連続調査 第3回 地方の障がい者は「不利」なのか?

当事者の8割以上が「地方は都市部と比べて就労機会で不利」と回答 〜雇用形態が不安定なほど顕著、リモートワークと地方企業への啓発が解決策の双璧〜

株式会社ゼネラルパートナーズ

障害者の就労支援を中心にソーシャルビジネスを展開する株式会社ゼネラルパートナーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:進藤均)は、運営する調査・研究機関『障がい者総合研究所』にて、居住地域と障がい者雇用の機会・環境に関するアンケート調査を実施しました。

本調査は、2026年7月の法定雇用率引き上げ(2.5%→2.7%)を機に障がい者雇用の「現在地と課題」を多角的に記録する6ヵ月連続調査の第3回として実施したものです。「地方は求人が少ない」「都市部のほうが配慮が充実している」といった声は現場でたびたび聞かれますが、当事者の視点から定量的に把握した調査はほとんど行われていません。3月実施の第2回企業調査では、地方企業の約9割が「都市部と比べて採用が難しい」と回答していました。今回はその裏返しとして、当事者側から見た地方の就労環境を捉えました。

その結果、当事者の82.3%が「地方は都市部と比べて就労機会で不利」と回答し、企業側・当事者側双方から地域格差の実態が裏付けられました。また、地域格差は雇用形態格差や障害種別による事情と複層的に絡み合っていることも明らかになりました。

※第1回調査(2026年2月/当事者):厚労省「量より質」方針は当事者に届いているのか?

※第2回調査(2026年3月/企業):企業における障害者採用の実態と今後の採用方針


<見えてきた課題>

  • 当事者の82.3%が「地方は都市部と比べて就労機会で不利」と回答。求人数・賃金・通勤環境など、ほぼすべての面で都市部との差を実感している

  • 地域格差は雇用形態格差と重なって作用。雇用が不安定なほど「選択肢が不十分」と感じる率が高く(離職中76.0%/正社員52.2%)、地方の障がい者は二重の不利を背負っている

  • 障害種別でも温度差。精神障害のある方は他区分より移住に消極的(54.8%)で、「格差は感じているが移動という解決策は選びにくい」というジレンマを抱えている

  • リモートワークへの期待は7割超だが、「リモート不可の職種が多い」「給与・雇用の質の差はリモートでは解消されない」など、構造的な制約も指摘されている

<必要と考えられる対策>

  • リモートワーク対応求人のさらなる拡大(当事者の52.0%が有効と回答)―働く場所の制約を緩和する

  • 地方企業への啓発・教育(47.4%)―制度や設備以前に、地方企業の障がい者雇用に対する姿勢そのものを変える

  • 地方への企業進出・特例子会社の設置促進(44.7%)―現地で働ける選択肢そのものを増やす

  • 移住・転職という個人レベルの選択肢に頼るのではなく、働き方の選択肢拡大と受け入れ側の意識変革を両輪で進める必要がある


■ 調査結果

[1] 地方在住の障がい者は、都市部と比べて就労機会で不利だと思うか?

「不利だと思う(58.6%)」「どちらかといえば不利だと思う(23.7%)」を合わせて82.3%が「不利」と回答しました。「不利ではない」「あまり不利ではない」と答えた方はわずか6.6%にとどまり、地域間格差は当事者の共通認識となっていることがうかがえます。

[2] お住まいの地域では、障がい者向けの求人・選択肢は十分だと思うか?

「不十分だと思う(44.1%)」「やや不十分だと思う(22.4%)」を合わせて66.5%が不十分と回答。居住地域別に「不十分」計を見ると、地方居住者で82.5%、関東甲信越(東京以外)で69.4%、都市部で54.0%と明確な勾配を示しました。

[3] 就労形態別に見ると、雇用が不安定なほど「不十分」と感じる率が高い

正社員・無期雇用52.2%、契約社員・有期雇用60.0%、パート・アルバイト70.8%、離職中(過去就労経験あり)76.0%と、雇用が不安定なほど選択肢を狭く感じている傾向がはっきりと現れました。「地域格差」と「雇用形態格差」が重なる構造が見えてきます。

[4] 地方と都市部を比べたとき、各点について「差を感じる」か

比較した6項目すべてで、約6〜8割が都市部との差を感じていると回答。最も差を感じられているのは「求人・募集の数」(81.6%)で、続いて「給与・賃金水準」「通勤・移動のしやすさ」(ともに77.0%)となりました。一方、「障がいへの配慮・合理的配慮の充実度」は他項目より低い59.9%にとどまり、当事者は配慮の提供レベルよりも、選択肢・賃金・移動条件のほうを地方の不利として強く認識していることがわかります。

[5] 都市部に転居すれば、今よりよい仕事や条件に就けると思うか?

都市部居住者を除いた116人のうち、63.7%が都市部への転居でキャリア改善の可能性を感じていると回答。一方で「不利」と感じる82.3%との差は、「格差は感じているが、必ずしも転居は望めない」層の存在を示しています。

[6] 障害種別に見ると、精神障害のある方は移住に消極的

「移住で改善する」と思う率を障害種別に見ると、発達障害68.2%、身体障害67.2%、知的障害60.0%(n=5)に対し、精神障害は54.8%と10ポイント以上低い結果に。通院や支援関係の継続、環境変化への耐性など、精神障害特有の事情が背景にあると考えられます。「地域格差は感じているが、移動という解決策は選びにくい」という構造的なジレンマが浮かび上がります。

[7] リモートワークの普及で、地方の就労格差は解消されると思うか?

