未利用熱による発電を目指す科学大発スタートアップelleThermo(エレサーモ)、シリーズAで総額8.3億円の資金調達を実施
既存・新規投資家を含む9社からのシリーズA資金調達により、累計調達額は約12億円に到達
東京科学大学発のコア技術「半導体増感型熱利用発電(Semiconductor-Sensitized Thermal Cell, 以下「STC」)」を活用し、未利用熱のエネルギー変換を目指す株式会社elleThermo(読み:エレサーモ、本社:東京都港区、代表取締役:生方 祥子、以下「elleThermo」)は、Spiral Innovation Partners株式会社をリード投資家とした第三者割当増資により、シリーズAラウンドで総額8.3億円の資金調達を実施しましたのでお知らせいたします。これにより、本調達を含む累計資金調達額は、約12億円に達しました。今回の資金調達を通じて、STCセルに係る研究開発を加速すると共に、試作ラインの立ち上げおよび人材採用・組織機能の強化を進める予定です。

資金調達の概要
elleThermoは、東京科学大学発の熱発電技術STCの社会実装、ひいては世界のエネルギー問題解決を目的に設立されました。
今回のシリーズAラウンドは、Spiral Innovation Partners株式会社(森ビルイノベーションファンド、KRAFTIA Innovation Fundを運営)をリード投資家として、8.3億円の第三者割当増資による資金調達となります。本ラウンドには、既存株主である株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ、ヒューリックスタートアップ株式会社、株式会社環境エネルギー投資、みずほキャピタル株式会社、KDDI Green Partners Fund、Sony Innovation Fundに加え、新規株主としてJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社、株式会社タクマが参加しました。
資金使途
シリーズAの資金調達の主な目的は下記の通りです。
1. 研究開発費
現在実施しているSTCセルに係る要素技術の更なる向上、セルの積層化および大面積化を通じたスケールアップによる出力向上、商用化に向けたプロトタイプの開発
2. 試作ラインの立ち上げ
パイロット生産に向けた試作ラインの立ち上げ、および量産化に向けた製造設備投資と小型設備におけるパイロット製造実証
3. 人材の採用・組織機能の強化
研究開発、エンジニア、試作ライン運営、事業開発及び管理体制の拡充
本調達により、ラボスペースの拡張、製造設備投資、および研究開発、エンジニア、コーポレート部門の採用を強化し、2027年度までにパイロット生産に向けた試作ラインを立ち上げます。また、様々な熱発電にかかる新規パイプラインの創出と、研究開発・生産パートナーとの連携も推し進めることで、事業成長を加速化してまいります。
事業に取り組む背景と事業進捗
世界的な電力需要の増加や脱炭素化の進展を背景に、これまで十分に活用されてこなかった未利用熱エネルギーの有効利用への期待が高まっています。特に約30~60℃の中低温域の熱は、従来の発電技術では利用が難しい一方で、工場、データセンター、温泉・鉱山地熱、家電、太陽光熱、さらには車載を含むモビリティなど、社会のさまざまな場所に広く存在する未利用エネルギー資源です。
当社は、この中低温の熱エネルギーを直接電力へ変換する半導体増感型熱利用発電(STC)の開発を進めており、今年度までに単セル当たりミリワット級の発電出力を実現しました。今後は、本資金調達を活用して試作ラインの立ち上げおよびパイロット生産体制の構築を進めることで、ワット級の発電性能の実現を目指します。
さらに、50W級の発電出力を有するサーモパネルの開発・商用化に取り組み、量産技術の確立と市場展開を加速してまいります。将来的には、未利用熱を活用した分散型電源の社会実装を推進し、エネルギーの地産地消や電力需要の効率化を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献してまいります。

出資者からのコメント
Spiral Innovation Partners株式会社(※森ビルイノベーションファンド、KRAFTIA Innovation Fundを運営) ジェネラルパートナー 岡 洋氏、ジェネラルパートナー 鎌田 和博氏
「データセンターを一例とした電力需要の高まりも受けて、電力創出における未利用熱活用はエネルギー領域における重要テーマとなりつつあります。
elleThermoのSTC技術は革新的な反面、新規性の高い技術ながら、前回の資金調達から着実に開発を進捗させ、今後の社会実装に向けても高い期待のできる素晴らしいチームアップを進めています。エネルギー課題の解決に向けて、弊社としても多面的かつ全力で支援してまいります。」
JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社 ベンチャーキャピタリスト 林 隼様
「elleThermo社が保有する半導体増感型熱利用発電の技術を事業化することで、未利用の低温熱を電力として利活用し、日本の脱炭素社会の実現に貢献しうると考えて今回投資させていただきました。生方CEOを中心とする高い意識と熱量を持つチーム・投資家・関係者の方々とご一緒できることを大変うれしく思います。今回の出資を通じて、研究・事業を推進し更なる飛躍をされることを期待しております。」
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(KII) プリンシパル 野村 直児 様
「前回のリード投資に続き、今回のシリーズAでも追加投資をさせていただき大変嬉しく思います。前回以降、elleThermoは着実に実績を重ね、未利用熱発電がいよいよ製品化・社会実装のフェーズに入ったことを大変頼もしく感じています。今後も引き続き共に歩み、新たな再生可能エネルギーとして世界に大きなインパクトをもたらすまで全力で支援してまいります。」
ヒューリックスタートアップ株式会社 キャピタリスト 諸橋 悠馬様
「研究開発の進捗および社会実装に向けた実証実験の成果を通じて、elleThermo様の高い研究開発力と、STCが持つ莫大な社会実装の可能性を改めて確信し、プレシリーズAに続き追加出資をさせていただきました。STCは日本のエネルギー問題の解決に貢献する社会的意義の高い技術であり、ヒューリックは、データセンターや不動産関連での社会実装を引き続き支援して参ります。」
