経済産業省「PHR社会実装加速化事業」 大阪・関西万博でのPHR活用成果と今後の社会実装に向けた取組を共有するイベントを開催
― 「自然と健康になれる社会」の実現に向け、「PHR」を活用した事業関係者が一堂に集結 ―
EXPO-PHR運営事務局は、経済産業省が推進する、個人の健康・医療データPHR(Personal Health Record)を活用した新しいサービスづくりに関する実証事業の取り組みとして、2026年3月18日(水)、「PHR社会実装加速イベント」を東京都港区にて開催しました。本イベントでは、総勢80名を超える(オンライン参加含む)PHR事業関係者が参加。PHRを使ったサービス創成の成果共有をはじめ、住友生命相互保険会社 常務執行役員 藤本宏樹氏による基調講演、パネルディスカッション、ワークショップを実施しました。PHRサービス創出した事業の成果を振り返るとともに、 PHRサービスを社会実装させるための課題突破のヒントや必要なステップについて議論されるイベントとなりました。

■本事業の概要
本事業は、経済産業省による「令和5年度補正PHR社会実装加速化事業(情報連携基盤を介したPHRユースケースの創出に向けた課題・論点整理等調査実証事業)」「令和6年度補正予防・健康づくり分野における先端技術を活用した社会課題解決サービス開発促進事業(先端技術を活用した介護予防等に資するPHRサービス開発・社会実装に向けた調査実証事業)」「令和7年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(PHRを活用した多職種連携におけるユースケース創出に向けた実証調査事業)」として、個人の健康・医療データ「PHR(Personal Health Record)」を活用した新しいサービスの社会実装に取り組んでいます。PHRを事業者間でつなぐための情報連携基盤「PHR CYCLE」を活用し、PHR事業者とサービス事業者が連携しながらパーソナライズされたサービスを創出。2025年大阪・関西万博では食事・運動・睡眠・ライフスタイルの生活領域のPHRサービスの国民への体験提供や実証を経て、さらに介護・多職種連携の領域でもPHRサービスの社会実装に向けた取組を継続しています。
■実証事業参画事業者からの成果発表を実施
事務局より本事業の概要説明を行ったうち、万博PHR実証※1参画事業者、および介護/多職種PHR実証※2参画事業者から、各事業の実証内容および今後の社会実装に向けた進捗が報告されました。
万博PHR実証参画事業者は、大阪・関西万博での展示・体験提供の成果についても発表。食事・睡眠・運動・暮らしといった多様な生活領域において、PHRを活用したパーソナライズドサービスの実証結果やサービス提供価値の手応えが共有されました。また、介護/多職種PHR実証※2参画事業者からは、社会実装を検討する中で直面した課題感を共有。参加者にとっては、PHR事業への期待感と事業化課題へのアプローチヒントを得る機会となりました。
■藤本氏による基調講演

住友生命保険相互会社常務執行役員の藤本宏樹氏より、PHRサービスの事業化における課題と、その突破に向けたヒントについて講演がありました。健康増進型保険「Vitality」の日本展開やWaaS(Well-being as a Service)構想の推進など、保険の枠を超えた価値創出に取り組んできた自身の経験をもとに、今後のヘルスケアビジネスの展望についてお話しされ、参画事業者にとって自社サービスの事業化を見直す契機となりました。
■PHRサービス普及のためのパネルディスカッションを実施

イベント中盤では、住友生命保険相互会社 藤本氏、経済産業省 明石氏、阪急阪神ホールディングス株式会社 下瀬氏、一般社団法人テレメディーズ 谷田部氏、TOPPAN株式会社 松尾氏、Arteryex株式会社 後藤氏が登壇し、「自社のPHR事業を推進するために必要なこととは」という題目でパネルディスカッションを実施しました。
前半は、事業化の大きな課題である「マネタイズ」について議論しました。一次予防の重要性は共有される一方、診療報酬の獲得や規模拡大に必要なエビデンスづくりには時間とコストがかかり、短期では収益とコストのバランスを取りにくい構造が論点となりました。収益化が立ち上がるまでの期間をどう支えるかに加え、「誰が対価を負担するのか」を見極めた設計の必要性が共有されました。
また、一般のユーザーや企業が費用を負担しにくい現状を踏まえ、健康経営の推進などの動きも参照しつつ、toG(行政・自治体向け)も視野に入れた展開が示唆されました。あわせて、医療アクセス格差や診療の質のばらつきに対し、PHRのポータビリティと医療者間共有を軸に新市場を切り開く可能性が示され、国の長期伴走・支援の活用も含めビジネスモデルを磨き込む重要性が議論されました。

後半では、創出したサービスの「価値提供」について議論。PHRサービスが影響を及ぼす受益者や関係者には多面性があることから、各受益者のメリットデメリットを踏まえたエコシステム設定が必要不可欠との意見が示され、PoCやステークホルダーへのヒアリングの重要性を再確認しました。海外の事例も参考にしつつ、サービスの利用者負担とサービスの提供価値双方の価値バランスを保ったビジネスデザインの検討が引き続き必要であることが示唆されました。
■2つのツールを用いてワークショップを実施
現地参加者を対象に、本事業内で開発したAIツールおよびPHR CYCLEの開発者ポータルをテーマとした2つのワークショップを実施しました。
AIツールを使用したワークショップでは、パネルディスカッションでも重要性が示されたステークホルダーへのヒアリングをサポートするAIツールを紹介し、参加者が体験しました。PHRサービスを持続可能な事業として展開するためには、サービスの開発と並行して「誰に届けるか」「どう収益化するか」「どの程度の市場があるか」を早期に整理することが不可欠です。AIツールはその思考を支援するために、以下の3つの機能を備えています。
①ユーザーインタビュー(ユーザー像の明確化)
②ビジネスモデル構築(収益構造の整理)
③市場規模推定
参加者が実際にツールを操作しながら、PHRサービスのビジネス化に向けた思考プロセスを体感する場となりました。
開発者ポータルを使用したワークショップでは、PHR CYCLE連携の開発を効率化・標準化するために整備された開発者向けポータルの概要紹介とデモを実施。API仕様の閲覧・検索や実際の動作確認(Try it機能)が可能な環境を紹介し、PHRサービス開発の促進に向けた理解を深める機会となりました。

事務局では、本イベントで得られた知見とネットワークを起点に、PHR事業関係者と連携しながら、PHRの社会実装をさらに加速し、「自然と健康になれる社会」の実現に向けた取組を一層推進していきます。
※1 令和5年度補正PHR社会実装加速化事業(情報連携基盤を介したPHRユースケースの創出に向けた課題・論点整理等調査実証事業)、令和6年度補正予防・健康づくり分野における先端技術を活用した社会課題解決サービス開発促進事業(先端技術を活用した介護予防 等に資するPHRサービス開発・社会実装に向けた調査実証事業)を通じて実施された実証
※2 令和6年度補正予防・健康づくり分野における先端技術を活用した社会課題解決サービス開発促進事業(先端技術を活用した介護予防 等に資するPHRサービス開発・社会実装に向けた調査実証事業)、令和7年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(PHRを活用した多職種連携におけるユースケース創出に向けた実証調査事業)の2事業の実証
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