土壌病害を解決するための最適資材の高速選抜法。農業界に新風をもたらす評価技術の登場について。

合同会社土壌診断用バイオセンサー研究会は、資材の迅速評価技術を開発し、生産者が最適な資材選定が可能な世界を提供いたします。成果を、土壌微生物学会にて発表し、多くの期待を集めたことをお知らせいたします。

競合手法との比較

合同会社土壌診断用バイオセンサー研究会(SDB研)(本社:佐賀県伊万里市、代表:橋本 好弘)は、数百点の堆肥や肥料、土壌改良資材などを一括して同条件で迅速に評価する技術を開発いたしました。従来、堆肥や肥料、土壌改良資材の病害対策評価は、病害が周辺に拡散しないように配慮する必要があり、数点から十数点の比較を圃場試験やポット試験を数か月から1年かけて行っており、費用も1点あたり数十万円かかっていました。そのため、仮に百点の資材評価を行う場合、少なくとも数年の時間と、数千万円の費用が必要でした。本技術の開発により、百点を1か月、200万円にて一括評価することが可能となりました。

6月14日(土)13時15分より、日本土壌微生物学会(茨城県南生涯学習センターで開催)にて

本成果を発表いたしました。アカデミアのみならず企業や農林水産省の担当者など、多岐にわたる参加者が集まりました。会場が筑波研究学園都市に近い事もあり、農研機構や産総研からの参加者も多かったようです。14日(土)夜の懇親会でも、100名を超える参加者が集まり、土壌微生物への熱い議論は尽きませんでした。

別の手法を用いて結果を裏付けるデータも欲しいなどの意見もありましたが、生産者が良い資材を選ぶことができ、生産が安定し、食料供給力が向上することから、本技術に対しても多くの期待と激励の声が寄せられております。

背景

医薬分野の選抜手法を農業資材選抜へ応用

背景として、医薬分野の選抜手法を農業資材選抜に応用いたします。農業現場では、数万点を超える様々な土壌改良資材や肥料が使われています。しかし、その製造方法、品質、性能、機能などが様々であり、玉石混交の状況にあります。各資材の評価については、一般にメーカーや試験機関による数点の資材の比較試験が行われている事例がほとんどです。生産者は、経験と勘、メーカーや販売店からの情報を頼りにどの資材を使うかを決定していますが、使用目的に合致した最適な資材であるかどうかは明確ではないという課題があります。

一方、医薬分野などでは、数万点の資材の中から厳しい選抜圧をかけて迅速に篩い分ける様々な手法が開発されております。

農業資材分野と医薬分野では、選抜の数と速度に大きな差が認められます。

そこで、我々は、農業資材の選抜において、多数の資材を同一条件下で迅速に比較できる高速選抜法の開発を行いました。

本試験は、下記の3つの条件が揃ったからこそ実施可能でした。

  •  弊社の代表が、化学会社と種苗会社の両方を経験し、体感してきたこと。

  • 弊社の資本が、独立していること。

  • 弊社がメーカー、販売店、生産者と透明性の高い関係を築いていること。

実験方法

2024年2月より稼働した12本のセンサーを有するSDB-12型バイオセンサーを用い、20分で12検体を同時分析できるシステムを構築し、電極には、サツマイモ基腐病菌を装着し本病原菌の呼吸活性を抑止する力を測定して評価いたしました。

地域の生産者や全国の資材メーカー、販売店などからの協力を得て77点の資材を収集し評価を行いました。

1次評価方法
2次評価方法

1次評価は、資材単独施用により、病原菌の呼吸活性をどれだけ抑制する事ができるかを評価し、

2次評価では、資材を土壌に混和して、1か月後の土壌が病原菌の呼吸活性を抑制する力を評価いたしました。


実験結果

77点の資材を用いる実験では、資材単独および土壌混和の両評価結果を示します。

77点の資材評価結果

資材の中には、マイナスの値を示し、病原菌の呼吸活性を高めるものもありました。このことは、資材単独あるいは土壌混和した際に、病原菌の活動をより高めて、病気を助長する場合がある事を示しています。