株式会社環境エネルギー投資 パートナー 中村 謙吾 様・キャピタリスト 尾﨑 千紘様
「前回初めてご出資させていただいて以降、未利用熱活用が叫ばれる多くの現場からの強い引き合いをうけてパイプラインは拡大しており、さらに経営チームも取締役 Co-CEO & CFO 二上氏をはじめとし、ビジネス人材・開発人材ともに順調に拡大しております。まさにこれから実装に向けて量産体制を形にしていくタイミングで再びご一緒できることを大変光栄に思います。引き続き、未利用熱活用の側面から大きな社会的インパクトを生み出していく同社の挑戦に大きく期待をしております。」
みずほキャピタル株式会社 インベストメントマネージャー 北川 祐介様
「elleThermo社の半導体増感型熱利用発電は、排熱から電力を産み出す画期的な技術であり、光の届かない室内でも発電できるなど太陽光発電が苦手な環境でも利用が可能です。前回調達時から出力レベルも格段に上がっており、実用化に向け着実に進捗していることから今般追加の投資をさせて頂きました。昨今の異常気象、環境問題、AIによる電力需要の増大など、今後、様々な分野での課題解決に貢献し、応用範囲が広がっていくものと期待しています。みずほキャピタルは同社の事業化を全力でサポートしてまいります。」
KDDI Green Partners Fund / KDDI株式会社 オープンイノベーション推進本部 SUグロース戦略部長 武田 裕子様
「産業排熱の利活用は、カーボンニュートラル実現における重要なフロンティアの一つです。KDDIは研究室発の創業期から伴走し、初回出資や当社データセンターでの実証実験を通じて、発電と冷却を両立する革新的なSTC技術の確立と進化を共に推進してまいりました。
KDDIは、ファンドを通じた資金面での追加出資に加え、データセンターをはじめとする当社の強固なインフラを実証フィールドとして提供し、STCの迅速な社会実装と事業スケールを全力で支援してまいります。」
ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 波多野 和人 様
「elleThermo社のSTC技術は、これまで活用が難しかった未利用熱を電力へ変換する独自性の高い技術であり、エネルギーの有効活用や脱炭素化に貢献する可能性に期待しています。シードラウンドでの出資以降、同社が着実に発電実績を重ね、大面積化などの要素技術の確立や、多様なユースケースにおける実証を通じて、社会実装に向けた確かな進捗を示していることから、今回の追加出資を決定しました。Sony Innovation Fundとして、同社の技術の社会実装と事業成長を支援してまいります。」
株式会社タクマ 経営企画本部長 岡本 将英様
「当社は長年にわたり環境・エネルギープラントの建設・運営を手がけ、エネルギーの有効利用に取り組んでまいりました。一方で、利用が困難な低温帯の廃熱は、活用できないまま残されているのが実情です。elleThermo様のSTCは、こうした領域に新たな可能性をもたらす技術であると受け止めております。研究段階から着実に歩みを進められてきたチームとご一緒できることを心強く思い、当社としてもこれまで培ってきた知見を活かしながら、社会実装に向けて支援してまいります。」
株式会社elleThermo代表取締役 生方 祥子 コメント
私たちは、「排熱を熱資源化し、世界のエネルギー問題の解決と我が国のエネルギー自給率向上に貢献する」ことをミッションとし、日々事業に取り組んでおります。シード、プレシリーズAに続き、本シリーズAでも、私たちの志にご賛同いただき、ともに未来を築いてくださる投資家の皆様と出会えたことを、心から嬉しく思っております。
このミッションは、弊社だけでは達成できません。志をともにする多くの方々と力を合わせ、新しい産業を創出してまいります。今後とも、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
<株式会社elleThermoについて>
株式会社elleThermoは、安全・安心で、資源に依存しないエネルギー問題・資源問題の解決を目指し、東京科学大学(旧・東京工業大学)発のコア技術「STC」を用いた未利用排熱の活用による電力供給システムの社会実装に取り組んでいます。
会社概要
会社名:株式会社elleThermo
代表者:代表取締役 生方 祥子
本社所在地 :東京都港区芝浦三丁目3-6 東京科学大学キャンパス・イノベーションセンターINDEST
設立:2023年2月
事業内容: 再生可能エネルギー発電及び電化製品・機器、その他の新エネルギーに係る製品・機器の製作・販売並びにそれらのメンテナンス・コンサルティング・知識の社会への普及業務
半導体増感型熱利用発電STCとは
STCは、化学系太陽電池である色素増感型太陽電池において、「色素の光励起」を「半導体の熱励起」に変えて発電する熱エネルギー変換技術です。室温程度の低温度帯に存在する熱により発電ができることが特徴です。一定温度下の場合、化学平衡状態(平衡A)に到達すると発電が終了しますが、スイッチを切って電力を取り出さない状態での平衡系(平衡B)に移行させることで、再度放電することが可能となります。これまでにデータセンター排熱によるリチウムイオン電池の充電や、海底地熱によるLED点灯など、幅広いユースケースが報告されています。
本技術の原理については公開総説(https://doi.org/10.5796/denkikagaku.24-FE0305)や弊社YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@elleThermo)をご参照ください。
<本件に対するお問い合わせ先>
elleThermoは、共同研究開発や協業にご興味のある企業様、および熱発電の普及を通じて持続可能な社会の実現に貢献する仲間を募集しています。少しでもご関心を持っていただける方は、弊社へご連絡ください。
株式会社elleThermo
お問合せ窓口 https://ellethermo.com/contact
以上
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