すぐには価値がわからないものです。 しかし、時間を置いて再び見返したとき、それは文章になり、企画になり、研究になり、あるいは未来の民俗資料になる可能性があります。

Thought Cacheは、こうした"まだ意味になっていないもの"を、失われる前に保存するための仕組みです。

Thought Cacheの主な機能

1. Seed:思考の断片を保存する

Thought Cacheでは、日々の断片を「Seed」として保存します。

Seedは、完成された文章である必要はありません。 短い一文、問い、違和感、会話の断片、写真や音に対するメモでも構いません。保存されたSeedは、時間を置いて見返され、別のSeedと接続され、必要に応じて文章や企画の初稿へ展開されます。

このプロセスは、効率的なタスク管理というよりも、思考を発酵させるための庭に近いものです。

2. Beds:関連する思考を束ねる

Thought Cacheには、関連するSeedを束ねる「Beds」という機能があります。

Bedsは、単なるフォルダではありません。 ひとつのテーマや問いの周辺に集まったSeedを、時間をかけて育てるための思考の苗床です。

たとえば、「Linguistic Relativity」や「Epistemology of Writing」といったBedでは、複数のSeedがひとつの問いの周辺に集まり、思考の流れを形成していきます。

【画像2:Beds一覧画面】 Thought CacheのBeds画面。関連するSeedを束ね、ひとつのテーマや問いとして育てていく。

3. Thesis / Anti-thesis:問いを単純化せず、対立を残す

Thought Cacheでは、Bedごとに「Thesis」と「Anti-thesis」を置くことができます。

これは、思考をひとつの結論へ急いで閉じるためではありません。 むしろ、ある仮説と、それに対する反対仮説や揺らぎを同時に置いておくための仕組みです。

たとえば、言語が思考を形づくるというThesisに対して、その逆方向の問いや留保をAnti-thesisとして残すことができます。

思考とは、必ずしも一直線に進むものではありません。 Thought Cacheは、結論だけではなく、迷い、対立、保留、未解決の状態も保存します。

【画像3:Bed詳細画面】 Bed詳細画面。Thought Cacheでは、ひとつの問いに対してThesisとAnti-thesisを並置できる。答えを急がず、対立や保留を含んだまま思考を育てていく。

4. Open Loops:未解決の問いを閉じずに残す

Thought Cacheには、未解決の問いを残すための「Open Loops」という考え方があります。

すぐに答えを出さない問い。 まだ閉じるべきではない思考。 時間をかけて観察し続けるべきテーマ。

これらをOpen Loopsとして残しておくことで、思考を早急に結論へ閉じるのではなく、長期的に持ち続けることができます。

生成AIは、問いに対してすぐに答えを返します。 しかし、人間の思考には、すぐに答えを出さないことでしか育たないものがあります。

Thought Cacheは、その未解決性を保存します。

5. Galaxy:思考の点と点を星座のように可視化する

Thought Cacheには、保存されたSeed、Open Loops、Essay Draft、Published、Sleepingなどの状態を、関係性のネットワークとして表示する「Galaxy」があります。

Galaxyでは、思考の断片が点として表示され、それぞれの接続が線として可視化されます。

これは、単なるグラフ表示ではありません。 個人の中に蓄積された思考が、どのように軌道を描き、どのように集まり、どのように星座のような構造をつくっていくのかを眺めるための画面です。

Thought Cacheにおいて、思考は一方向に整理されるものではなく、漂い、接続し、時に離れ、再び別の断片と結びつくものとして扱われます。

【画像4:Galaxy画面】Galaxyでは、Thought Cache内に蓄積された思考の点と点が接続され、星座のように表示される。断片がどのように集まり、どの問いへ向かっているのかを視覚的に確認できる。

6. Draft Essay:Seedから初稿へ展開する

Thought Cacheに保存されたSeedは、将来的にbook.shiroand.ioなどの公開メディアに向けた文章の初稿へ展開されます。

Draft Essayでは、Seedをもとにタイトル候補、角度、トーンを選びながら、静かな初稿を作成することができます。これは、AIに文章を丸投げするための機能ではありません。 人間が生活の中で保存してきた断片を起点に文章化するための編集プロセスです。

【画像5:Draft Essay画面】Draft Essayでは、Seedをもとに文章の入口をつくる。AIによる自動生成ではなく、人間が保存してきた断片を起点に、編集・出版へ接続していく。