学会発表では、さらに詳細に、化学肥料、微生物系液肥、微生物資材、酢酸系液、動物系堆肥、植物系堆肥、液肥、炭系資材、その他有機系資材・肥料などに分類して、夫々の資材が示した結果を紹介しました。

堆肥17点の評価結果

さらに具体的に、堆肥17点の例を示しました。この結果が示すように、一般に堆肥として販売されているものの一部にはマイナスの値を示すものもありました。このことは、資材単独、資材混和土壌、およびその両方で病原菌の活性を高め発病を助長する堆肥がある事が示唆されています。

このようなマイナスの値を示す資材を排除するだけでも、病害発生に悩む生産者にとっては病害の更なる拡大を食い止めることになります。

 堆肥製造のメーカーにとっても、この結果から病害発生を助長しない、より良質な堆肥の製造を行うための一つの指標として使用する事が出来ます。

化成肥料の評価結果

化成肥料の内、農薬効果を有する化成肥料は、他の化成肥料と全く異なる結果を示しました。資材単独では、病原菌の呼吸活性を約80%も抑制しましたが、土壌混和後1か月経過した土壌では、逆に病原菌の活性を約40%も高める結果を示しました。このことは、この資材を土壌に混和すると土壌微生物達の力を弱め、結果として土壌の病害抑止力を弱めていることを示唆しています。

今回の事例は、サツマイモ基腐病という病原菌を用いた事例であり、他の病原菌では異なる結果が出る可能性があるため、さらなる研究が必要と考えております。

 また、サツマイモ基腐病に関しては、今回得られた結果を、隔離した病理試験や現場の圃場試験で実証していく必要があります。

経済性評価

77資材を、1次評価、2次評価共に前日に準備を行い、分析は1日で行った。1回の分析時間は20分であり、前後の電極洗浄、安定化の時間を入れても30分程度でした。1度に12本の電極を用いる事で、1次評価は7回、4時間程度の分析作業時間で、2次評価は、資材1点に2本の電極を使用するため約2倍の時間を要し分析回数13回、6時間半程度の作業時間でした。百点の資材でも各1日で分析することができ、費用面でもわずか2百万円で実施する事が可能と考えられます。。

従来技術での圃場試験やポット試験を想定した場合、病害が周辺に拡散しないよう配慮が

必要なため、1点の評価に数か月から1年を要し、費用も1点に数十万円がかかります。

仮に百点の資材評価を行う事を想定した場合、数千万円の費用と数年間の時間が必要と見込まれます。

期待される効果

  • 土壌病害の発生に悩む生産者が、より効果的な資材を自ら選び使用できる世界が出現することが期待されます。

  • 資材メーカーや販売店にとっては、製品を安価で迅速に評価することが可能となり、自信をもってお勧めできる資材を提供する事ができるようになります。

  • 資材メーカーや販売店は、より効果の高い製品の開発を迅速に行う事ができるようになります。

合同会社土壌診断用バイオセンサー研究会(SDB研)について

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【会社概要】

社名:合同会社土壌診断用バイオセンサー研究会(SDB研)

本社所在地:佐賀県伊万里市黒川町福田745-1

代表取締役:橋本好弘

事業内容: 土の健康診断事業

設立: 2021年4月1日

事業内容: (1)土の生物性診断、(2)資材評価・委託試験、(3)土づくり等セミナー、(4)堆肥・肥料等技術指導・コンサル、(5)資材高速選抜試験、(6)装置製造・販売

HP:土壌診断用バイオセンター研究会 | SDB研

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会社概要

URL
https://soil-biosensor.jp
業種
サービス業
本社所在地
佐賀県伊万里市黒川町福田745ー1
電話番号
080-5009-2119
代表者名
橋本 好弘
上場
未上場
資本金
200万円
設立
2021年04月