EggAIと三菱化工機、プラントエンジニアリング業界向けAI設計自動化システムを開発開始
生成AIによる技術仕様書・設計図書作成の自動化で書類作成時間を大幅に短縮
株式会社EggAI(代表取締役CEO:中島柚斗、所在地:東京都文京区、以下「EggAI」)は、三菱化工機株式会社(代表者:田中 利一、所在地:川崎市、以下「三菱化工機」)と共同で、生成AI技術を活用したプラントエンジニアリング向け設計図書自動生成システムの開発に着手することをお知らせいたします。これまで人手に依存する部分が大きかったプラント設計に伴うさまざまな書類の作成を、生成AI技術を活用することで、書類作成時間の大幅な短縮を見込んでいます。両社が開発するシステムは、2026年4月より三菱化工機社内での部分的な運用開始を予定しています。

開発の背景と市場機会
プラントエンジニアリング業界は、国内市場規模約4兆円を誇る重要産業でありながら、深刻な人材不足と技術継承の課題に直面しています。化学工場や製油所、発電所、水処理施設など、大規模な産業設備の設計・建設を行うプラントエンジニアリングは極めて複雑で、一つの工場建設には、数百から数千種類の機器と数百から数万本の配管に及びます。これらの設計では、安全性と効率性を両立させるため、数百種類におよぶ詳細な設計図書の作成が不可欠です。従来、これらの書類作成には熟練技術者が多くの時間を費やし作成していますが、リソース不足が業界全体で深刻な課題となっています。特に高度な専門知識を要する業務は、デジタル技術、AIなどを活用した業務効率化が急務となっています。
三菱化工機のプラント事業本部においても、昨今の傾向を踏まえて、これまで継続してきた業務のやり方やルールそのものの変革が必要という認識を持っており、業務変革の一つとして考えてきた生成AIによる設計図書の自動作成化について、EggAIが進めている建設業界分野のドキュメント自動生成コンセプトと一致したため、今回の共同開発に至りました。今回の開発は三菱化工機グループDX戦略におけるDXコンセプト「業務・組織変革DX」に基づくDXテーマ「業務効率化・高度化」および「人材育成」に沿った内容であり、グループDX戦略を進める上での重要な取り組みと考えています。
システム概要
本システムは、これまで人手に依存する部分が大きかったプラント設計図書作成プロセスを、生成AI技術を活用し、担当者による修正・最終確認で完了するレベルまで、短時間で自動作成します。
主要機能
1. 書類のAI読み取り機能
お客様の要求仕様書内容をAIが読み取り、定量的な条件を最短で見つけ出して整理します。
2. 設計図書の自動作成機能
生成AIを利用して、各種設計仕様書・購入仕様書、設計用各種リストなど、設備建設に必要となる設計図書を、短時間で一定の精度で自動作成します。
3. さまざまな書類を作成できる機能
契約仕様書や基本設計図書、機器仕様書など、工場建設に必要なさまざまな種類の図書を自動で作成できます。
システム導入による、設計プロセスの変化

従来の設計プロセス |
生成AI導入後の設計プロセス |
|
1 |
顧客要求仕様を人が読み込む |
生成AIが顧客要望書を自動読み取り・整理 |
2 |
熟練技術者が各種設計図書を一つずつ手作業で作成 |
生成AIが設計図書を一括自動作成 |
3 |
技術者の確認・修正を経て最終図書完成 |
技術者の確認・微調整を経て最終図書完成 |
期待される効果と投資価値
圧倒的なスピードアップ
従来は熟練技術者が2~3週間かけて手作業で作っていた設計図書を、AIがわずか数時間~数日で最終修正・確認作業で完成するレベルまで自動作成します。これは手書きをタイピングに変えるような劇的な変化で、設計期間の短縮が期待されます。
人材の有効活用
書類作成という単純作業から熟練技術者を解放し、より付加価値の高い業務に専念することができます。蓄積された技術情報は同時に新人技術者の育成にも活用でき、育成に要する時間を短縮することが期待されます。
品質の向上と標準化
生成AIが一定の品質で書類を作成するため、担当者による品質のばらつきがなくなり、常に安定した品質を担保します。これにより情報共有の平準化と、顧客満足度の向上が期待されます。
技術継承のDX
熟練技術者の頭の中にある貴重な知識を生成AIがデジタル化して保存するため、退職による技術ロスがほぼゼロになります。デジタル化したナレッジにより若手技術者の技術力向上が期待されます。
経営的インパクト
設計図書作成作業の効率化によりコスト削減が期待されます。同時に技術者のリソースに余裕が生まれ、案件受注の拡大にもつながると考えられます。
両社のコメント
EggAI 代表取締役 CEO 中島 柚斗
「プラントエンジニアリング業界は日本の産業競争力の根幹を支える重要分野です。三菱化工機様との協業により、業界全体のDX推進に貢献できることを大変光栄に思います。我々の生成AI技術により、設計業務の効率化だけでなく、技術継承問題の解決にも寄与し、業界の持続的発展に貢献してまいります」
三菱化工機 執行役員 プラント事業本部長 中島 里樹
「プラントエンジニアリングは基本設計、詳細設計、調達、現地工事という流れの中で、多くの情報を上流から下流へ繋いでいくことが重要となります。その整流化、整合性を高める上で生成AI技術の活用は非常に有効と捉え、EggAI様の技術と当社のエンジニアリング技術を組み合わせることにより、生成AIによる全く新しい設計自動化システムを構築していきたいと考えます」
株式会社EggAIについて
株式会社EggAIは、東京大学での研究開発をベースにしたAIソリューションを提供するスタートアップ企業です。私たちは、技術力で顧客企業や社会の問題解決に貢献することを目指しています。
三菱化工機株式会社について (東証プライム6331、神奈川県川崎市)
三菱化工機グループは、プラント・環境設備の建設・エンジニアリングと、各種単体機械の製作及び、納入後のアフターサービスを軸に事業を展開しています。製造機能を持ったエンジニアリング企業として、都市ガス・水素・石油化学・半導体・電子材料・船舶・医薬・各種水処理などさまざまな分野で求められる機械・設備を製作・建設し、社会の発展を力強く後押ししています。2024年度の三菱化工機グループの売り上げは592億円、従業員数は1,017名(連結)。詳細については公式ウェブサイトをご覧ください(https://www.kakoki.co.jp/)
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