Thought Cacheが目指すもの

Thought Cacheが目指しているのは、生産性向上ツールではありません。

より早く書くこと。 より多く発信すること。 より効率的に情報を処理すること。

それらを否定するものではありませんが、Thought Cacheの主な目的はそこにはありません。

Thought Cacheが重視するのは、以下のような問いです。

すぐには役に立たない思考を、どう残すのか

まだ名前のない違和感を、どう保存するのか

AIが生成する前に、人間は何を感じていたのか

個人の記憶は、どのように未来の資料になり得るのか

書くこと、観察すること、保存することは、AI時代にどう変わるのか

思考の点と点は、どのように結びつき、星座になるのか

生成AI時代において、最も失われやすいもののひとつは、完成物ではなく、その前にあった微細な思考です。

Thought Cacheは、その微細な思考を保存し、育て、接続し、未来の編集へ渡すための試みです。

Protocol Publishing / Fieldとの接続

Thought Cacheは、SHIRO & Co.が進めるProtocol Publishing構想の内側にある知識基盤として位置づけられます。

今後は、生成AI時代の生活断片を記録する民俗学プロジェクト「Field」とも接続していく予定です。

Thought Cacheが個人の内側にある思考の保存装置だとすれば、Fieldは社会や街、SNS、生活の中に現れる断片を観測する外側の装置です。

Thought Cacheで個人の思考を保存し、Fieldで時代の断片を観測する。 両者を接続することで、個人の記憶と社会の断片を、編集・出版・民俗学的記録へとつなげていくことを目指します。

今後の展開

Thought Cacheは、現在ローカル環境を中心に運用されている実験的な知識基盤です。

今後は、以下のような展開を予定しています。

book.shiroand.ioに向けた文章生成・編集基盤としての活用

Sound、Imageなど、音や写真の断片との接続

Protocol Publishingにおける編集ワークフローへの統合

民俗学プロジェクト「Field」との接続

Galaxy機能による思考ネットワークの可視化

個人の記憶、観察、違和感を未来の資料として扱うための設計拡張

なお、Thought Cacheは現時点で一般提供を目的としたSaaSではなく、SHIRO & Co.による研究開発・実験プロジェクトとして運用されています。

代表コメント

SHIRO & Co. 代表 白子考介は、次のようにコメントしています。

AIが多くのものを生成するようになるほど、人間が何を感じ、何に引っかかり、何を忘れそうになったのかを残すことが重要になると考えています。

Thought Cacheは、生産性を高めるためのツールではありません。すぐには役に立たない思考や、まだ名前のない違和感を、失われる前に保存しておくための個人的な知識基盤です。

日々の観察、会話、写真、音、読書、AIとの対話の中には、すぐには文章にならないけれど、時間が経ってから意味を持つものがあります。Thought Cacheは、そうした断片を急いで結論にせず、未来の編集や出版、民俗学的記録へ接続するための場所です。

また、思考は単独で存在するものではなく、時間をかけて別の思考と結びつき、時には星座のような構造をつくります。Thought Cacheでは、Seed、Beds、Open Loops、Galaxyといった仕組みを通じて、そのプロセス自体を保存し、眺められるようにしています。

今後は、Protocol PublishingやFieldと接続し、個人の記憶と社会の断片を編集・出版していく基盤として育てていきます。

SHIRO & Co.について

SHIRO & Co.は、「無いものを作る会社」として、思想、出版、AI、民俗学、地域、記憶に関する実験的なプロジェクトを展開しています。

Protocol Publishing、Thought Cache、Field、どの取り組みを通じて、生成AI時代における記録、編集、信頼、意味のあり方を探求しています。

会社概要

会社名:株式会社SHIRO & Co. 

所在地:東京都 

事業内容:ブランド戦略、プロダクト開発、意思決定設計、出版、編集、AI関連プロジェクト、思想・知識基盤の研究開発、その他関連事業 

Webサイト:https://lab.shiroand.io

Email:shiroandco.office@gmail.com

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会社概要

株式会社SHIRO & Co.

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URL
https://lab.shiroand.io/
業種
サービス業
本社所在地
東京都大田区田園調布本町 25-6 APDC Cohaku
電話番号
-
代表者名
白子麻衣子
上場
未上場
資本金
-
設立
2025年05月