「解消されると思う(18.4%)」「ある程度は解消されると思う(53.9%)」を合わせて72.4%が、リモートワークによる格差解消に期待していることがわかりました。

[8] 「解消されない」と答えた方の理由(n=31、複数回答)

「リモートワークができない職種・業務が多いから」が77.4%で突出して多く、「給与水準や雇用の質の差はリモートでは解消されないから」54.8%、「地方の企業自体の求人数・種類が少ないから」45.2%が続きました。リモートワークは万能の解決策ではなく、構造的な制約があることを当事者は冷静に見ていることがうかがえます。

[9] 地方と都市部の就労格差解消に有効と思う取り組み(3つまで複数回答)

「リモートワーク対応求人のさらなる拡大」(52.0%)が最多となり、「障がい者雇用に関する地方企業への啓発・教育」(47.4%)「地方への企業進出・特例子会社の設置促進」(44.7%)が続きました。働き方の選択肢拡大と、地方企業の意識変革を両輪で進める必要性が浮き彫りになりました。


■ 障がい者総合研究所の見解

今回の調査で改めて確認されたのは、地域格差が当事者にとっての「実感」を超えた、構造的な不利として存在しているという事実です。求人数・賃金・通勤環境・支援サービス――どの側面を切り取っても、都市部との差が認識されていました。

特に重要なのは、地域格差が単独で存在するのではなく、雇用形態の格差や障害種別による事情と複層的に絡み合っている点です。地方在住で、不安定な雇用形態にあり、移住も選びにくい――こうした条件が重なる方ほど、現状から抜け出すのが難しい構造になっています。

第2回調査では地方企業の約9割が「都市部と比べて採用が難しい」と回答しており、企業側・当事者側の双方から地域格差の実態が裏付けられたことになります。これはもはや「個人の事情」では片づけられない、政策的に取り組むべき課題と言えるでしょう。

2026年7月の法定雇用率引き上げを契機に、雇用率という「数」の議論に加えて、地域による機会格差の解消も含めた「質」の議論が求められています。リモートワークの普及、地方企業の意識変革、特例子会社の地方設置促進など、現地で働ける選択肢そのものを増やす取り組みを並行して進める必要があります。


■ 調査概要

調査名  連続調査  第3回 居住地域と障がい者雇用の機会・環境に関するアンケート

実施主体 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所

調査対象 障がい者総合研究所のアンケートモニター(障がい当事者)

実施方法 インターネット調査

調査期間 2026年4月15日〜4月22日

有効回答数 152名


■ 回答者の属性

年代:20代 3.9%、30代 15.1%、40代 24.3%、50代 34.2%、60代 20.4%、70代以上 2.0%

性別:男性 63.2%、女性 36.8%

障害区分:身体障害 44.1%、精神障害 26.3%、発達障害 26.3%、知的障害 3.3%

※障害区分は回答者の診断名に基づく分類。精神保健福祉手帳の保有者には発達障害の方も含まれますが、就労上の課題や配慮の違いを踏まえ、本調査では精神障害(うつ、双極性障害、統合失調症等)と発達障害(ASD、ADHD等)を分けて分析しました。

居住地域:関東・甲信越(東京除く)32.2%、近畿 23.0%、東京都 18.4%、中部・東海 8.6%、九州・沖縄 7.9%、東北 5.3%、中国・四国 2.6%、北海道 2.0%

就労状況:正社員・無期雇用 30.3%、契約社員・有期雇用 13.2%、パート・アルバイト 15.8%、その他(就労中)6.6%、離職中 32.9%、就労経験なし 1.3% 

※本調査の詳細レポート(自由記述の声 等)は以下をご覧ください。

https://note.com/gp__info/n/ne8d7761ce48c


■ 障がい者総合研究所について

障がい者総合研究所は、障害者専門の総合就職・転職サービスを運営する株式会社ゼネラルパートナーズの調査・研究機関です。10年以上にわたる障害者雇用の知識と経験を活かし、有益な情報を広く社会へ発信しています。

公式サイト:https://www.gp-sri.jp/

株式会社ゼネラルパートナーズ

株式会社ゼネラルパートナーズ

障害者専門の人材紹介会社として、2003年に設立。その後、「就職・転職サイト」「就労移行支援事業」「就労困難な障害者による農業生産事業」など、幅広い事業を展開している。これまで就職や転職を実現した障害者の数は5,000人以上に及ぶ。障害者雇用をはじめとする様々な情報や当事者の声を集め研究・発信する「障がい者総合研究所」、当事者が発信する障害者のためのメディア「Media116」でも情報を随時配信中。

会社名:株式会社ゼネラルパートナーズ
本社所在地 :〒100-0011 東京都千代田区内幸町 2-1-1 飯野ビルディング 9 階
代表者:代表取締役社長 進藤 均  
設立日 :2003年 4月
URL:http://www.generalpartners.co.jp/  
業務内容:障害者専門の人材紹介事業、求人情報事業、教育・研修事業、農業生産事業、調査・研究機関 など
*talentbookにて、日々の出来事や創業秘話、社員の仕事への想いなど、ゼネラルパートナーズにまつわる「ストーリー」を更新中!
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会社概要

URL
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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング9階
電話番号
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代表者名
進藤 均
上場
未上場
資本金
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設立
2003年04月